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株式会社ビークル(京都企業紹介)

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バイオナノカプセルを用いた高感度抗体センサー、B型肝炎ワクチンの開発

(掲載日:平成30年7月11日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

株式会社ビークル(京都市左京区)の郷代表取締役社長様にお話をおうかがいしました。

オンリーワンの高性能バイオナノカプセル

-まずは御社の概要を教えてください。

郷) かつて大手製薬メーカーで医薬品開発をしておりまして、2002年に独立創業し、現在私のほか研究員5名、事務員2名体制で、バイオナノカプセル技術をコアに、抗体センサー開発、B型肝炎ワクチン開発等を進めています。

-バイオナノカプセルとは?

郷) 文字通りナノサイズの中空カプセルです。中はDNAなどを含まない中空で、細胞やウイルスなどと同じく脂質二重膜の粒子に、表面抗原(抗原を認識するセンサー)が110個刺さっているものです。

 

 

 

-その表面抗原は、糖鎖とはまた違うのですね?!

郷) はい。タンパク質でして、まず、くねくね折り返す形で、3回膜を貫通している形をしています。この成分について、Sタンパク質というもの、Mタンパク質というもの、ここまでは他でも作られているのですが、当社ではさらにLタンパク質というものを世界で唯一、表面抗原のフレーズ部分(抗原と接合する部分)に用いており、このことにより、抗原との結合力が高いバイオナノカプセルを作り上げました。

-すごいのですね。どうやって製造するのですか?

郷) 酵母の中で、脂質二重膜、タンパク質併せて作ります。当社独自のノウハウがありまして、普通は酵母が有する酵素の作用で、膜が切れるのですが、そうならないような工夫ですとか、ある遺伝子を加えることで発現量をアップするといったことをしています。

-カプセルには多様なラインナップがあるそうですね。

郷) はい。例えば、DDSについても大学の研究支援で依頼がありますね。

-DDS?!

郷) ドラッグデリバリーシステム、すなわち、薬物送達システムのことです。薬を口から飲んだ時、実際に幹部までたどり着いて効き目を発揮するのは、飲んだ量のごくわずかですし、必要ない部位で副作用を引き起こすこともありますから、薬の効用を高め、副作用を抑制するために、病変部位に集中的に薬を到達させ、放出する技術のことです。当社では、薬物を封入したリポソームとバイオナノカプセルを結合させる、あるいは、バイオナノカプセル自身に薬物を封入するといった手法によるDDSを開発しました。

高感度抗体センサー

-そうなのですね。

郷) そして、今特に取り組んでいるものが「抗体センサー」です。さきほど、Lタンパク質を表面抗原のフレーズ部分に用いて、抗原との結合力が高いバイオナノカプセルを作り上げたと申しましたが、より詳しく申せば、110個のフレーズ部分が抗体とよく結合し、その結果、110個もの抗体を備えたバイオナノカプセルとなり、抗原との結合力が高まるということです。フレーズ部分はY字型をした抗体のFC部分、すなわち、Y字の下半分の軸部分と結合しやすく、結果として、すなわちY字の上半分である、抗体のセンサー部分(Fab部分)が外を向く形となり、センサーが220個(110対)くっついた粒子となるというわけです。

-なるほど。

郷) 当社では、この抗体結合型バイオナノカプセルを利用した検出技術をMulti Antibody Detection (MAD)技術、標識粒子をMAD試薬と名付けました。この試薬をウェスタンブロッティング時の2次抗体の代わりに利用すると1次抗体の種類を気にすることなく、高感度の検出か可能です。

-ウェスタンブロッティングって、電気泳動でタンパク質を分離し、抗原抗体反応を組み合わせて、特定のタンパク質を検出する手法のことですね。

郷) はい。同じ原理により、ELISAでも高感度の検出ができます。

-ELISAは、抗原抗体反応の組み合わせを利用して、酵素活性(酵素が持つ触媒能力の高さ)を吸光スペクトルの変化で捉える手法ですね。どれくらい高感度になるのですか?

郷) MADならば従来の10倍、従来のELISAと組み合わせれば100倍近くの感度になります。これによって、これまで見逃していたものを捉えることができるようになるわけです。現在、Lタンパク質の種類を精査する研究を進めているところです。

B型肝炎ワクチン

-素晴らしい!

郷) さらに、B型肝炎の治療ワクチン、予防ワクチンの開発も進めています。

-B型肝炎ですか。

郷) 肝炎とは、ご承知のとおり、肝臓の細胞に炎症が起こり、肝細胞が壊される病態です。国内では、減ってはきているものの、感染者は150~200万人とも言われており、世界では3.5億人とも言われています。

-そうなのですね。

郷) 既存のワクチンの表面抗原はSタンパク質を用いてものが多いのですが、当社は先ほどから申してますようにL抗原でありますから、様々な抗原を捉えることができますし、ABCD様々な遺伝子型にも反応できるものを見つけています。これにより、効果が高いだけでなく、早く効くといったことも可能になるものです。

-素晴らしいお取り組みの数々ですが、逆に課題についてはいかがでしょうか。

郷) やはり、ベンチャーですから資金ですかね。特にGMP製造の体制整備費用については、ファンドも手が挙がらない分野ですね。低分子医薬品や細胞関係はともかく、タンパク質を扱うバイオ医薬品分野では、国内では大変限られ、欧州等に頼らざるを得ない状態です。これは当社というより、日本全体の課題ですね。当社自身がそういう基盤を構築するということも視野にも入れながら、引き続き、社会に必要とされるライフサイエンスの様々な技術開発を進めてまいります。

 

 

今後の展開がますます楽しみです!

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp

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