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株式会社ニューネクスト(京都企業紹介)

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お客様の妄想を我々は創造し、まずはドキュメントでお返しします

(掲載日:令和3年3月30日 聞き手・文:ものづくり振興課 鴨井、宮﨑)

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株式会社ニューネクスト(外部リンク)の松岡俊秀 代表取締役会長にお話を伺いました。

「まんが」で機械(機会)をつくります!

-まずは御社の事業概要を教えてください。

松岡)弊社は1968年(昭和43年)に省力化機器を製造する企業として創業しました。昔は大手企業の下請けとして、受注した仕様書に沿って製品を製造していました。

その後、中国の台頭やグローバル化の流れの中で、コストダウン競争に身を投じることに疑問を感じ、新しいものを生み出す試作開発に特化した企業へと転換しました。

-様々な試作開発を手掛けてこられた御社が、取引先から選ばれ続ける理由は何でしょうか。

松岡)弊社がこだわっているのは、0から1を生み出す試作・開発品で、世の中にないものを生み出すことです。「こんなことがしたいな」「こんな機械があったら便利だな」という妄想の段階であっても、その思いを形にし、装置の開発試作のみならず、製品になる前の工法や、検証用装置のご提案など、お客様の「妄想」を「形」にしています。

-「妄想」を「形」にしていく仕事ですか。

松岡)今や製造業は「ものづくり」だけにとどまらないため、その先にある価値の創造までも見据えた「協創試作」の理念を大事にしています。これは弊社が加盟する(一社)京都試作ネットが理念として掲げる言葉であり、社会の抱える未解決の課題に対して、ソリューション技術を駆使することで解決手法を明確化し、お客様と共にものづくり・ことづくりに取り組むことで新たな市場の創出を目指しています。

弊社もお客様の要望を形にしていくために、京都試作ネット構成企業を含め、300社を超えるパートナー企業との協調・連携体制により、幅広い業界の困り事に対応しています。

-アイデアをどのように形にしていくのですか?

松岡)プロトタイプマシンの設計・製作は、いかに「早く」「正確に」最終仕様を確定することができるかが重要です。お客様との打合せは、簡単な構想を絵に描き起こした「まんが」で行います。言葉では伝えづらい仕様を「まんが」で書き起こし、CADシステムで図面を作成します。お客様の意志がしっかりと確認できるので、手戻り等のロスがなく、スピーディーな対応が可能です。

-「まんが」で確認するのですね。

松岡)アイデアをその場で、私どもが「まんが」と呼んでいる構想図にして、具体的な形に落とし込み、仕様を協議します。ひと目で分かる「まんが」を描くと、いきなり図面や仕様書を作成する場合には、こぼれ落ちやすいアイデアや開発者の想いまで、製品に宿らせることができます。実際の「まんが」を見るとクライアント様から「考えていたのはこういうことです!」というお言葉をいただけます。

その後、描いた「まんが」に組み込む装置を追記した「機構漫画」を作成し、先方の担当者とイメージをすり合わせた後、CADでの図面作製や各種仕様書の作成に進みます。

こうすることで、初期段階で先方と弊社の認識の乖離を防ぐことができ、先方のイメージと違うために作り直しになるなどの時間のロスも防ぎ、スピーディーにゴールまで進むことができます。また、製品の完成形や生産工程も把握しやすいので、コストの算出も迅速に対応可能です。

-部屋の壁一面がホワイトボードになっていますが、このスペースもアイデア創出に一役かっているのですね

松岡)考えたアイデアをすぐに形にすることが重要です。先方の担当者と実現したい機能を「まんが」で表現しながら打ち合わせを行いますが、案件によっては、お客さんと一緒に壁一面びっしりと書き込むこともあります。

この壁一面のホワイトボードは好評で、会社の会議室の壁をホワイトボードに入れ換えたというお客様もいらっしゃいます(笑)

-このような実績もあり、今回の買い物かご除菌装置「ジョキンザウルス」のスピード開発に至ったのですね。それでは、「ジョキンザウルス」についてお話をお聞かせください。

買い物かご除菌装置「ジョキンザウルス」の開発

-まずは、開発の経緯について教えてください。

松岡)イオンリテール近畿カンパニーの土谷支社長が京都府の山下副知事と5月に懇談した際、買い物かごの除菌作業が従業員の大きな負担となっていることが話題となり、その解決のため、弊社も参画する一般社団法人京都試作ネットをご紹介いただきました。

その後、弊社をリーダーに自動除菌装置の開発がスタートし、着手から約4ヵ月で完成に至りました。京都府のものづくり振興課さんにも仲介いただき、「助け合いの輪補助金」を活用することで、先方に「開発費を求めないから」と交渉をスムーズに進められましたし、自分たちの「自社商品」として世に売り出すことができたことも大きな意義がありました。

-「ジョキンザウルス」という名前はとても親しみがもてますね。

松岡)この除菌装置は、菌をパクパク食べてしまうイメージで、子供の大好きな恐竜をイメージしました。ただ、恐竜は呼称が「サウルス」ですが、真面目に研究している方に対して、失礼のないよう「ザウルス」としました。

-「ジョキンザウルス」はどのような特徴をもつ装置なのでしょうか。

松岡)「ジョキンザウルス」は、積み重ねた買い物かごの持ち手を一つずつ自動で持ち上げ、内部のアームから紫外線(UVC)を照射することで短時間で持ち手の裏側まで効率的に除菌することができます。

これまで、手作業で行っていた作業を自動化できるので、負担軽減効果はもちろん、透明な箱の中で機械が動き、紫外線を照射して一つ一つ買い物かごを除菌する装置は人の目を引き、話題性があり集客効果も期待できるとお聞きしています。

-開発にあたって、様々な検討をされたと思いますが、秘話等があれば教えてください。

松岡)除菌方法については、アルコール、次亜塩素酸、オゾン、加熱、蒸気、紫外線等、様々な方式について調査・検討しました。アルコールは噴霧する必要があるため換気・防爆設備が必要であったり、加熱方式は加熱・冷却のためのスペースや大きな電源が必要であったりとそれぞれ向き・不向きがあります。結果的に短時間の照射で効果を発揮する紫外線を採用しました。

また、海外での類似製品についても調査しましたが、かごを丸ごと除菌する装置で、実際にかごの「取っ手」まで除菌できているかが疑わしい事例もあり、私どもは、買い物客に安心を与える製品づくりを目指していたため、「取っ手」を持ち上げ、一つずつ除菌する方式を採用しました。京都らしい“細やかさ”を実現した製品になったと実感しております。

また、買い物客に除菌の様子が見えるということも重要です。そこで、透明のアクリル板にUVカットシートをカバーし、フルスケルトンにすることで、稼働の様子を外から見ることができます。また、稼働の様子を見た子ども達に、ものづくりに対する興味を少しでも持ってほしいという思いもあります。実際の設置店舗で子どもたちが装置を眺めている様子をみると、とても微笑ましく思っています。

 

-素晴らしい商品の紹介をありがとうございました。最後に、今後の展望をお聞かせください。

松岡)今後もお客様の「妄想」を形にするために、一層試作開発に邁進していきたいと考えています。今回の事例の他にも、京都の伝統産業分野(扇子、団扇、仏具、和傘、絞り染め関係)に関する開発も進めています。

弊社には、「好奇心が強く、観察眼が鋭く、でもほどほどに無鉄砲かつしつこくて、鈍感で、でもやっぱり無しにはできない、頭が柔らかい」メンバーが揃っており、「世の中にないもの(コト)」へのチャレンジを楽しむことができる集団だと自負しています。

「こんなことがしたいな」「こんな機械があったら便利だな」という妄想の段階でもそれを形にする技術が弊社にはありますので、ぜひお気軽にご相談ください!

-今後のますますのご活躍が楽しみですね!

買い物かご除菌装置「ジョキンザウルス」開発!

(更新日:令和2年2月17日、掲載日:令和2年9月28日、ものづくり振興課 足利、鴨井)

ジョキンザウルス

カタログ
ジョキンザウルス カタログ(PDF:1,231KB)

株式会社ニューネクスト(外部リンク)(京都市)が、京都府、イオンリテール株式会社、京都試作ネット各社と連携し、京都府・京都産業21「助け合いの輪」補助金も活用しながら、開発、発表されました。

買い物かごの持ち手(裏側含む)を99.9%除菌する装置で、60個の買い物かごを重ねたまま台車ごと装置に入れれば、自動で一つずつ持ち上げ、1個12秒、60個全部では12分で除菌完了。100V電源でどこでも手軽に対応できるUV照射方式のメリットを最大限活かした装置です。装置稼働の様子はYouTube(外部リンク)からご確認ください。

操作1 操作2 操作3

これにより、お客様にも安心安全を、従業員の皆様にも大量の買い物かごの除菌作業の省力化を実現します。

プレスリリース「まとめてお手軽!持ち手の裏まで丁寧除菌!」(PDF:222KB)

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