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日東薬品工業株式会社 (京都企業紹介)

知恵の経営元気印経営革新チャレンジ・バイの各認定等を受けた府内中小企業を紹介するページです。

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世界最高のバイオテク企業

(掲載日:平成29年4月26日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

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 日東薬品工業株式会社(本社:向日市)の北尾常務取締役様にお話をおうかがいしました。

ファミリーフレンドリーカンパニー

-まず、事業の概要を教えてください。

北尾) 1947年に祖父が創立し、2017年には70周年を迎えました。現在、父が2代目社長をしており、従業員約200名で、医療機関で処方される医療用医薬品、薬局・ドラッグストアで販売されるOTC(一般用医薬品)、医薬部外品などの製造販売を行っています。向日市にある本社・研究所のほか、工場は液剤生産を担っているのが長田野工業団地にある長田野工場、固形剤、菌製剤生産を担っているのが綾部工業団地にある綾部工場です。

-まず目を惹くのが、その社屋・研究所や工場の美しさです。とってもおしゃれですね!

北尾) 「ファミリーフレンドリーカンパニー」を標榜しておりまして、利益は職場環境と未来への投資に使うというのが社長の考えです。花と緑に囲まれた環境で、社員一人ひとりの自由で独創的な発想を研究開発にフィードバックし、「ラブリーファクトリー」と呼んでいる生産工場で、ハイクオリティな製品を生み出していこうということです。海外の創薬メーカーの研究所は、「研究者ファースト」で、とてもきれいです。提携先の北欧の会社などは緑豊かな広大な敷地にオープンラボが広がっており、まさに研究者パラダイスな環境です。当社も綾部工場が完成した際、父が「きれいな工場ができた」と喜んでいたのを今でも覚えています。

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有名商品がズラリ  菌培養から製剤化までの一貫対応力×世界を股にかけた研究開発力

-あまりに素敵なので、つい「外見」から入ってしまいましたが(笑)、製品については、どういったものがありますか?

北尾) 医療用医薬品では、デノタスチュアブル配合錠(販売会社:第一三共)、アタバニン散(大日本住友製薬)などがあります。よく皆様が目にされるOTCでは、ザ・ガードコーワ整腸錠α3+(興和)、新カルシチュウD3(武田コンシューマーヘルスケア)、ポポンVL整腸薬(シオノギヘルスケア)、新セルベール整胃錠、チョコラBBルーセントC(エーザイ)、「若甦」シリーズ(日邦薬品工業)、などがあります。

-すごいですね。しかも、有名なものばかり!

北尾) いずれも、当社の自社開発または大手製薬メーカーと共同開発を行っています。人間のサーカディアンリズム(体内時計)に着目し、朝と夜で飲み分けるビタミン剤など、これまでにないコンセプトの医薬品を開発したり、水がなくとも口腔内でかみ砕いて服用できる「チュアブル錠」のカルシウム剤を日本で初めて開発したりしてきました。

-なるほど。

北尾) 国内の多くの大手製薬メーカーと提携しています。こうしたネットワークは父が築いてきました。おかげで、そうした大手製薬メーカーのトップとも、いつでも直接話せる関係にあります。

-そうだったのですね。

北尾) 最近は食品分野にも進出しています。2015年10月に全国発売されたロッテさんの「乳酸菌ショコラ」では、共同開発、原料供給というカタチでコラボレーションしました。医薬品の製剤技術を活用し、乳酸菌をチョコレートコーティングすることで、菌を生きたままの状態で長期・常温保存することに成功したイノベーティブな製品です。

-医薬品から食品にも展開されると、信用力も高く有利ですよね。

北尾) そうですね。ありがたいことに、当社の名前を前面に出してほしいという依頼もあります。それに、やはり食品は市場規模も大きく、驚いています。すべての要請に応えられないくらい依頼が増えてきています。

-御社がパートナーとして選ばれる理由、強みはどういったところにあるのでしょうか?

北尾) まず、当社のように、乳酸菌を医薬品の品質レベルで扱える会社は大変珍しいですね。最近は海外の企業からもよく相談を受けます。海外にも菌の供給をできるところが少ないということです。さらに、乳酸菌等の生菌を用いた製剤においては、自社株を保有し、菌の培養から製剤化まで一貫製造できるという点が、大変珍しいですね。

-たしかに、普通、原料メーカー、有効成分を作る原薬メーカー、製剤メーカーと別れていますね。しかし、ユニークな提案力の源泉は一体何ですか?

北尾) 創立以来、積み重ねてきた技術の蓄積とエビデンスです。京都大学や医薬基盤・健康・栄養研究所などと共同で最先端の腸内細菌研究を行っていますし、論文や学会等で研究成果を国内外問わず、積極的に発信しています。知財対応もアメリカやヨーロッパ等の海外を念頭に特許・商標出願を行っています。海外からの提携依頼も多くなってきました。乳酸菌というリソースを長年、大切にしてきたことが大きな強みになっています。

オンリーワンを支えるプロバイオティクス

-なるほど。さて、菌のことについてお伺いしたいのですが、菌って微生物のことですよね。自社株をお持ちだとのことですね。

北尾) 産業株としては現在7種類を扱い、その他にも400株以上の菌株をライブラリーに保有しています。

-「400株」ですか?!

北尾) 京都は醗酵食品の文化が進んだ土地ですので、すぐき漬けや菜の花漬けなどの珍しい漬物がたくさんあり、種類も豊富です。そうした漬物や植物などから単離してきた乳酸菌を自社内でライブラリーにストックしています。そのなかから生理活性の高い菌をスクリーニングしています。また、産業用として7種類の菌を培養している会社も日本では珍しいと思います。

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-7種類というのは多いのでしょうか?つまり、菌を培養するのは難しいものなのですか?

北尾) はい、医薬品や食品として製造するには高度な乳酸菌の培養技術が必要です。当社の場合は、乳酸菌、酪酸菌、納豆菌、ビフィズス菌など様々な菌を、その特性に合わせて培養しています。微生物という生き物を扱っているので非常に高い技術力が要求されます。簡単には真似のできない技術です。

-具体的にはどういう機能を有する菌をお持ちなのでしょう?乳酸菌は糖を分解して乳酸を作り、その乳酸が腸内を酸性へとpHをコントロールして悪玉菌の発生を抑えたりするわけですよね。

北尾) はい、プロバイオティクス乳酸菌として、フェカリス菌NT株(Enterococcus faecalis NT)、ブレビス菌T001株(Lactobacillus brevis NTT001)、ブレビス菌M003株(Lactobacillus brevis NTM003)、ロイコ菌M048株(Leuconostoc mesenteroides NTM048)があり、乳酸を産生して腸内環境を整える作用の他、それぞれ異なった特徴を持っています。フェカリス菌NT株は悪玉菌の増殖を抑える作用、ブレビス菌T001株はナチュラルキラー細胞を活性化させて免疫力を高める作用、ブレビス菌M003株はプリン体を分解して尿酸値を下げる作用、ロイコ菌M048株はIgA抗体の分泌を促進して免疫力を高めたり、免疫バランスを整える作用が報告されています。

-なるほど。

北尾) 乳酸菌のほか、ヒトの腸内に最も多く棲みついている善玉菌で、乳酸に加えて酢酸も作り出し悪玉菌の増殖を抑制するビフィズス菌NT株(Bifidobacterium longum NT)、納豆から分離される善玉菌で、熱や酸に強い芽胞を形成し、ビフィズス菌の増殖を促進させる働きがある納豆菌NT株(Bacillus natto NT)、腸管粘膜のエネルギー源となり、更に炎症抑制作用を有する酪酸を産生する酪酸菌NT株(Clostridium butyricum NT)があります。酪酸菌を事業化しているのは国内で当社を含めて数社だけです。

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今後の事業戦略

-最近どの業界でも人手不足です。御社はいかがですか?

北尾) 世界最先端の腸内細菌研究を行っているという自負がありますし、事業として乳酸菌を扱っている会社がそもそも珍しいので、研究をしたいという人は、本当にたくさん、しかも優秀な方々が日本中の大学から集まってきてくれますので、逆に選考に苦労します。これからの時代、何かに突出しないと、人の確保は難しいですね。

-では、今後の重点領域はどういったものとなりましょうか?

北尾) まず1つは、新規有用微生物の探索を引き続き継続していきます。京都は地場に発酵食品も多く、微生物を単離するのに非常に有利な土地です。そして、2つ目は、科学に基づくエビデンスを蓄積するなど機能性研究の一層の強化です。これも京都大学をはじめ京都には様々な大学や研究機関がありますので、大変ありがたい環境です。海外の学会にもよく行きますが、腸内細菌研究の分野では日本の大学の発表のレベルの高さは目を見張るものがあります。京都にいることには、この業界では競争優位性が高いです。

-ありがとうございます。

北尾) そして、3つ目は、ポストバイオティクス研究です。さきほどの説明にもありましたように、菌は、ヒトが消化できないものを分解(代謝)し、ヒトの体に有益なもの、例えば乳酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を作り出します。こうした代謝物には高い生理活性があり“プレバイオティクス”、“プロバイオティクス”に次ぐ“ポストバイオティクス”として菌代謝物が世界的にも注目されています。当社はこの分野でも最先端の研究をおこなっており、京都大学の小川順教授と共同で乳酸菌の代謝を利用して生産される新規機能性脂肪酸「HYA」の研究開発を推進しています。HYAは植物油に含まれるリノール酸から乳酸菌の酵素反応で作り出されるもので、腸管バリア保護効果や血糖値上昇抑制効果を動物やヒトを用いた試験において確認されています。将来的には画期的な新薬として世界中の人々の健康に寄与することになると確信しています。

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-いいですね!

北尾) もう1つは、ロイコ菌M048株が産生するロイコサッカライド(菌体外多糖)です。乾癬(自己免疫疾患で慢性皮膚疾患のひとつ)の症状を緩和することや肥満抑制効果などを細胞や動物試験で確認しています。プレバイオティクスや医薬品としての可能性を感じています。

-では、今後の展望はいかがでしょう。

北尾) 病気を治す、これこそが究極の目標です。そのために、科学に基づいた基礎研究に注力していますし、努力を続けています。この京都という、恵まれた環境の中で、産学官と様々な連携をしながら、世界最高のバイオテク企業を目指してまいります。

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今後の展開がますます楽しみですね!

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp

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