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知の京都- 山岸正明さん(京都府立医科大学 小児心臓血管外科 教授)

産学公連携、産業振興の一環として、京の研究者・専門家の皆さんを紹介するページです。

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小児科心臓疾患の難手術に挑み続ける!

(掲載日:平成29年6月1日 ものづくり振興課)

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 京都府立医科大学 小児心臓血管外科 山岸正明 教授(医学博士)にお話をおうかがいしました。

小児心臓疾患の難しさ

手術と手術の間のお忙しい合間を縫って、インタビューをお受けいただきありがとうございます。あっ、お名刺に「ラグビーフットボール部 部長」とありますね!

山岸教授) そうなんです。学生時代もラグビー部でした。

-そうでらっしゃったのですね!さて、先生は、様々な難手術を成功させてこられるなど、小児心臓血管外科の名医として大変有名でらっしゃいます。そこで、まず、小児心臓疾患の実情からお聞きしたいと存じます。小児の場合、特にどういう点が困難なのでしょうか?

山岸教授) まず、大人の心臓が大人の握り拳くらいの大きさなのに対し、赤ちゃんの場合は、そうですね、鶏の玉子くらい小さいという大きさの問題があります。また、心臓は、血液を受け入れる左心房・右心房、血液を送り出すポンプの役割を果たす左心室・右心室といったように複雑な立体構造をしているわけですが、お子さんの先天性心臓疾患の心臓は、大変異なった形をしています。そして多種多様な形状をしています。従って、頭の中に病気の心臓と正常な心臓の立体形状をしっかり描いて、目の前の心臓を、その頭に描いた心臓の形へと作り直す必要があるのです。

-そうなのですね。

山岸教授) しかも、小さいお子さんですから、限られた手術時間で行わなければなりません。そして、大人の場合は万が一うまく心臓がうごかない場合には補助循環装置を装着するなどの対処ができるのですが、子どもの場合はそういうわけにはいきません。手術が終了して心臓の拍動を再開させた時点で、自分の心臓だけで生きていけるように100%完璧な動きができるように完成させなければならないのです。

茨の道へ

-大変難しい、神経の磨り減るお仕事だと思います。インターネット上でも先生が大変な難手術を成功させられ、感謝されてらっしゃる方の書き込みがたくさん掲載されています。十何時間もかかる手術をされて、周りの誰もが疲労困憊でらっしゃる中、先生だけが「まだまだこれからだぞ」みたいな様子であったとか、そういう話が数多く出てきますので、私も今日のインタビュー、正直申し上げますと、大変緊張して臨んでおります(笑)

山岸教授) はは(笑)。しかし、あの時はアドレナリンが出まくってましたね(笑)

-先生は、どうしてこんなに大変な道を選ばれたのでしょうか?

山岸教授) 両親がともに薬剤師であった影響もあり、小さい頃から医者になりたいと考えていましたので、医学部に入りました。そして3年生の解剖実習の時、「こんなにおもしろい臓器はない」と思い、「心臓」を一生の仕事にすることを決心しました。もう50年前のことですが、私の弟が先天性心臓疾患で亡くなっていまして、最終的にその弟に背中を押されたということではあるのでしょうね。

-そうなのですね。

山岸教授) そして、6年生の時、米国ユタ大学で人工心臓の埋め込み手術を経験する機会があり、心臓移植や人工心臓をやっていきたいと考えるようになり、東京女子医大に勤務しました。そこでは、大人だけでなく子ども含めて、たくさんの心臓疾患の方がお見えになり、そこで、より困難な子どもの心臓疾患が自分の進むべき道だと思ったのです。

-高いお志、素晴らしいですね。

山岸教授) その時の小児心臓外科医局長の先生が私と同じくラグビー経験者でして、その先生に引っ張られたので逆らえなかったという、体育会的な裏事情もありましたけどね(笑)

難手術に向け、京都府チャレンジ・バイ補助金を活用してクロスエフェクト製心臓モデル導入

-ははは(笑)。先生の日常はどういった感じでらっしゃるのですか?

山岸教授) 週4日、月、火、木、金はずっと手術をしています。水曜日だけが外来診察です。

-そんなに手術をなさって、本当に大変ですね。

山岸教授) 私の場合は、手術より外来診察の方がしんどいですね(笑)

-多くの方が全国から先生を頼って来られるわけですね。

山岸教授) 小さいお子さんですから、お父さんお母さんも、まだお若いケースが多いですから、お仕事もなさってますし、患者さんのご家族の皆さんも本当に大変でらっしゃいますよ。ですから、私もそうした皆さんに応えようという一心です。

-さて、「京都チャレンジ・バイ福祉・医療関連商品・サービス導入促進補助金」をご活用いただいて、株式会社クロスエフェクト製心臓モデルを導入いただきました。

山岸教授) 特に難しい手術を前に、モデルは本当に役に立つのです。患者さんの命に係わる、絶対に成功させねばならないものですから。しかも、研究費が潤沢にあるわけでもありませんから、この補助金があって本当に助かりました。実際にこの補助金で作らせていただいたモデルのお陰で命を助けてあげられたお子さんがたくさんいらっしゃいます。

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手術の練習機会が激減している業界事情により、Surgery Training Modelの開発監修へ

-先生にそんな風におっしゃっていただけますと、心より恐縮でございます。先生は、クロスエフェクトさんの「Surgery Training Model」も監修されていますね。

山岸教授) 忙しい若手・中堅の医者が、手術の合間でも、家でも、どこでも手軽に手術手技をトレーニングできるようにと、コストを削減して若手の先生たちも購入できるように、心臓の一部分に特化したモデルを作ってもらったのです。

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-若手のお医者様ですか。

山岸教授) とても技術的にも難しい分野で、かつ、一人前になるまでに時間を長く要するので、なり手が少ない分野なのです。しかも、トレーニングの機会も大幅に減っているのです。

-どういうことですか?

山岸教授) ます1つは、世代の問題ですね。私たちは、プラモデルで遊んだ世代なので、そうして自分で作るという発想でしたが、今はゲーム機で遊んできた世代です。心臓という三次元的な臓器を頭の中で構築するというイメージトレーニングができなくなっています。私が若い頃は、こういう素晴らしい心臓モデルなどありませんでしたから、自分で紙粘土とプラスチック粘土を買ってきて、プラモデルを作るように自分で心臓モデルを作って練習していました(注:冒頭写真で右手にお持ちのものが、当時のもの)。今の若い医師たちでこういうことをする人はいないですね。また、昔は少しおおらかな時代でしたから、練習がてら若手にチャレンジさせることもありましたが、今はそういう時代ではありません。そして3つ目として、亡くなった方からいただいた心臓の病理標本も極めて少なくなっているのです。

-どうしてですか?

山岸教授) 医学の進歩により、手術の成功率が高く、心臓疾患で亡くなることが少なくなってきたため、疾患の病理標本が集まらなくなってきたのです。これはとても良いことなのですが、若手医師が実際の病気の心臓を手にとって勉強できる機会がなくなってきました。

-なるほど。医学の進歩が逆に、皮肉ですね。では、最後に今後の展望はいかがでしょうか。

山岸教授) 若い人の教育に取り組んでいきたいです。自分でモデルを作ったりしてきましたし、私自身苦労してきましたので、この「Surgery Training Model」をシリーズ化して、若い人たちのトレーニングの機会を増やしていきたいのです。

 

お忙しい合間にもかかわらず、とても気さくにお話をしてくださり、ファンになってしまいました!ありがとうございました!

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