丹後広域振興局

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IPM技術の紹介

環境にやさしい農業技術(IPM技術の紹介)

IPMとは

IPM(Integrated Pest Management; 総合的病害虫・雑草管理)

環境にやさしい農業や食の安心・安全への関心はますます高まっています。このような情勢の中で、化学農薬だけに頼らない病害虫・雑草の防除法が求められています。IPMとは、化学的な防除法だけでなく、物理的な手法や生物的な手法をなど利用できるあらゆる手法をコストも踏まえて検討し、組み合わせて使用することで、化学農薬の量を減らしながら、病害虫や雑草の増加を抑え、経済的な損失を最小限に留める取組のことです。化学農薬の使用量を減らすことで、環境への負荷を低減するとともに、人間の健康へのリスクを最小限に抑え、安全な食料の安定生産を行うことを目的にしています。

防虫ネット

害虫にとってハウスの中は、生育しやすい天国のような環境です。
いったん侵入を許せば、ハウスの中で増殖し、大きな被害が待っています。
ハウスの中に害虫を入れないことがもっとも大切な防除方法です。
キスジノミハムシ・アザミウマ類等の微小な害虫の侵入を防ぐには、0.8ミリメートル以下の目合いの防虫ネットが必要になります。
なお、防虫ネットを被覆したハウスでは風通しが悪くなり、温度が高くなる傾向があるので換気に注意しましょう。

近紫外線カットフィルム

昆虫が見ることのできる光の領域は紫外線~近紫外線といわれています。
この領域の光線を通さないフィルムを施設に被覆し、病害虫の生育・活動を抑制し作物を保護します。
また、繁殖に紫外線が必要な一部の種類の病害菌の増殖抑制にも効果があります。
ただし、ミツバチなどの有用昆虫の活動が鈍くなる場合やアントシアン系の色素で着色する花やナスの果実等の栽培では着色不良となる場合があるので注意が必要です。

簡易太陽熱消毒

葉菜類を対象に、畝成形後、晴天時に2~3週間太陽熱を利用して土壌を消毒する方法です。
施肥、畝立て後に、十分かん水し、ビニルまたはポリエチレンフィルムで被覆し、地温を上げることで害虫や雑草の種子、一部の土壌病害菌を抑制します。
この技術によって、農薬等を使用せずキスジノミハムシ等の害虫防除や雑草防除が、効果的かつ簡易に実施できます。

天敵の利用

現在、土着天敵ばかりでなく、様々な天敵製剤が利用されています。
ハウス園芸を中心に、ハダニ・アザミウマ・ハモグリバエ等の防除に利用されています。

天敵利用のメリット

  • 減化学合成農薬栽培
    ・農薬散布作業の省力化
    ・農薬残留・人畜毒性の心配がない。
    ・化学農薬による環境負荷が軽減できる。
  • 害虫の抵抗性が発達しにくい。
  • 天敵が定着すれば持続的な効果が期待できる。

天敵利用のデメリット

  • 温度や湿度、日長など環境条件の影響を受けやすい。
  • 効果のある害虫が限られている。

粘着トラップ

害虫が好む色に着色されたプラスチック製の粘着テープです。
コナジラミ、アブラムシ、ハモグリバエが好む黄色と、アザミウマが好む青色があります。
害虫の侵入しやすい施設の周囲・出入り口に張って害虫を大量誘殺します。
また、施設内で害虫の発生予察・天敵放飼のタイミングを決めるためにモニタリングしたり、侵入した害虫の誘殺等に利用されています。

黄色蛍光灯・緑色蛍光灯

ヤガ類(成虫)のほ場内への侵入を防止し、ほ場内にいるものに対しては交尾阻害・産卵防止の効果があります。
黄色蛍光灯は開花時期のずれや花芽分化の遅延、早期抽台など作物にも影響を与えることがあります。最近では作物への影響が少ない緑色蛍光灯が普及しつつあります。

有用菌を利用したダクト散布

自然界から分離した有用微生物製剤を、既存の暖房機や送風機のダクトを利用して施設内に散布する技術です。
野菜類の灰色かび病、うどんこ病等の予防技術として利用されています。
化学農薬の使用回数にカウントされない生物農薬は、特別栽培農産物や有機農産物生産に適しています。

ギニアグラス栽培

緑肥作物のギニアグラスを120センチメートル程度まで生育させてから、すき込み・腐熟させることで、良質な堆肥(緑肥)となります。
また、塩類集積が問題となっているほ場では、すき込まずに持ち出すことで除塩効果が得られます。

バンカープランツ(ソルゴー障壁)

バンカープランツとは、天敵を増殖させるために植えられる植物のことです。
例として、ナスを栽培しているほ場の周辺にソルゴーを植えることで、害虫のアブラムシやアザミウマの増殖を抑えます。これは、物理的に害虫の侵入を食い止めるだけでなく、ソルゴーにつくアブラムを捕食する天敵(ハナカメムシ、クサカゲロウ、テントウムシ、クモの仲間等)が増え、ナスに害を与えるアブラムシ・コナジラミ等の害虫を補食して数を減らすことが天敵によって害虫が抑制されることで、農薬散布の削減が期待できます。

ナギナタガヤ草生栽培

ナギナタガヤは1年生のイネ科雑草で、原産地の西アジアから日本に入ってきた帰化植物です。
この草は生育期間に雑草を抑制すると共に、5月になると穂を出し、6月以降、倒伏して地表を覆い、その後も雑草の繁殖を抑えます。

大麦マルチ栽培

春に播くことで、出穂しせずに7月下旬に立ち枯れる大麦をマルチとして活用する技術です。
マルチとしての効果(除草剤削減・敷きわらの確保・労力の削減)の他に次作への有機物の補給の効果も見込めます。
多くの野菜、果樹で利用が可能です。

温湯種子消毒

無病の種子を用いる事が米作りの第一歩です。
農薬を使わず水稲の種籾を殺菌する「温湯種子消毒(温湯浸法)」が技術的に確立されています。
コスト削減の効果も期待されています。

米ぬか除草

環境保全型稲作にとって除草が一番の課題となっています。
除草には、多くの労力が必要で面積拡大の阻害要因となっています。
この技術は、米ぬかを水田に撒き、米ぬかが分解するときに発生する有機酸を利用して雑草を防除する方法です。

紙マルチ栽培

水田を紙マルチで被覆することで雑草の発生を抑制する技術です。マルチをすることで光が遮られ雑草の発生が抑えられます。被覆に使われた紙マルチは40~50日程度で分解してなくなります。
あらかじめ紙マルチを敷いてから田植えを行います。また、マルチの設置と田植えを同時に行うことができる田植機も開発されています。

お問い合わせ

丹後広域振興局農林商工部 丹後農業改良普及センター

京丹後市峰山町丹波855

ファックス:0772-62-5894

tanshin-no-tango-nokai@pref.kyoto.lg.jp