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府内産茶の品質向上を目的として、「第44回京都府茶品評会審査会」が7月7日及び8日に宇治茶会館で開催されました。出品茶240点について、煎茶、かぶせ茶、玉露、てん茶の4部門に分かれ、外観(見た目)と内質(香り、浸出液の色、味など)の審査が行われました。
当所職員は審査員として審査を担当するとともに、審査補助員として円滑な運営を支援しました。中でも審査の記録・集計はミスが許されない重要な役割ですが、迅速化とヒューマンエラー解消を目的に、当所が構築した茶品評会記録集計システムを活用しています。
本審査会で確認された茶の栽培や製造における改善点は、関係機関を通じて出品者にお伝えするとともに、地域で開催される求評会などの場において、品質向上の支援に活用されます。
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外観の審査を行う審査員 |
味の審査を行う審査員 |
府内小学生を対象にした、お茶がテーマの研究体験企画「夏休み自由研究プロジェクト」を7月30日に開催しました。15組38名の参加があり、参加者は研究所の概要説明を受け、オープンラボや製茶工場の見学を行った後、2班に分かれて「茶園にいる虫の観察」、又は「お茶の品質鑑定・成分分析」を体験しました。
虫の観察では、茶園で自分で採集した様々な昆虫を研究員の指導のもと顕微鏡で観察し、生き物の精巧なつくりを学びました。また、お茶の品質鑑定・成分分析では、水出し緑茶の飲み比べや成分分析を通じて、茶種ごとの味の違いと成分との関係を学びました。
参加者からは、「今回をきっかけに茶業研究所の存在を知った」「社会科で学習した宇治茶についてさらに学ぶことができた」といった感想が聞かれました。
当所では、今後も宇治茶の魅力を発信し、宇治茶への理解を深めるとともに、宇治茶ファンを増やす取組を進めていきます。
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実体顕微鏡で昆虫の観察を行う参加者 |
水出し緑茶の飲み比べを行う参加者 |
抹茶の原料であるてん茶は品質向上のため、保管による熟成が重要とされていますが、そのしくみや最適な保管条件は十分に解明されていません。このため当所では、熟成のしくみを解明し、熟成を活かした保管技術の確立に向けた研究を行っています。
てん茶の保管試験の実施に先立ち、府内の茶商業者を対象に、てん茶の仕立て状態や容器、温湿度条件、期間などの保管方法に加え、熟成の考え方について聞き取り調査を行いました。
その結果、低温管理や脱気による鮮度保持を図る事例がある一方で、一定期間の保管による品質変化を活用するなど、多様な管理方法が採用されていました。
今後は、本調査で得られた知見を試験条件の設定に反映させるとともに、熟成を活かした保管技術の確立に向けて検討を進めてまいります。
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茶商業者からてん茶の保管条件について聞き取りを行う職員(右) |
当所が中心となり開発した新型てん茶機の実用第1号機が、宇治市の茶生産者により導入され、初めての製茶が今年の一番茶期に行われました。
新型てん茶機は電気及びガスを燃料として利用し、重油を利用する従来型てん茶機よりも環境効率性※1が優れることに加えて、設定値の変更が乾燥条件に迅速に反映されるため、茶葉の乾燥状態を見ながら設定変更を速やかかつ細やかにすることが可能で、高品質な宇治茶の製造につながります。
当所は先導プロ※2の研究で得た知見やデータをもとに、生産者に対して製茶の伴走支援を行いました。その結果、従来型てん茶機で製造されたお茶と遜色ない品質のものを作ることができました。
今後は新型てん茶機での製茶マニュアルの作成とともに、さらなる現地普及に向けた取り組みを進めてまいります。
※1環境効率性
持続的成長を目指すために、最小の資源投入に対して最大の生産を挙げようという「環境影響を最小化しつつ価値を最大化する」考え方
※2先導プロ
革新的技術開発・緊急展開事業(うち先導プロジェクト)「省エネルギー性に優れ、高品質てん茶の製造が可能な新型てん茶機の開発」平成28~令和2年
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茶葉を確認する生産者 |
新型てん茶機による荒茶製造の様子 |
当所では、茶生産者と茶流通業者の後継者を対象に、宇治茶業界を担う人材を育成するため、大正14年から茶業技術研修を実施しています。現在までに204名の修了生を現場に送り出しており、令和8年度は新たに茶生産者の子弟3名が入所しました。
一番茶時期の5月は、連日茶園での摘採や摘採後の管理作業を行いました。製茶工場では、職員の指導の下で、蒸熱や乾燥程度などを確認し、適切な製茶条件を数値や感覚を使って習得しました。
また、5月25、27日には全農京都府本部宇治茶流通センターで、茶流通業者が1つ1つの見本茶をしっかり確認しながら入札する様子を見学し、流通の仕組みを学びました。6月以降は、就農、就業後に直面する課題を想定し、1人1課題のプロジェクト研究に取り組みます。
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てん茶の蒸熱・乾燥程度を確認し、適切な条件を学習する研修生 |
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入札販売会場で外観や滋味を確認する研修生 |
立春から88日を数えた5月2日土曜日、公益社団法人京都府茶業会議所の主催で開催された「宇治新茶八十八夜茶摘みの集い」(京都府後援)において、当所は試験研究の取組や年間を通じた茶園管理の様子の紹介などを行いました。
当日会場には900名近い方の来場があり、当所の紹介ブースにも多くの方が足を運んでくださいました。来場者の方からは「お茶の木からどのようにして抹茶ができるのか」「紹介されている研究成果の詳細を教えて欲しい」「茶業研究所にも訪問してみたい」など、多くの質問や反応をいただきました。
当所では今後も、宇治茶の発展と振興に寄与する試験研究並びに宇治茶の魅力発信に取り組んでいきます。
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研究成果について説明する職員 |
当所では、茶生産農家と茶流通業者の後継者を対象に、宇治茶業界を担う人材を育成するため、大正14年から茶業技術研修生制度を実施しており、現在までに204名を現場に送り出してきました。また、宇治茶生産の新たな担い手を確保するため、令和元年度に「宇治茶実践型学舎」を設立して、新規就農希望者の京都府内での就農を支援し、これまでに2名の就農を実現しています。
令和8年度は茶業技術研修生として茶農家の後継者で、宇治市、城陽市、宇治田原町から各1名の計3名、宇治茶実践型学舎生として東京都出身の1名が入所することになり、4月8日に合同の入所式を開催しました。研修生・学舎生は、入所式後に新聞記者等の取材に応じ、「研修中は、基礎を学びたい」「将来は茶業の発展に貢献したい」とそれぞれ抱負を語っていました。
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入所にあたり宣誓する学舎生 |
入所式後の取材を受ける研修生・学舎生 |
当所では、所内の定点茶園において、一番茶新芽の萌芽※および生育状況について調査を行っています。特に、本格的な一番茶のシーズン到来を告げる萌芽の時期は、今後の新芽生育や晩霜害対策に重要であるため、当所は毎年この時期に「萌芽宣言」を行い、府内生産者や茶業団体等に情報提供を行っています。
令和8年の1~3月の平均気温は平年より高い状態から高い水準で推移し、一番茶萌芽宣言は、平年より1日早い4月3日となりました。
萌芽期以降は5日毎に、新芽の生育状況を調査し、一番茶生産に役立つ情報としてホームページ等で公表しています。また、気象予報と組み合わせて新芽の葉期予測情報も公表し適期作業の判断を支援しています。
萌芽:新芽の長さが包葉(芽を包んでいた葉)の約2倍になった状態のこと
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萌芽した茶の新芽 |
報道機関の取材を受ける研究員 |
当所では、茶業技術研修生や宇治茶実践型学舎生を対象に、座学と実習を組み合わせた講義を行い、実践的な理解の促進に取り組んでいます。これらの講義・実習は、年間を通じて約100時間実施しています。
3月の「土壌肥料」に関する講義では、茶の適切な栽培管理に必要な土壌中窒素の把握を目的に、簡易分析の実習を行いました。講義の中では、茶が生育の過程で利用しやすい窒素の形態があることを踏まえ、土壌中の窒素の状態(アンモニア態・硝酸態)を把握する重要性について説明しました。
実習では、RQフレックス※を用いて、土壌中の窒素含有量を簡易に測定しました。当日は、市町村推薦による茶農家の後継者や農業職専攻研修・茶チームの研修生を含む6名が参加し、当所職員の指導のもと分析手順を体験しました。参加者は、土壌分析が施肥設計や日常の栽培管理に役立つことを理解する機会となりました。
RQフレックス:試験紙を用いて土壌成分を簡単に測定できる携帯型分析装置
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講師の説明を真剣に聞く受講生 |
分析試料の試薬を注入する受講生 |
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