ここから本文です。
当所が中心となり開発した新型てん茶機の実用第1号機が、宇治市の茶生産者により導入され、初めての製茶が今年の一番茶期に行われました。
新型てん茶機は電気及びガスを燃料として利用し、重油を利用する従来型てん茶機よりも環境効率性※1が優れることに加えて、設定値の変更が乾燥条件に迅速に反映されるため、茶葉の乾燥状態を見ながら設定変更を速やかかつ細やかにすることが可能で、高品質な宇治茶の製造につながります。
当所は先導プロ※2の研究で得た知見やデータをもとに、生産者に対して製茶の伴走支援を行いました。その結果、従来型てん茶機で製造されたお茶と遜色ない品質のものを作ることができました。
今後は新型てん茶機での製茶マニュアルの作成とともに、さらなる現地普及に向けた取り組みを進めてまいります。
※1環境効率性
持続的成長を目指すために、最小の資源投入に対して最大の生産を挙げようという「環境影響を最小化しつつ価値を最大化する」考え方
※2先導プロ
革新的技術開発・緊急展開事業(うち先導プロジェクト)「省エネルギー性に優れ、高品質てん茶の製造が可能な新型てん茶機の開発」平成28~令和2年
|
茶葉を確認する生産者 |
新型てん茶機による荒茶製造の様子 |
当所では、茶生産者と茶流通業者の後継者を対象に、宇治茶業界を担う人材を育成するため、大正14年から茶業技術研修を実施しています。現在までに204名の修了生を現場に送り出しており、令和8年度は新たに茶生産者の子弟3名が入所しました。
一番茶時期の5月は、連日茶園での摘採や摘採後の管理作業を行いました。製茶工場では、職員の指導の下で、蒸熱や乾燥程度などを確認し、適切な製茶条件を数値や感覚を使って習得しました。
また、5月25、27日には全農京都府本部宇治茶流通センターで、茶流通業者が1つ1つの見本茶をしっかり確認しながら入札する様子を見学し、流通の仕組みを学びました。6月以降は、就農、就業後に直面する課題を想定し、1人1課題のプロジェクト研究に取り組みます。
|
てん茶の蒸熱・乾燥程度を確認し、適切な条件を学習する研修生 |
|
入札販売会場で外観や滋味を確認する研修生 |
立春から88日を数えた5月2日土曜日、公益社団法人京都府茶業会議所の主催で開催された「宇治新茶八十八夜茶摘みの集い」(京都府後援)において、当所は試験研究の取組や年間を通じた茶園管理の様子の紹介などを行いました。
当日会場には900名近い方の来場があり、当所の紹介ブースにも多くの方が足を運んでくださいました。来場者の方からは「お茶の木からどのようにして抹茶ができるのか」「紹介されている研究成果の詳細を教えて欲しい」「茶業研究所にも訪問してみたい」など、多くの質問や反応をいただきました。
当所では今後も、宇治茶の発展と振興に寄与する試験研究並びに宇治茶の魅力発信に取り組んでいきます。
|
研究成果について説明する職員 |
当所では、茶生産農家と茶流通業者の後継者を対象に、宇治茶業界を担う人材を育成するため、大正14年から茶業技術研修生制度を実施しており、現在までに204名を現場に送り出してきました。また、宇治茶生産の新たな担い手を確保するため、令和元年度に「宇治茶実践型学舎」を設立して、新規就農希望者の京都府内での就農を支援し、これまでに2名の就農を実現しています。
令和8年度は茶業技術研修生として茶農家の後継者で、宇治市、城陽市、宇治田原町から各1名の計3名、宇治茶実践型学舎生として東京都出身の1名が入所することになり、4月8日に合同の入所式を開催しました。研修生・学舎生は、入所式後に新聞記者等の取材に応じ、「研修中は、基礎を学びたい」「将来は茶業の発展に貢献したい」とそれぞれ抱負を語っていました。
|
入所にあたり宣誓する学舎生 |
入所式後の取材を受ける研修生・学舎生 |
当所では、所内の定点茶園において、一番茶新芽の萌芽※および生育状況について調査を行っています。特に、本格的な一番茶のシーズン到来を告げる萌芽の時期は、今後の新芽生育や晩霜害対策に重要であるため、当所は毎年この時期に「萌芽宣言」を行い、府内生産者や茶業団体等に情報提供を行っています。
令和8年の1~3月の平均気温は平年より高い状態から高い水準で推移し、一番茶萌芽宣言は、平年より1日早い4月3日となりました。
萌芽期以降は5日毎に、新芽の生育状況を調査し、一番茶生産に役立つ情報としてホームページ等で公表しています。また、気象予報と組み合わせて新芽の葉期予測情報も公表し適期作業の判断を支援しています。
萌芽:新芽の長さが包葉(芽を包んでいた葉)の約2倍になった状態のこと
|
萌芽した茶の新芽 |
報道機関の取材を受ける研究員 |
当所では、茶業技術研修生や宇治茶実践型学舎生を対象に、座学と実習を組み合わせた講義を行い、実践的な理解の促進に取り組んでいます。これらの講義・実習は、年間を通じて約100時間実施しています。
3月の「土壌肥料」に関する講義では、茶の適切な栽培管理に必要な土壌中窒素の把握を目的に、簡易分析の実習を行いました。講義の中では、茶が生育の過程で利用しやすい窒素の形態があることを踏まえ、土壌中の窒素の状態(アンモニア態・硝酸態)を把握する重要性について説明しました。
実習では、RQフレックス※を用いて、土壌中の窒素含有量を簡易に測定しました。当日は、市町村推薦による茶農家の後継者や農業職専攻研修・茶チームの研修生を含む6名が参加し、当所職員の指導のもと分析手順を体験しました。参加者は、土壌分析が施肥設計や日常の栽培管理に役立つことを理解する機会となりました。
RQフレックス:試験紙を用いて土壌成分を簡単に測定できる携帯型分析装置
|
講師の説明を真剣に聞く受講生 |
分析試料の試薬を注入する受講生 |
お問い合わせ