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京都府では年間3から4回世代を繰り返し、山城地域では成虫の発生ピークは5月、7月、8から9月にみられます。
産卵は葉の裏面に行われます。幼虫は4齢を経過し、1齢幼虫期のはじめは歩行します。齢が進むと農薬が効きにくくなります。
雌成虫と卵 |
幼虫コロニー |
成虫と幼虫が葉を吸汁します。
幼虫の寄生密度が著しく高いときに寒害や干害、他の害虫による加害などが重なると、落葉することがあります。
成虫による新芽の吸汁により製茶品質が影響を受けることはありません。
幼虫が排泄する甘露により下葉にすす病が発生します。古葉を利用する番茶などではすすが混入し製茶品質が低下します。
多発すると成虫が茶園を飛び回り作業する人にとって大変不快です。
すす病 |
一番茶摘採の様子 |
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作業者はマスクを着用している |
シルベストリコバチは本害虫の有力な天敵です。農薬を散布するときにはシルベストリコバチに対して影響の小さいものを使用しこれを温存することで本害虫の密度を下げることができます。スピロメシフェンフロアブルやブプロフェジン水和剤は本害虫に対する防除効果が高く、シルベストリコバチに対する悪影響が小さい薬剤です。
1月から2月に2回散布すると高い防除効果が得られます。ただし、冬期にマシン油乳剤を散布すると赤焼病が発生しやすくなるので注意が必要です。
せん枝やすそ刈りを行うことで寄生葉を物理的に除去し、密度を下げることができます。
本害虫は葉層深部の古葉にも寄生するので、薬液は10アールあたり約400リットルを、すべての葉の裏にかかるよう丁寧に散布します。農薬散布前にはせん枝やすそ刈りを行うと、葉層の奥まで薬液がかかりやすくなり効果的です。
シルベストリコバチ雌成虫(右)とチャトゲコナジラミの脱皮殻(左) |
(注)これまで「ミカントゲコナジラミ」と呼ばれていましたが、「チャトゲコナジラミ」と名称が変更になりました。
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