貞享3(1686)年に刊行された山城国についての最初の総合的・組織的な地誌です。地理・沿革・寺社・古跡・陵墓・風俗行事・特産物などについて、実際の見聞とこれまでの古典研究の成果を生かしてまとめています。 著者の黒川道祐は安芸国の医者ですが、京都にでて著名な儒学者林羅山に学び、故実にも精通していました。 「雍州」とは古代中国の地域名で都である長安を含む州のことですが、それに倣って京都を含む山城国の雅称として使われていました。 展示箇所−乙訓郡−長岡宮城(長岡京旧跡)について考証しています。その位置は大原野神社の北(京都市西京区)と誤認されていますが、これは当時の地誌類でのほぼ共通した認識でした。 |