「装束抄」は、室町時代中期(15世紀後半)、三条西実隆が装束に関する語についてその起源や意味を説明したもので、装束のハンドブックともいえるものです。 奥書によれば、この資料は左中将藤(冷泉為綱)が元禄10(1697)年に右中将公澄(滋野井公澄)の本を謄写し、更に宝永7(1710)年に原家が写したものと思われます。滋野井公澄は先に紹介した滋野井公麗の祖父で、著名な有職故実学者です。そのためか、他の写本とは違う内容も含まれています。 原家は原在中や在照等を輩出した絵師の家柄ですが、同時に官方(かんかた)地下官人(内舎人(うどねり))を務める家で、有職故実に関わる資料が多く残されています。 |