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最先端技術を活用した「文化の都・京都」の実現に向けた取組について
令和6年2月9日(金曜日)14時00分から15時32分
大本山建仁寺 本坊大書院(京都市東山区大和大路通四条下る小松町)
委員長:田中 健志
副委員長:古林 良崇、能勢 昌博
委員:四方源太郎、青木 義照、小巻 久美、大澤 彰久、北川 剛司、西山 龍夫、島田 敬子、田中富士子、林 正樹
荒巻 隆三
大本山 建仁寺
内務部長 浅野 俊道 氏
大日本印刷株式会社 マーケティング本部文化事業ユニット
アーカイブ事業開発部 リーダー 脇屋 智子 氏
京都文化博物館
学芸員 村野 正景 氏
xorium
エンジニア 中矢 知宏 氏
エンジニア 中村 慎吾 氏
〔文化生活部〕
文化政策室長 勝山 享
文化芸術課長 大石 正子
〔教育委員会〕
文化財保護課長 石崎 善久
2名
近年のデジタル技術の進展は目覚ましく、ARやVR等を利用した非公開文化財の公開や遺跡等の復元、ICTを活用した鑑賞体験、NFTやメタバースなど、最先端技術の活用が文化芸術の分野でも進んでいる。
京都府では、歴史に裏付けられた伝統文化から最先端の文化までが共存し、多様性と寛容性を土台として文化創造・発信を行い、多彩な交流を図りながら、活力とうるおいのある豊かな社会を築き上げ、世界に貢献する「文化の都・京都」の実現を目指している。また、ARやVR等を活用した地域文化の魅力発信によるリアル体験へ誘客する仕組みづくりや非公開文化財の映像化による保存・継承の機運醸成を図るなど、文化振興と地域の活性化を計画しているところである。
今回の出前議会では、最先端技術を活用した地域文化の魅力発信や非公開文化財の映像化などに取り組む方々から、取組の状況や御意見をお伺いし、最先端技術を活用した「文化の都・京都」の実現に向けて意見交換を行った。
文化財の維持・継承を考える中で、文化財が消失する原因は、①「劣化」②「災害」③「人々に忘れられること」の3つがあると考えている。特に③は、人々の意識から作品の存在すらも忘れられてしまった場合、①につながり、文化財の破壊にもつながる。
その中で、文化財を公開し、知っていただく機会を創出するため、デジタルアーカイブ事業として高精細の複製品の制作に取り組んでいる。
また、デジタル技術によって文化財や芸術作品の意味や表現しているものを可視化し、映像として再現することで、文化財への理解は深まると考えており、MRやVRなどの技術を活用したプロジェクションマッピングなどの文化事業に取り組んでいる。
文化財としての価値を後世に向けて確実に維持する「保存」と文化財としての価値を踏まえ適切に公開し、現代社会に生かす「利活用」を進めている。
日々、劣化の課題に直面する文化財の継承を目的とした文化財の高精細複製を製作するとともに、文化財や地域文化に触れる機会を創出する文化体験プログラムや文化財鑑賞への興味や関心のきっかけを創出するデジタル鑑賞システムを提供している。また、京都での取組のひとつとして、有形無形の文化遺産を毀損することなく保存し、次の世代へと継承するため、京都・文化遺産アーカイブプロジェクトなどにも取り組んでいる。
京都の小中学校や寺社などに多数の文化財がある一方で、デジタル化に必要な資金・人員が不足していることから、京都文化博物館では、博物館内に先端的な技術を用いたデータセンターの構築を進めており、2025年度中の始動に向けて実証実験を重ねている。
文化庁や筑波大学との共同研究において、文化財となっているような建物の活用と保護・継承が両立可能か、どの程度の活用なら文化財にダメージを与えず活用できるのか、というような活用科学の手法を構築した。地域の方が、寺社や京町家、近代建築などまちのシンボルとなる建物の今後の継承に不安を感じていることからも、この手法を用いて、科学的な事実に基づくバランスのとれた活用に貢献したいと考えている。
「実空間におけるデジタルとの心地よい共存」を活動の基軸において制作活動を行っている。鑑賞者が五感で感じながら日本酒を飲むことで、日本酒に込められた価値や想い、歴史を感じる体験ができるシステム「味憶」の制作や、サステナブルな環境配慮素材の展示協力では、AR技術を使って素材が持つ思いや力をビジュアル的に体験できる展示を行った。
実空間での展示・表現を行うための選択肢としてARやVR、XR等の技術を活用しており、空間を楽しむとともに、AR等の体験で何か気づきがあるものや、感じたことの答え合わせができるものとしている。また、インスタレーション自体はその空間でしか体験できないものであるため、実際の空間では撮れない写真を撮れるなど、持ち帰ることができ、体験後にも喜んでもらえるような作品制作を心がけている。
最先端技術を活用して活動されている方々からお話を伺い、京都府、あるいは、行政として何ができるのか考える機会となった。1つは財政的な支援だが、財源に限りがある中で、人の力や情熱、京都のポテンシャル、歴史やストーリー、子どもたちの可能性があり、改めて、財政的な支援以外にも、できることが大いにあるということに気づくことができた。今回の出前議会で伺ったことを、今後の京都府議会での活動にしっかりと生かしていきたい。
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