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第5回天橋立周辺景観まちづくり検討会議事要旨

日時:平成18年10月16日(月曜)13時30分から16時

場所:宮津市保健センター 会議室

1.開会

開会挨拶

2.平成17年度の検討内容確認と今後の検討テーマの整理等

<事務局の資料説明>

座長: ご質問、不明点等あればご発言をお願いしたい。

委員: 今回初めての出席なのでよくわからないが、先に資料をいただいていて思っていたような項目が挙がっているのであまりいうことはないと思っている。

委員:
 私も初めてだがまちなか観光に取り組んでいるので、このなかで新たに勉強させていただきたいと思っている。

委員:
 資料2は今までのご意見や問題点が挙げられわかりやすくまとめられている。これでだいたいの問題点や課題が整理されたと考え前に進むのか、あるいはこれを題材にして再度検討して盛り込んでいくのか、方向の確認をさせていただきたい。

座長:
 部分的にはよく整理されているが、全体としての景観計画のテーマはもう少し議論が必要だ。今後、小景域の議論を踏まえてつくるのでまだこれからだと思う。

委員:
 各地域、各団体から意見が出されてまとめづらいと思うが、少しずつ絞って建設的な意見を述べていきたい。

座長:
 われわれがやるべきことはどこを目標にすればみんなが納得するかという合意形成だ。ハードルが低いとよくならないので、ハードルを上げながら合意できる方向性をこの委員会で議論していただきたい。各々小さな地域ではもっとハードルを高くできる。そのあたりをこれからやっていきたい。

・景観関連事業の取組報告
<事務局より報告>

座長: 景観に対する取組が幅広く進められていると感じる。考える会の報告書は非常にわかりやすい。宮津市長の公約でもある、世界遺産への登録は、登録されれば素晴らしいが、世界遺産は景観形成の目標なので相当高いハードルを超えなければ目標達成できない。検討会も世界遺産登録を目指すという路線で議論していくことに異論はないだろうか。

委員: 宮津市だけでできる話ではなく、もっと広い範囲で取り組むべき大きな課題だ。地域の人々にとってもっとも誇れることだと感じるので目標にすべきだが、「世界遺産ありき」で何もかも判断していいのかまだ整理しきれていない。地域の人が地元を愛する結果としてあるべきだ。

座長: 地球環境問題でよく「シンク・グローバリー、アクト・ローカリー」といわれる。世界的な遺産として後世に残すことも、地道で素朴な郷土愛も両方大事だと思う。個人的にはいいことだと思っている。

委員: 天橋立の保全は宮津市だけでなく、川の支流に住むすべての人たちがそういう意識にならなければできない。大きな目標をもつことで地域全体が取り組むきっかけとなれば景観形成や環境保全に関して効果があると期待する。

座長: とくに異論がなければわれわれもその方向で進めるということでお願いしたい。
 大手川の災害復旧事業には熱心に取り組んでいただきありがたいと思っている。
 府の景観条例は、府全体として制度が整備されればわれわれにとっても都合がいい。

委員: 府の景観条例に関しては府全域で当てはまる方向性でということだが、地域性があるので難しいのではないか。枠を絞ると当てはまらないし、アバウトだと何のための条例なのかとなる。そのあたりはどうお考えなのか。

事務局: 府としては建物の規制は景観法に基づいた計画を立てて指導、誘導していく。条例は地域の方と議論し、景観計画をつくっていく活動を支援する政策を考えていく。これらをうまく組み合わせて仕組みを整えていこうという考えだ。
前田座長: 次第の3に進むが景観と景域の違いは、景域は地域的な広がりであり、ある景観的特徴をもったひとまとまりの地域と考えていただきたい。景観体系として見ると眺望景観をもって大景域と捉える。あるいは広がりを車や徒歩で移動することで景域を理解できる。とくに天橋立周辺については眺望景観が大事になってくる。


3.大景域を中心とした景観形成に向けて

<事務局の資料説明>
座長: 資料にあるような課題を抱えて世界遺産を目指せるかを問いながら考えたい。例えば範囲を狭めるというような議論もあると思う。

委員: 既存の建物、色等はどのあたりまで議論をしていけばいいのかわからない。
 この地域は山並みから見るすり鉢状の景観がいいのだが、高さ的には一つの基準として海岸からのエリアによって高さを決めるというイメージはどうかと考えている。

座長: 既存建物の移動は難しいが電柱や看板はやりやすい。ただ色や看板は私権を制限するので地域のために我慢してもらう必要がある。その議論をしなければならない。

委員: 行政の建物は白色系か黄色系に大別される。委員会が色を変えてくれといったときに、地区民とまちづくりをしていこうとの合意がなければ始まらない。資料に出ている写真は悪い面の指摘ばかりだが、いい点もあるはずなのでそこに着目して考えてほしい。
 天橋立の借景を最大限利用し、環境をよくすることでまちづくりもでき、経済発展もできると考える。

座長: 合意形成するためのたたき台を本検討会で議論してつくらなければならない。色に関しては白や黄色等の明度の高いものは目立つので、そのような雑音の色で天橋立が乱されている。それをどう抑えるかも考える必要がある。

委員: 国道を走ると煙突やロイヤルホテルの色が目につく。1カ所でも色を変えることを行政からいってもらうことも考えてほしい。

座長: いいものも確かにある。府の景観条例で表彰制度の話があったが、いいものはどんどん誉めたほうがいい。

事務局 : 西川委員のご質問だが、景観に関する基準をつくって今それに合っていないものをすぐ改善する義務は発生しない。建替え等をする際に新しい基準でつくってもらう。30年、50年のスパンで考えていただき、できることから着手してもらおうと考えている。

委員: 最近、都会では屋上緑化を行っているビルがあるが、今後ミップルのような大きな建物の上に森をつくるようにすれば眺望景観として山と一体に見えると思う。白い建物の件は周囲の色に合わせたものにしてもらってはどうか。

委員: 建物の色について、具体的に自然にマッチした色はあるのだろうか。

座長: 景観における色彩学ではマッチしない色は白やペイントした緑だ。自然のなかにない色は目立つ。

委員: 自分ではマッチしていると思っても周囲からは違うこともあり得るので、そういう色を教えていただきたい。

座長: ギリシャでは白い家ばかりだが全体的に統一されているが、漆喰の白色なので自然素材に近い。ブルーも自然にない色だが乾燥した気候だと白やブルーは違和感がないが、日本のように湿気の多い国でははっきりした色は目立つ。そのあたりは専門的な見地から次回事務局からも出してもらいたい。

委員: 悪いところは素人にもわかりやすいが、いいところは色や形を絵で示してもらわないとよさが見えない。生活があるので制約が強すぎてもいけないが、具体的に紙面上で見せていただきたい。

座長: 看板や建物の色に関して商工会議所のほうではどうお考えだろうか。
大上委員: その前に資料3のビューランドや傘松公園、郷土資料館は地形にマッチしていると感じる。ほかは大きすぎるとか角張っているとか、ミップルは山の稜線に合っていないからマッチしていないと思われる。
 商売人からすると目立つ看板にしたいのだが景観的には批判される。住民や訪れるお客さんが景観をどう捉えているかで看板等も考えていけばいいのではないか。

委員: 景観法がなぜ日本でつくられたのかを理解していないと、前に進めないという気がする。まちをどうしていけばいいのか、まちづくりに成功している先進地の工夫の仕方など、例や説明をしてもらえると生きた意見が出てくるのではないか。

座長: 今後踏み込んで議論をするには考える材料がほしい。

委員: 景観について難しく考えなくていい。文珠地区でのアンケートの結果、看板などは景観にマッチしたものに変えるべきという意見が7割、屋根は9割が瓦に戻したほうがいいと回答されている。日常の暮らしで見ているのでそういう意見が出てくると思われる。
 市長がいわれる世界遺産は、このまちを世界遺産的なものにしていきたいという志の高さを共通の思いにしていこうというメッセージだと思う。このまちを見ると文珠も含めて問題があるが、景観はそこに住む人の問題なので悪ければつくり変えていけばいい。天橋立がなければこのまちはどうなるか想像もつかない。あることを当たり前に思わず、その価値を高めることを通してふさわしい町並をつくっていく、ルールをつくっていくことが今までは弱かった。今回の景観条例が一つのガイダンスになって、まちのあり方を自分たちでつくろうとするところにつながっていくと思う。

座長: 景観はみんなのものをよくして、よくなれば元気を得て、誇りももてる。そのようなことだと考える。ルールの前にマナーを考えるところからやってもいい。

委員: 熊川の宿場町などは違和感があればすぐわかるが、ここは場所や通行手段等の条件によって建物の印象が変わる。何を対象とするのかを考えていくべきだ。
 色などは類型があるほうが議論しやすいと思う。併せて建物の連続性のなかに違和感があるところを具体的に挙げて議論をしてはどうか。
蘓理委員: スケールの大きな話でこの委員会でどこまでできるのか疑問を感じる。既存の建物について私自身は違和感を覚えないが、できることからやっていきたいと考える。天橋立は素晴らしいのだが夏場に悪臭が出るので、悪臭対策だけでもやっていき、大きな議論はそれから一つずつ進めていけばいいのではないか。

委員: 具体的に条例をつくっていくのは難しいと感じているが、傘松公園から見た眺望について今後の建物については高さ制限をかけていいと思う。立て看板については禁止区域をつくってもいいと考える。

委員: 「景観法ありき」で話し合われている雰囲気がするが、それ以前からまちづくりをやっていて2年前に府や市と話したときはけんもほろろだった。近頃は逆に景観について行政からもいってきてもらえるようになったので、今までやってきたことを実現するための追い風だと考えている。

事務局 : 事例や色彩に関する資料については次回提示させていただきたい。
<事務局より資料3添付資料の説明>

4.小景域の景観形成に向けて

<事務局の資料説明>

座長: 小景域の景観形成についてグループに分かれディスカッションしていただく。地域ごとの議論をしっかりしたうえで全体にフィードバックするので、全体にとらわれ過ぎない議論をお願いしたい。その前に与謝野町さんからご発言があるそうなのでお願いする。

与謝野町: 与謝野町は平成18年3月1日に合併した。3月9日の前回の検討会で、岩滝地区の景観検討会について取り組みたいと話をさせていただいた。3月中旬に岩滝地区のまちづくり検討会を立ち上げご意見をいただいたが、町の将来計画となる総合計画の担当課から、岩滝地区のまちづくりだけが先行するのはいかがなものかという意見が出て、検討会は休止させていただくと提言させていただいた。総合計画は今年度基本計画の素案づくりをし、平成19年12月に承認を得ることになっており、これがある程度決まっていかなければ岩滝地域の景観の検討を進めることが困難になってくると考え、ご報告させていただいた。よろしくお願いしたい。

<事務局より説明>
<地域別に分かれて検討>

座長: 各テーブルの議論について発表をお願いする。
委員: 宮津中心市街地地区の課題としては、新浜地区に残っている古い町家を保存したい。歴史文化を重んじる町並保存と、付随する祭りを盛んにしてまちづくりに生かせないか。まちなかの財産の確認が必要。空き家が目立つ。まちを美しくする意識が高まっていない。まちに特徴がないので発掘をする。まちの活性化によそからの資本を巻き込むまちおこしが必要。
 どんなまちにするかは、新浜に残っているような路地を生かす。人が来るまちとしてゴミをなくしきれいなまちにしたい。天橋立に来た人が宮津にも回って来るようなまちにしたい。大手川整備で人が歩いて賑わいのある景観のあるまちにしたい。
 具体的なまちづくりとして、発掘した文化財はまちの財産で大事なものだという意識の育成を市民レベルで行う。それには行政の力も借りたい。昔からの祭りで出るばら寿司等もまちなかで食べられるようにしたらどうか。自分たちのまちは自分たちできれいにする。宮津美しさ探検隊としては宮津市街には約108の石仏があるが、そうしたまちの発見を市民レベルで行っていくことが必要。このような意見が出た。
委員: 文珠地区では、すでにまちづくり協議会で課題やどういうまちにするかは出尽くし、誰が何をどうすべきかを協議している最中だ。まちづくりアンケートを全住民に配ったが、歩道が狭くて危険、瓦葺・和風建築がまちにふさわしく色は茶系統がよいという意見が出ている。通りに関しては電線地中化に8割が賛成している。安全で美しい道路、公園が求められている。幹線道路としても機能しているが、子どもたちが歩く道でもあるので車のスピードをゆるめて走らせるような広告もしていきたいと考えている。
 誰が何をどうすべきかだが、看板は個店の努力でされていることをルールづけしていき、「こうしたほうがいい」と納得していただいたうえで変えていくという方法論が課題になっている。

委員 : 府中地区の課題は、歴史的景観に調和しない建物があり宮津市内には天橋立と調和する公的な建物がない。昔の家は黒い瓦で葺いていた。建物について地域で問題にして議論する場ができていない。地区に点在する展望スポットの一つで千体地蔵という場所があるが、観光資源として生かされていないので整備をして再度観光資源としたい。府中は窓を開ければすぐに天橋立が見えるのでそれを生かす。
 阿蘇海の水質問題としては、藻の発生や海底が汚いために悪臭を発する。同時に膨大なゴミが府中に打ち上がってくる。宮津市市会にも天橋立のなかではポイ捨て禁止や禁煙を顕示してもらうよう条例をお願いしている。ゴミが打ち上がると地球温暖化の原因にもなるので1市2町で調和してやっていきたい。小・中学生に対し、天橋立は郷土の誇りだという価値観を大事にして守っていこうという環境学習を学校で行う予定だ。

委員: 岩滝地区の課題は、町並は古い町家の家屋を補填する取組が必要。景観の核になるものは何かを明確にしていく。全体的な統一感やまちなかが歩けるような雰囲気が必要。縮緬のまちなので機織の音が聞こえるようなまちづくりはどうか。落ち着ける雰囲気の、また来たいと思わせる美しいまちにしたい。住民の意識改革が必要だが、古い町家に住む方に大切さを意識していただく。伝統的な建物、場所に対する重要性に気づいてもらう。今後、整備していくなかで改築の時期に玄関先の軒や色を同化するよう住民に協力が求められるようなまちづくりをする。
 ゴミ問題に関しては、まちなかはポイ捨てに対する対策、道路・河川のゴミ対策と、ゴミを少なくするために住民の意識改革が必要。海の漂着ゴミは、合併して与謝野町になったので上流の野田川町や加悦町からゴミが流れてこないように協議をする。漂着ゴミのアシやヨシは揚げたところの行政区負担になるので、行政同士が共同して処理法を見出してもらい、住民ボランティアに指導していただく。埋立地は自分のまちだけでなく、よその地区から見たシーサイドパークの検討も必要。
 案内板や休憩所の充実によってまちなかが歩きやすくなるので、公共事業として景観に配慮した工事をしていただきたい。

座長: 短時間でいいご意見を多くいただいた。

事務局 : 本日の各地域からの議論を踏まえて大景域の議論にも反映を考えたい。事務局側から資料提示もしながら次回以降の議論につなげたい。 

5.閉会

閉会挨拶

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