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天橋立周辺景観まちづくり検討会・天橋立公園の松並木と利用を考える会 第4回合同検討会 議事要旨

日時:平成18年3月9日(木曜)13時30分~16時

場所:みやづ歴史の館 文化ホール

1.開会

開会挨拶

合同検討会座長に前田委員を選出

2.報告

天橋立周辺景観まちづくり検討会 中間報告について

天橋立公園の松並木と利用を考える会 報告書について

3.意見交換

座長: 景観まちづくりの中間報告及び松並木の最終報告案について、一人3分程度でご意見をいただきたい。

委員: 松並木の方は、これまでの検討会の議論がよく整理されており、今後の取り組みなどについても共有できたと感じるが、その中で価値付けやその議論の場がどうなっていくか気になる。これらを見守っていく体制づくりが必要である。

委員: 松並木の保全については報告書の内容に基づき、今後、がんばって取り組んでいきたい。報告書はこれまでの議論がよくまとまっており、特に、官民一体で取り組んでいく意気込みを感じる。守る会では、今度の4月2日にクリーン大作戦と銘打ち清掃活動を行うが、その中で新しい取り組みとしてクズ類の除去を行うこととなっている。一人でも多くの参加をお願いしたい。

委員: 報告書は松並木の保全について十分にわれわれの意見が反映されている。ことを急いてやると松林は変な方向へ歪むことがある。間伐も一挙にすると雪害、台風被害が出る恐れがある。白砂青松を最終的な大きな目標として、それに近づくように時間をかけて取り組めば天橋立は生まれ変わる。松の腐食を取り除くと同時に、クズを地下茎から掘り取る必要がある。30年も手つかずのところを元に戻すには時間がかかる。やはり常々の管理が大事であることを申し添えたい。

委員: 報告書はよくまとめられているが、これからがスタートである。3日前に中国人水墨画家の王子江を案内して天橋立を歩いたとき、「神が宿ったところの空気を感じる」といわれたのが印象的だった。世界遺産となった屋久島には、祈りを捧げてから素足でしか入れないゾーンがある。「神の住み給うた」とされる天橋立にも、訪れた人や地元の人がその価値を感じられて敬虔な気持になるようなゾーンをつくってはどうか。例えば禁煙ゾーンといった具体的な突破口をこれから考えていけば、橋立の価値を体で再認識していくことにもなる。

座長: 精神の保全、聖域を守る心をどうするかというのは大きな問題だ。

委員: 今日の2時にマスコミ発表されたが、府中の江尻から弥生時代中期後葉の張石方形墓が出土した。場所は真名井神社の300メートルほど南側の海よりで、まさに記紀に記されているところから現物が出てきた。ここでの議論は現在わかっているものをテーマとしているが、二千年以上前のものが出てくる地域であるということも頭において、大きな視点で天橋立の環境やまちづくりを考えなければいけない。

委員: 天橋立の価値づけを確立していくことが土台になる。そこをしっかり固めた上で、報告書にまとめられた取り組みが実際に形となっていってほしい。

委員: 松並木の美しさが失われると景観の美しさが損なわれ、景観が保たれず松並木のみ美しくてもその価値は保てない。松並木も全体と個々の銘木が調和してはじめて天橋立の美しさが保たれる。文化や文化財もつながりあって一つ欠けてもだめだということを感じた。天橋立は単に自然景観が美しいから讃えられているのではない。人々の活動を通した事象と複合的に並列的に結びあっている。

事務局: 本日欠席の委員のコメントを紹介する。まちづくり体制の確立、情報の共有・発信は最も重要である。天橋立の価値づけは、全国的な視点や世論を動かす視点など世界にまで発信できる取組となるよう仕組んでいくべきとの意見に感銘を受けた。市民がその価値を知り、ふるさとの財産として認識を深め愛情を注ぐこと、また世界中から天橋立が注目され関心を集めることが、天橋立を良好で維持可能な存在にするために欠くことができない。今後は京都府とも連携しながら幅広い協働体制を整えて進めていきたい。

委員: まちづくりの中間報告と松並木のほうの最終報告書はいくつか共通点があった。価値観の共有と、天橋立の景観にこだわった計画づくりをしなければならない。景観や風景は人と自然との営みの景の調和の姿である。天橋立という景観も古来からの松並木や周辺環境と人々の関わりの結果であるといえる。50年あるいは100年先を見越した景観づくりは、人と自然の関わりをどのように持続的な仕組みとしてつくっていくのかである。協働の場づくりを時間をかけながら形成していくことが大事である。情報価値の発信についてふれたい。天橋立の価値は歴史のさまざまな関わりによって重層的にできあがっている。その価値が今も天橋立に人を引きつけているのだが、価値に対する人々の認識は薄い。天橋立はわが国有数の文化的資源である。最大の情報発信は、京都を訪れる5,000万の観光客の多くが天橋立に来てその価値を再認識し、それを全国、さらに世界に広げていく仕組みをどうつくるかだと思う。天橋立は世界文化遺産になる価値をもっている。屋久島の自然遺産の認定に関わった経験からいっても、屋久島より秀でているだろう。文化遺産の認定に向けて、価値を共有し合うシンポジウムなどを大いに進めていくべきではないか。もし世界文化遺産になると日本海側で初となる。それに向けてがんばっていただきたい。私もぜひ応援したい。

委員: 先日、宮津美しさ探検隊でバードウォッチングを実施し、60名を超える参加者に天橋立のよさを再認識してもらった。天橋立は京都府で最も豊富な種類の海・山・川の鳥が見られる場所である。好評だったので5月にも予定している。バードウォッチングの場所としても素晴らしいことをもっと発信していきたい。松かさを炭にしたものは空気の清浄化に非常にいいと聞いた。松かさも利用できるのではないか。

委員: 天橋立を歩くと気になるのは、回転橋はアスファルト、大天橋はコンクリートであること。自然風景に合うような土とか石にすべき。小天橋は旅館「松富荘」が撤去されて建物がなくなり、その先は緑地化している。こちらも整備できればと思う。

委員: 松並木と利用を考える会は今回で終わるが、もう少し続けてほしかった。先日、イギリスからの観光客に、「こんな素晴らしいところに住めて君はラッキーだ」といわれた。ラッキーだけれども、この環境を守るための努力もしていると胸を張っていえるようになりたい。

委員: 松並木の報告書に土の問題を追加してほしい。クズの問題も客土が原因なので、天橋立に入れる土については、古代の土はどうだったかを調べて、常に同じ状態を保つにはどんなものをもってくればいいかという項を加えてほしい。橋立は聖域というならば、それが感じられるように昔のままの土のところを残してはどうか。

委員: 昭和46年頃に30センチメートル~50センチメートルの山土の客土が行われ、松はその客土で苦しみながらもそれなりに30年間で今の形に育った。その客土を取ると橋立の松のほとんどが失われる。今さら新たに砂を入れることもできない。30年ほど前の客土によって、松の地上部は生長し、根は弱って風で倒れやすいという現在の状態ができあがった。できるだけ土をやせさせるという意味で、クズと腐食の除去は非常にいい行為である。今われわれができるのはそこが限界ではないか。客土を取ることは松を痛めるが、少ないところは取り除けば元の状態に戻る可能性が高い。

委員: 客土を取ることができないのは承知しているが、そういうことに配慮するという意味で、土壌に関する項目を報告書に入れてほしい。

座長: 検討項目について事務局のほうで考えていただきたい。

委員: やはり橋立は松が一番である。松と水のきれいなこと、これが大事なポイントだと考えている。

委員: 天橋立周辺まちづくりというのは、宮津のまちと天橋立とどういう関わりをつけていくのか、天橋立をベースに宮津のまちづくりを考えていくのか、これは大きなテーマで大変だなと感じている。

座長: 阿蘇海を中心とする大景域と宮津湾を囲む大景域と、二つの大景域がある。そのなかで宮津のまちづくりを考えていただければと思う。宮津市のまちづくり支援事業、旧岩滝町(現・与謝野町)の事業についてご報告いただきたい。

宮津市: 宮津中心市街地・文殊・府中の3地区のまちづくりの将来の検討と、宮津市域の浜町の利用計画と土地利用などを考えるために、今年2月から観光ネットワーク事業に向けた計画策定を進めている。まちなかの魅力づくり、誘客を推進し、宮津の活性化を目指すために、まちなかの観光の基本方針を検討する目的で、宮津まちなか観光推進協議会を今月14日に発足する。地元の団体や住民とともに天橋立周辺地域の景観を中心としたまちづくりについて課題を検討し、まちづくり交付金を視野において3地区の都市再生整備計画の策定に向けて積極的に取り組んでいきたい。

与謝野町: 平成18年3月1日に合併したばかりで、旧3町の施策をどうすりあわせて新しいまちづくりを行っていくのか手探りの状況である。岩滝地区景観まちづくり検討会を組織し、3月16日に第1回の会合をもち、最終的に岩滝地区の景観について本検討会の報告書に反映できるようにしていきたい。

委員: 松並木の報告書で気になったのは、土壌を何とかしないといけないとか菌根菌を増やすということは書いてあるが、その具体例が書いていない。炭を松の根元に入れると土壌も改善できて菌根菌も育っていくと聞いている。今後はそういった取り組みもされていくのかなと思った。まちづくりは検討すればするほど課題が出てきて、これを各地区で掘り下げていくときにその調整ができるのか不安だが、そこを乗り越えてがんばってやっていきたい。観光というのは、地域住民がいかにその地域が好きで大事にしているかを訪れた人が体感することだと思う。地域住民が天橋立を愛して何とかよくしたいと行動すると、その結果として景観がよくなったり、おもてなしの気持が出てきたり、地域全体が活性化していい雰囲気のまちになって、そこに観光客が集まるという、いい循環になっていく。押しつけられてするのではいい仕事ができない。

座長: 地域の住民が困難なところを何とか切り開いて一生懸命に活動する姿が、いちばん情報や価値を発信する。

委員: 地元の方々がどれだけ天橋立を愛して活動できるかということがこれからの重要な課題である。リバースでもフォーラムや研究会を開いて、できるだけ情報発信して、地元の方が天橋立を愛する機会をつくっていきたい。

委員: 地域の素晴らしさを子どもたちにわかってもらうために、昨年も少年野球の子どもたちに天橋立へ来てもらった。自分の目で見ると、いいところだ、きれいにしないといけないということがよくわかる。早くから自分たちの住んでいる地域の魅力をわかってもらうことが大事。まちづくり計画のページ19に屋外広告物のルールづくりが挙げてあるが、黒川温泉では旅館組合として看板を木目調にするとか早くから規制がされている。天橋立へ車で来る場合は、大山トンネルを抜けたところが天橋立のプロローグとなる。そこから橋立までの景観も今後考えていって、まちづくり指針の一つにしていただきたい。

委員: 高度経済成長期に歴史的な背景を無視した観光施設がたくさん建てられた。当時はそれで観光客が呼べると考えられたが、今は和風に改装するところや、雪舟の天橋立図を参考にした建替えが増えている。道路沿いに誘客のための看板がたくさん立っているが、19ページにあるようなサインの変更を各方面に訴えていかなければいけない。観光施設の看板も周囲との調和という方向で検討していく時期が来ているのではないか。松並木の報告書は勉強になることばかりだ。まとめただけではなく、これをいかに生かしていくかがわれわれの使命だと思う。毎年4月に「クリーンはしだて1人1坪大作戦」で観光協会が率先して掃除をしているが、整枝剪定やクズ等の雑草の除去もこれからやっていきたい。頭の位置にある松の枝は危険なので勝手に切ってもいいか。

事務局: 切るのは待ってほしい。官民が揃った協議の場で議論してから行動に移したい。昭和46年に客土したのは、天橋立の松は大事であるという価値づけが強すぎて、1本たりとも枯らしてはいけないというなかで実行された悪い遺産だと思う。これからは科学的にみんなが合意できるところで時間をかけながらやっていこうと考えている。

座長: 委員から松並木の会を今年で終わりにするのは残念という感想があったが、実施段階は大事なので、何らかの形で細く長く続けていくような体制が欲しい。

事務局: この検討会は1年で終わるが、終わると同時に実践の始まりである。続けられるかどうかは、行政と住民の協働がどうできるかにかかっている。

委員: 炭の宣伝をさせていただくと、有機物は炭化させるのが環境面で最も有効な処分の方法である。土壌改良には堅炭が非常に有効である。松林の保全のなかで出てくる落ち葉や剪定した枝を炭にして、高齢松の根系を回復するのに入れていく。あるいは菌根菌を使う。現在の天橋立の土壌は山土が入っているので酸性が進んでいる。それを本来のアルカリに戻すには、そこで廃棄されたものをすべて炭化して松林に投入するのは非常にいいことだ。リバースでは実際にやられたと聞いているが、風倒木・落ち葉・松かさ・枝を炭化して橋立に返してやるということを個別技術として松林の管理のなかで行政として取り組んでいただけると、非常にきれいな自然循環の絵が描けるのではないかと思う。

委員: 協働の中身がこれから問われる。リバースではいろいろな広がりをもって作品をつくってもらっている。淡交会の方が松で茶杓をつくったり、丹後歌人会の方が松をつかって歌を詠んだり、大徳寺の和尚さんには松に立派な字を書いていただいている。今回は作品を全部天橋立に残してもらう。それを集約したものがゲストハウスなり、情報と価値を伝える拠点となる。そういう拠点がないと意識もかみ合ってこない。それを行政につくってくれというのは間違っている。北大が市民に働きかけてネットワークでポプラ並木を再生した手法を使って、民間人もそれに関わって情報と価値を発信していく基地をつくるという、協働の中身が問われる。これからが始まりだということをこの場で確認しておきたい。

委員: 会議だけで終わっては何にもならない。これからが始まりだと思っている。昭和46年頃の客土は、当時の天橋立を守る会の副会長が府に陳情して、天橋立を愛する気持で、よかろうと思ってやったのが今日の結果につながった。松並木のほうの基本方針の説明文で、「先人が築き上げてきたかけがえのない財産」という言葉に感激した。国民の共有財産として全国へ情報発信していくために、天橋立を守る会もNPO法人になりたいし、世界文化遺産にも登録したいと思っている。今後とも有言実行で一つずつ努力していきたい。

委員: 報告書には皆さんの思いが盛り込まれていたと思う。回を重ねるごとに天橋立に対する思いの深さを私自身も知らされた。価値の情報発信ということは、天橋立と過去から現在まで関わってこられた方が自分の誇りを発信することだと思う。価値を探すということは誇り方を探すことであると同時に、この地域に住んでいること、この地域に関わったこと、自分の作業や仕事を通じてここを自分の表現として使うことができたことに対する一つの喜びであると同時に誇りだと思う。これからも場をつくり持続的につなげる方向を考えていただきたい。一つの目標として世界遺産を考えていくこともあるのではないかと思う。

座長: 大手川の改修工事がこれから始まるが、最初は歴史的な景観に配慮された護岸になるか心配だった。府はいい形に計画をつくられ取り組んでいくといってくれたので、景観まちづくり検討会の座長を引き受けた。50年、100年先を見据えた景観像をみんなで語り合うと同時に、目の前にあるものに取り組んでいくことも必要。これまで宮津の中心市街地については議論をあまりしてこなかったが、これからはもっと議論を深めていきたい。これで今日の検討会の議論を締めたい。

事務局: まちづくりの検討会のほうは、今日の意見を踏まえて、来年度にこれらの課題に対して具体的な方策を検討していく。公園の検討会については、本日いただいたご意見を基に報告書の最終的な精査を行ったあと、報告書としてまとめて公表する予定である。お気づきの点があれば来週中に事務局に連絡いただければ検討する。最終の修正は各々の検討会の座長に一任したい。

4.閉会

閉会挨拶

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