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2.トリガイ養殖用筏の開発
 トリガイ養殖を行なう上で、養殖用の筏は不可欠な物です。竹や木で組んだ既存のカキ筏でも代用できないこともありませんが、底質として用いるアンスラサイトは軽く、流れ出やすいため、これを少しでも防ぐには安定性の良い筏を使用する必要があります。また、先に示したようにかなり重いものを吊り下げているので事業規模で養殖を行なうのであれば強度の面からも専用のものが良いでしょう。その場合、もちろん筏の価格をできる限り抑える必要があります。
 これまでに述べてきた様々なことを考慮に入れて海洋センターでは、普及型トリガイ養殖筏の開発に取り組みました。
 その結果出来上がったのが図9に示すような筏です。筏の骨組みには亜鉛引きの鉄パイプを用いました。鉄製にすることで強度を持たせ、亜鉛引きを施し腐食をできるだけ防ぎました。筏の大きさは、100 コンテナ規模での養殖を想定し、7m×7.8 mとしました。最大134 のコンテナが垂下可能です。足場は、作業が行ないやすいように広く取り、幅1mのエキスパンドメタルを張りました。フロートはφ67×115 cmの市販のものを18個用いました。トリガイ養殖を行なうような海域は比較的波静かなところなのでこのフロートでも十分安定性が得られるということで決定しました。このフロートは広く一般的に使用されているため安く、筏の製作費の削減に大きく貢献しました。
 筏の基本となるフレーム部分は6枚に分割でき、その状態で現地まで搬入し、ボルト止めにより容易に組み立てることができます。現地組み立てと言うことで組み立て費用もほとんどかかりません。この筏本体の経費が約100 万円です。そのうち足場のエキスパンドメタルの部分は約10万円ですが、板などで代用すれば筏の費用はもう少し安くなります。
 さらに、海洋センターでは図10に示すように、本体以外にオプションとして、省力化のための電動ウインチとデレッキおよび櫓を考えました。櫓は、筏のフレームと同様に亜鉛引きした鉄パイプを用いて筏内部に開けたコンテナ吊り下げ用スペ−スの上部に設置しました。これが3セットで約10万円です。電動ウインチとデレッキは船外機などの船に取り付けておけば複数の筏で使用できます。この装置は約20万円が必要です。これらのオプション装置をどれだけ実際に漁業者が導入するかはそれぞれの判断に任せられます。
 京都府では平成9年に筏を設置し、平成10年にかけて養殖試験を実施しました。その結果、他の試験結果と変わりなく良好に養殖ができ、この筏が満足できる仕上がりであったことが示されました。
 実際にどんな筏を用いてトリガイ養殖を行なっても、アンスラサイトの流失量をできるだけ少なくする必要があります。このため、揺れの少ない状態で筏を使用することを考えなければなりません。この専用筏でも、現状の漁業者の方々が保有しているカキ筏でも考え方は同様ですが、工学的には、筏本体重量と水中加重(垂下したコンテナの水中重量)の合計がフロートの浮力の1/2 程度になるようにして使用すること、すなわち、フロートが1/2 程度沈んだ状態で使用することが望ましいとされています。参考にしてください。

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