2.トリガイ養殖用筏の開発
トリガイ養殖を行なう上で、養殖用の筏は不可欠な物です。竹や木で組んだ既存のカキ筏でも代用できないこともありませんが、底質として用いるアンスラサイトは軽く、流れ出やすいため、これを少しでも防ぐには安定性の良い筏を使用する必要があります。また、先に示したようにかなり重いものを吊り下げているので事業規模で養殖を行なうのであれば強度の面からも専用のものが良いでしょう。その場合、もちろん筏の価格をできる限り抑える必要があります。
これまでに述べてきた様々なことを考慮に入れて海洋センターでは、普及型トリガイ養殖筏の開発に取り組みました。
筏の基本となるフレーム部分は6枚に分割でき、その状態で現地まで搬入し、ボルト止めにより容易に組み立てることができます。現地組み立てと言うことで組み立て費用もほとんどかかりません。この筏本体の経費が約100
万円です。そのうち足場のエキスパンドメタルの部分は約10万円ですが、板などで代用すれば筏の費用はもう少し安くなります。
京都府では平成9年に筏を設置し、平成10年にかけて養殖試験を実施しました。その結果、他の試験結果と変わりなく良好に養殖ができ、この筏が満足できる仕上がりであったことが示されました。
実際にどんな筏を用いてトリガイ養殖を行なっても、アンスラサイトの流失量をできるだけ少なくする必要があります。このため、揺れの少ない状態で筏を使用することを考えなければなりません。この専用筏でも、現状の漁業者の方々が保有しているカキ筏でも考え方は同様ですが、工学的には、筏本体重量と水中加重(垂下したコンテナの水中重量)の合計がフロートの浮力の1/2
程度になるようにして使用すること、すなわち、フロートが1/2
程度沈んだ状態で使用することが望ましいとされています。参考にしてください。
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