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5 若狭湾のカタクチイワシの資源量とその変動要因
 
 以上、主に若狭湾でのカタクチイワシ漁獲量の変動について述べてきましたが、資源量そのものがどのように変動しているのか、またその変動要因について考えてみることにします。
 
(1) 再生産機構
 まず、変動要因の1番目として、対象種そのものの再生産機構、つまり成熟・産卵状況や稚仔魚の生き残りと、来遊機構、つまり本府沿岸漁場へどのようにしてやってくるかということがあげられます。
 カタクチイワシ資源の発生状況や若狭湾への来遊状況の違いにより、本海域におけるカタクチイワシの漁獲量は変化しますが、近年のカタクチイワシ資源の状況については、以下のように考えられています。
 全国的にはマイワシ資源の急減と対照的に、カタクチイワシ資源は増加傾向にあります。
若狭湾においても、昭和63年をピークにマイワシの漁獲量が激減し、替わってカタクチイワシの漁獲量が増加しています。
 若狭湾における漁獲量の低水準期と高水準期との魚体の大きさの比較からみると、低水準期には体長10cm以下の小型魚がほぼ周年にわたり出現していたのに対して、高水準期には体長14cm程度の大型魚が春季に集中していました。漁獲量が低水準であった時期にはいくつかの季節発生群による1才魚の再生産によって資源が構成されていましたが、漁獲量が増大してきた近年では春季産卵群が主体になり、大型の高齢魚も再生産に関与していると考えられました。平成13年における資源動向は『減少傾向』にあるものの、資源水準は『高い』ということ、平成14年の春季の富山湾、石川県能登周辺海域での豊漁、それに続く本府での4月上旬のまとまった漁獲の状況などから考えて、大型のカタクチイワシの資源は依然比較的高い水準で維持されているのではないかと考えられます。
 来遊機構については、3番目の要因とも関係しているのでそちらでお話しをすることとします。
 
(2) 生物的環境
 2番目の要因として、対象種の餌となる動物性プランクトンの発生量、同じプランクトンを餌として利用する競合生物の量等の生物環境が考えられます。
 例えば、昭和60年代の終わりから平成に入った頃、若狭湾では、近年カタクチイワシが比較的多く漁獲されている1〜3月にマイワシが大量に漁獲されていました。マイワシは直接植物性プランクトンを食べ、動物性プランクトンを食べるカタクチイワシとは餌が異なりますが、このカタクチイワシの餌料である動物性プランクトンにとっては、マイワシの重要な餌である植物性プランクトンが重要な餌になっていることから、間接的な形でカタクチイワシ資源へ与える影響は相当大きいのではないかと考えられます。
 
(3) 物理的環境
 3番目の要因として、プランクトンの発生やカタクチイワシの生息に関係する海域の水温、塩分、流れ等の物理的環境があげられます。
 これらのうち、近年の若狭湾では、カタクチイワシの主産卵時期である4〜6月頃の海水温が平年より高く推移することが多く(図12)、その高水温とクラゲ類の大量発生(写真1)との関連なども指摘されています。一方で、浮遊性の魚卵、稚仔魚を食べるクラゲ類の大量発生は、カタクチイワシの産卵後の卵・稚仔へ何らかの影響を与えている可能性は否定できませんが、現時点では、具体的に両者の関係については解明されていません。
 ただ、各生物間の複雑な食う食われるの関係(食物連鎖と呼ばれています)により海洋生態系が成り立っていることから、海洋生物の生息環境が変化し、これまでそう多く出現することのなかった生物が急に多く出現することなどの影響を無視する訳にはいきません。
 また、産まれたカタクチイワシ卵は海中に広がって表層から水深50mぐらいまでを漂っています。卵は普通、水温16〜18℃で3日ほどでフ化しますが、速い潮の流れにのると3日間で100km以上も移動することになります。しかし、こられの卵は発育に適さない海域(水温・塩分が適さない海域、餌の分布が少ない海域など)へ運ばれると多くは死んでしまうことになります。若狭湾内での平成10年5月18日の観測例では、卵・稚仔の分布量が多い海域と水温が16℃以上、塩分が34.4以下の海域とがほぼ一致していました。このことから、流れなど卵・稚仔が特定の海域に集積する何らかの機構が働いているものと考えられますが、その詳細な機構についてはよくわかっていません。
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