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鞘翅(コウチュウ)目 ミズスマシ科

コオナガミズスマシ

Orectochilus punctipennis Sharp, 1884
京都府カテゴリー

絶滅寸前種

2002年版 絶滅寸前種 2002年版を参照する
環境省カテゴリー 絶滅危惧Ⅱ類(VU)
コオナガミズスマシ

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選定理由

19世紀末に巨椋池から記載された種。京都ではその後記録がなく、ほぼ確実に絶滅したと思われていた。

形態

原色日本甲虫図鑑(Ⅱ)(保育社)第37図版、No. 7を参照。体長約6.0mm。体は楕円形で、背中部が盛り上がる。翅端会合部が突出する種(オナガミズスマシ)があり、Orectochilus オナガミズスマシ属が作られたが、本種などでは翅端はあまり突出しない。頭部前半のしわ状部は弱くて細かく、小点刻をやや密に装う。

分布

本州、四国、九州。

◎府内の分布区域 巨椋池(タイプ産地)、京都市~久御山町一帯。

生態的特性

湖や河川の緩流部に生息する。基本的に夜行性で、時に水面上を群生して遊泳する。本科の甲虫は主として水面で活動し、そのため、空中を見る目と、水中を見る目の2対の複眼をもつ。幼虫は水中で他の小動物を捕食する。

生息地の現状

絶滅に近いと考えられていたが、最近賀茂川で発見された。また、宇治川下流域でも成虫が一度確認されている。しかし、いずれもその後は発見されていない。巨椋池は干拓されてなくなり、往時の環境はまったく残っていない。ただし、河川にもいるため、今後の調査によって新たな生息地が見つかる可能性はある。

生存に対する脅威

池、沼は各地にまれでないが、本種はもちろん、他のミズスマシ類もまったく見ることがなくなった。農薬だけでなく他のいろいろな物質による水環境の汚染が広範で、昆虫のみならず、水圏の生物はいずれも多大な被害を受けている。近年の内分泌撹乱物質の発見も水生生物でわかったことである。

必要な保全対策

安全な水環境を取り戻すことは単なる昆虫の保全だけのことでなく、現在ヒトが生き残るための最も切実な条件であろう。

その他

日本固有種

文献 吉安ほか(2012)

執筆者 高橋敞(補筆:吉安裕)

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