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鞘翅(コウチュウ)目 コメツキムシ科

クラマアカコメツキ

Ampedus (Ampedus) kurama Kishii, 1983
京都府カテゴリー

絶滅寸前種

2002年版 絶滅寸前種 2002年版を参照する
環境省カテゴリー なし
クラマアカコメツキ 所蔵:岸井尚

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選定理由

タイプ産地:京都市鞍馬山。その後八瀬渓谷で1頭のオスが採集されたのみであったが、21世紀になって福知山市大江町仏性寺で採集され、府北部の分布も確認された。

形態

体長8.5~10.5mm。太め強固で細長く平行状で光沢はきわめて明瞭。黒色で触角基部3節の末端部と肢部は濃赤褐色、上翅は明るい黄赤色で基部は黄色が勝り、メスでは全体に赤みが強く、共に基部前縁線と末端部は黒い。体毛は黒色であるが光沢で白く見え、長く直毛でやや密。オスの触角は末端節が前胸後角端をわずかに越えメスではより短い。第2節は短亜球形状、第3節は短三角形状、第4節から鋸歯状でメスでも明瞭。前頭縁線は弧状に突出し完全で隆起は著しい。前頭溝は中央で狭く浅いが側方の触角窩近くは広三角形状に凹む。頭頂点刻は大型で蛇の目状、大きさと密度はやや不規則。前胸は幅より長くやや台形で、両側縁前半部は前方に弧状に狭まり、後角基部は平行状。背面は単純。後角は三角状で後方に伸長し先端は鋭く突出、明瞭な1隆起線をもつ。背板後縁の傾斜は顕著で基部溝はない。背板点刻は小さく円形疎、単純および亜二重状のものが混在、点刻間は平滑で点刻直径より広い。上翅の条線は細溝状で浅く間室は平滑で小型点刻を疎布。会合線末端には不明瞭な微突起が認められる。メスの貯精嚢内には細長い刺状突起20数本をもつ。

◎近似種との区別 日本産アカコメツキ類はきわめて種が多く、現在亜種を含めるとおよそ70種を越え、近似種間では外部形態での区別の困難なものが多いが、生殖器構造ではそれぞれ特有の差異点が明瞭で区別しやすい。本種はオトメアカコメツキA. otome KishiiとアシウアカコメツキA. ashiunis Kishiiに似るが、オトメアカでは上翅端が暗色になることはなく、メスの貯精嚢内の刺状突起は50~60本で、アシウアカはより大きく触角と肢部は明瞭な赤褐色で体毛は黄褐色、メスの貯精嚢内の刺状突起は太く強壮で40~45本である。ただ近似種が多く、外部形態の差異のみで同定することは困難なので、交尾器観察などの熟練者に同定を依頼することが望まれる。

分布

◎府内の分布区域 記載後、京都府外からの報告はなく、既知産地も以下の3か所のみ。左京区鞍馬山(タイプ標本): 3♂2♀, 5. v. 1965, 津村清信採集。左京区八瀬, 1♂, 1. ⅳ. 1993, 田中勇採集。福知山市大江町仏性寺, 1 ex. 31. ⅲ. 2011, 蝦田渉採集。

生態的特性

1965年5月5日に鞍馬山と貴船渓谷の間のカエデ花上で採集され、その他は不明であるが、近縁の種では幼虫は朽ち木中で木部を食す。

生息地の現状

鞍馬山の場合は環境保全地域なので、このままの状態で維持されるなら安定であろう。

生存に対する脅威

人為的な破壊現象が進まない限り本種のような希少種でも容易に絶滅する事は無いと思われるので、新規の道路建設、宅地・農地などの開発、廃棄物増加などの厳重な規制さえあれば、あまり憂慮する事はないものと思う。

必要な保全対策

生態等が不明なので、現況の維持保全が望ましい。

その他

日本固有種

文献 Kishii(1983、1987、1992、1999)

執筆者 岸井尚(加筆修正:水野弘造)

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