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鳥類概要



 鳥類概要

1.京都府の鳥類相
 京都府では、1999年時点で321種の野生鳥類が記録されている。観察者の多い京都市周辺から南部の情報が多
い一方で、中部地域や北部地域の情報が不足しているという傾向があるものの、他の分類群にくらべると鳥類の
生息状況はよくわかっているといって差し支えなく、おおむね生息の概況はおさえられている。以下では、北か
ら順に主な鳥類生息地の概略を述べる。
 若狭湾にある島々の中で、鳥類の生息地として重要なのは冠島と沓島である。冠島はタブやアカメガシワに覆
われ、オオミズナギドリの集団営巣地として天然記念物に指定されている。ハヤブサやカラスバトの生息地でも
あり、春秋にはセンニュウ類やムシクイ類など小鳥類の渡りの中継地としても重要である。沓島は数千つがいの
ウミネコの営巣地となっているほか、カンムリウミスズメ、ヒメクロウミツバメ、オオミズナギドリなどの海鳥
の営巣地ともなっている。
 日本海側にある久美浜湾、宮津湾、阿蘇海、舞鶴湾といった内湾は、冬期にカイツブリ類、カモ類、カモメ類
などの水鳥の集団越冬地となっている。その中でも、阿蘇海にコハクチョウが、久美浜湾にオオハクチョウが少
数ながら定期的に渡来することは特筆される。内湾には、その他にもオジロワシやコクガンなどが渡来すること
もある。冬期、沖合にはウミスズメ類やオオハム類が渡来するという情報もあるが、岸からの観察が困難なため
その実態はよくわかっていない。
 府内の大部分は山地に占められているが、その多くは人工林化されており、まとまった面積の自然林はあまり
多くない。数少ない自然林の中で最も鳥類の生息地として重要なのは、由良川源流の美山町にある京都大学芦生
演習林である。ここにはブナ、ミズナラ、トチなどの天然林が多く、アカショウビン、コガラ、キバシリなど多
くの鳥類が生息している。また、芦生演習林とともに、八丁平や大江山などブナ林のある地域には、コノハズク、
コルリ、コマドリ、ゴジュウカラなどが生息している。丘陵から山地の比較的まとまった山地には、クマタカ、
オオタカ、フクロウなどの猛禽類が広く生息している。
 府内には規模の大きい湖はなく、池の数も隣接府県にくらべると少ない。その中で、カイツブリ、バン、カモ
類などの生息地として知られている場所に、京都市の深泥池や亀岡市の池尻池などがあげられる。また、天ヶ瀬
ダム、喜撰山ダムといった山間部のダム湖もカモ類などの水鳥が渡来することで知られており、特に天ヶ瀬ダム
では多数のトモエガモやオシドリが観察される。
 河川もまた鳥類の生息場所として重要である。南部地域にある宇治川の向島河川敷内には近畿地方でも最大級
の広大なヨシ原が広がっており、夏から秋にかけてツバメ類の集団ねぐら地となることが知られている。桂川の
久我井堰堤上流部を中心とした範囲は、多数のカモ類をはじめとした水鳥の越冬地となっている。木津川は、中
州がチドリ類やコアジサシの集団営巣地となっている点で注目される。一方、鴨川のような市街地を流れる河川
は、浅水部が多いこともあって、サギ類、カモ類、ユリカモメの越冬地となっている。
 農耕地にも様々な鳥類が生息する。中でも府内で特筆すべきは南部地域の巨椋干拓地である。ここは、かつて
巨椋池があった場所であり、現在は干拓されて水田地帯となっている。ケリが多数営巣しており、春秋の渡りの
時期には多種のシギ・チドリ類が立ち寄る。越冬する小鳥類も多く、ノスリやコミミズクといった猛禽類も見ら
れる。オジロトウネン、ホウロクシギ、ハイイロチュウヒ、コチョウゲンボウ、タマシギなども観察され、府内
で最も重要なシギ・チドリ類の渡りの中継地であり、同時に重要な猛禽類の越冬地でもある。

2.種の選定基準と選定のしかた

各ランクの選定基準は以下のとおり。
【絶滅種】
  過去に継続的な繁殖や定期的な渡来の記録があるが、現在は継続的な繁殖や定期的な渡来をしていない種。
  検討の結果、該当種はなかった。

【絶滅寸前種】
  個体数(もしくは繁殖個体数)が極めて少なく、大部分の個体群(もしくは繁殖個体群)が減少している種。

【絶滅危惧種】
  A:個体数(もしくは繁殖個体数)は極めて少ないが、大部分の個体群(もしくは繁殖個体群)が
    減少しているわけではない種。
  B:個体数(もしくは繁殖個体数)が少なく、大部分の個体群(もしくは繁殖個体群)が減少している種。

【準絶滅危惧種】
  A:個体数(もしくは繁殖個体数)は少ないが、大部分の個体群(もしくは繁殖個体群)が
    減少しているわけではない種。
  B:個体数(もしくは繁殖個体数)は少なくないが、大部分の個体群(もしくは繁殖個体群)が
    減少している種。

【要注目種】
  繁殖個体数が多く、特に繁殖個体群は減少していないが、おもに限られた島嶼で繁殖する種。

【評価不能】
  生息状況や繁殖状況についてのランクを判定するに足る情報が得られていない種。


 過去の文献や日本野鳥の会京都支部の集めた情報などを集約して、321種からなる京都府産鳥類目録(1999年
時点)を作成した。その目録から、記録はあるものの、定期的な渡来とは見なせないと判断した92種を、迷鳥と
して評価対象から除いた。残る229種について、上記の基準に基づく判定を行った。
 委員による判定を行った上で、より正確な生息状況を反映するために、京都府の鳥類の生息状況に詳しい日本
野鳥の会京都支部の今井健二、岩本富雄、狩野清貴、中川宗孝、中村桂子、中村善夫、堀本尚宏、前田崇雄(五
十音順)の各氏に意見を求めた。その意見に基づく改訂を行った上で、最終的なレッドリストを確定した。なお、
関道浤氏は、今回のレッドリスト作成に中心的な役割を果たされたが、完成を待たずに他界された。ここに記して
ご冥福をお祈りしたい。

3.選定種の概要
 絶滅危惧種以上の高いランクにリストアップされた種について、どのような種が絶滅の危機にあるとされたの
か、生息地あるいは生息環境を中心に見ていく。なお、ヒメアマツバメとオオバンは、繁殖個体数が少ないため
リストアップされたが、府内で繁殖するようになったのは近年のことであり、減少が懸念されている他の種とは、
やや趣が異なっている。
 ヒメクロウミツバメ、カンムリウミスズメ、カラスバトは、要注目種として選定したオオミズナギドリやウミ
ネコとともに、若狭湾の冠島と沓島に生息している。天然記念物に指定されるなど人的影響を受けにくい場所だ
が、冠島では多数のオオミズナギドリによる森林の更新の妨害、また沓島では斜面の崩落が、こういった種の生
息に悪影響を及ぼす可能性が指摘されている。要注目種とされた2種は、個体数が多く特に減少もしていないも
のの、繁殖コロニーが限られているので、現在の繁殖地の環境悪化により急速に減少するおそれがあると判断し
た。
 オオハクチョウは久美浜湾へのみ定期的な渡来が知られているが、岸の改修やウインドサーファーによる攪乱
の影響が懸念されている。またクロサギも北部地域の海岸部で繁殖するが、釣り人の立ち入りによる繁殖への悪
影響が考えられる。その他、ミサゴ、オジロワシ、ハヤブサも主に北部地域の海岸部を中心に生息している。
 ブナ林などの山地の自然林で繁殖する鳥としては、コノハズク、ジュウイチ、ヨタカ、アカショウビン、サン
ショウクイ、コルリ、コサメビタキなどが絶滅危惧種以上のランクに選定された。この中には夏鳥が多く、その
減少は京都府だけでなく、越冬地である東南アジアの森林伐採などの影響もあると考えられるが、府内において
も自然林がこの数十年の間に急速に減少したのは間違いなく、これ以上自然林を減らさないことが望まれる。ブ
ッポウソウも減少し、近年生息が確認されておらず、絶滅が心配されている。また山地の渓流に生息するヤマセ
ミも、減少が指摘されている。
 ハチクマ、オオタカ、サシバ、フクロウなど、いわゆる里山で繁殖する猛禽類も多く選定されている。近年は、
丘陵地開発が進み、こういった種の生息地は急速に減少している。特に南部丘陵での開発は、多くの希少猛禽類
の生息地を奪った。一方、他の多くの府県とは違い、京都府ではクマタカが比較的多く生息していることが指摘
された。近年日本各地で減少が指摘されている猛禽であるため、現在の生息地を確実に守っていく必要があるだ
ろう。
 河川敷の裸地に近い環境で繁殖する鳥として、シロチドリとコアジサシが絶滅危惧種以上のランクに選定され
た。イカルチドリやイソシギとともに、こういった種にとって府内で最も重要な繁殖地は、木津川の河川敷であ
る。こういった環境は、河川改修やレクリエーションのための人の立ち入りの増加によって、容易に失われる。
今後の適切な保全対策が望まれる。
 農耕地周辺やため池、河川などの湿地に生息する鳥として、ヨシゴイ、クイナ、ヒクイナ、タマシギが絶滅危
惧種以上のランクに選定された。こういった環境は、農耕地の宅地開発・圃場整備、ため池や河川敷の改修によ
って、次々と失われている。また比較的広い面積が残っているとされている宇治川向島のヨシ原でも、こういっ
た種の観察例の減少が指摘されている。この他、河川敷や農耕地などの草原に冬鳥として渡来するウズラが、近
年ほとんど観察例がなくなっている。
 旅鳥で絶滅危惧種以上のランクに選定されたのは、コムクドリを除けば、すべてシギ・チドリ類である。シギ・
チドリ類の中継地が少ない京都府では、この結果は主に南部地域の巨椋干拓地の現状を反映したものとなってい
る。かつては多くのシギ・チドリ類の中継地としてにぎわった巨椋干拓地だが、近年の圃場整備や道路建設など
によって環境が急速に悪化しており、渡来数が減少している。コミミズク、ノスリ、チュウヒ類、コチョウゲン
ボウといった冬の猛禽類にとっても、府内では巨椋干拓地が重要な生息地であったが、近年渡来数が減少してい
る。農耕地周辺で繁殖するタマシギの観察例も減少しており、巨椋干拓地の環境悪化の影響は大きい。
 ミゾゴイ、オシドリ、ツミ、オオコノハズクなどは、数少ないながらも繁殖していると判断されたが、その生
息情報は極めて限られている。また、アオシギ、ヤマシギ、トラフズクといった冬鳥の渡来状況に関する情報も
十分とは言えない。情報不足のために評価不能と判断した16種とともに、保護対策を考えるためには、まず綿密
な調査により正確な生息状況を把握する必要がある。

                        執筆者 山岸 哲・江崎 保男・和田 岳・須川 恒

	



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