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京都府改訂版レッドリスト2013

資料14 シダ植物レッドリスト

 

1 レッドリスト見直しで明らかになった点

[1] 絶滅のおそれのある種の総数は、前回のレッドリスト(2002)では絶滅5種、絶滅寸前27種、絶滅危惧30種、準絶滅危惧種13、要注目種33の計108種だったが、今回は11種増えた。その内訳は、以下のとおりである。

 

  新規にレッドリストに加わった種

種名

カテゴリー

追加された理由

ミズニラモドキ

絶滅寸前種

前回は暫定的にミズニラに含めた

トネハナヤスリ

絶滅寸前種

府内で新規に発見された希少種

エゾフユノハナワラビ

絶滅寸前種

府内で新規に発見された希少種

ヌカイタチシダマガイ

絶滅寸前種

府内で新規に発見された希少種

ミドリワラビ

絶滅寸前種

府内で新規に発見された希少種

ヒメクラマゴケ

絶滅危惧種

工事や遷移で著しく減少した

ナチシダ

絶滅危惧種

府内で新規に発見され園芸需要も

モトマチハナワラビ

絶滅寸前種

府内で新規に発見された希少種

タチクラマゴケ

要注目種

工事や遷移で著しく減少した

クジャクフモトシダ

要注目種

新規に発見されたが、自生か不明

イシカグマ

要注目種

新規に発見されたが、自生か不明

 

  また、カテゴリーが変更されたものは以下の8種である。

  カテゴリーが変更された種

種名

変更前と変更後

変更された理由

オオアカウキクサ

絶滅危惧種→絶滅寸前種

外来種(雑種アゾラ)との競合で著しく減

サクライカグマ

要注目種→絶滅寸前種

40年以上再発見されていない

ムクゲシケシダ

要注目種→絶滅寸前種

典型品が丹後で発見された

マンネンスギ

要注目→絶滅危惧

遷移進行による著しい減少

マツザカシダ

要注目→準絶滅危惧

自生が確定したが、園芸需要も

イヌチャセンシダ

要注目→準絶滅危惧

湿度の低下により産地が減少

ミヤコカナワラビ

要注目→準絶滅危惧

シカの食害で大群落が消失

アツギノヌカイタチシダマガイ

絶滅寸前→絶滅危惧

新たな産地が複数発見された

 

2013年3月現在府内産として確認されたシダ植物の種数は、品種や外来、逸出および不稔性雑種を除いて253分類群なので、A)準絶滅危惧種以上のランクでは33.6%が対象種として選定されたことになる(前回は30.0%)。B)絶滅種と準絶滅危惧種以下を除けば、25.3%である(前回は22.7%)。

 

[2] 絶滅のおそれのある種の総数が微増した理由は、A)調査による(超)希少種の発見 B)工事や遷移による個体数や群落数の減少が大きい。シカの食害による影響もかなり大きいが、シダ植物では産地消滅までいたった事例はまだ少ない。

 

[3] 今回の見直しで唯一ランクが下がったアツギノヌカイタチシダマガイは、近年福知山市周辺で複数の産地が確認され、個体数は少ないものの園芸上の需要に乏しいものであることを考慮した結果である。本来たいへんな希少種で、兵庫県では絶滅危惧Aランクに指定されているが、岩場に自生するためシカの食害を免れていることが多いのも、ランク変更にあたって考慮された。

 

 

2 注目される種のカテゴリー(ランク)と変更理由

    ヌカイタチシダマガイ  (旧)リスト外 →  (新)絶滅寸前種

アツギノヌカイタチシダマガイ(前回レッドリストで絶滅寸前種)の学名上の母種にあたるものであるが、前回レッドリストの段階では府内未発見であった。今回の調査で福知山市内に二か所の産地があることが判明した。全国レベルでも希少なもので、産する県ではほとんどのところで指定されている。岩場に着生するものであるためシカの食害を免れているが、乾燥化が進んで一部枯死したものも見受けられた。個体数は二か所併せて20以下であるため、絶滅寸前種に該当すると判断した。

 

    オオアカウキクサ      (旧)絶滅危惧種 → (新)絶滅寸前種

前回レッドリストの段階では府内における雑種アゾラの定着状況ははっきりしていなかったが、この十年の間に爆発的に増加し、いまでは山間部の池や田にやや普通に見られるようになった。オオアカウキクサの生育地に入り込んだところも見られる。オオアカウキクサは暑さに弱く、夏場は休眠状になる。しかし雑種アゾラは寒暑に強く、夏場も旺盛に生長するため、夏の終わりにオオアカウキクサが成長する余地もないほど繁ってしまい、それが原因でオオアカクサが確認できなくなったところが目立つようになってきた。

 

    ミヤコカナワラビ    (旧)要注目種 → (新)準絶滅危惧種

未記載の分類群であるが、海岸部が主体のホソバカナワラビとは異なって内陸部の極相林やスギ林下に見られるものである。根茎で繁殖するため、しばしば群落をつくる。これまで個体数が多いと判断されたため要注目種どまりだったが、近年シカの食害が著しく増え、松尾大社社叢にあった大群落は跡かたもなく消滅した。今後このような事例が増えてくるものと予想される。

 


3.改訂版レッドリスト

 〈 シダ植物 119種 〉

 

 絶滅種(5種)

  オクタマシダ、ミドリカナワラビ、イヨクジャク、オオクボシダ、イワオモダカ

 

 絶滅寸前種(34種)

  マツバラン、ヤチスギラン、ミズニラ、アカウキクサ、サンショウモ、ハマハナヤスリ、

  ヒロハハナヤスリ、ナガボノナツノハナワラビ、デンジソウ、ヒメムカゴシダ、ホウビシダ、

  クモノスシダ、アオガネシダ、ヌカイタチシダモドキ、オニイノデ、△オオアカウキクサ、

  △サクライカグマ、テバコワラビ、トゲカラクサイヌワラビ、ハコネシケチシダ、△ムクゲシケシダ、

  コウライイヌワラビモドキ、イワヤシダ、ヒカゲワラビ、コガネシダ、フクロシダ、クラガリシダ、

  イワヤナギシダ、アオネカズラ、△ミズニラモドキ、○エゾフユノハナワラビ、

  ○ヌカイタチシダマガイ、○ミドリワラビ、○トネハナヤスリ、

 

 絶滅危惧種(33種)

  ▽アツギノヌカイタチシダマガイ、スギラン、ヒモカズラ、イワヒバ、コヒロハハナヤスリ、

  コハナヤスリ、アカハナワラビ、キヨスミコケシノブ、コケシノブ、オウレンシダ、ハコネシダ、

  ナカミシシラン、アマクサシダ、トキワトラノオ、クルマシダ、ヒロハヤブソテツ、ミヤコヤブソテツ、  

  タカサゴシダ、ヌカイタチシダ、キヨズミオオクジャク、イワイタチシダ、ミヤコイヌワラビ、

  ナガエイヌワラビ、ヤクイヌワラビ近似品、フモトシケシダ、シマシロヤマシダ、

  ウスバミヤマノコギリシダ、イワデンダ、ホテイシダ、ビロードシダ、△マンネンスギ、

  ○ヒメクラマゴケ、○ナチシダ

 

 準絶滅危惧種(17種)

  ナツノハナワラビ、ヤシャゼンマイ、カミガモシダ、カンムリベニシダ、△マツザカシダ、

  タニヘゴ、イワハリガネワラビ、ルリデライヌワラビ、オオヒメワラビモドキ、オニヒカゲワラビ、

  ミヤマシダ、ヒメサジラン、ヤノネシダ、カラクサシダ、○アカフユノハナワラビ、

  △ミヤコカナワラビ、△イヌチャセンシダ、

 

 要注目種(30種)

    オニトウゲシバ、ヤマドリゼンマイ、タカサゴキジノオ、ヒメハイホラゴケ、ヒメコケシノブ、ミズワラビ、

  シモツケヌリトラノオ、オサシダ、コモチシダ、ホソバナライシダ、コバノカナワラビ、○イシカグマ、

  ヤブソテツモドキ、ハチジョウベニシダ、ナチクジャク、シラネワラビ、ワカナシダ、

  ナガバノイタチシダ、ハコネオオクジャク、イノウエシダ、ツルデンダ、ヒトツバジュウモンジシダ、

  アオハリガネワラビ(シロジクハリガネワラビ)、オオバショリマ、トガリバイヌワラビ、

  サキモリイヌワラビ、タンゴワラビ、ミヤマノキシノブ、○タチクラマゴケ、○クジャクフモトシダ

 

 

凡例

 

 △:アップリスト種

 ▽:ダウンリスト種

 ○:新規掲載された種

 ☆:種名などの変更


 

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総合政策環境部自然環境保全課

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