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トップページ府民だよりトップ2024年5月号特集2 千年の歴史に育まれた技と美意識「京もの」の深みを探る。

特集2千年の歴史に育まれた技と美意識
「京もの」の深みを探る。

守住貫魚「源氏物語 花宴図」(部分)香雪美術館蔵

京都では、長い歴史の中で多様な伝統工芸が生まれ、先人の技と心を守りながら革新を繰り返し、世界に誇るべき産業として今に受け継がれてきました。平安文化が描かれる大河ドラマ『光る君へ』の放送でも注目が集まるこうした伝統の技の数々を、府は「京もの」に指定し、未来へ継承する取り組みを進めています。悠久の時に磨かれた技の奥深さに触れてみませんか。

御簾(みす)

平安貴族の住空間を彩る調度品として絵巻物などで目にする御簾は、扉や窓などの建具がない時代の間仕切りとして使われていました。もともと神仏と人の世界を隔てる“結界”としての役割を持ち、今も主に神社やお寺で見ることができます。魔よけの意味で黄色く染めた竹を赤い絹糸で編む技、だんだらに染めた麻の房飾りなど、平安時代そのままの姿で今に伝えられています。

京扇子(きょうせんす)

平安時代に扇子の原型「桧扇(ひおうぎ)」が誕生。当時は貴族御用達のアイテムでしたが、長い歴史を経た今、日本の生活に広く根差しています。国内では約90%が京都産。匠の職人が80を超える制作工程を重ねて生み出しています。

若手職人「京もの認定工芸士」に聞きました

次の世代へ、広い世界へ御簾の文化を広げていきたい

京の神祇(じんぎ)装束調度品(御簾)
京もの認定工芸士
みす平 前田 平志朗さん

寛政期の創業以来、代々家業としてきた御簾づくりは幼い頃から身近にあり、自然な流れでこの仕事に就きました。京都や奈良を筆頭に、日本全国の名だたる社寺に、私たちがつくった御簾をお納めできるのが誇りです。神仏に近い場所で使うことが多いので、真摯(しんし)な心持ちでものづくりに取り組んでいます。

また今後を見据えて、新たな挑戦も続けています。例えば子どもたちが御簾に触れるワークショップを開催したり、御簾づくりから発展させた新商品を開発したり。国内はもちろん、もっと広い世界にも、御簾という文化を広げていきたいです。

黄染めの竹を編んだ御簾に
表と裏から呼吸を合わせて裂(きれ)を縫い付けていく

御簾の技を活用した
バッグなども開発中

京もの指定工芸品とは?

伝統的な技術・技法や意匠、手工業的な方法を用いて作られた京都の工芸品を指定し(現在34品目)、伝統的な技術の保存・継承と、次代を担う人材の育成を図っています。

若手職人「京もの認定工芸士」とは?

次代の伝統産業を担う若手職人の皆さんから作品を募集し、その中でも特に技術に優れ、意欲ある方々を「京もの認定工芸士」に認定しています(令和6年3月時点179名)

KYOTO ARTISTRY

「京もの指定工芸品」の千年の歴史に育まれた技と美意識。それらを受け継ぎ、常に最先端の表現を探求し続ける伝統と文化のものづくりを鑑賞できるギャラリーのようなWebサイト。各工芸品の歴史や、現代の市場ニーズに対応した職人のものづくりも紹介しています。

京もの指定工芸品の数々 写真提供:KYOTO ARTISTRY

京都が誇る伝統工芸を世界で存在感を放つ産業に

京都府知事 西脇 隆俊

生活様式や価値観が変化する昨今、京都の伝統産業を取り巻く従来の市場は縮小傾向をたどってきました。しかし、もともと和装分野で発展してきた染織の技や意匠が海外の高級ファッションやインテリア分野で活用されるなど、京都の伝統産業は世界の市場を開拓できる大きな可能性を秘めています。

そうした可能性を広げるため、これまでにも府では、産地連携による新商品開発や、「京もの海外常設店」による販路拡大などに取り組んできました。さらに自社の力だけでは商品開発や市場開拓が難しい事業者をサポートする「Kyo-Densan-Biz」を開設して、デザインやブランディング、広報の専門家を配置し、業種の枠を超えたコラボレーションを実現させるなど伴走支援を行っています。

千年の歴史に磨かれた京都の伝統工芸を、世界市場で存在感を放つ産業へと育てるため、これからも全力で取り組んでまいります。

[お問い合わせ]
染織・工芸課
TEL:075-414-4856 FAX:075-414-4842

お問い合わせ

知事直轄組織広報課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町
電話番号:075-414-4074
ファックス:075-414-4075
[email protected]

おことわり

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組織改正等により変更されている場合がありますので御了承ください。
ご不明な点がございましたら、広報課までお問い合わせください。

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