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令和4年1月24日定例知事記者会見

令和4年度当初予算案の概要等について

令和4年度当初予算案の概要について説明いたします。令和3年度の補正予算と令和4年度当初予算について、昨年度と同様に14ヶ月予算として一体として編成させていただきました。

まず、編成の基本方針についてです。

今年は知事選挙もございますので、令和4年度当初予算については骨格的予算として編成しております。最重要課題である命・暮らし・事業を守るコロナ対策のほか、医療・福祉、防災・減災などの安心・安全対策、それから新年度に合わせた4月からの子育て・教育分野への対応など、年度当初から取り組むことが必要な事業を計上しています。

柱としては4本です。順次ご説明いたします。

 

1.命・暮らし・事業を守るコロナ対策

まずは、命・暮らし・事業を守るコロナ対策について、総額2,312億円台です。

命・健康を守るコロナ対策に487億円規模、雇用・暮らしを守るコロナ対策に32億円規模、事業者支援・緊急経済コロナ対策に1,791億円規模です。以下、内容をご説明します。

(1)命・健康を守るコロナ対策

医療提供体制と感染防止対策ということで、これは引き続きコロナ対策に万全を期すこととして、受入病床の確保、入院待機ステーション、宿泊療養施設等の整備、自宅療養者の生活支援、検査体制確保等です。感染防止対策については、認証店制度を引き続き運用してまいります。それから社会福祉施設の感染防止対策を行います。

次に、ワクチン関係について、一部補正予算がありますが、33.8億円規模です。

3回目接種の早期かつ円滑な実施のために支援するものでして、会場の設置や週に100回以上接種を行う診療所等への上乗せの支援など従来どおりの対応です。また、副反応の専門相談窓口についても継続して設置してまいります。

(2)雇用・暮らしを守るコロナ対策

特に非常に厳しい環境の下で、離職せざるを得なかった方のキャリアチェンジや、受入側の企業に対しても、事業の多角化等への支援を行うことによって、成長分野や非常に人手が不足しております建設や介護分野へ労働移動を促進するようなことにもつながるようなことも支援したいと考えています。学生の就職支援についても学校、企業、ジョブパークが連携して支援してまいりたいと考えています。

それから、女性の関係では、京都ウィメンズベースを京都テルサに移転をすることによって、マザーズジョブカフェ、男女共同参画センター、京都ウィメンズベースが一体となって、相談にも迅速に対応できるということになります。様々な複合的なお悩みもございますので、そうしたことで女性の活躍支援をワンストップ化することによって強化をしていきたいと考えています。それから、きょうとこどもの城づくり事業費についてもコロナ加算を引き続き継続してまいります。また、生活福祉資金貸付事業費について、これは補正予算ですが、申請期間が延長されたことに伴う対応です。

(3)事業者支援・緊急経済コロナ対策

金融・経営一体型支援体制強化事業費について、これは府市協調で実施しておりますが、各企業の状況に応じたきめ細かな支援を実施するために体制等を強化するもので、特別経営指導員を4名から9名に増員します。また、売上向上や固定費削減につながるような取組を支援してまいります。なお、金融支援については、府市協調で1,500億円の預託と

66.7億円の利子補給で構成しています。

それから伝統産業の関係について、これは補正予算ですが、マーケットニーズに応じた新商品開発の支援や後継者育成、特に和装では、西陣・友禅・丹後の三産地の連携した取組を進めていますが、新たな販路獲得に向けた取組を実施してまいりたいと考えています。それから生産基盤の維持・拡充に必要な設備整備等を支援してまいりたいと考えています。

それから人材確保の関係で、これも補正予算ですが、コロナの入国制限解除後、中小企業等の事業継続に向けて、外国人材の入国後の待機費用の支援です。それから京都舞鶴港コンテナ物流機能確保事業費ということで、新規就航と航路維持について、寄港費用を支援することによって実現してまいりたいと考えています。

 

2.府民の安心・安全対策

府民の安心・安全対策は3つの柱で構成しています。

(1)医療・福祉・生活の安心・安全

まず、医療・福祉・生活の安心・安全の中では、看護・福祉施設職員処遇改善事業費ということで、39.6億円規模です。

資料記載(資料14頁)のとおり、9月までの賃金引き上げ分が対象となっておりますけれども、月額平均4,000円から9,000円程度の処遇改善を実施するということで、事業所支援等を通じて支援してまいりたいと考えています。

それから潜在看護師再就業支援強化事業について、2千万円規模です。

これは今回のコロナ禍で、非常に看護人材の不足があった訳ですが、例えば看護スキルの認証制度を創設したり、求人側とのマッチングなど、看護師不足の解消に向けた潜在看護師の再就業を後押しする仕組みを構築したいと考えています。

それから現在社会問題化しています、ヤングケアラー支援体制強化事業費について、2千万円規模です。

なかなか認知度が低いということで、認知度向上のための取組、ヤングケアラーのコーディネーターの配置、ネットワーク会議の開催等、支援体制を強化してまいりたいと考えています。

それから医療的ケア児支援強化事業費について、5千万円規模です。

これは障害者支援課の中に、医療的ケア児等支援センター(仮称)を4月に開設(予定)しまして、相談対応や、様々な分野にまたがっていますので支援調整等を実施してまいります。それから、特別支援学校に通学する医療的ケア児への支援制度の創設などです。

また、発達障害児支援医療・福祉・教育等連携強化事業費について5百万円規模です。これは初診待機期間が長くなっているということで、短縮に向けた取組を強化するものです。

それから児童虐待総合対策事業費について、1.5億円規模です。

後ほど説明しますが、「京都府子どもを虐待から守る条例」を制定し、取組を強化していきますが、それに合わせてSNSでの相談、条例にも記載がありますが、京都SARAの24時間対応を開始したいと考えています。

(2)防災・減災・国土強靭化による安心・安全

まず、危機管理センター整備費について、1.0億円規模です。

今年度は基本設計を行い、令和4年度には実施設計と一部整備工事をはじめまして、令和5年度の稼働に向けた整備を推進していくものです。

それからインフラ関係ですが、国の防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策を活用した安心・安全基盤、道路整備による強靭化ということで、一部補正予算を含めて722.9億円規模です。

それからJR奈良線の複線化・高速化整備事業費について、令和4年度末の開業予定に向けて、33.2億円規模で、整備を推進します。

(3)大雪被害対策

雪害対策費について、補正予算ですが、4.2億円規模です。

パイプハウス等がかなり被災しておりますし、お茶の被害も出ておりますので、その樹勢回復等の支援です。

それから森林の倒木等(の被害)が出ておりますので、倒木の除去、再造林等の支援です。

それから府管理道路の除雪費用も含めております。

 

3.子育て・教育環境の充実

子育て・教育環境の充実について、柱は3つあります。

(1)子育てにやさしい風土づくり

まず、子育てにやさしい風土づくり推進事業費について、3千万円規模です。

WEラブ赤ちゃんプロジェクト「泣いてもかましまへん」シールがございますが、11月3日に「きょうと子育て環境日本一サミット」を開催しまして、赤ちゃんプロジェクトに賛同宣言をしましたが、更にこの取組を強化するものです。

それから、もう一つは母子手帳等の関係ですが、従来の記載にとどまらず、記載内容を充実させ、京都ならではの子育て環境日本一手帳を作成することとしています。その内容の検討費用です。

(2)子育てにやさしい職場づくり

それから、子育てにやさしい職場づくり事業費について、8千万円規模です。

これは私が知事に就任以来、「職場づくり行動宣言」を実施させていただいておりますが、令和3年12月末現在、1,458社において宣言をしていただいております。様々な事業が進んでいますが、例えば、多様な働き方推進事業費補助金として、時間単位の有給休暇制度の導入や、子連れ出勤のための社内スペース等の整備に対して助成しております。それから子連れコワーキングスペースということで、仕事と家庭の両立に役立つサービス提供に対する補助金でございます。

(3)子育てしやすいまちの実現

それから子育てにやさしいまちづくり事業費について、これは令和2年度から創設しまして、3年度と同様の1.5億円規模です。

今まで12地域で実施しておりますが、それを府域全体に展開したいということです。子どもの居場所づくりや、親と子など大人も子どもも一緒になって交流するようなスペースということで非常に人気を博しておりますので、これを進めていきたいと考えております。

妊産婦包括支援事業費につきましては5千万円規模です。

それから、不妊治療給付等事業費3.7億円規模です。

これは不妊治療が保険適用となることに合わせ、適用範囲以上に独自に負担を軽減するために、例えば上限6万円で体外受精、顕微授精等の支援をいたします。先進医療の適用を受ける治療は上限10万円となります。また、保険適用は6回までとなっておりますけれども、全ての府民を対象に10回まで府独自の支援を行います。このように、国の保険制度適用に合わせ、(市町村と連携して)独自支援策の充実を図ることとしております。

次に、未入園児保育支援事業費(2歳児子育て支援利用料減免)2千万円規模です。

多子世帯の2歳児支援ということで、例えば、同時に2人の子が在園する場合に、第2子については3分の1を減免、第3子以降は3分の2の減免等を行うということで、府独自の支援制度を設けることとしております。

あんしん修学支援事業費につきましても2千万円規模です。これも学費の軽減対象世帯で、兄弟姉妹が府内の高校に同時在学する場合には、やはり負担が大変だろうということで上乗せ支援することとしております。例として、2人同時に私立高校に通学する場合2万円、いずれかが私立高校に通学する場合1万円の上乗せといたします。

次に、京都式「教育DX」推進事業費について、一部補正予算が含まれておりますが、7.4億円規模です。

保護者の負担軽減につきましては、全生徒を対象にタブレット端末購入費の3分の1程度を支援いたします。年収約472万円未満の世帯につきましては、3分の2程度までの支援で上限2万円となります。購入費の支援を全世帯対象としているのは今のところ東京都と島根県のみということで、これは全国トップクラスの支援になります。

なお、新たに「デジタル学習支援センター(仮称)」を設置いたしまして、ICT教育リーダー教員の育成等、学習支援をしてまいります。

私立高等学校ICT環境整備支援事業費につきましても同様でして、4千万円規模です。

 

4.文化振興と魅力ある地域づくり

4番目は、文化振興と魅力ある地域づくりについてです。

いよいよ文化庁が2022年度中に京都にやってまいります。35.5億円規模で、本年12月竣工に向けた新行政棟・文化庁移転施設整備費を計上しています。竣工と合わせて、2022年度中には文化庁の業務を開始していただくということになっています。

それから、文化芸術発信強化事業費ということで1.7億円規模です。

文化庁が京都に来ます。それに向けて文化首都・京都を広く国内外に発信するということで、年間を通じて切れ目なく様々な事業を展開したいと思っております。例えばミュージックフェスティバルや、伝統文化の夢舞台ということで、高校生は伝統文化フェスティバルをやっていますけれども、もう少し下の年代についてもそうしたものをやっていこうということで、様々なイベントをやろうとしています。

それから、旧本館ルネサンス事業費8千万円規模です。

文化庁が移転してきますと、当然、旧本館と一体として空間を構成していきますので、旧本館につきましても施設整備をすることによりまして、文化庁ともども文化首都の玄関に相応しいものにしていくものです。

それから、「移住するなら京都」推進事業費2.5億円規模です。

既に条例を改正しておりますけれども、今までの農業を中心としたものから、より幅広いものを対象とした移住促進のため、移住促進特別区域を拡充し、様々なイベント等の開催による周知度のアップ、移住者の方の交流機会の確保等、移住全体についての様々な取組を強化してまいります。

それから、アート&テクノロジー・ヴィレッジ整備事業費について、これは補正予算で4.0億円規模です。大山崎町にありますマクセル本社の敷地内の土地を無償で借り受けまして、アートとテクノロジーの融合による新たな産業価値を生み出すオープンイノベーション拠点を整備したいと思っております。

それから、京ものブランド総合戦略事業費1.6億円規模です。府内の農林水産物、また加工品につきまして、ブランド力・販売力を強化するものです。生産の拡大を支援したり、コロナで需要が増えた中食について新たな中食の開発、(京野菜)マルシェやオンライン産地見学会、輸出拡大の取組等を支援してまいります。

それから、林業・木材産業等振興施設整備事業費については、補正予算で4.1億円規模で、木材処理加工施設整備に対して支援を行うものです。

それから、海洋調査船建造費が11.1億円規模ということで、新たな海洋調査船の建造で、今年の12月に竣工の予定です。

以上が予算の中身です。

 

府民サービスの向上と行財政改革の取組

次に、府民サービスの向上と行財政改革の取組についてです。まず収入証紙を廃止し、令和4年10月から新たな決済手段としてキャッシュレス決済やコンビニ収納にも対応し、府民の利便性の向上を図っていきたいと考えております。

行財政改革の取組では、人件費の削減で約16億円、事業の見直しで約43億円、歳入の確保で約12億円、合わせて約71億円です。併せて、財政調整基金への積立を30億円ということで、今後の財政運営資金の確保をしてまいります。

 

予算案の規模等

予算案の規模ですけれども、令和3年度の2月補正予算が465億円台、令和4年度当初予算が1兆382億円台ということで、合わせて14か月予算ベースでは1兆848億円台です。

当初予算の比較では前年度比100.3%、14か月予算ベースで前年度比98.7%となります。

 

令和4年2月定例会提案予定の主な条例の概要

次に、提案予定の主な条例を3つ紹介いたします。

1つ目が京都府子どもを虐待から守る条例案です。オール京都で子どもを虐待から守るため、新たに条例を制定することといたしました。

特に、性暴力被害者ワンストップ相談支援センター(京都SARA)と連携して、性的虐待への対応を強化するということにつきましては全国で初めて規定するものです。

次に、京都府中小企業応援条例の一部を改正する条例案です。これは本年度末で失効する規定の5年間延長と、企業連携や人材育成の推進、技術実証施設の提供、起業の推進などによる創業等の促進について内容を拡充しております。

もう一つ、京都府雇用の安定・創出と地域経済の活性化を図るための企業等の立地促進に関する条例の一部を改正する条例案についてですが、これも5年間延長と合わせまして、誰もが働きやすい職場づくりに取組企業の誘致を促進するということで雇用の安定・創出を図るという内容です。

私からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。

 

令和4年度当初予算案の概要等について(PDF:2,184KB)

 

質疑応答

記者

予算編成の基本方針に骨格予算として編成するとあるが、11月の京都府議会本会議で与党会派から、骨格予算ではあるものの、特にコロナ等において必要な予算について盛り込むようにとの指摘があったかと思う。既に知事は2期目の出馬を表明している中で、骨格予算ではあるものの、どこに重点をおいて、来年度予算を編成したのか改めて教えてもらいたい。

知事

まずは、知事選があるので骨格的予算ということは当然なのですが、ご指摘がありましたとおり、そうは言っても4月からの新しい年度が始まったら課題に対応しなければならないこと。また14ヶ月予算で組んでおりますので、一体的な予算として構成しています。

まず、第一は、最初の分類であります「命・暮らし・事業を守るコロナ対策」です。コロナ対策は後から足すということではなく、補正予算と合わせて、今の第6波への備えも含めて切れ目なく対応できる必要な予算を組んでいます。例えばワクチンの三回目の接種の他、感染状況に応じてですが受け入れ病床の確保や療養施設の確保、検査体制の確保など医療提供体制はしっかりと確保するということです。これはコロナから命・健康を守るということで、万全を期してまいりたいと思います。

それからもう一つは、コロナが社会経済情勢に非常に大きな影響を与えています。特に女性や非正規雇用など社会的に弱い立場の方に大きな影響が出ております。この方々への対策も待ったなしなので、先ほど説明しました女性の活躍拠点を京都テルサに集結して女性支援を強化するとか、コロナで離職を余儀なくされた方についての支援を行うということで、これも当然コロナとの関係でありますが、年度当初から緊急に対応する必要があるということです。

それから、金融機関と経営支援団体が一体となって行います金融・経営支援について、これは、特にだんだん返済等も迫ってきますので、厳しい状況にある企業への支援を途切れさせる訳にはいかないということで行うものです。それから、やはりこれを機会に廃業された方が出ていることもありますので、事業継続も含めてコロナで厳しい状況にある京都の中小企業を守っていくということです。まずコロナに関連して必要な支援は、骨格的予算とは言えども年度当初から必要なものは全て盛り込んでいます。

それから、「府民の安心・安全対策」についてです。これは安心・安全に関わるものなので、例えば看護・福祉施設職員の処遇改善による人材確保です。こういうものも6月補正に回すのではなく、年度当初からすぐに対応します。医療的ケア児への支援強化や児童虐待の条例制定と合わせた対策強化、ヤングケアラーなど非常に弱い立場におかれている方への対策については、できる限り早く執行する必要があるということで、取組を強化することにしております。

それから、自然災害についてです。危機管理センターは元々基本設計に入ってますので、切れ目なく着実に整備いたします。それからインフラ整備については国の経済対策と「5か年加速化対策」を最大限活用して推進していくこととしています。

それから3つ目は、「子育て・教育環境の充実」です。「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」の取組強化と申し上げましたが、やはり子育てについても年度当初からできる限り執行可能なものは盛り込んでおります。それから、教育環境でのICT教育については、新学期が始まりますので、当然4月から対応して行く必要があると思っております。

それからもう一つ言えば、文化庁移転が令和4年度末に本格化しますので、準備やスケジュールの関係を見ても、できる限り早く対応しなければならないということで、議会のご理解も得なければなりませんが、新規施策と言えども年度当初から取り組むべきものについては、できる限りご理解の得られる範囲で盛り込ませていただいております。

 

記者

行財政改革の取組について、コロナ禍で厳しい府政運営だったと思うが、1期目を振り返って力点を置いた点と来年度以降の課題はどうか。

知事

まず、令和4年度の当初予算に関しては、人件費の減や府民ニーズに即した事業の見直し、歳入確保と合わせて約71億円の行財政改革を行い、財政調整基金に30億円を積み立てております。来年度については、税収は一定の増がありますが、社会保障関係費の増嵩とコロナ対策費も非常に増えていることがあります。そうしたことを考えると一定、地方税収が増収になったと言っても非常に財政環境は厳しいという認識を持っております。今回も知恵を絞って71億円を捻出しましたが、引き続き効率的・効果的な行財政運営に努めて、持続可能な財政構造を維持していく必要があると考えています。

振り返りの話がありましたが、先ほど令和3年度当初予算と(予算規模を)比較しましたが、その前から比較するとコロナ対策で、一気に1兆円を突破している状況です。この2年間は、府民の命と健康、暮らし、雇用と事業を守る観点から、できる限り緊急的に財政運営せざるを得ないということで、かなり歳出は膨らんでいるということです。

ただ財源はそんなにある訳ではないので、国の財源を最大限活用しながらなんとか運用してきたということが実感としてあります。コロナ後、それがどのような形になるのか今は見通せない訳ですが、引き続き持続可能な財政構造を維持するために行財政改革もきちんとやりながら、一方では今の総合計画でも「夢実現プラン」と言っているように、将来に夢を持てるような施策内容をきちんと示していかないと、活力も生まれてこないと思います。そこは工夫し、やりくりしながらできる限り持続可能な財政構造にしていきたいと考えています。

記者

財政調整基金を30億円積立ということで、今まで京都府では財政調整基金の積立はあまりしてこなかった中で、今回方針転換されたように受け取るがどうか。

知事

骨格的予算を組んだ時には、その後に一定の財政需要が出てくることを前提としておりますので、今回なんとか71億円以外に財源を捻出して、次の骨格的予算ではない6月補正予算を睨んだ準備として、少しでも財源を確保していこうということなので、過去にも骨格的予算の時には財政調整基金を積んだことがあります。一般的な財政運営の方針転換というよりも、あくまで骨格的予算の対応としての一つの施策だと考えていただければと思います。

記者

貯金と府債残高のバランスは今後どのように運用していくか。

知事

それはできる限り府債残高を減らしていくことは当然ですし、今回臨時対策債の発行が減りましたので、令和4年度の当初予算の枠組みでは、わずかですが府債残高が減ることになりました。できる限り(府債残高を)減らしていく努力をする一方で、必要な施策は進めないといけないというバランスの中で考えていく必要があると考えています。

記者

児童虐待について、今回条例を制定されて新たな取組をされるということだが、先ほどできるだけ早く取り組むということも仰られたが、この時期になぜこの条例が必要なのか。

知事

令和2年度の数字ですが、京都府の児童相談所への通告が約2,500件と10年間で5倍になっています。虐待種別を見ても心理的虐待が8倍、性的虐待が5倍です。個別の事案を見ても、非常に痛ましい事件も起こっております。この時期にというよりも必要性を考えてのことです。しかも児童虐待の防止も取組主体が非常にたくさんあります。よく児童相談所と警察の連携と言っていますが、その後、切れ目無く支援をしていくということで、多くの主体が一つの方向を向くためにも条例という形できちんと位置づけて、条例の中でやるべきことを再整備することによって児童虐待防止の効果を上げていこうということです。早ければ早い方がいいと思っておりましたが、(関係機関等に)一定のご理解をいただくということと、この1月時点で全国47都道府県で13都府県で既に制定済みで、世の中の全体の流れとしても条例で児童虐待防止対策を強化していこうという流れなので、我々も今まで準備をしてきたのですが今回是非やらせていただきたいということです。

記者

不妊治療給付等事業費について、全ての府民を対象に10回まで府独自で支援するとのことだが、その狙いを教えてほしい。

知事

元々保険適用になる前から京都府独自の手厚い支援制度を設けておりました。それは、今、不妊治療を受けていることによって産まれてくるお子さんが一定数おられます。一方で不妊治療はお金もかかりますが、時間もかかります。勤め人の場合は、企業側の理解も必要だということで不妊治療を社会を挙げて応援していかないといけません。二の足を踏んでおられる方も非常にいらっしゃると思います。そういうことから、せめて経済的負担をできる限り軽減しようと思って我々も取り組んでいます。国もその動きを受けて保険適用に踏み切られました。

更に府独自の財源でより不妊治療が受けやすい形にするための支援をします。全体としてはこの少子化の時に、しかも不妊治療を受けられている方は子どもを産み、育てたいと思っている方の取組なので、そういうことであればできる限り(その望みを)実現したいという強い思いで特に支援を強化したいということです。保険適用はなかなか制度が難しいのですが、その中でも保険適用にかからない部分については府独自の支援を行うという趣旨です。

記者

ヤングケアラー支援体制強化事業費に関して、ヤングケアラー総合対策センターの運用開始はいつごろか。

知事

予算が認められたら、できるだけ早くと思っています。自立支援センターの中に作ることを考えています。

記者

改めて、来年度は文化庁の移転もあるが、京都府にとってどういった位置づけになると考えているのか。

知事

骨格的予算という立場なので言えることに限りはありますが、まずは当面最大の課題である第6波を含めたコロナ対策を確実に実行して、府民の命と健康を守り、雇用・暮らし・事業を守ることが大前提です。いずれ来年度、希望的観測も入っていますが、コロナが収束に向かえばポストコロナ社会に向けて対応していく必要があります。

その中に2022年度中の文化庁の移転や新名神高速道路をはじめとするインフラ整備があります。新名神は1年遅れることになりましたが、令和6年度の開通に向けて進んでまいります。そうしたことを街づくりに生かすことがあります。そして2025年の大阪関西万博です。「関西万博」と言われているように京都にも科学技術の振興や、産業施策も含めて進行してまいりますのでそういうことを含めると、京都が更に発展していくための重要な足がかりの年になると思っていますので、それに向けた準備をしっかりしていく必要があると考えています。

記者

文化庁移転に関連し、様々なイベントに取り組まれるということだが、改めて文化庁の京都移転によって府民にどのようなメリットがあると考えているのか。

知事

今までからも様々に取り組んでいますが「京都は文化首都」だと言い続けているのが、文字通り文化庁という国の機関が京都に存在することで、「文化首都・京都」の位置づけが確立するということです。このアピール効果は国内だけでなく、国際的にも非常に強いものがあると思います。我々も文化庁に対しても京都に来ることによって今までの取組を更にバージョンアップしてもらうことをお願いしております。

例えば、高校生伝統文化フェスティバルは最初は京都府独自の取組でしたが、今は文化庁と一緒にやっていて、まさに全国で伝統芸能に頑張っている高校生の夢舞台にもなっています。それをもっと関心を高めて、それによって京都だけでなく全国各地域で地域の伝統文化に親しむことになったり、京都も非常に地域文化が多彩ですので、文化庁が京都に来た、また関西に来たことによって、そうした地域文化に対する取組が、文化庁でもより強化されるとか、京都に文化庁という国の施設があることによって日本全体の文化振興につながるような、地域文化の振興がキーワードの一つになります。

それともう一つは生活文化です。京都にはだんだん減ってきたといっても生活の中に文化的要素が非常に色濃く残っています。そこに文化庁が存在することによって、日本国内全体でも今までの生活文化に改めて光を当てる取組をしていくということです。

中核的な組織や業務開始は年度中ですが、5月初旬の大型連休も活用しながら移転作業をされますので、令和4年度だけでなく、令和5年度も含めて文化庁の京都移転を一緒になって盛り上げていく必要があると思っております。また、これは役所だけの仕事ではありませんので、プラットフォームを作っておりまして、文化庁が京都に来ることに合わせて様々な主体が(イベントを)されます。イベントだけではないと思いますが、そういうものをどんどん拡げていきたいと思います。例えば障害者アートは京都の「とっておきの芸術祭」は文化庁とも連携してやっています。それ以外に文化庁が東京でなく京都の岡崎周辺で障害者アートのイベントを行うなどの取組を既に始めていただいております。いろんな主体を巻き込んだイベントにしていく必要があるので、役所主体のイベントだけではとてもできないと思っています。

記者

予算に関連して、京都市の財政に絡んで、京都市は府域の真ん中にあり、人口も多いエリアだが、京都市交通局の市バスと地下鉄の運賃が値上げになるようだが、これについて知事の考えは。合わせて、地下鉄や市バスへの支援が盛り込まれていたら内容を教えていただきたい。

知事

京都市は現在の財政状況、財政運営を続ければ財政再生団体に陥るという非常に強い危機感の下で地下鉄や市バスも含めて市民サービスの見直しということで、市民サービスに直接影響が及ぶような改革に踏み込まれているということなので、これについて私がコメントする立場にはありませんし、非常に危機感を持った対応で、市民にとっては身を切るようなことになるので、逆にそれだけ危機感が強いと理解しております。これから議会との関係で諮られると思いますがそのような認識です。京都府の予算の中には盛り込まれていません。(地方公営企業である交通局等に)京都府が(財政的に)支援するということはないということです。

記者

地下鉄や市バスに関しては丸太町駅があり、府庁も近いのでたくさんの府の職員が利用されている。経営健全化団体になりかねない関係で、(市が)単独でやりくりされるのが筋かと思うが、京都府として京都市交通局の地下鉄や市バスに対しても当初予算には盛り込んでいないという理解でいいか。

知事

そうです。当初予算には盛り込んでいません。府庁職員の利用という観点はありますが、それを言い始めると、京都市内から京都府庁に通う人よりおそらく京都市外からの人の方が多いということもあります。行政サービスとはそういうもので、それぞれのところで行政サービスのメリットを受けています。その集大成を何らかの形で集めたものがそれぞれの自治体の財政運営だと思っております。地下鉄から府の職員が恩恵を受けていることは間違いないと思うのですが、いろいろ持ちつ持たれつの関係なので、そういう観点で考えたことはないですし、予算に盛り込まれていません。

記者

明日25日にまん延防止等重点措置が適用になると思うが、府独自の措置や、(飲食店への要請について)都市部とそれ以外で酒の提供時間を分けることについて、知事の考えはどうか。

知事

明日、政府の対策本部が行われる前提であれば、それに合わせて私どもも対策本部会議を開いて措置については専門家の方の意見も伺った上で決めたいと考えています。基本的対処方針がそのままなのか変わるのか分かりませんが、今のままの前提であれば認証店は21時までの時短営業で20時30分までの酒類提供可。非認証店は20時までの時短営業で酒類提供は不可。認証店は20時までの時短営業で酒類提供は不可の選択もできます。地域については全域で考えています。今のままの対処方針であればこの形でお諮りしようと思っております。

府独自のという質問でしたが、それ以外にも様々な呼びかけをしています。独自のものか分かりませんが、私自身の思いとしては(基本的対処方針について)オミクロン株の感染力が非常に強いとか、一方で重症化リスクについては一定程度低いことを前提としたものにしてほしいというのを3府県の知事や全国知事会のコロナ緊急対策本部の役員会議でもお願いしておりますので、そういうことが出てくればそれに合わせますし、なければそうした私の考えをなんとか府民の皆様へのメッセージとして伝えたいと思っております。飲食店等に対する措置については先程述べたような方針で今のところは考えています。

記者

まん延防止等重点措置に関連して、全員検査で陰性を証明することによる制限緩和については現時点でどのように考えるか。

知事

基本的対処方針上は、全員検査で陰性だった場合は、人数制限に関して5人以上を可とするとなっています。基本的には基本的対処方針に沿った形で措置することでいいと思っていますが、そこは私も悩んでいるところでして、最終結論を明日専門家に諮るまでに考えたいと思います。

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知事直轄組織広報課

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