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令和4年5月31日定例知事記者会見

令和4年度6月補正予算案の概要について

本日は、令和4年度の6月補正予算案が概ね取りまとまりましたのでその概要をご説明いたします。

予算編成の基本方針

まず全体の予算編成方針ですが、大きく分けて二つございまして、一つ目はコロナ禍が長引いていることやウクライナ情勢をはじめとする国際情勢の不安定化等も受け、原油価格や物価高騰が続いていますので、その影響を受け生活に困ってる方や府内の中小企業の方への緊急支援を行うものです。

その上で(二つ目は)知事の2期目をスタートさせる肉付け補正予算として、あたたかい京都づくりを始動させようというものです。

施策体系は、大きい二つの柱と、「あたたかい京都づくりの始動」の中では「安心」「温もり」「夢を実現」という大きく三つの柱に、それぞれ九つの施策を位置付けておりますので、以下順にご説明をさせいただきます。

1.原油・物価高騰等に対する緊急対策

まず原油・物価高騰等に対する緊急対策でございます。

緊急生活支援事業費ということで2.6億円規模です。

社会福祉協議会やこどもの居場所等を通じまして、生活に困窮されている方へ食料品や生活必需品を配布します。また大学等が実施する学生の生活支援の取組を支援させていただく事業です。

 

次に、生活困窮者自立支援強化事業費ということで4百万円規模です。

京都テルサ内にあります自立就労サポートセンターの体制を強化し、生活困窮者に寄り添った支援をしたいと考えております。

 

次に、学習費高騰緊急対策事業費ということで6千万円規模でございます。

これは学びのセーフティネットの充実として、例えば教材費や修学旅行・遠足等で利用するバス代等の値上げ分について補助を行うものです。

 

次に、非正規雇用女性等緊急就労支援事業費ということで4千万円規模でございます。

コロナ禍によりまして離職をされた非正規雇用女性等の緊急支援として、正規雇用への転換を支援します。また、短期の雇用型の研修や社会人向けのインターンシップに対する補助等を行うものです。

 

次に、小規模事業者に対する緊急支援事業費ということで11.1億円規模でございます。

5月補正予算でも支援事業を編成しましたが、今回は特に消費者への転嫁が難しい小規模事業者に対象を絞った上で支援をするものです。ハードでは省エネ機器やシステムの導入費、ソフトではWEBセミナーやオンライン相談、専門家の方による経営相談が対象です。

(支援の対象が)小規模事業者ですので、5月補正予算と比べますと、補助の上限を引き下げているかわりに、補助率を4分の3に引き上げ、手厚い内容にしております。

 

次に、物流拠点高度化・効率化推進事業費ということで、1.1億円規模でございます。

中小の物流事業者は非常に(原油や物価高騰の)影響を受けていますので、効率化のためのデジタル化等を支援してまいります。

 

次に、府内産小麦等転換促進緊急対策事業費として5千万円規模でございます。

国際情勢により価格が高騰しています小麦等の安定供給のために、米から小麦等への緊急転換についてソフトとハード合わせて支援をするものでございます。

 

次に、府内産農林水産加工食品等緊急販売促進事業費として、6千万円規模でございます。

首都圏向けと府内向けに、フェア等の開催や販売促進活動への支援等を行います。

 

次に、宇治茶生産省エネ推進緊急対策事業費として1.0億円規模でございます。

特に燃油価格が高騰していることから、生産に必要なボイラーやバーナー等をより燃焼効率の高いものに交換する際に支援を行います。

 

それから、輸入飼料価格高騰対策緊急支援事業費1.4億円規模ということで、畜産農家が自給飼料を生産するための機械導入等についての支援です。

以上が緊急支援の中身です。

2.あたたかい京都づくりの始動
~府民の命と健康を守り抜く安心の京都の構築~

(1)感染症対策の強化と医療・福祉基盤の充実

「あたたかい京都づくりの始動」ということで、まずは、「安心」の分野の1番目の柱が「感染症対策の強化と医療・福祉基盤の充実」です。

一つ目が、総合医師確保対策費2.9億円規模でございます。

これは診療科の偏在がありますが、産科医師の不足に対応するため、医療機関の連携により安心安全な分娩ができる体制を構築するものです。最終的に総合周産期母子医療センターとして府立医大や京大の附属病院、第一日本赤十字病院に繋いでいくということで、産科から地域の中核病院、そしてこのセンターをシステムで繋ぐことによって、安心して分娩ができる体制を構築するものです。医師不足の中でシステムによってできる限り安心・安全な分娩に繋げたいというものです。

 

次に、新興感染症対策強化事業費5.0億円規模でございます。

これは今後の新興感染症対応ということで、元々一般病床であるものを感染症が出た時にはできる限り速やかに感染症対応の病床に転用できるような施設や設備整備を支援するものです。

また、医療人材の育成も合わせて実施します。

 

それから社会福祉施設等整備助成費16.6億円規模でございます。

拡充としているのは、新たに整備する17か所が決まりましたので、それについて必要な追加の予算でございます。

(2)防災・減災、防犯対策の強化

二つ目の柱が「防災・減災、防犯対策の強化」でございます。

災害時避難行動促進事業費2千万円規模でございます。

これは災害情報をなるべくオープン化することにより、民間事業者の避難誘導アプリの開発を促進しようというものです。

 

次の舞鶴警察署建設計画費は、基本計画を策定するための費用で1百万円規模でございます。

現在本庁舎が元々の舞鶴西警察署にあり、分庁舎が舞鶴東警察署にあるということで、舞鶴警察として組織としては一つなんですが、(庁舎が)分かれております。しかも老朽化して耐震性も不足していますので、地域の安全拠点にふさわしいものにするため、庁舎統合のための計画の検討費です。

 

次に、情報セキュリティあんしん対策事業費6千万円規模でございます。

病院等でもサイバー攻撃が起きていますが、きちんと情報管理をするためのセミナーの開催や専門家の派遣、それから中小企業や病院等で情報セキュリティ対策をする場合に上限100万円で支援を行うものです。

 

それからネットトラブル対策充実強化費7百万円規模につきましては、タブレット端末を活用して、ネットトラブル対策の教育の充実を行うものです。

2.あたたかい京都づくりの始動
~子育てにやさしく誰もが温もりを感じられる京都の実現~

(3)子育て環境日本一・京都の実現

「あたたかい京都づくりの始動」の二つ目の「温もり」についてでございます。

まずは、子育て環境日本一推進条例(仮称)検討費として1千万円規模でございます。

私としては2期目に入って子育て環境日本一の推進をより充実・進めたいという観点から、条例の制定を検討いたします。(条例に)盛り込む内容を検討するため、その前提となりますアンケート調査等を実施したいと考えておりまして、そうしたものに必要な経費でございます。

 

それから、府立学校教育環境整備事業費は拡充として1.7億円規模でございますけれども、府立学校の空調等の整備をするものでございます。

 

それから、きょうと婚活応援センター強化事業費2千万円規模でございます。今までから婚活支援につきましては、個別相談等を中心に行っておりましたけれども、例えばスポーツ観戦等を通じた婚活イベントやAIを使ったマッチングシステムの導入等も進めてまいります。

 

次に、産学公連携京都ママ・パパ応援プラットフォーム(仮称)事業費1千万円規模でございます。

 

子育て環境については、風土づくり・まちづくり・職場づくりと実施してきましたが、行政だけでは当然できないということで、様々な企業・団体の方にも参画いただいています。例えば京都駅に設置している赤ちゃんの応援施設等も民間企業が開発されていますし、様々な子育てにやさしい商品をある程度商業ベースに乗せていけば、新たな商品やサービスの開発に繋がるのではないかと考えています。ただし立ち上げには様々な費用もかかるので、京都府子育て環境日本一推進会議の中にプラットフォームを構築して、赤ちゃんに優しく、ママ・パパに役立つものづくりやサービスづくりを推進するものです。

 

それから、学生安心就職トライアル促進事業費ということで1千万円規模です。

子育てにやさしい職場づくり宣言実践企業は非常に増えてきていますが、そこで職場体験をしていただいて、最終的にはそうしたところへの就職を促進していくマッチング支援等です。

(4)府民の暮らしを温める共生社会づくり

京都府生涯現役クリエイティブセンター支援強化事業費6百万円規模でございます。

拡充というのは当初予算でも組んでいますが、特にミドルシニア層からスタートしたセミナー等の支援対象者を、若者・女性向けに拡大して欲しいという要望が非常に強く、大学でもリカレント教育等が少しずつ進み始めてますので、大学・企業等が行うリカレント教育をオール京都で推進していくということで、「京都府リカレント教育推進機構(仮称)」を設置し、皆でもっとリカレント教育を拡大していこうというためのものです。

それから、京都の未来をつくる「DX人材育成・産業創発」プロジェクト事業費2.5億円規模でございます。

これは国の補助制度も活用いたしまして、例えば自社工場でのIoTシステムの導入やAIを導入して業務の効率化・社員の処遇改善に繋げる等様々な取組に対して、支援を行うものです。

2.あたたかい京都づくりの始動
~夢(ゆめ)や希望にあふれる魅力と活力の京都の創造~

(5)未来を拓く産業づくり

3つ目の柱の「夢(ゆめ)や希望にあふれる魅力と活力の京都の創造」ということでございます。

まずは、産業創造リーディングゾーン(仮称)構築事業費2.9億円規模でございます。

マニフェストでも主張しておりましたが、地域の特性を活かした特色あるリーディングゾーンを府内全域で展開したいと思っております。最終的には、府内で10以上のゾーンを展開したいと思っておりますし、総合計画の中で位置づけたいと思っています。ただ、民間事業なり民間企業を入れていくということで、先行して取り組んでいかなければならない、特に熟度が高い6つのゾーンについては今回の予算の中で取組を予算化しております。

一つ目の「アート&テクノロジー・ヴィレッジの推進」は、令和5年度のオープンに向けてということになりますので、ネットワーク作りやプレイベントの開催などです。

二つ目が、「伝統産業の産地振興拠点の創出」ということです。これは、西陣・堀川エリアや丹後地域の拠点形成に向けた連携・新商品の開発等でございます。

三つ目は、「脱炭素テクノロジーによる産業創出ゾーンZET-valleyの創出」です。脱炭素関連企業の産業集積をしたいということで、その拠点としてのZET-valleyを創りたいということです。関連のスタートアップ企業と大手企業の交流や人材育成の取組を実施したいと思います。

四つ目は、「コンテンツ産業の競争力強化を目指す太秦メディアパーク構想の実現」です。これは、メディアの垣根を越えて、コンテンツ作りのノウハウを学び合うような人材育成拠点として最新技術の習得、といったことを実施するためのものです。

五つ目は、「デジタル技術を駆使したスマートシティの実現」です。けいはんな学研都市でのスマートサービスの実装等を支援ということで、例えばウェアラブルデバイス等を活用したスマートライフサービス等、今でも、腕時計型のもので心拍数といった健康情報等様々なデータを活用したサービスがあります。そうしたものの実装をけいはんな学研都市でやりたいと思っています。

六つ目は、「京都フードテック構想(仮称)の実現」です。フードテック構想の具体化を図るため、京もの食品のブランド力強化や新市場を創出するために取り組んでまいります。

最後に、全体のマネジメントということで、全体の推進費というものでございます。これについては、有識者によるアドバイザーリーボードを設置し、全体のマネジメントをやっていこうということでございます。ネットワーク作り等も行っていこうと思っております。以上が、「産業創造リーディングゾーン(仮称)構築事業費」です。

 

次に、京都観光アカデミー(仮称)創設事業費1千万円規模でございます。

日本全体で人手不足ということでございますが、やはり新しい観光サービスを提供できるような人材を育成することや、観光だけでなく様々な団体との連携による観光人材の育成強化をしていきたいというものです。特にコロナ禍を経て一部観光分野から人が流出しているようなこともございまして、観光がいずれ回復してくる時に人材がネックになるのではないかという声も多く聞いておりますので、そうしたことへの対応でございます。

次に地域の魅力を活かした観光振興事業費1千万円規模でございます。

これは拡充ですが、令和3年度は京丹後市の夕日ヶ浦エリアでデータ収集をいたしました。今回の令和4年度の拡充分では、日帰り観光のモデルとして事業を実施したいと思います。

 

次に、「京の食」ブランド総合戦略事業費で、産学公が連携した新たなブランド商品・サービスの創出ということで6千万円規模です。今までから行っております金あじ養殖等は、良質な脂肪を増やすなど様々言われていますので、そうした健康に対する効果や研究開発、付加価値への支援、海外輸出用冷凍高級弁当、京都プレミアム中食など様々なところで新しいサービスや商品の創出のための経費です。

 

次に、「京の木」循環利用総合対策事業費8千万円規模です。

林業は今、元々のウッドショックやロシアの影響などで価格が高騰したり、様々な不安定な状況があります。改めて林業・木材産業、特に府内産木材等の利用促進をするためにということで、法律の改正もありましたし、この4月から条例も施行されていますのでそれを受けての取組ということです。

(6)文化首都・京都の発信強化

文化庁の関係です。先日、総理に移転現場を視察いただき、3月27日の業務開始と、5月15日までに大半の職員が移転することがオープンになりましたので、いよいよそれに向けて取組を強化していかなければならないということです。その中でやはり文化庁が京都に来るということを国内外に発信する必要があるということで、効果的な広報を実施するための文化芸術発信強化事業費6千万円規模です。

もう一つは、無形文化財「京料理」魅力発信事業費1千万円規模です。

これは(京料理の)無形文化財登録に向けた魅力の発信ということです。国の審議会が10月に予定されていますが、そのためのフェアの開催等でございます。

(7)環境との共生

環境の関係では、脱炭素社会実現加速化事業費1.5億円規模です。

再エネ、省エネ、次世代エネルギーという3つの分野で取組を強化していこうということで、太陽光発電導入の支援や建築物の「京都府ZEBアドバイザー」によるなるべく建物の脱炭素化に近づけるために事業者に対する相談、助言を実施します。また、小型水素ステーションについて、舞鶴港で水素利用の実証実験を実施していますが、それを踏まえて水素の供給システムを整備するということで、新たな支援制度を上限1千5百万円で実施したいと思います。

(8)魅力ある地域づくり

8つ目の「魅力ある地域づくり」として、「移住するなら京都」推進事業費4千万円規模です。

この4月から移住条例の全部改正が施行されております。しかも、コロナ禍を経た田園回帰、地方への若者の関心も高まっているということを受けた移住支援です。拠点整備を行う市町村への支援や先輩移住者のネットワークを構築し、受入体制を整備するようなこともやっていきたいと思います。

 

次に、大阪・関西万博構想検討費1千万円規模です。

これは、関西広域連合が設置するパビリオン内での京都府の展示内容の検討や、大阪・関西万博の時にどうやって京都にお客様に来てもらうか、海外から視察に来られる企業と府内企業との連携など、そういったものをどうやって進めていこうかというための基本構想を策定するための経費です。

 

次に、スポーツ施設夜間照明等整備費1.6億円規模です。

場所は山城総合運動公園と亀岡運動公園において、選手エリア整備と合わせて夜間照明等の整備を行うものでございます。

 

次に、京のジュニアスポーツアカデミー(仮称)創生調査検討費1百万円規模です。

これは検討費ですが、少子化ということで、なかなか地域の活動や学校のクラブ活動でも先生方の働き方改革もありますし、少子化の影響もあって、地域の子ども達がどうしたらスポーツを楽しめる環境になるのかということで、最終的にはそれを支えるようなアカデミーをつくりたいと思いますが、どういうものが必要かという仕組みづくりについて調査検討から入っていきたいと思います。

 

次に、大学・学生の力発揮推進事業費4千万円規模です。

京都は学生のまちですが、コロナ禍の感染防止対策ということで、大学とのネットワークが出来ました。従来から就職支援や企業側にとっては人材育成という形でやっておりましたが、改めて府内大学と我々行政等で連携会議を設置し、様々な施策についてご協力いただくとともに、我々も大学側に対して貢献していきたいということでの基盤をつくっていきたいと思います。

それから新生・府立大学構想推進費4千万円規模については、令和6年度に向けて学部・学科再編を目指されておりますが、その準備を進める中で、施設の配置等も含めた基本計画の策定が必要でございます。そのための経費でございます。

(9)地域の成長・交流・暮らしを支える基盤整備

基盤整備の関係は、道路整備等の公共事業が74.0億円規模です。

箇所例を資料28ページに記載しております。

また、京都舞鶴港前島ふ頭旅客ターミナル建替調査費3千万円規模、府営住宅城南団地整備事業費4千万円規模の2事業は74.0億円規模の内数でございますが、箇所的にはこういったことについても検討してまいりたいと思います。

予算案の規模

最後に予算案の規模についてでございます。令和4年度の現計予算は1兆633億円で、今回の6月補正予算が251億円台です。合わせますと令和4年度補正後予算額は1兆884億円台でございます。この比較が難しく、令和4年度の現計予算は令和4年度の当初予算に加え、2月補正で協力金を措置していますのと、5月補正を既に行っていますので、そのまま比較すると比較ベースが異なります。2月と5月に補正したものを除いた額を申し上げますと、6月補正後予算案は1兆634億円になり、令和3年度当初予算と比較すると102.7%ということで2.7%の増です。令和4年度現計予算額には2月補正と5月補正が入っておりますので、それを除いた上で今回の補正予算を足して比較した場合ということです。

私からは以上です。よろしくお願いします。

 

 

質疑応答

記者

4月に2期目の知事選に当選され、今回、肉付けの意味合いが込められた予算になると思うが、改めて、そこに込められたねらいと思いについて教えていただきたい。

知事

令和4年度当初予算は、知事選挙を控えた骨格予算として編成させていただきました。選挙戦の中でも私自身のマニフェスト全体の理念で言いますと、「安心」と「ぬくもり」と「夢実現」で、「あたたかい京都」をつくるということを申し上げましたので、当初予算に加えて、この考え方に基づいて6月補正予算を編成させていただきました。

 

もう一つはその前段として、感染が続いております新型コロナウイルスから府民の皆さんの命と健康を守るということと、コロナで傷んだ暮らしや経済を立て直すと言っておりました。

更に、コロナ禍の長期化に加えて、原油価格や物価の高騰等が国際情勢の不安定化等もあって続いていますので、それに対しての緊急対策も必要だということで、今回の予算編成方針では、原油・物価高騰等に対する緊急支援と、「あたたかい京都」づくりを合わせて予算化しました。

肉づけ予算ということで、かなりの新規事業予算項目を当初予算ではなくこちらに入れていますので、項目が非常に多くなっています。

 

額の多さは別にして、私自身、特に力を入れたものを申し上げますと、一つはマニフェストの中に入れてましたけれども、産学公連携の京都ママ・パパ応援プラットフォーム(仮称)です。やはり子育て環境日本一の風土づくりというためには、多くの方に参加していただかないといけないということと、全て税金でやるということではないということです。

少し違う例になりますが、子育て応援レーンについて、今まで運転免許証とパスポートの申請窓口で設けていましたが、先日、郵便局との連携協定で京都中央郵便局に(子育て応援レーンを)設けてもらいました。こうした取組が広がっていけばいいですし、ママ・パパ応援になるような様々なサービスがあるのですが、そこに企業に踏み出してもらうためには、やっぱり実証をしてもらう、社会実験をしてもらう必要があると思います。このプラットフォームに関係者が集まり、利用する人の声も聞き、開発する企業の声も聞いて、いろいろなアイデアを出し合って子育て関係のビジネスにも繋げていきたいということです。ただ、実証やモニタリングには費用がかかるということでこれが一つです。

 

もう一つは産業創造リーディングゾーンです。これもマニフェストの中で言っていたのですが、やはりこれからの新しい産業を創出していくためには、地域特性やそのゾーンごとの特性に合わせて産業を集積させていく必要があるということで、府内10ヶ所以上のゾーン整備と全体の考え方は総合計画の検討の中でもう少し進めたいと思うのですが、スケジュールに乗っているところもありますので、先行して予算化させていただきました。

最初の原油・高物価高騰対策のよう緊急支援やコロナ禍が長引いてゼロゼロ融資等の利子補給期間の終了と返済の始まる時期が令和5年度からピークを迎えることに対する支援も必要ですが、長い目で見ると京都産業全体を支えていくためには是非とも必要だということで力を入れた項目です。

 

それからもう一つは、生涯現役クリエイティブセンター支援強化事業費です。これは昨年8月に作ったばかりで最初は小さく始めたのですが、非常にニーズが高いということと、コロナ禍が落ち着いてくると、やはり人材育成や人手不足対策というのが非常に重要だということや、超高齢社会で生涯働き続けたいといったいろいろなニーズがちょうどこのクリエイティブセンターに集まってきました。

その中の一つで、(センターの支援対象は)ミドルシニア層から始めたんですが、若者や女性からも学び直したいとか、もうちょっと違う道に進みたいという希望がありました。リカレント教育というのは特に若い層や女性に必要だということで、センターの支援強化という中では、リカレント教育推進機構(仮称)を作ってやっていこうということです。

 

他にもたくさんあるのですが、こういったことをマニフェストの中にも織り込みましたし、この間様々な方の声を聞いた中で盛り込ませていただきました。

いずれにしても、最終的には総合計画の改定等に盛り込んでいきますし、今回はあくまで6月補正予算なので、それを、次の令和5年度当初予算編成にも繋げていきたいと思います。

記者

予算案の規模について、補正額が251億円台とあるが、当初予算の段階で、骨格予算を肉付けするために基金を30億円程度積まれていたが、この額に比べると251億円は開きがある。どういう財源を持ってきて編成しているのか。

知事

基金に積んでいるのは純粋に一般財源と言われているもので、通常、一般財源の他に起債を入れたり、国の補助金や交付金を入れたりして全体予算が形成されます。(一般財源の)規模に対してこの(補正予算の)規模が普通の予算編成の規模感から言っても大きすぎることはありません。一般財源を最大限活用して必要な事業に予算を積ませていただいたと思っています。

例えば国の補助の箇所付けに入っている国庫補助金がありますし、地方創生臨時交付金も原油価格や物価高騰のために積まれたものもあり、その辺りはできる限り国庫や交付金を最大限活用して積ませていただきました。

記者

財政調整基金が当初予算の段階では30億円だが、補正が組まれた段階ではいくらまで減っているのか。

知事

骨格予算では、(30億円を)肉付け補正を睨んで財源として活用する前提だったので、そこは全額今回の6月補正で活用しております。

記者

原油・物価高の緊急支援について、改めて知事として府内の現状をどのように認識しているのか。また、今後についてどのように考えているか。

知事

コロナ禍で元々暮らしと経済は影響を受けております。若干、足下は観光を中心に回復基調にはあると思いますが、まだまだ厳しい状況があります。先行きを見ると、ゼロゼロ融資の無利子期間の終了と返済期間の始期が令和5年度にピークを迎える状況にあります。

そこにきて原油価格や原材料価格等の高騰を受け、企業経営が影響を受けています。非常に広範囲に渡っているのと、まだら模様なところもあります。例えば農業でも燃油を使っているところや電力を使っている所は、電気代の高騰、他には例えば生糸など原材料の高騰など、非常に影響が出ています。農業では肥料や飼料が値上がりしています。経費として計上される部分では全て影響が出ていますし、物価高騰という意味では、暮らしにも影響が出る可能性があります。物価高騰は全て経費として影響が出ていると思います。

もう一つは上海のロックダウンが中心と思われますが、部品調達が滞っていることや物流の混乱が続いていて、コンテナが不足しています。部品調達の他にも製品出荷でもうまく運べないといった影響が出ています。

国際情勢の混乱も含めて不透明感が始まったばかりなので、今後どうなっていくのかということに対する不透明感や不安定な状況はあるので、今の足下の状況だけではなく、今後もよく見ていかなければいけないと思います。今回は、今の時点で把握できている影響について、できる限り緊急的に手を打たなければいけないことについて(予算を)編成しました。これは京都府だけでなく国も含めてですが、今後の状況はまだまだ不安定な状況が続いているので、ここはよく注視して、もし必要があれば躊躇なく次の手を打っていく必要があると考えています。

今回は今言ったようなことを総合的に判断して、ただし、財源がたくさんある訳ではないので、その中でできる限りの対応をさせていただきました。

記者

産業創造リーディングゾーンについて、もう少し具体的にどういう形で推進していくのか。

知事

それぞれの所(ゾーン)によって熟度の違いがあります。例えばアート&テクノロジー・ヴィレッジであれば大山崎のマクセルの土地を無償で貸与していただけるので、当初予算でハード整備を入れています。そこにもう少しプレイベントが必要ではないかとか、そこに入る企業を入れるなど、もう(推進する)主体ができています。

例えば伝統産業については元々、西陣織と京友禅と丹後織物の3産地連携で海外進出のためのコンソーシアムができていますから、それを更に進めて産地における拠点形成をしていこうとしています。

例えばZET-valleyについては若干「これから感」がありますが、そういった産業の集積をしようということです。

太秦でも企業によっては新しいメディア技術についてのショールーム的なものを既に作ったりされています。そこで人材を育てるためにどういう拠点を作っていかないといけないか等、(取組の内容は)ソフトとハード両方があります。

けいはんなであれば、既に企業の研究所の立地も進んでいます。そこで行われるようなスマートサービスの実装支援などを行います。こういうのはまさにソフトの経費です。

ゾーンごとに熟度ややっている内容も違います。予算額も熟度が高いところには一定額を措置しています。

いずれ総合計画の中でも、トータルの形としてネットワークの考え方も合わせて示していこうと考えております。

記者

地域ごとに特区のような形で考えていくということか。

知事

そうした統一的な整備手法があればいいのですが、それは今後の検討です。

記者

文化庁の移転に関して、スケジュールも決まっていよいよだと思うが、新規事業に挙げられている発信強化事業費というのは、例えばイベントを開くのか、紙媒体で何か配ったりするのか、具体的に何をするのか。

知事

まだ具体的にはなっていません。私が徹底的にしようと思っているのが、京都府、京都市、商工会議所を中心にして、財界等オール京都で誘致をして、進めてきましたし、移転先はたまたま旧府警本部となりましたが、移転実務自体も三者のオール京都で進めています。

これから文化庁が京都に来ることを、一回しかないことなので、発信していくためにどういう広報戦略が必要かも含めて検討したいと思っています。例えばテレビコマーシャルを打つだけでもお金はかかりますが、そういうことではなく、舞台とか様々な普通に行っているイベントも文化庁が京都府に来るという時を捉えて、冠をつけて、内容を充実するといった手法もあります。その辺りの全体像を作っていきます。しかも京都府だけがやるということではなく、オール京都で発信を強化していこうと考えています。(それらを)これから考えるための予算です。

記者

大阪・関西万博についての基本構想はいつ頃までに決めたいと考えているのか。スケジュールはどうか。

知事

関西広域連合のパビリオンについては、当然、今ハードの方をやっていて、スケジュールに合わせて作っていく訳ですが、今回の予算に係る構想自体は今年度末までには最終案をまとめたいと思っています。

記者

選挙戦でいろいろなマニフェストを挙げられていたが、この6月補正には間に合わなかったが、もうすぐ実現させたいことがあるのか。もしくは残りの部分は来年度の当初予算になるのか。その辺りの考え方はどうか。

知事

マニフェストには細かいこともたくさんあるのですが、来年度の当初予算まで待たずとも、今年度は総合計画の改定をします。マニフェストはあくまで私自身が選挙戦で有権者の方に訴えたいと思ったことで、もちろんそれをベースに投票いただいたと思いますが、それを行政ベースに乗せていく作業がまさに総合計画の改定です。(マニフェストに記載したことは)予算が必要なものばかりではないのですが、最終的には計画の改定に反映させていきたいです。

特に、6月補正は先行的にまとめさせていただいたので、6月補正に盛り込んだ結果も含めて計画改定を行うということです。

例えば、京都版CDCをマニフェストに記載しましたが、最終的には構想を検討するための予算が必要になると思いますが、今はコロナ対応が続いている中なので、これが一区切りついたら着手したいと思っていますので、今回、予算化については触れていません。

いずれにしても令和5年度当初予算編成の前に、総合計画の改定の中でマニフェストとの関係は整理したいと思います。

記者

産業創造リーディングゾーンの全体のマネジメントについて、「全庁的な推進体制の構築」「アドバイザリーボードを設置」とあるが、推進体制の構築というのは、リーディングゾーンの上に例えば「○○課」といった体制を作るのか、それとも機運を高めるということか。

知事

アドバイザリーボードについては、外部の有識者のアドバイスをいただくということです。

全庁的な推進体制というのはゾーンを地域毎に決めますので、専任の担当者を置いて責任をもって推進するということです。組織改正はもう終わっていますが庁内の推進体制としてはいろんな部局にまたがっていきますので、10以上を目指しているそれぞれのゾーンの担当を置くことと、関連する部局を横串で集めて、そのヘッドが誰かを指定することが庁内組織体制のイメージです。具体的な固有名詞は今後検討したいと思います。

記者

子育て環境日本一推進条例について、子育て環境日本一を進めるにあたっての条例の位置付は。また、いつごろまでに制定する目途なのか。

知事

元々二元代表制の中で議会との関係で、知事部局と議会が両輪となって施策を推進するいう基本的なスタンスがある中で、条例が全体の府政推進の後押しになる力があると思っておりますので、より多くの主体を巻き込むためにも条例は必要だと考えております。現在既に様々な関連する条例等もありますのでそれとの兼ね合いもあります。また、条例は作るのが目的ではなく、どういう施策や項目を盛り込むかに懸かっていると思っていまして、条例(の制定)を推進することによって、(子育て環境日本一を)是非進めたいという思いはありますが、どういう施策を盛り込むのかということのために、今回予算化した中で意識調査(アンケート調査)等を実施して意見を取り込んでいこうと考えています。今のところ、どういうものかは具体的なイメージはないのですが、そのような経費だと考えていただければと思います。

記者

6月10日から外国人観光客の一般のツアーが再開となる。改めて知事の受け止めと、府民にも期待と不安があると思うが、府民に向けて呼び掛けるメッセージがあればお願いしたい。

知事

徐々に日常に近づけていく中で、京都府では府民の方の府内観光から、隣県との間の観光へと、国内観光需要を徐々に喚起してきました。そうした中で海外からの観光客について徐々に緩和され、従来の形に近づいていくことは観光都市京都としては歓迎すべきことだと思います。

ただ、府内でも感染が続いておりますし、海外からとなれば府民の皆様の不安がないようにしなければいけないと思っています。京都は元々コロナ前からかなりたくさんの海外からの観光客を受け入れていて、そうした方に対するサービスとして多言語による医療機関への案内といったことも行ってきています。現にコロナが拡大してからも相談センターには多言語のガイドラインがありますし、保健所も翻訳機を使った対応もしています。観光客以外にも外国人の居住者やビジネスの方もかなりおられます。そうした方への対応をこれまでもしてきましたので、まずはそうしたことを改めて確認した上で、6月10日以降にも対応していきたいと思います。

合わせて観光庁に対して、受け入れるにあたって(ガイドラインに)どんなことを盛り込んだ方がよいのかについて京都府として要望を出しております。国が実証実験をやっておられて、その成果を持ち込んだ上でガイドラインが示されることになっています。京都府としての今までの経験を踏まえたようなことを(ガイドラインに)盛り込むべきだと言っています。

京都府としても、府内で外国人旅行者の感染が疑われた場合どうしたらいいか、まず新型コロナ医療相談センターに電話してもらうよう案内するチラシを、昨日、旅行事業者や宿泊施設、損害保険協会にも送っております。万が一旅行者の方に感染が出た場合はいち早く隔離して、その旅行者のためにもきちっと療養体制を整えますし、そのような対応をしているということを府内に広く周知することで府民の皆さんの安心の確保に繋げたいと思っています。

いずれにしても、国が実証実験を踏まえてガイドラインを作ってこられるので、それに沿ってきちっとした対応をしたいと思います。

記者

昨年度と比較して予算が増加しているのは、何が押し上げ要因になっているのか。

知事

例えば、新型コロナウイルス感染症の関係経費が約83億円の追加となっている他、公共事業は(国の)内示を踏まえて74億円が追加となっています。そのあたりが増加要因として大きいです。

記者

海外でサル痘が出ているが、国内では確認されていないが、今後新たな感染症対策で考えていることはあるか。

知事

サル痘については報道ベースで承知しておりますし、気にはなっていますが、現在、京都府に差し迫った形でサル痘への対応を求められていることはなく、今後も注視したいと思います。

ただ、今は新型コロナウイルス感染症が流行していますが、それまでもSARSやMERS、新型インフルエンザ等、感染症が一定の周期で脅威になっていることを見れば、今後も新興感染症に対する対応はきちっとしないといけないと思います。

政府もそういう意識をもっているようですが、サル痘がどうというよりも、新興感染症の対応は必須です。今回の予算案の中にも一般病床を感染症用の病床に転換する場合の予算も入れております。今回予算化しておりませんが、京都版CDCのようなものも、今回の教訓を踏まえてある程度京都府でも迅速に様々な分析ができて、それが対策に活かせないかという備えは常に必要だと思います。

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