ここから本文です。

令和6年6月27日定例知事記者会見

「親子誰でも通園モデル事業」の実施について

1点目は「親子誰でも通園モデル事業」の実施についてです。

京都府では、身近に子育ての相談をできる人がおらず、孤立感を感じている子育て世代の不安を軽減するために、在宅育児されている家庭のこどもだけでなく、保護者の方も保育所などに一緒に通園いただき、「親育ち」を支援するモデル事業を7月から開始いたします。

これは、国の「こども誰でも通園制度」を試行実施される京都市及び宇治市内の計13施設におきまして、通園したこどもへの保育、すなわち「子育ち支援」が行われる機会を捉えて、一緒に通園された保護者の方に「親育ち支援」を行うものです。

具体的には、例えば、乳幼児との関わり方の助言などを行うことによる親子の愛着形成支援、子育てを学ぶ機会を継続的に提供することによる子育ての自信醸成、保護者同士のつながりを生み出すことによる孤立感の解消、といった取組を想定しています。

このモデル事業を通じて「親育ち支援」の効果を検証し、令和8年度に国が「こども誰でも通園制度」を本格実施される際に、「子育ち支援」と「親育ち支援」を一体的に行う京都府モデルを取り入れるよう、国に提案をしてまいりたいと考えております。

取組については、令和6年度当初予算案の概要を発表した際にもご説明させていただいており、国の試行的事業に合わせたモデル事業ということで、両市において募集を始めておりますが、子育て環境日本一の実現に向けた在宅育児家庭支援の新たな取組として実施していきますので、改めての周知をよろしくお願いします。

「親子誰でも通園モデル事業」の実施について(PDF:190KB)

「Lワークフェス」の開催について

2点目は体験型企業説明会「Lワークフェス」の開催についてです。

京都府では、ひきこもり状態にある方やその家族、支援機関・団体、企業などからの相談に対応する総合窓口として、「京都府つながる・学ぶ・働く支援センター」、通称「Lコネクト」を設置し、支援が必要な方が社会参加や就労につながるように、企業などと連携した就労体験の取組などを行っています。

その一環として、仕事体験を通じて働くことをイメージできる合同企業説明会「Lワークフェス」を7月26日にキャンパスプラザ京都で開催いたします。

この取組は昨年度に引き続き2回目となりますが、当日は、自宅にいるだけでは知ることができない仕事現場が体験できるプログラムを中心に、府内企業8社による合同企業説明会を行いますとともに、今回新たに、府北部の企業に参加いただくオンライン説明会「北京都ブース」を設置いたします。

仕事体験を通じて「やりたいこと」「できること」を見つけて新しい自分と出会えるイベントとなっていますので、周知についての御協力のお願いとともに、当日の取材につきましても御協力をよろしくお願いします。

私からは以上です。

「Lワークフェス」の開催について(PDF:948KB)

質疑応答

記者

「親子誰でも通園モデル事業」について確認したいが、必要な経費の上乗せ補助については、府から各市町村に補助するものなのか、それとも保育園に補助するものなのか。

知事

国において、「こども誰でも通園制度」を実施するということで、それに手を挙げる自治体を募集し、京都市と宇治市が参加することになりました。この制度を実施される保育所などにおいて親も一緒に通園し、「親育ち」への支援機能を付加する場合に、京都府が保育所などに支援をするという仕組みです。

記者

保育園側からすると、保育士の数が決まっている中で、この制度を受け入れることで、業務や負担が増えるのではないかという指摘があるが、府として何か独自の施策や支援制度の実施を考えているか。

知事

この制度はもちろん強制するものではないです。制度の趣旨として、我々は事業効果や施策の効果はあると考えていますが、いわゆる園側の事情もあります。

今回、国の「こども誰でも通園制度」に手を挙げている26施設のうち、半分の13施設が参加するということなので、当然そのマンパワーの点も含めて、園の方で御判断いただいたのではないかと考えています。

この制度自身を受けるための我々の支援はあります。保育士の確保ということに絞った支援制度ではありませんが、全体として支援をしているので、その分が保育士の確保にも一定程度活かされているのではないかと考えています。

記者

このモデル事業を始めるにあたって、府としての独自の施策というのはあるのか。

知事

「親子誰でも通園制度」という施策自体、おそらく全国でも京都府だけが打ち出したものです。これは昨年の子育て環境日本一推進戦略の中のプロジェクトとして盛り込んでいますので、まさにそういう制度をやろうということ自体が初めての試みなので、この試み自体が府独自だと言えば独自です。

ただ、ずっと府独自でやっていく訳にもいかないので、国が「こども誰でも通園制度」をするのであれば、ぜひ親御さんも参加する形でする方がいいのではないかということを、国に提案しよう考えています。提案するにあたって、その効果や、実施する場合の色々な課題といったことも実証しないと、迫力を持って国に政策提案できないと考えています。そのため、今年度は我々独自で試行的に、しかも国の制度とタイアップする形でさせていただいて、課題や効果も含めて実証した上で、国の方に全国制度として採用していただくようにお願いしていこうと考えています。

記者

全国的な制度としては保育園に入る前の子どもを受け入れて預かるということだが、京都府では親も一緒に保育園に行き、他の親御さんと関わったり、育児の不安を相談できる場を設けるということか。

知事

そうです。先ほどの説明の中でも取り上げましたが、効果としては、そもそも親が子どもに対してどのように育児をしていけばいいのか分からない方もおられますので、そうしたことを学ぶのと、親同士の繋がりについて孤立や孤独を感じている保護者の方への対応にもなるということで、様々な効果があると考えています。

記者

「親子誰でも通園モデル事業」に参加される親の人数に制限があるか。

知事

施設ごとに受け入れる体制が違いますので、施設ごとに枠を設定して募集をされています。

記者

実際にこの取組を知事は見に行くのか。

知事

園の方の私の受け入れ体制もあり、参加されている方々が望まれないのに行っても良くないと思います。効果検証というよりも、どういう現場になっているのかを見てみたいという気持ちはあります。

記者

7月1日から一斉にスタートするのか。

知事

そうです。

記者

「親子誰でも通園モデル事業」の実施は7月からということで、園によっても違うかと思うが、すでに申し込みは始まっているのか。

知事

申し込みは、宇治市、京都市の方で、もう既に開始しています。これは、それぞれの市の方で記者発表をされています。

今回は、我々の方が打ち出した施策ということもあり、いよいよ7月から始まるので、このタイミングで改めて周知したということです。

記者

今の段階でどれぐらいの申し込みがあるのか。また、7月から3月の間にどれぐらいの利用を見込んでいるのか。

知事

利用の見込みだけで言うと延べ5,000人程度と想定していますが、それは3月までの間に1施設あたり80日程度実施され、1日あたり5人程度の利用ということを単に計算しているだけです。いずれ取りまとめますが、現段階では分かりません。

なお、京都市では、施設の数が少ないということもあり、既に枠が埋まっています。

記者

「親子誰でも通園モデル事業」について、知事が子育て環境日本一を掲げている中、全国初の事業ということで、知事の想いがあってのことだと思うが、改めて、この事業で期待される効果や願いについて伺いたい。

知事

それはやっぱり、子どもの健やかな成長もあるのですが、そのためには親御さんにしっかり対応していただかないといけません。ただ実際、誰かに頼りたいけれども、近所に相談できる人がいますかというと非常に少ないですとか、非常に孤独感や孤立を感じる人が多いということです。それを解消するということであれば、やはり子育て世代同士の交流というのが非常に重要です。

以前であれば、近所に子どもも多くいて、コミュニティーの中でそういうことが学べました。今も、そういう地域もあるんですけれども、そうじゃないところでほとんど相談ができないということであれば、保育園に子どもを預けていただく際に親御さんにもちょっと来ていただいて、子どもの様子を見ることもありますが、親同士の交流を通じて孤独・孤立を解消していくことが一番重要と考えています。もちろんそれ以外に、先ほども言いました、愛着を形成するとか、子育てしているといろいろなことが起こりますが、子育てに対して自信を持ってやってもらうとか、様々な効果を期待しています。

記者

今回、「親子誰でも通園モデル事業」を実施するのは、京都市と宇治市のみということで、しかも京都市は4施設のみということで、対象施設数が少ないのではないかと感じるが、もっと全市町村でやるとか、京都市でも幅広く施設を広げるというようなことは難しいのか。

知事

この2市が対象になっているのは、国が試行的に事業を実施される「こども誰でも通園制度」に手を挙げたのが、この2市だったということで、それぞれの事業所数では、京都市が13で、宇治市が11です。

そのうち、府の「親子誰でも通園モデル事業」の実施意向のある施設が、ここに表した数字です。もともと根っことして宇治市と京都市のみが「こども誰でも通園制度」に手を挙げたということなので、我々はそれに乗っていかざるを得ないということがありました。

それと、初めてのことなので、先ほども少し話が出ましたが、園の方の負担やどうやってやるのかなど、園の方でも当然様々な検討をされたと思います。まずは初めてやるので、それが、どういうふうに保護者の方に子育ての上で評価されるのかや、課題がどうかなど、そういう整理をするために今回実施する面が大きいです。まずは大々的にやるよりも、我々としては、これだけでも手を挙げていただいたということであれば、実証するには十分かなと思いますので、まずは小さく生んでということだと考えています。

記者

ベースとなっている「こども誰でも通園制度」は、例えば京都市では抽選が終わっており、4割ぐらいが落選していると聞いている。ニーズはかなりあるにも関わらず、今のところ「誰でも」という状態ではないということで、保育園側の受け入れ体制のこともあり、制度が先行して、追い付いていない状態なのではないかと思うが、知事の考えはどうか。

また、府独自の取組である「親子誰でも通園モデル事業」を発展させていくにあたって、もう一歩、保育園への支援というのも必要かと思うが、どうか。

知事

まだ、そこまではいっていません。というのは、「こども誰でも通園制度」自体が、試行的に実施するということを国が言っています。国が本格的な実施までに一定の年限を置いたのは、今まさに指摘された園の受け入れ体制の問題などがあり、新しい制度なのでやってみないと課題も分からないからだと思います。支援の話もすぐに出ますが、どういう支援をすれば、園も受け入れられるようになり、より手が挙がるのかなどを検討する必要があります。

市町村も初めてすることにはハードルがあると考えています。京都市と宇治市は人口で言えば一番目と二番目に多いところなので、行政側にもそれなりのマンパワーがあるし、園も比較的多いということで実施されることになったのだと思います。まずそこで上手くいけば、参加する市町村も更に広がっていくと考えています。

今回の事業をまずは円滑に導入することが一番重要であり、その中で様々な課題も見えてくるので、それを踏まえて、もし制度を改善する必要性が出てくれば、国も考えないといけませんが、我々も合わせて考えていきたいです。

記者

間人ガニの産地偽装に係る再発防止策として、タグに通し番号をつけてもらい、府としてもその管理に関わっていくとのことだが、改めて、受け止めと、再発防止策の実効可能性についてどのように考えているか伺いたい。

知事

今回、2回目の協議会で取りまとめられた新たなタグの管理の仕組みは、通し番号付きのタグを導入して、港ごとに漁業者による使用記録簿等を作成・提出し、漁協の方で管理とタグの突合を行うというものです。それから、第三者による確認として、協議会の委員による定期的なチェックを行うとか、意識向上のためのコンプライアンスやブランディング研修などを実施するということです。タグの適正管理につながるもので、私としては実効性のある再発防止策ではないかと考えています。

しかも、この通し番号付きタグは京都府産のズワイガニ全体に適用し、個体番号ごとに漁船名や水揚げ漁港などの情報を、府の漁協がホームページに掲載するということで、消費者の方も確認できるシステムにするとお聞きしています。全国のズワイガニ産地の中でも、あまり例のないような透明性の高い取組ではないかと考えています。

今後これを順次現場に導入していくための準備も要りますし、実証を繰り返して、11月の漁期開始までには、皆さんがこの新しいタグ管理のシステムに慣れて、実践できるように、我々としても全力でサポートしていきたいと考えています。

記者

PFAS(有機フッ素化合物)の件について、綾部市の市民団体が府に(対策や調査などを)要望しており、宇治市や福知山市などの府内各地においても基準値を超える数値が確認されているが、府としての独自の調査の実施などは考えているか。

知事

独自かどうか分かりませんが、もともと綾部市の河川で濃度が高いところが分かったので、発生元だと推定される事業所に対して、法的権限はありませんが、国の研究所の力も借りて、対応策を助言することなどをしています。その際に、飲用が一番健康被害の恐れがあるということで、飲用井戸の使用の停止など、必要な措置を講じています。それから、河川、公共用水域だけではなく、水道水についてはもともと定期的に観測しています。府内で、一旦基準値を超えたところがありましたが、次回測った際には、全部の箇所で、暫定基準値を下回っていました。引き続きこうした調査をしていきますし、国の方も水道水について、全国での調査を依頼されているようですので、水道事業体の中では、調査をしていなかったところもあるので、そういうものも含めて、秋までに、国の指示に基づいて、調査をきちんとしていただきたいと考えています。

独自というか、そうした全体の流れの中では、必要な調査を行っていると考えています。

記者

綾部市で農林水産省が農作物への影響を調べる調査を実施しているが、これに関して何か府と農林水産省で情報共有などはしているか。

知事

これはもともと農林水産省が農地の土壌や農業用水の中にあるPFASが、水や土を通して農作物にどのように移行しているかというような調査研究を全国レベルでされているものです。

その中で、京都府内でも綾部市でその調査が行われていると聞いています。農林水産省の調査研究ですが、我々も必要な協力はさせていただきたいと考えていますし、また綾部市と連携して、できる限り早い科学的知見の確立や、知見が確立すればそれに合わせた対策を国に求めていきたいと考えています。

ただ、今のところまだ土壌から農作物への移行についても分かりませんし、それが人体にどういう影響出るかということも、まだ評価基準も決まっていないということなので、まずは農林水産省がそれを知るために調査研究をされていますので、それに協力をしたいです。

記者

農林水産省は「数値は非公開」と言っているが、府の方に適宜連絡があったりなどの連携体制についてはどうか。

知事

農林水産省から府に教えていただけるのかまでは分かりません。

ただし、我々は農業への被害だけではなく健康被害も含めて、国の方に科学的知見を求めています。当然その科学的知見が確立されれば、いつかの段階で公表しないと安心感に繋がらないと考えています。

ただそれをどの段階で、国の方が公表されるかということについては、私どもでは把握しかねていますが、できる限り前広に公表していただきたいという思いはあります。

記者

PFAS(有機フッ素化合物)について、国に対してどういうことをしてもらいたいと考えているか。

知事

そもそも現状は、水道水に係る暫定基準値しかありませんので、健康被害等も含めた人体への影響について、きちっとした科学的知見に基づいて見解を出してほしいです。

それから、綾部市の方の発生元と思えるところの事業所に対する国立環境研究所の助言についても、どういう有効な対応策があるのか調査に入っていただいていろいろご検討されていますけれども、これは国立環境研究所だけでなく環境省に対してもですが、科学的知見と、有効な発生減対策と、それから、その発生元の特定というのもあるんですけれども、そういうことをお願いしております。

記者

先日、石川県議会で北陸新幹線について、米原ルートを再考するべきだという決議がされたが、知事の受け止めはどうか。

知事

米原ルートを主張する声が上がっているということや石川県議会の動きは、報道を通じて承知していますが、これは石川県議会の話なので、私がそれについてコメントする立場にはありません。

ただ、私が前から言っているように、もともと、敦賀-大阪間のルートは、平成29年3月に与党PTの方で、敦賀から小浜・京都を経て大阪に至るルートが決定されています。しかもそのルートに基づいて今、環境アセスメントが行われているということなので、我々としては、そのアセスメントに対して、慎重な調査と丁寧な地元への説明と、環境保全に対する適切な対応ということをお願いしているということです。

石川県議会の動きがあっても、従来の立場については、特段の変更はないです。

記者

与党PTの方で、これまでの国の調査の結果が示されたとのことだが、それについての所見はどうか。

知事

調査ということで示されたものが施工上の課題調査ということであれば、それはあくまでアセスメントに併せて、施工上の課題を先行的に調べるためにやっておられるという範囲内の調査なので、それも含めて、アセスメントをきちんとやっていただくということのお願いについては、変わりません。

記者

北陸新幹線について、先日国土交通省の報告の中で、事業推進調査の令和5年度の取組状況が報告されたが、その中に、「建設発生土の受け入れ先確保について地元自治体との協議」や、「道路や河川といった工作物について管理者と協議」というような書き方がされているが、京都府としては、こうした協議を機構と行ったという事実はあるか。

知事

協議の定義が分かりませんが、当然、着工前提の協議をしている訳ではありません。例えば発生土の話であれば、府内全体で開発案件などがあるかといったことについて、一般的な調査や問い合わせがあったと聞いています。

道路や河川については、重要なインフラなので、様々な事業が行われる可能性もあります。そうしたことについて、事業予定やプロジェクトの構想があるかなどを聞かれているという話は聞いていますが、具体的ないわゆる協議ということについては、私自身は把握していません。

記者

発生土の話で言えば、府内で大きな開発があれば発生土がたくさん出るという話か。

知事

そうではなく、例えば発生土を使うところや、もし処分するということであれば一定の面積があるような開発案件があれば、そこに使えるといったことの調査だと考えています。

発生土を処分することの可能性ということですが、それも今はルートが決まっている訳ではないので、それほど具体的に突っ込んだものにはなっていないと聞いています。

記者

前回の会見で地方の財政負担の軽減について、そもそも受益に応じた負担しかすべきではなく、全体の負担を減らすためには、コスト縮減や貸付け料の見直し、地方債の償還期限延長や交付税措置などがあると仰ったが、これは知事として、こうしたことをすべきだという考えか、あるいは一般論としてこうした手法があるという説明か。

知事

一般論として、そうした手法があるということです。

というのは、全体の事業費や枠組みが決まっておらず、具体的なこともありませんし、従来から言っているのは、もともと国と自治体の負担割合や、府県間の負担割合のルールがあります。今紹介してもらったのは、全体の負担を圧縮するためには様々な方法があるということを言ったのであり、一般論です。

記者

知事として、これが有力といった考えがある訳ではないということか。

知事

全くありません。

ただ、受益に応じた負担にするために、圧縮するとなれば相当の工夫がいるとは思ったので、例示をしただけです。

記者

例示のうち、どれが求められてくるかは分からないが、いずれにしても何らかの軽減策を国や機構に考えてほしいということか。

知事

受益に応じた負担と言っているので、いくらになるかは別として、いずれにしても事業費から考えると相当な負担になることは間違いないので、それはできる限り抑えてほしいという思いはあります。

記者

改正地方自治法が成立し、国の指示権が広がるということについて、どう考えているか。

知事

今回の地方自治法の改正というのは、想定外の事態への対応に万全を期すという観点から、検討が進められてきたと認識しています。一方で、自治体の自主性や自立性を十分に尊重していただくことが大前提だということで、国が一方的に指示するのではなく、コミュニケーションをとって、それぞれが理解し合った上で、国と地方公共団体が補完し得るような運用にすべきではないかと、私も思っていましたし、そういう線で国に対しても主張してきたということです。

今回はあくまで、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に限ってということで、国と地方公共団体の関係では特例という位置付けですので、法律の仕組みの中でも、閣議決定を経て必要な限度において行うということや、あらかじめ地方公共団体の意見を求めるなど適切な措置を講ずるということが定められているので、条文上も一定の配慮があると思いますし、審議の過程で、衆参とも総務委員会の附帯決議の中で、我々の主張に沿った形で運用するようにということが決められていますので、私どもとしては、衆参の委員会の附帯決議を十分に踏まえた上で運用していただきたいと思いますし、そうなるように、これからも国には働きかけていきたいです。

記者

総理が8月から電気・ガス料金についての補助を再開すると表明したが、知事の受け止めと府としての対応はどうか。

知事

まず、総理が酷暑を乗り切るための緊急支援策ということで8月、9月、10月の3ヶ月に限って、電気・ガス料金補助を講じることや、燃料の激変緩和措置を年内に限り継続することを表明されていますが、これ自体については、京都府も、それから全国知事会も、政策提案で、エネルギー価格の動向を注視して負担抑制策を機動的に実施いただきたいと言っていましたので、そうした我々の政策提案に沿った表明だと思うので、できる限り迅速に実施をしていただきたいです。

併せて、表明の時に、例えば学校給食費についての保護者負担や、農林業や中小企業など、色々な広い分野の施策について、物価高騰への幅広い支援を、地方創生臨時交付金の拡充によって講ずることを検討すると表明されていますので、我々も、国の方の交付金も含めた検討状況も踏まえて、もしそれが出れば、できる限り速やかに物価高騰対策の検討をしてまいりたいと考えています。

今の段階で、交付金の運用も含めて、国の対応がどういう形になるのか分からないのですが、出てくれば速やかな対応をしたいと考えています。

記者

先日、総務省がふるさと納税について、運用基準の見直しを発表し、ポイントを付与するサイトを使って寄附することを禁止するという内容だったが、これに対する受け止めはどうか。また、京都府においても市町村と連携してふるさと納税の取組をしているが、そうしたものへの影響はどうか。

知事

ふるさと納税は、もともとはお世話になった地域に対して何らかの形で貢献したいので、そのために寄附をするというものです。

感謝の気持ちを表すというのが本来の趣旨なので、全てはその趣旨に則って、しかも国のルールに従って行う必要があると考えています。

ただルールについては、やはりその時々の状況に合わせて、これまでも何度か見直されています。昨年度も10月から運用を見直されていますので、我々としては、今回も、当然、国のルールに従った形で、しかもできる限り多くの方に寄附いただけるような形で対応したいと考えています。

ポータルサイトは皆さん使っておられるので、何らかの形での対応が必要になってくると思っていますが、今の段階では、ポータルサイトの運営事業者がどういった対応をとられるのかということです。

そういうことも踏まえながら、いずれにしても国がルールを決めたということであれば、それに則って適切に対応していくことに尽きると考えています。

記者

府議会運営委員会において、古川副知事の再任と、鈴木貴典副知事の後任として武田さんの新任の内示をされ、明日、正式に府議会に提案するということだが、それぞれの起用理由や期待するところを伺いたい。

知事

まず、古川副知事には令和2年7月1日以来、副知事として府政の推進に御尽力いただいておりますし、今年の3月23日からは、山下前副知事が退任した後の筆頭副知事として私を支えていただいています。6月30日で任期満了ということですが、引き続き筆頭副知事として府政を推進してもらい、私の進めている「あたたかい京都づくり」にぜひとも尽力していただきたいですし、筆頭副知事なので、2人の副知事をリードして、ぜひとも私を支えてほしいと思っており、そうしたことから、明日、2期目となります再任の議案を提案することとしたいと考えています。

鈴木貴典副知事におかれましては、令和3年7月6日に着任いただきまして、所管の部局を持たず、部局横断的な視点で特定の地域課題の解決に専任する副知事として、例えば、海、森、お茶の各DMOによります各地域振興の推進や、幹線鉄道網の整備、京都舞鶴港の振興、地域公共交通などで非常に大きな成果を上げていただいたところです。この度、御本人からの退任の申出もございまして、本日付けで副知事を退任いただくこととしています。

後任の副知事につきましては、鈴木貴典前副知事のこれまでの取組を継承していただき、更にそれを発展させていただくことが必要であると考えていまして、今回、府議会に選任の同意をお願いします、現在は国土交通省の物流・自動車局の総務課長であります武田一寧氏に、これまでの経験を活かしまして、積極的に府内各地を回って入り込んでいただき、地域が持つ地域が持つ強みを活かした地域振興の更なる推進や、地域の絆と個性を活かした成長と交流の基盤づくりの相互的推進、特に交通政策については造詣が深いと思いますので、ぜひとも力を発揮してもらいたいということで、明日28日に選任同意をお願いします。

記者

大津市で保護司の方が殺害された事件について、まだ容疑段階ではあるが、担当していた男が殺害をしたということだが、事件そのものへの受け止めはどうか。

知事

5月に大津市において、保護司の方が殺害されるという非常に痛ましい事件が発生いたしました。長い間にわたって熱意を持って、更生保護に御尽力をされていながら、お亡くなりになられた保護司の方に、心から哀悼の意を表します。

今、御指摘がありましたように、現在捜査が進行中ではありますが、他の保護司の方やその御家族の方は、やはり不安な思いをされていると思います。国においてもそうした不安の思いというものを聞き取って、安全に活動できるような対策を検討されているところでありまして、京都府としても積極的に協力していきたいと考えています。

府内でも本当に多くの保護司の方が更生保護のために活動されていますので、やはり安心して活動できる環境を整備するというのが、我々にとっても重要な課題だと考えています。

もともと保護司の方の仕事というのは、すごく大変なので、我々もできる限り広く保護司の方の体験談を紹介するなどして周知を図り、保護司の人材確保にも努めているところですし、青少年の非行事犯を対象とした研修会などに対して支援を行っています。やはり人材確保のためにも安心して活動できる環境を作っていくことが重要だと考えています。

今、国においては、例えば複数の保護司で担当することや、不安のある案件については保護観察官に担当を変更すること、あとは更生保護サポートセンターのようなしっかりとした面接場所を確保することなど、様々な対策を検討されています。その中でも、例えば更生保護サポートセンター等の面接場所確保ということであれば、我々の方でも制度改正なく協力できるものもありますので、まだ具体化はしていませんが、できることからやっておいた方がいいと考えています。

ただ、国の方がまとまったパッケージとして安全対策を打ち出されると思いますので、それに則ってきちんとやっていきたいですし、そうしたメッセージを保護司の方にも出していく必要があるのではないかと考えています。

記者

姫路城の入場料について、外国人の方は日本人より高くするという二重価格のような制度を検討されているが、こうしたやり方についてどう考えているか。

知事

これはなかなか難しく、まず公共交通機関については、国土交通省の方が、いわゆる公共料金については、(差をつけることが)なかなか難しいと仰っています。

一方で、様々な料金がある中で、外国人との差を設けるというのは、制度的には、実効性があるものになるかどうかは分かりませんが、可能性はあると思います。ただ、日本という国の海外に対するイメージをどうするかなどの問題も出てくると思いますので、私はストレートにそれを実施すべきという自信はありません。

海外の方がいろいろ来られることによって、例えば公共交通機関の混雑など、住民の方がコストをある程度負担されているという事実はある訳です。一方で経済的利益もある程度もたらしているところもあるという中で、一定のコストを誰かが負担するという時に、コストをかけている方が的確に負担するということであれば、そうした方法もあります。

ただ、姫路城がそういうことなのかどうかは分かりません。姫路城でかかっているコストは海外の方だけでなく、日本人も同じなのではないかと思いますが、宿泊税や観光の税などは、全体として取ろうという発想だと思いますので、これについては、私も勉強していないので分かりません。

記者

京都府でもインバウンドが盛んだが、参考にしたいという気持ちはあるか。

知事

京都府でやろうとしても、関所がある訳でもないので、なかなか徴収は物理的に難しいと思います。

もう一つは、自治体が徴収するということは、とることが目的ではなく、それを何に使うのかということもあります。姫路城の場合は、そこをどう言われたのか分かりませんので、入場制限のためにしようとしているのか、それをコストがかかっているものに使うのか、その辺りも分からないということです。

記者

外国人の料金を高くして差をつけるということについては、どう考えているか。

知事

理由なく差をつけることは難しいと思うので、それなりの理屈が必要だと思います。外国人だからという理由だけでは、だめだと思います。その方がコストをかけているなど、そうしたことがあって初めて成り立つのではないかと思います。

記者

先日、京都市長が国土交通省に行き、制度上すぐには難しいと思うが、バスの料金を観光客と京都の人で別にしてもらいたいと提案したが、このやり方についてはどう考えているか。

知事

それは先ほど言ったように、公共交通が混雑して住民の人が乗れないなど、そうしたことが出てきた時に、その分、公共交通のダイヤ改善や設備改修などに使うということであれば、原因者としての海外旅行客の方に一定負担をしてもらうという話であれば、ただ単に外国人だから、ということではなく、公共交通機関としての一つの性格と、いわゆるオーバーツーリズムという現象が起こっている典型的な場面ということですので、そこを上手く組み合わせれば、認めてもらえるのかは分かりませんが、ぎりぎり検討の俎上に載るのではないかと思います。

記者

知事定例会見について、現在隔週でしているが、来月から毎週するというような動きがあるようだが、どう考えているか。

知事

本来、定例会見は毎週行うこととしています。ただ、議会の日程などがあり、たまたまできないこともありますが、私としては可能な日は毎週行っているつもりです。

記者

毎週する方が意義があると考えているのか。

知事

そういうことではなく、定例会見ですから。隔週のつもりは全くなくて、毎週やっているつもりです。

記者

都知事選挙について、何か所見はあるか。

知事

ここで私が立候補者が多いことを話して、そうしたことが話題になること自体が、極めて不幸なことだと思いますので、そのことについては触れたくありません。

これは選挙ですので、一定の選択肢が示されることはいいのですが、あくまで行政のトップである知事を選ぶ選挙ですから、誰がというよりもどういったことをするとか、やはり公約と政策を見て、もちろんその政策を運用するにあたって必要となる資質などを加味されることはありますが、ベースは政策の内容によって競うものですので、それをベースに都民の方には判断していただきたいですし、私も知事として、47都道府県の知事の仲間が一人できる訳ですから、そうした形で選ばれることを期待したいです。

お問い合わせ

知事直轄組織広報課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4075

koho@pref.kyoto.lg.jp