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社会で活躍するひとからのメッセージ4 いしかわよしこさん(えがおのいっぽ 音声読み上げ)

 

いしかわよしこさん(48歳)

  • 京都市出身
  • 視覚障害ネットワークきららの会京都地区代表
  • FSトモニーで就労支援を受け、中学生になる子どもを育てる。
  • 京都ライトハウス生活訓練部とりいりょう勤務

視覚障害ネットワーク「きららの会」京都地区代表として活動されている、いしかわよしこさんに、子育てについて笑顔を交えながら明るく話をしていただきました。

 

ご自身の障害の状況は?

生まれつきの「もうまくしきそ・へんせいしょう」(当時は、「はくてんじょう・もうまくしょう」)です。弱視・やもう・視野障害、視力は両目で0.1、「いずれ見えなくなる」と言われていましたが、出産まで良くも悪くもなく視力は横ばいでした。現在はシルエットが認識できる程度にまで下がりました。

 

これまでの経緯

生まれてから見えにくい状態しか知らないので、病気という認識はなく、幼稚園の時は自分の靴を探せず、最後に残った靴を履いている子でした。

小学校入学時、母親から学校へ弱視であることを伝えましたが、先生も視力がどの程度なのかわからないので、特に支援はなく普通学級で過ごしました。

見えにくいので、何をするにも人より時間がかかります。授業の前日までに教科書を暗記し、板書は先生の手の動きが頼りで、ノートはきれいに書けませんから後で清書をしていました。大人になってから聞いた話ですが、その時既に拡大教科書はあったそうです。情報(拡大教科書)に出会えず、負けず嫌いな私は、根性とルーペ(虫眼鏡)で乗り切りました。

結婚後、子どもが欲しいと思っていたので、調べておこうと病院受診したところ「あなたの病気は」と医師に言われ、初めて病気=障害を認識しました。その後手帳を取得し、とりいりょうへ繋がりました。とりいりょうでは、子どもを膝に乗せて絵本を読んでやりたいという思いで点字訓練を、子どもの安全のためにはくじょう訓練を受け、出産へ向けて自分ができる準備は全て取り組みました。

 

母親になっての経験

子どもを産むことは喜びでしかなく、今でも分娩室の光景はクリアに覚えていますし、私を選んで生れてきてくれたことに感謝しています。

子育てで困ったことといえば、私は色の違いがわかりませんから、触ってもわからないもの(例えば隆起していない湿疹)ですね。また、おむつ替えの時、手で触っても何もなくにおいがなくなるまで、おしりふきを大量に使っていたので、安い時に段ボール買いしていました。

子育てで得たものは、たくさんあります。子どもは一緒に歩いていると「青色の花だよ」と言って私の手に花を触らせてくれたりと、歩くだけで必死だった私に、カラフルな景色を見せてくれました。子どもは言葉を発せない時から親をよく見ています。床を手探りで物を探している私を見て、「はい」と落ちていた要らない物まで手のひらにのせてくれました。常に子どもには「私の目が見えないことをよいことに嘘をつくことは悲しい、いろいろな人(お友達や先生など)が見ているよ」と話してきました。

見ず知らずの人に「お母さんを守ってあげやー」と言われ、目の見えない母親のために走ってどこかへ行くことや、やんちゃもできず良い子でいなければならなかった我が子も、今は思春期となり、親を困らせるようなことをしたりして自分を出していることを、子どもの成長として私は喜んで見守っています。

 

私だからこそ出来る「強み活かした」子育てとは?

見えないからそうするしかないのですが、スキンシップと言葉で伝えることを大切にしています。今はさすがにハグさせてくれませんが、小学校の頃までは、子どもが家へ帰ってくると手を広げて抱きしめ「自分を全て受け入れてくれる場所がここにある」ことを伝えていました。子どもの一番の理解者でありたいと思っていますし、その思いを伝え続けています。

今は子どもも母親と話すことがうっとうしい年頃ですが、子どもが興味を持っていることに興味を持ち、否定せず受け止めるために、子どもが自ら発する言葉(信号)を「待つ」ことを大切にしています。私がそうすることで、子どもにも伝えることの大切さがわかるように、子どもがどんな顔をしているのか想像しながら、私の思いを何かの形で伝え続けています。

 

読者へのメッセージ

まず、ご本人には発信する力が必要です。私は子どもが学校へ行くようになると、年度当初の保護者会で学校にお願いして、私の見え方やはくじょうのことを説明する時間を持ち、自ら発信してたくさんのお母さんに支えられ子育てしてきました。あなたは一人ぼっちではありません。あなたをわかってくれる人は必ずいます。私は情報になかなか繋がらなかったけれど、皆さんには多くのサポートやチャンスを逃さないために「私はこういうサポートが必要だ」ということを自ら発信していただき、早い段階で繋がっていきましょう。

親は、何よりバランスが大事です。子どもにチャンスを与えてあげてください。反対に、あえていろいろな経験(失敗)をさせてあげてください。

見えないからといって、悔しい思いをすることもありますが、自分の人生を諦めない、親も子どもの人生を諦めない。親は子どもにとって一番の応援団になってあげてください。

お問い合わせ

健康福祉部家庭・青少年支援課 家庭支援総合センター

京都市東山区清水四丁目185-1

ファックス:075-531-9610

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