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平成30年度建築科トピック

 3月トピック

テクノフェスティバル

毎年恒例のテクノフェスティバルが開催されました。建築科では、模擬家屋や一間社流造の社の展示や、「かんなくずアート」のワークショップや模擬店を出店しました。多くの方々に来場いただき、各科の催しを楽しんでいただきました。また、30年度から「成果発表会」と称して、各科の訓練成果をまとめ、来場者(入校希望者)の方々に発表しました。

自分達の訓練を振り返り、その成果をまとめ、他人にわかるように、なおかつ制限時間内に伝える力は、多様な場面でのコミュニケーションに大いに役立ちます。事前の校内向け発表会では、各科の訓練生に向けてお互いに発表しました。発表について互いに点数で評価をしあい、一番評価の高い科は表彰されるのですが、建築科は最下位でした!今回の発表について多くの評価コメントをいただき、伝えることの難しさを痛感いたしました。これからの就業に役立ててほしいと思います。

成果発表 かんなくずアート全体 模擬店

修了式

本校では15日に30年度修了式が執り行われました。おかげさまで、建築科では訓練生全員が建築関連の企業に就職し、修了の日を迎えることができました。

建築科訓練生のみなさん、修了おめでとうございます。一年間、おつかれさまでした。私たち指導員も、みなさんから学ぶことが多く、指導員としても成長できたと思います。みなさんと過ごした1年間は今後の指導に活かしたいと思います。本当にありがとうございました。

また、求人をいただいた企業様方、ご理解ご協力いただいたご家族の方々にもお礼申し上げます。

次年度も建築科をどうぞよろしくお願いいたします。

丸太芯出し 丸太ひかりつけ 玄関庇施工

修了式集合 修了式社寺集合

 2月トピック

模擬家屋上棟完了!

平成30年度の訓練も残りわずかとなって参りました。残りの訓練も油断せず安全に努めます。さて、模擬家屋専攻では建方(たてかた)が進み、無事に上棟を迎えることができました。途中、加工を忘れていたり、長さを間違っていたり、ボルトが通らなかったり、たくさんのミスがありましたが、それぞれの学びにつながったと思います。

土台据え 建方1 建方2 建ちおこし 建方3 上棟

上棟が完了すると、垂木や野地板を施工し、床のフローリングや、回り階段、窓や室内建具を納めるための「敷居」「鴨居」、和室や床の間などなど、室内外の造作に取り掛かります。造作作業は精度が求められ、大工の腕の見せ所のひとつです。修了まで残りわずか、しっかり学んでほしいと思います。

野地板はり 床すてばり 階段鴨居 和室床柱 フローリング

社寺建築 一間社流造完成!

社寺建築専攻の「一間社流造」の社がついに完成しました。

平成30年度一間社流造

当たり前ですが、建物が建っていられるのは、荷重を支える部材とその工夫があるからです。日本の伝統木造建築においても、日本の気候風土にあった「機能」を持たせるための構造が、表面的な「建築美」にもつながります。いくつもの「機能と美」を支えるために、隠れる部材が多く登場します。完成すると中は見えませんが、訓練生には多くの「支える部材」が見えたと思います。実際に、訓練生からも「建築物を見学する視点が増えた」という感想をよく聞きます。建築に限られたことではありませんが、訓練や就業を通して、美意識も高まるというのは「ものづくり」の冥利ではないでしょうか。大工の仕事は個人の趣向で成り立つものではありませんが、ある程度興味が無ければ務まりません。私たち指導員も、楽しさややりがいも伝えられるように指導に励みます。

肘木取付 破風と垂木 板裏甲野棟施工前 野棟施工後 野垂木

 1月実技実習

模擬家屋実技実習「基礎が大切」

3学期に入り、おかげさまで訓練生全員が無事に登校でき、建築訓練の続きが始まりました。冬休み明けで、緊張感が緩みやすい時期でもありますので、怪我のないよう安全訓練に努めたいと思います。さて、模擬家屋建築専攻コースでは、先月に引き続き、墨付け、加工が進んでいます。丸太梁の加工は、角材ではないため、墨付けの基準となる「芯墨」や「峠墨」の精度が重要になってきます。現代ではあまり使われなくなった丸太梁ですが、大工技能の基礎がたっぷり含まれた課題です。たくさんのことを学んで、実務にも活かしてほしいものです。

丸太ちょうな加工 丸太墨付け 丸太かぶと加工 角のみ 金輪継ぎ ほぞとり

社寺建築実技実習「現寸図のおさらい」

社寺建築専攻コースでは、一間社流造りがほぼ完成し、再度、原寸図を描いています。加工して組み立てることで、2次元的な製図の立体理解ができるようになります。製図から建立まで、建築の一連の工程を知っておくことは、実務にも大いに役立つことと思います。

原寸図おさらい 原寸現物説明 型板あわせ

それぞれの実習に併せて、3月に開催するテクノフェスティバルの準備も進めており、建築科では「模擬家屋と一間社流造りの展示」「かんなくずアート」のワークショップ、「模擬店(うどん)」を計画しています。また、訓練生による「訓練成果発表会」も実施され、建築科の訓練を詳しくお知り頂ける良い機会です。皆様のお越しを心よりお待ちしております。(画像はイメージです)

かんなくずアート

 12月実技実習

模擬家屋実習「木作り、墨付け、加工」

模擬家屋建築専攻コースでは、木配りの済んだ材料の「木作り」を行います。木作りとは、不揃いの材料を規格化したり、墨付けや加工のしやすいように製材をすることです。

木配り 木作り 丸太梁作り

墨付けは、間違いのないように「尺杖(しゃくづえ)」や「間竿(けんざお)」と呼ばれる、建築専用の定規をつくります。定規をつくることで、作業を効率化し、一様にズレの無い墨付けができ、計測ミスや精度のバラつきを無くすことができます。このような素晴らしい知恵や技能を、仕事や私生活にも活かしてほしいと思います。

間竿作り 胴差墨付け 間竿うつし

社寺建築実技実習「完成間近」

社寺建築専攻コースでは、鬼板(おにいた)や懸魚(げぎょ)、飾り金物などの加工取付が進んでいます。最後の仕上げ作業は、見える部分が多く、繊細な技術が要求されます。また、手道具だけでなく、電気工具も上手に使えるようにならなければなりません。怪我のないよう、安全な使用方法を指導しています。

飾り金物取付け 懸魚加工 鬼板加工

また、就活も順調に進んでおり、数名の工務店への就職が決定しました。内定をいただいた訓練生たちは、より一層気合いが入った様子です。修了時には全員内定がいただけるように、引き続き全力サポートで参ります!

 11月模擬家屋実習及び社寺建築実習

模擬家屋建築専攻、社寺建築専攻ともに作業が進んできました。模擬家屋建築では、前年度の模擬家屋を解体しました。足場も訓練生が組み立て、壊すのではなく「解く」ようにして、前年度からの学びを得ています。設計図もほぼ完成し、構造材が届き、材木の元末や、背と腹、曲がり方といった「木のくせ」や特性を考慮して使用する箇所を決める「木配り」を行いました。また、解体した材料を使い、丸太梁の「かぶと蟻仕口」などの加工訓練も行っています。

解体1 解体2 解体3 木材搬入 木配り 加工作業(かぶと)

一方、社寺建築では、一間社流造りの形が現れ、木段や長押などの装飾性の高い部材の加工が進んでいます。これから、まだまだ細かな技の要求される部材加工が残っていますが、訓練生は、やりがいを感じながら作業に励んでいます。

野垂木取付 箕甲削り 木段 長押削り 付敷居

12月には模擬家屋の墨付けや加工、建方、技能検定の訓練と就活をさらに進めます。毎年、慌ただしくなる時期ですが、より良い訓練・就活のサポートに努めます。

11月府立大連携事業「下鴨の『森の憩いの場』再生事業」

京都府立大学との連携事業である「下鴨の『森の憩いの場』再生事業」も、無事に制作を終え、作品を「ものづくりフェア」、「あすのKyoto創生フェスタ」に出展しました。おかげさまで、多くの方々に事業の紹介ができ、作品にも興味を持っていただけたようです。今後は、京都府立大学の構内に設置する予定になっています。一般の方々にも、ご使用いただける準備をしていますので、是非ご覧ください。

キタヤマベンチ作業風景 三色積み木テーブル作業風景 2つの完成作品 キタヤマベンチ正面 あすのKyoto創生フェスタ出展の様子

11月就職活動本格化

基本訓練、模擬家屋建築、社寺建築の訓練を進めながら、就職活動も本格化してきました。建築科には、木造大工見習いや、現場監督、各種職人、関連する求人があり、訓練生は、求人票をじっくりと確認し、企業見学やインターンシップを経て面接を受けます。一年後には、社会人として責任を負い、仕事をしていることを思うと、指導にも力が入ります。

求人確認 履歴書練習

 

 10月日露交流年記念事業と京都府立大学連携事業

10月1日から4日まで、日露交流年記念事業の一環として、ロシア人研修生の視察研修が行われました。建築科には、2名の学生、教員1名、計3名の方を招き入れて訓練体験を行いました。

まずは、通訳をとおしながら、日本木造建築史などの講義を受けていただき、実技体験では、さしがね、墨指、鑿、鉋などの日本の道具にも挑戦していただきました。また、社寺建築の彫刻や、日本古来の鉋である「槍鉋」なども体験していただきました。学生2名は、自国で建築を学んでいるとのことで、意欲的に訓練に取組んでおられました。また、訓練生が2名の学生と積極的に交流できたことは、コミュニケーション能力の向上に繋げられたのはないでしょうか。

日露鑿実習 日露槍鉋実習 日露集合写真

 

 

京都府立大との連携事業である「下鴨の『森の憩いの場』再生事業」も進行中です。

下鴨の『森の憩いの場』再生事業とは、互いに関連する分野の学生と訓練生が共同で木工作品をつくる企画です。本事業では、訓練では学ぶことのない「林業」や「デザイン・設計」などについて学ぶことが多くあり、就業にも役立ちます。11月には「ものづくりフェア」や「あすのKyoto創生フェスタ」などで展示を予定していますので、ご期待ください。

連携事業曲げ木 連携事業加工1 連携事業加工2

 

 

 9月模擬家屋と社寺建築

学生最後の夏休みもあっという間に終わり、2学期が始まりました。2学期からは、基礎訓練も進めながら、模擬家屋と社寺建築の各専攻にわかれての訓練も始まります。

模擬家屋専攻では「計画」工程が始まりました。建築面積と高さの制限はありますが、訓練生が自ら計画・設計・施工を行います。これまで学んできた基礎知識や、過去の模擬家屋の模型などを参考に、全員が意見を出し合い、建物の間取りを考えました。共同作業の中では意見が衝突することも多々ありますが、良い訓練成果に繋がることを期待しております。

模擬家屋プラン1 模擬家屋プラン2 模擬家屋製図

 

 

社寺建築専攻では、講師として現役の宮大工棟梁を招き、直接、指導をいただき「一間社流造り」のお社を建立します。一般家屋と共通する「基礎」に加えて、社寺建築特有の構造、工法、部材名称、特殊道具の使い方などを学びます。

まずは、屋根の反りなどの寸法や型をとるために、原寸図を作製しました。原寸図の歪みは、建築物の歪みに直結するため、慎重で丁寧な作業姿勢を保ち、施工の精度を高めてほしいと思っております。

社寺原寸1 社寺原寸2 社寺丸太削り

 

 

 8月校外訓練

専門校では8月20日に始業式が行われ、全訓練生が無事に登校でき、二学期がスタートしました。翌21日には、京都府立大学生命環境学部との連携事業である「下鴨の『森の憩いの場』再生事業」の一環として、京都府立大学大野演習林にて「校外訓練」を実施しました。

大野演習林の技官から説明を受ける 府立大学院生の講話を聞く

演習林では、間伐材の伐採現場見学と製材を体験させていただきました。おかげさまで、通常の訓練の講義や実習にはない「現場」の働きを体験することができました。また、演習林の技官の方々、教授の先生方や院生・学生からも講話をいただきました。木材の製造過程を体験し学んだことを貴重な体験として、今後の訓練や仕事にも大いに役立てて活躍してほしいです。

丸太を製材機にセットする 製材機で原木から柱を切り出す

材木の感想について説明を受ける 大野演習林学舎前で集合写真

通常の訓練では、1学期から引き続き「隅木模型」と「四方転び踏み台」の製作課題に取り組んでいます。8月31日現在、隅木模型は全員完成し、四方転び踏み台に移るところです。隅木模型に比べて、製図も墨付けも加工も全ての難度が上がります。製作中の1ミリ以下の誤差が災いして、組立てると数センチの誤りになることさえあります。真剣に取り組み、失敗して学べるのも職業訓練の良い所です。

「隅木模型」と「四方転び踏み台」 垂木の墨付けをする様子

二学期は、今まで学んできた基礎を活かして、応用・実践の訓練を実施します。また、企業見学やインターンシップといった就職活動も本格化します。指導員も、質の良い訓練と就活サポートに努めてまいります。

 7月三級技能検定と職業人教育

7月15日、21日に「三級技能検定学科試験・実技試験(建築大工)」を受験しました。製作課題は今年度から大きく変更され(課題写真左は旧課題)、隅木と呼ばれる部材も扱います。

隅木とは、木造の入母屋屋根や寄棟屋根などの角に配される部材で、前年度までの課題に比べて、墨付けの難度が上がりましたが、コツコツと練習を重ね、試験当日は訓練生全員が制限時間内に完成させて提出できたようです。

また、7月5日、12日には、京都ジョブパークから講師を招き、「傾聴力」と「ビジネスマナー」の向上を目的に、職業人教育講座を実施しました。仕事は技能だけで成り立つものではありません。訓練や講座、訓練生同士の交流を通し、社会人基礎力も身につけて欲しいと願っています。

3級課題(新旧) 3級練習 職業人教育

 6月加工訓練

鉋(かんな)や鑿(のみ)の刃物砥ぎや仕込み、試し削りを終えて、加工の訓練が始まりました。

加工する課題は、木造建築でよく用いられる、平ほぞ、ほぞ穴、蟻仕口、蟻継ぎなどです。これらはさしがねと墨差しを使って墨付けをし、鋸(のこぎり)や鑿を使って加工をします。一旦、刃物砥ぎを終えた解放感と、大工らしい作業に取り掛かれるとあって訓練生は楽しそうです。また、どうすれば上手く加工できるのか、年齢差もありながら訓練生同士で教え合う光景も見かけられ、大変喜ばしいものです。しかし、刃物を使ったり、長い木材を運んだりする作業には危険が付きまとい、下手をすると命にかかわる大怪我をすることもあります。事故や怪我は焦りや不注意、倦怠から起こるものですので、指導員も含め建築科全体で気を引き締めていきたいと思います。

継手加工練習 継手墨付け練習

 5月校外訓練

当校では、毎年5月頃に校外訓練を実施しています。今年も建築科では、神戸にある「竹中大工道具館」に行ってきました。竹中大工道具館では、伝統木造建築にまつわる資料が多く展示されています。木造建築大工を志す建築科の訓練生たちは、写真や資料を食い入るように読み、仕口や継手などの実物展示に触れ、訓練や近い将来がより楽しみになったのではないでしょうか。その楽しみを実現し、実力として身につけてくれることでしょう。

訓練では「鉋(かんな)の仕込み・調整」に進んでいます。どこか一か所が調整できていないだけでも、まったく使い物にならないのが鉋です。よい削りを行うためには、鉋刃や鉋台の状態を“見極める技術”も必要になります。早く見極めるには“勘”も必要です。今年の訓練生も、質の良い失敗を繰り返し、“勘”も磨いてほしいものです。

校外訓練 鉋台の調整

 4月訓練開始!

平成30年度の訓練がスタートしました!

今年も建築科には、新高卒、大卒、社会人経験者などのバラエティー豊かなメンバーが集まりました。

専門校では、それぞれの経験や立場にある人達が同期生であり、一緒に“ものづくり”をする仲間になります。仕事に近い環境で過ごす1年間は、訓練以外にも学ぶ事がたくさんあることでしょう。

訓練では道具の手入れの基本である「刃物砥ぎ」が始まりました。良い砥ぎを教えるために、理屈も説明しますが、理屈だけではどうにもならないのが職人の仕事です。実力は繰り返し実践することで身についてくるものです。ここから一年間、仲間と切磋琢磨し、しっかりと実力をつけて、就職してくれると信じて指導します。

鉋刃の研ぎ方を学ぶ 鉋刃研ぎの様子

 

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