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事件 番号 |
申立年月日 |
事件の概要 |
命令の概要 |
命令書交付年月日 |
令 和 5 年 (不) 第 2 号
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令 和 5 年 7 月 12 日 |
<当事者> 申立人:X労働組合 被申立人:Y会社 |
<命令の内容> (3)の掲示が不当労働行為に当たると認め、掲示した文書の撤去と、不当労働行為と認定された事実及び今後同様の行為をしない旨を明示した文書の掲示を命令 (1)及び(2)については棄却 |
令 和 7 年 6 月 19 日 |
<申立ての概要> 会社の次の行為が不当労働行為であるとして申し立てられたもの (1)新たに追加した職務給を組合員に支給しないこと。 (2)定年後に高齢者講習指導員として再雇用されることを希望する組合員に対し、同指導員資格取得に必要な研修を受講させず、同指導員資格取得に必要な実務経験をさせないこと。 (3)事業所内の職員室に、組合の団結を切り崩そうとする文書を掲示したこと。 |
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<申立人の主張> (1)職務給の不支給について ア 申立期間内の申立てか 職務手当の不支給という差別的取扱いは、賃金規程の改定時点だけでなく、以後の毎月の賃金支払時点において生じるもので、支払が継続する限り不当労働行為も継続する。 イ 不利益取扱いに当たるか 会社は組合が旧賃金を選択した結果だと言うが、会社の提案は組合員の不利益を無視し新賃金に移行せよというものだった。 (2)高齢者講習指導員資格を取得させないことについて ア A委員長に資格取得を業務命令しない 事故が多いとは説明されていない。客観的合理的理由は存在せず、組合員であるが故のもの イ A委員長ら6名の組合員に実務経験をさせない 既に運転適性検査指導員資格を取得した者を高齢者講習指導員に採用する方が好都合なのに実務経験をさせないのは、差別的意図をもって組合員を不利益に取り扱っているもの (3)文書の掲示について ア 申立期間内の申立てか 掲示物の内容は会社の表現行為であり、掲示がされ続けている限り、その表現行為も継続して行われ続けている。 イ 支配介入に当たるか 文書の内容は、組合員が職務手当の支給を望むなら新賃金への移行という手法があることを示唆するもので、組合の団結を切り崩そうとするものである。 |
<理由の概要> (1)職務給の不支給について ア 申立期間内の申立てか 賃金規程の改定と毎月の組合員への職務手当の不支給は、継続して行われる一括した一個の行為とみるべきであり、「継続する行為」に当たるから、申立期間内に行われたものである。 イ 不利益取扱いに当たるか 新賃金と旧賃金はどちらかが有利と断定できるものではない。団交を重ねた結果であることも考慮すれば、不利益取扱いとはいえない。 (2)高齢者講習指導員資格を取得させないことについて ア A委員長に資格取得を業務命令しない 業務命令しないことは経営判断によるものであり、組合員であることを理由とするものとは認められない。 イ A委員長ら6名の組合員に実務経験をさせない 既に運転適性検査指導員資格取得者が20名いる現状では、組合員6名に実務経験をさせていないことには合理的理由があり、更に非組合員1名についても同様に実務経験させていないことからすると、組合員であることを理由とするものとは認められない。 (3)文書の掲示について ア 申立期間内の申立てか 本件文書は、その掲示が継続する間は、その表現内容がこれを見る者に到達し続けているものであり、組合が掲示の撤去を繰り返し求めたにもかかわらず掲示を続けていることも踏まえると、本件文書の掲示は「継続する行為」に当たるから、申立期間内に行われたものである。 イ 不利益取扱いに当たるか 会社と組合は長期間にわたり団交を重ねたにもかかわらず賃金体系統一に至っておらず、この経緯を踏まえれば、「新賃金体系へ移行を希望される旧賃金体系の職員を拒否するものではありません。会社の意向に賛同し、新賃金体系へ移行して頂くのであれば、喜んでお受けいたします」との記載は、労使交渉を通じて賃金問題を解決しようとする組合の交渉方針に介入するものである。 |
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<被申立人の主張> (1)職務給の不支給について ア 申立期間内の申立てか 紅屋商事事件判例では先行行為の内容を組合員が知り得なかったので申立てもなし得なかったが、本件では全従業員に周知しており、同判例の射程外 イ 不利益取扱いに当たるか 新賃金と旧賃金の二つの賃金体系が併存した結果にすぎず、組合員への差別ではない。 (2)高齢者講習指導員資格を取得させないことについて ア A委員長に資格取得を業務命令しない A委員長は事故が多いため業務命令していない。高齢者講習指導員は充足しており、これ以上養成不要 イ A委員長ら6名の組合員に実務経験をさせない 非組合員1名も含めた7名全員に実務経験させておらず組合員への不利益取扱いではない。 (3)文書の掲示について ア 申立期間内の申立てか 掲示は単発的な1回的行為である。 イ 支配介入に当たるか 文書の内容は、団交結果を報告するものにすぎない。新賃金への移行希望者に関する記載は、移行希望を拒否することはないという会社の姿勢を念のため示したもの |
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