ここから本文です。

令和3年の発出命令

 

事件

番号

申立年月日

事件の概要

命令の概要

命令書交付年月日

 

 

(不)

2

 

命令書全文(PDF:757KB)

 

 

 

令 

6

20

<当事者>

申立人:労働組合、組合員2名

被申立人:法人

<命令の内容>

・次の行為が労委において不当労働行為であると認定されたので、今後このような行為を繰り返さないようにする旨の文書の申立人組合への交付

(1)団体交渉において、給与等支給規則の変更について、十分な説明を行わなかったこと。

(2)組合員の教育職員検定申請の必要書類に勤務状況がやや不十分である旨等の記載を行ったこと。

 

・平成30年4月1日の給与等支給規則の変更及び平成30年3月以前のキャリアアップ手当に係る申立ての却下

 

・その余の申立ての棄却

 

 

3

4

14

<申立ての概要>

被申立人の次の行為が、不当労働行為であるとして手当相当額の支払及び誠実団交等を求めたもの

(1)平成30年4月以降の3回の団体交渉に誠実に応じなかったこと。

(2)申立人組合との確認書に反する給与等支給規則の変更を行ったこと。

(3)キャリアアップ手当を組合員2名に支給していないこと。

(4)組合員の教育職員検定申請の必要書類に勤務状況がやや不十分である旨等の記載を行ったこと。

<申立人らの主張>

申立期間(却下)について

・平成30年4月11日の団体交渉、同月1日の給与等支給規則の変更及び同年5月までのキャリアアップ手当は、いずれもその後の行為と「継続する行為」であるので、申立期間(1年)の徒過を理由に却下されるべきではない。

団体交渉について

・被申立人は、給与等支給規則の変更等に係る3回の団体交渉において自己の主張の根拠等を誠実に説明しなかった。

・なお、それまで「処遇改善」として年度末の賞与とともに支給していた手当に活用していた処遇改善等加算補助金(加算Ⅰ)を、調整手当に活用し、「処遇改善」を支給しないこととする給与等支給規則の変更は、調整手当と「処遇改善」を別個に支給すると合意した申立人組合との確認書に反している。

キャリアアップ手当について

・被申立人は、恣意的にキャリアアップ手当の対象者を選定し、組合員2名を除外している。

教育職員検定申請について

・被申立人は、組合員の教育職員検定申請の必要書類に、文科省がホームページ等に掲載している基準に従えば、勤務状況は良好と記載すべきところ、組合嫌悪感情から、やや不十分である旨等の記載を行った。

<理由の概要>

申立期間(却下)について

・平成30年4月11日の団体交渉は同年8月29日の団体交渉と「継続する行為」と認められ、平成30年4、5月のキャリアアップ手当も同年4月の対象者の決定とそれに基づく平成31年3月までの支給行為が「継続する行為」と認められるから、いずれも申立期間を徒過していないと判断される。

・一方、給与等支給規則の変更は完結する1個の行為であって、その後の手当の不支給とは「継続する行為」とは認められず、平成30年3月までのキャリアアップ手当も年度を異にする同年4月以降の同手当の支給とは別個の行為であり、「継続する行為」とは認められないから、申立期間の徒過により却下する。

 

団体交渉について

・給与等支給規則の変更は確認書の文言には必ずしも反していないといえるが、確認書の締結に当たり、申立人組合はこれにより調整手当が支給されるとともに「処遇改善」も存続すると認識しており、そのことは被申立人も認識していたと認められる。

・そうすると、被申立人は、そのような申立人の認識に反して、処遇改善等加算補助金(加算Ⅰ)を調整手当に活用し、その結果「処遇改善」は支給されなくなるような給与等支給規則の変更を行うに当たって、まず、申立人組合に説明すべきであったと認められる。

・確かに、申立人組合の交渉態度にも問題はあったとはいえ、上記のような説明義務を負っていたにもかかわらず、給与等支給規則の変更について十分な説明を行わなかった被申立人の交渉態度は誠実とはいえない。

・一方、その後の就業規則の変更に係る令和元年5月15日の団体交渉において、被申立人は申立人組合が求める規則のコピー返却が必要な具体的理由を説明したとは認められないものの、申立人組合の交渉の進め方にも問題があり、その後団体交渉が継続して行われていること等も考慮すれば、被申立人の交渉態度は不誠実とはいえない。

 

キャリアアップ手当について

・キャリアアップ手当は、処遇改善等加算Ⅱを活用した手当であるが、組合員2名の比較対象となる正職員については、制度の趣旨に沿った職位及び対象者の選定が行われていると認められ、不当労働行為とはいえない。

 

教育職員検定申請について

・教育職員検定申請には大学の講座受講による単位取得が必要とされ、その受講には施設長の推薦が必要であるところ、園長は組合員を推薦していたこと等から、合理的な裁量に基づき組合員の勤務状況を評価したとの被申立人の主張は採用できず、被申立人の記載は、上記推薦後の申立人組合との対立を主たる動機として行われた不当労働行為と判断される。

 

<被申立人の主張>

申立期間(却下)について

・平成30年4月11日の団体交渉、同月1日の給与等支給規則の変更及び同年5月までのキャリアアップ手当は、その後の行為と「継続する行為」とはいえず、申立日までに申立期間(1年)を経過しているから却下されるべきである。

団体交渉について

・団体交渉において、被申立人は誠実に説明しようとしたが、申立人組合が被申立人は組合側の理解に従わないからと交渉を打ち切るなどした。

・なお、確認書において、「処遇改善」と調整手当を別個に支給すると合意した事実はなく、給与等支給規則の変更は確認書に反していない。

キャリアアップ手当について

・キャリアアップ手当は平成29年度から拡充された処遇改善等補助金(加算Ⅱ)を活用し、給与等支給規則に定める職位にある職員に支給するもので、組合員2名は当該職位に就いていないために不支給となっているにすぎない。

教育職員検定申請について

・文科省の基準は、被申立人が勤務状況がやや不十分である旨等の記載を行った書類とは別の書類について定められたもので、前者について、特に基準は定められていないので、被申立人は合理的な裁量に基づき組合員の勤務状況を評価して記載を行った。

お問い合わせ

労働委員会事務局 

京都市上京区出水通油小路東入丁子風呂町104-2府庁西別館4階

ファックス:075-414-5737

kyoroi@pref.kyoto.lg.jp