南丹広域振興局

更新日:2025年8月28日

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亀岡市学校給食米栽培情報

亀岡市で取組んでいる無化学肥料、無化学農薬による学校給食米の栽培情報やトピックを随時紹介します。

亀岡市が有機農業の推進に向けて行った「オーガニックビレッジ宣言」(外部リンク)

出穂前の給食米栽培ほ場の状況を報告します(8月29日掲載)

 給食米の安定栽培に向け雑草対策や肥培管理に工夫した取組が各地で行われています。想定どおりうまくいった事例もありますが、うまくいかなかった例もあります。事例を見ながら当該技術の有効な利用方法について考えてみましょう。

ヘアリーベッチと除草風景 

 

 

 給食米の収量が上がらない原因の一つが肥培管理です。化学肥料が使えないので無施肥による栽培が多いですが、有機栽培でも使える肥料はあります。下の写真は基肥に市販有機肥料、追肥に畜産関係副産物のメタン発酵消化液(液肥)を用いています。複数回の秋耕うんにより雑草も毎年抑えられており、十分な茎数が確保できています。消化液は中干し後に水口流し込み施用しますが、拡散ムラが出ることもあります。

肥培管理の様子

 

 

 今年注目している緑肥作物ヘアリーベッチ(秋まき)のすき込みほ場では、肥料効果が表れてきているとみられます。ただし、緑肥が繁茂した部分の葉色は濃いものの、生えなかったり生育不良のところでは、葉色が淡く肥料効果は見られません。ヘアリーベッチの雑草抑制効果も期待しましたが、コナギが多発し抑えられているとはいえません。

ヘアリーベッチは種ほ場のその後

 

 

 畜産由来もみ殻堆肥の倍量施用(6立方メートル/10a)で肥料効果を狙ったほ場では、機械除草がうまくいかずコナギが繁茂しました。機械除草は田植え後日数に留意していましたが、代かきから田植えまで日数が開いたことから適期遅れとなり、株間の草が残りました。2回目、3回目の機械除草ではとることができず、条間にまで繁茂してイネと養分競合を起こしています。

コヤギの繁殖した様子

 

 

 一方、下の写真は機械除草で雑草抑制に成功したほ場です。1回目の除草を田植え後6日(代かきから9日後)に実施でき、さらにその10日後の2回目除草でほぼ完全に抑えられています。ヘアリーベッチをすき込みましたが春まきで芽立ちや生育が十分でなく、繁茂量は目標に達しませんでした。肥料効果は今後の確認が必要です。

機械除草成功例

 

 

 この水田は左右の肥培管理を変えて栽培されています。左は発酵鶏ふん、右は市販有機肥料が施用されています。換算窒素成分量は左の発酵鶏ふんが多く、現在の葉色はほぼ同じですが、茎数は多くなっています。特に対策されていませんが、雑草は左右とも多くありません。

肥料の

 

 

 このほか市販有機肥料を使用した事例がいくつかありますが、雑草が抑えられていないためかえって雑草繁茂を助長している場合がありました。収量向上のために肥培管理は重要ですが、雑草が抑えられて初めて効果が表れると考えられます。今後も各技術の評価・分析を行い、給食米の安定生産を支援していきます。

 

 

現地検討会を開催しました (7月18日掲載)

 6月17日に亀岡市東本梅町の給食米栽培水田で、収量向上に向けた緑肥(ヘアリーベッチ)の活用、機械除草についての現地検討会を開催し、学校給食米生産者ら22名が参集しました。

 

 普及センターから緑肥のこれまでの生育状況や活用方法、機械除草の仕組みや課題について説明しました。

除草作業の様子

 

 その後、除草を実演される農家から、これまでの機械の使用感や作業上のポイントについてお話いただきました。雑草が残ったり、機械で巻き込んでしまい欠株が出るなど、うまくいかなかった部分もあるものの、回数を重ねることで上手に使えるようになってきたことも紹介されました。

集まって研修をしている様子

 

 実演後の総合討論では、除草機械に対する質問や他メーカーの除草機の使用者からの意見、参加者の雑草発生状況や対策などの取り組みについて幅広く意見交換が行われました。「肥料分があり根張が良いと除草機が入りやすい。」、「水を濁らせるだけでも少し抑草できる。」、「やはり有機肥料を入れないと収量は上がらない。」など各生産者のノウハウの紹介や増収に向けての意見が出されました。

集合での説明

  

 アンケートではヘアリーベッチの活用や機械除草機を検討したいという意見も多くあり、収量向上に向けた施肥、雑草対策について注目していこうという意欲が感じられる検討会となりました。

 

水田除草機による除草作業を行いました (6月13日掲載)

 除草剤に代わる除草法として、専用の機械による除草作業を実施しました。使用した機械は、国の研究機関の「水稲有機栽培の手引き」でも紹介されている3輪タイプ4条用で除草部が運転席より前にあります。この記事では、除草の仕組みとうまくいかなかった点を紹介します。

除草作業の様子

 

 イネの条間はローターで田面を掻き起して雑草を浮かせます。イネの上(株間)は針金のようなもので土面を浅く左右にこすり、イネと比べ根の浅い雑草のみ浮かせます。雑草の根が深くなると取除けないため、作業適期が大変重要になります。田植え後7~10日間隔で2、3回除草作業が必要で、適期を逃すと株間の雑草が残ります。

条間の除草

  

 この水田は田植えから7日目の除草作業でしたが、代かきから田植えまで7日開いたため、すでに雑草が多数発生していました。代かきから14日後の除草となったため、条間は除草できましたが株間は残草が見られ、以後の蔓延が心配されます。1回目の除草作業は、代かき後の日数が重要になりそうです。

1回目除草

 

 3輪で除草部が前にあるため操作しやすいですが、すでにイネが植えてあることから、除草部の深さ調整や走行は慎重を要します。しかし、丁寧な作業を行っても、旋回部分や耕盤の凹凸で除草機が傾くとイネに欠株が生じます。 旋回による欠株

 

 今後も除草作業や当該水田の観察を続けて除草機の長所、短所を明らかにし、導入に向けての検討材料を蓄積していきます。

これまでの活動報告

 ・ヘアリーベッチ(緑肥作物)をすき込みました(5月19日掲載)(PDF:987KB)

 

 

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