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園芸部では野菜と花の研究を行っています。野菜の研究は京の伝統野菜、ブランド京野菜等を中心とした栽培技術開発等を行っています。また、花の研究は京都らしい花き品目の開発、花壇苗の技術開発等を行っています。
ブランド京野菜であるミズナ、エビイモ、万願寺トウガラシ、山科ナスについて、省力で安定した栽培ができるように研究を行っています。
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ミズナの不耕起連続栽培技術の検討
エビイモの省力安定生産技術の開発
万願寺トウガラシの作期拡大試験
山科ナスの養液土耕栽培技術の開発
京野菜の持つ機能性成分に着目し、一般野菜と京野菜の違いを明確にし、また、これらの成分を向上させる栽培方法等を検討しています。
機能性成分(抗酸化物質)の分析
生産現場等から京野菜の新規有望品目の導入が求められています。そこで新しい有望品目を開発するとともに新しい出荷形態を考案し、それらに適した栽培方法を検討しています。
新規品目(金時ニンジン葉)の栽培技術の開発
京の伝統野菜の維持・保存のため、種子の更新と、低温種子庫で種子を保存しています。また、伝統野菜の展示栽培も行っています。
伝統野菜の展示 低温種子庫
トウガラシの耐病性台木や山科ナスの養液土耕栽培技術等、開発された技術は実際に現地で栽培試験を行うことによって、より農家の方々にあった技術として改善されます。こうした新技術が農業改良普及センターやJAを通じて府内に波及していきます。
トウガラシ耐病性台木(台パワー)の現地試験
京の伝統野菜とは、
と定義された品目で、絶滅したもの及びそれに準じるものを含めて、現在40種類が認められています。
ここでは、その中で代表的な品目をいくつか紹介しましょう。また、このページの品目は随時更新し、できるだけ多くの京の伝統野菜を、皆さんに身近に感じてもらおうと思っています。
伝統野菜に認定されているナスは3種類です。ご存じ賀茂なすの‘賀茂’は京都市上賀茂で昔から栽培されていたことに由来するもので、田楽などに最適です。山科なすは甘みのある果肉のしっとりしたなすで天ぷらに最適です。もぎなすはへた下の白色が明瞭で美しい小なすで、高級食材として京料理に使われています。
とうがらしは伝統野菜に準じるものも含めて4種類が認定されています。その代表的な3種類を紹介します。どのとうがらしも甘いとうがらしで香りも高く、焼き物、煮物に最適です。
つけ菜類は伝統野菜に準じる花菜も合わせると4種類が認定されています。ここではその中の3種類のつけ菜を紹介します。みず菜と壬生菜は学名でもjaponicaと記載されており、京都が原産地であると思われる野菜です。畑菜は京のおばんざいによく利用され、京都市内ではなじみのつけ菜です。
絶滅した郡だいこん、東寺かぶを含めると16種類もあり、これは保存食として重宝されてきた京漬物の素材として、その種子が脈々と伝えられてきたためと考えられます。聖護院だいこんはおでんに最適で、辛味だいこんは蕎麦の薬味、すぐきは高級京漬物の代表格です。
その他の夏の伝統野菜は形が面白いものが多いようです。鹿ヶ谷かぼちゃはひょうたん型で、食べるだけでなくお茶席の花木として引っ張りだこです。柊野ささげも長さが90cm以上有り、お盆のお飾りとして京都の夏には欠かせないものです。桂うりは奈良漬けの素材として最高です。
だいこん、かぶ類以外にも冬の伝統野菜はたくさんあります。えびいもは海老のように曲がった縞の美しいいもで、棒だらと一緒に煮たいもぼうは冬の京料理に欠かせません。京ぜりは鍋や吸い物に、堀川ごぼうは芯に肉詰めしたものをおせちのお重にと、冬の京の食卓を飾ります。
ここにあげた京の伝統野菜はごく一部ですが、皆さんの近くのスーパーでも京の伝統野菜を手に入れることができるはずです。是非とも京料理や京のおばんざいに挑戦してみて下さい。
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