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株式会社カードックオクムラ(京都企業紹介)

福祉車両の訪問メンテナンスサービス

(掲載日:平成31年2月21日 聞き手・文:ものづくり振興課 宮﨑)

株式会社カードックオクムラ(南丹市)の代表取締役 奥村様にお話をお伺いしました。

  

 

地域密着型の中古車販売店、カードックオクムラ

―まずは、御社の事業概要をお聞かせください。

当社は昭和57年創業の企業であり、南丹地域を中心に事業を展開してきました。現在は21名体制で、中古車販売、車検等を主な業務としており、自動車保険も多数取り扱っています。

―そのほかに何か特徴などはありますか。

当社では、地域に密着した事業展開を心がけています。南丹市の旧園部町エリアは、大手自動車メーカーの販売店や大手中古車販売チェーンが立地していない、いわゆる空白地帯となっており、地元のリーダーとなれるよう努力しています。

 

電話1本で一貫対応。福祉車両の訪問メンテナンスサービス

―今回、福祉車両の訪問メンテナンスサービスを新たに展開されると伺っていますが、そもそも福祉車両とはどういった自動車を指すのでしょうか。

福祉車両とは、体が不自由な人や高齢者など、自動車の乗降に困難を伴う人が使いやすいようにした自動車のことで、市販車を基本にして、乗降を助ける装置や運転補助装置などを加えたり、ドアなど車体に改造を加えたりします。

―なるほど。回転する座席やスロープなどが付いている車のことですね。

その通りです。そういった福祉事業者様が日常的に利用する福祉車両のメンテナンスは、車両本体は大手自動車メーカーの修理工場が、介護用部品は各部品メーカーが担うことが多く、手間や時間がかかり、福祉事業者様の負担となっていました。
当社では、その負担をニーズとして捉え、福祉車両の専門家が直接現場に赴く訪問メンテナンスサービスを提供することで、福祉車両の稼働率向上と担当者の負担軽減を目指します。

介護用部品以外の部分もメンテナンスしてもらえるのでしょうか。

もちろんです。当社には一般車のメンテナンス技術もありますし、当メンテナンスサービスは福祉事業者様の負担軽減を目指すものですので、電話1本で介護用部品だけでなく、車両本体のメンテナンスまでワンストップで対応します。

―素晴らしいサービスですね。ですが、なぜ御社はそのようなメンテナンスサービスを展開できるのでしょうか。

福祉車両のメンテナンスは、法的な資格が必須となるものではありませんが、特殊な機械でもありますので、専門の技術や知識が必要となります。当社は京都府にわずか3工場しかない「日本福祉車両協会の認定工場」として登録されており、3名の専門員(認定整備士、インストラクター)が在籍するなど、これまでに専門的な技術や人材を育成してきたからこそ、この様なサービスを提供できるのです。
また、福祉サービスに関する鮮度の高い情報やノウハウを把握するために、保険会社に社員を出向させるなどの取り組みを行っており、引き続きご満足いただけるようなサービスに成長させていきたいと考えています。

   

「長靴一足からでも修理します」という創業者の言葉を胸に、「地域に貢献する」企業活動を

―今回の新サービスを展開しようとお考えになられたきっかけは何かあるのですか。

福祉の分野を意識するようになったきっかけは、祖母の介護でした。私が3歳のときに、両親が当社を創業したのですが、当時の両親は仕事が忙しく、幼少期の私は祖父母に育てられました。
その祖母が要介護状態となったとき、母が祖母の介護で苦労しているのを見て、福祉介護関係で地域に役立つことがしたいと考えていたことが背景にあります。

―なるほど。

また、当社は、創業者である父が「長靴一足からでも修理します」と宣言し、タイヤのゴムを修理する技術を活用して、本当に地元のお客様の長靴を修理していたというエピソードがあり、創業当時から「地域に貢献する」ことを理念に掲げてきました。
現在でもその理念は受け継がれており、自動車を通じて豊かな人生を提供することが当社の使命だと考えています。そのため、会社の理念や行動指針を言語化したカードを作成し、創業の精神である父の言葉「長靴一足からでも修理します」も記載し、全社員に配付して社員教育を実施しているところです。

―素晴らしいお考えですね。

この様に、祖母の介護の経験や、企業理念として「地域に貢献する」ことを掲げていたことが背景にあり、当社の得意とする車両の知識やメンテナンス技術をどう活かせるかを模索していました。
その中で、福祉車両のメンテナンスが福祉事業者様の大きな負担となっていることを知り、福祉事業者様の負担軽減を図ることで地域に貢献したいという想いから、本サービスを展開することを考えました。

 

「事業継承」ではなく「事業承継」を。先代の想いを引き継ぐ重要性

―先程のお話によれば、ご両親が創業された御社を奥村社長が引き継がれたそうですが、世代交代の際に、ご苦労された点はありましたか。

世代交代の際に、お互いの考え方の違いからの衝突はありました。
「自分自身の考え方や気の持ちようで苦労の感じ方が変わる」ということに気がつくまでは、父親との関係も悪く、非常に苦労しました。

―「自分自身の考え方や気の持ちようで苦労の感じ方が変わる」ですか。

はい。私は今まで無意識に、世代交代の際の引き継ぎを「事業継承」と捉えていたのですが、実際には「事業承継」という考え方が大切であると、あるとき気がついたのです。

―「事業継承」と「事業承継」は違うものなのですか。

全く別物です。「事業継承」とは、モノや地位、財産など形あるものを引き継ぐことを指し、一方で、「事業承継」とは、経営者の志や想いといった、形のない部分を引き継ぐことを指します。

【継承】先の人の身分・権利・義務・財産などを受け継ぐこと。
【承継】先の人の地位・事業・精神などを受け継ぐこと。(三省堂大辞林)

そうなのですね。

上手く行っていないときは、無意識で「事業継承」を考えており、不満を抱えていました。
ところが、あるときから、「受け継ぐべきことは、親父の志や想いである」と気がついてからは、父親の話しや言葉が理解できるようになり、関係性も徐々に良くなりました。
その結果、業績も向上しましたし、やりたいことができるようになってきたのです。

―最も大切なのは、志や想いを引き継ぐ「事業承継」ですか。とても素晴らしい言葉を教えていただきました。

現在、事業承継が世の中で問題となっていますが、引き継ぐ側の考え方が変わらなければ、世代交代は上手く行きません。先代側の考え方はまず変わることはありませんから。
私の場合、自分の考え方を変え、先代の想いを汲み取れるようになったら、先代は自ら社長を退いてくれました。

 

福祉車両分野で西日本トップシェアの企業を目指して

―昨今問題となっている事業承継について、素晴らしいお考えをお聞かせいただきました。最後に、御社の今後の展望についてお聞かせください。

当社では、中長期計画を作成しており、その中で売上や経常利益の向上といったビジョンを掲げています。
まずはこのビジョンの達成を目標としています。
長期的には、レッドオーシャンの領域にある自動車販売市場の中で、これ以上の成長は難しいことから、京都府全域で福祉車両のメンテナンスサービスを展開し、競合がない市場でブルーオーシャン戦略を実践したいと考えています。

―福祉車両の分野は、今後マーケットとして拡大の可能性があるということですか。

その通りです。
今後、自動車業界で唯一マーケットが拡大する可能性がある分野が福祉車両分野だと考えています。
サービス開始後は、京都府全域から近畿圏、そして西日本へと事業を拡大し、トップシェアを獲得していきたいと考えています。

―素晴らしい構想ですね。

自動車に対する価値観は20年前と様変わりしています。
20年前は、ステイタス品であった自動車が、現在は家電並の認識となっているとの報道もあります。
自動車業界は類似品との戦いとなってきており、今後、自動運転技術の進展などにより、自動車の捉え方は更に様変わりしていくと考えられます。
当社では、社会背景に対応した、新たなサービスを今後も展開していこうと考えています。

―京都の中央部、南丹地域から福祉車両分野で躍進を目指す、株式会社カードックオクムラの今後の展開に注目です。

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp

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