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株式会社丹後蔵(京都企業紹介)

京都・丹後唯一の芋焼酎メーカー「丹後蔵」

掲載日(平成30年8月3日、聞き手・文:ものづくり振興課 橋本)

 

株式会社丹後蔵の髙田執行役にお話をおうかがいしました。

 写真:芋焼酎

 

―まず、焼酎メーカーとして御社の商品の特徴を教えてください。

髙田)現在数種類の商品を販売していますが、全て商品の仕込み水と原料芋が京丹後産であること、そして蒸留方法など、製法の違いで作り分けています。京都をイメージしたパッケージや京料理などの「料理に合うような芋焼酎」を製造しています。

 一般的な芋焼酎の大まかな工程を説明しますと、

(1)蒸し米と麹菌から「麹」をつくる。

(2)タンクに麹と仕込水、酵母を加えて仕込みを行い5日間ほど発酵させて「一次もろみ」を造る。

(3)その中へ蒸したサツマイモと更に仕込水を加え仕込みを行い「二次もろみ」として12~16日間発酵させる。

(4)アルコールが十分生成されたら蒸留する。

蒸留して出来たものが「焼酎原酒」となります。

(蒸留器のミニチュア)

焼酎は、ワインのように初めから原料中にブドウ糖が含まれている場合のアルコール発酵「単発酵」と違い、日本酒と同じく、麹の酵素によってデンプンをブドウ糖に糖化しながらアルコール発酵を行う「並行複発酵」なので工程はやや複雑になります。

同じ原料でも、仕込み方法や酵母、蒸留方法をなど変えてやれば風味はまったく変わっていきます。弊社は、日本酒蔵の有志で創業した経緯がありますので、日本酒造りのノウハウを活かしながら焼酎を作っていくことを特徴の一つと考えています。

 

―日本酒造が芋焼酎を作った経緯を教えて下さい。

髙田)丹後には日本酒・ワイン・ビールを製造する企業が揃っていますが、焼酎を作る企業はありませんでした。また京都府内でさつまいもの生産量が一番多かったのが地元京丹後市でしたので日本酒蔵の有志でやってみようと創業しました。丹後はとても綺麗な水が湧きますし、その水で育つ農作物も本当に美味しいです。良いものができるという確信がありました。

九州の芋焼酎原料には「黄金千貫」という品種のさつまいもが使われることが多いですが、弊社の焼酎原料は、焼酎製造免許の制限で地元丹後で多く生産され特産品認定された金時芋「京かんしょ」のみ(産地も京丹後市のみ)と指定されています。弊社の芋焼酎は、原料の特徴がでたクセの少ないスッキリした仕上がりになり「京都の芋焼酎」というコンセプトにピッタリではなかったかと思っています。

 写真:水 写真:さつまいも

 

 

―最初に開発した商品はどちらですか?

髙田)最初に開発したのはこの「いもたん」です。白い瓶のほうです。減圧蒸留法と常圧蒸留法で作った原酒をブレンドすることで、「京都をイメージした香り穏やか」で「スッキリ」した飲みくちの焼酎に仕上げました。

 写真:いもたん 写真:いもたんHIKO

 

1年遅れで作った茶色い瓶の方は「いもたんHIKO」で、九州の芋焼酎と同じ常圧蒸留法のみで作りました。サツマイモ「京かんしょ」の他品種との違いがわかる焼酎です。白い瓶より味が濃く飲み応えがあり、和食料理によく合う焼酎です。

最初の商品だけに、パッケージもこだわりました。京都工芸繊維大学と連携し、デザインしていただいたものです。京都らしく華やか、且つ洗練されている商品にぴったりのパッケージになりました。

 

―そうですか。ん?こちらの商品はすごく良い箱に入っていますね。ってお酒に金箔が入っているじゃないですか!?

髙田)その商品は、台湾のGNT社(Gold Nano Technology社)とコラボレーションした「京香」ですね。ボトルに入っている「金」は金箔ではなく99.99%のまさしく「純金」の粒で、金をナノレベルまで分解した後再び粒子を凝集し「フレーク」にしたハイテクゴールドです。台湾で唯一食品に入れることを許可された金で、医薬の素材にも使われています。高アルコール度の酒類にこれを入れると、短期間でも、長年熟成された様なまろやかな口当たりに変化する、といった金箔では得られない効果もあるようです。

写真:京香

 

―台湾の会社なんですね!めちゃくちゃ華やかなお酒ですね。どういった経緯で生まれたんですか?

髙田)GNT社の台湾での名前が「京華堂」というのですが、「京」が付くことから京都のものとコラボレーションしたいと呼びかけがあり出来た商品です。「京香」は、厳選した焼酎原酒を精密ろ過した後、手作業でナノ金を一本ずつ加え、手間ひまかけて製造しています。非常に高価なものになりましたが自慢の一品に仕上がっていますよ。

 

―なるほど。こっちの商品は猫が描いていてあって面白いパッケージですね。

髙田)こちらは「いもにゃん」です。アルコール分のちがいで2種類の商品がありますが、飲むシュチュエーションや飲み方のちがいを意識して作ってあります。女性向け焼酎がコンセプトで20代~50代の女性に是非飲んでいただきたい商品ですね。アルコール分22度の方はパーティーに持っていって、カクテルベースにしてもいいですし、32度の方は「フルーツロック」がおすすめ。凍らせたフルーツを氷代わりにグラスに入れ、同じ果汁とソーダを少し加えると甘さ控えめ爽やかでフルーティーな飲み物になります。

写真:いもにゃん(蔵元が丹精込めて造った本格焼酎) 写真:カクテル

 

―可愛らしいパッケージですもんね。髙田様が猫好きだから「いもにゃん」なんですか?

髙田)私も猫好きですが、それが理由ではありません。弊社焼酎全ての仕込水は、すぐ近くにある金刀比羅神社の御神水なんです。そして神社に鎮座する「こまねこ」が「いもにゃん」のルーツなんです。日本で唯一と言われるこの「こまねこ」を、今風に言えばリスペクトして出来たパッケージとネーミングが「いもにゃん」なのですが、見た目だけでなく、原料芋の皮を全て剥き、2種類の酵母を使い香りに華やかさを持たせた、女性にらしさにこだわった商品なんです。

写真:狛猫 neko2
お話を伺った後撮ってきました!本当に「こまねこ」!!

 

―地元ならではの着眼点ですね。それにしても日本唯一の「こまねこ」なんて、丹後出身ですが全く知りませんでした!

髙田)ここ京丹後市峰山は江戸時代より丹後ちりめんで栄えましたが、絹糸を生み出す蚕や絹糸を食べてしまうネズミを退治する「猫」を地元の人々は大切にしていたんですね。

そんな「猫」と「丹後ちりめん」をキーワードに、丹後の人と猫のつながりに思いを馳せ、時空を越えた「まち歩きを楽しむイベント」が今年第3回を迎える「こまねこまつり」で、私たちも実行委員会の一員として協力させていただいております。峰山のまちなかで楽しい企画を催し、猫と人とのつながりを大切にして、峰山地域を盛り上げていきたいですね。

チラシ:こまねこまつり 写真:まちなかマップ チラシ

(まちなかマップ なんと手書きです!!)

 

―焼酎と同じで、地域に根ざした活動をされているのですね。ありがとうございました。今後の展開がとても楽しみですね。

株式会社 丹後蔵 (〒627-0034 京都府京丹後市峰山町泉17番地)
電話番号 0772-62-0151

【ホームページ】 https://tangokura.com(外部リンク)
【こまねこまつり】 http://komanekofes.com(外部リンク)

お問い合わせ

商工労働観光部産業振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

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