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山崎紙工株式会社(京都企業紹介)

山崎紙工株式会社インタビュー

 

(掲載日:令和元年9月10日、聞き手・文:ものづくり振興課 長谷川)

山崎紙工株式会社(外部リンク)(京都市上京区)の山崎喜市会長(70歳)、山崎正純社長(44歳)にお話を伺いしました。

 

山崎会長が、令和元年春の叙勲で旭日双光章受章

-山崎会長が、令和元年春の叙勲で、京都府製本工業組合の理事長としての多大な功績が認められ旭日双光章を受章されました。

(山崎会長)
 ありがとうございます。私は組合役員として、組合員の減少に歯止めをかけるため、組合員同士が切磋琢磨するきっかけとなる、工場見学会や勉強会などの活動に力をいれてきました。しかし、ピーク時には140社ほど加入していた組合員は、現在38社となっています。老朽化した機械設備の更新ができず、親が子に別業界の就職を勧め自分の代で廃業されるところが多くなっています。組合加入の一番のメリットは仲間ができることです。京都だけでなく、全国の製本業者とネットワークができます。今後も組合活動に尽力して参ります。

-ご受章おめでとうございます。

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山崎喜市会長

 

機械化が進む製本事業と職人による手作業が必要な御朱印帳事業

-でははじめに、山崎紙工株式会社の事業内容を教えてください。

(山崎社長)
 弊社は、昭和25年創業で、カレンダーの製造から始まり、現在では、書籍・雑誌、教科書教材などの製本事業や御朱印帳の製作を行っています。

 製本は、印刷会社で印刷された原稿を「原稿の不要な部分を裁断する作業(断裁)」、「断裁された原稿を折る作業(折丁)」、「各折丁をページ順に重ねる作業(丁合)」、「表紙を付ける作業(無線・アジロ・中綴じ)」などの工程があり、それぞれ別の機械で行います。

 一方、御朱印帳の製作は大部分を手作業で行っています。御朱印が裏写りしないように2枚の紙を互い違いに貼り合わせ蛇腹にするなどの工程は職人による高度な技術が必要です。寺社仏閣で使用される御朱印帳は高い品質が求められ、弊社では、京都だけでなく、全国の寺社仏閣の御朱印帳を製作しています。

 本社(京都市上京区)では、主に御朱印帳を製作し、京都市伏見区の工場で製本事業を行っています。従業員数は29名(うちパート15名)です。ここ数年は若返りがすすみ、30代の従業員が増えました。

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御朱印帳の製作過程(左側から右側に工程が進む)

事業承継をきっかけに御朱印帳事業に注力

-平成29年に事業承継をされています。

(山崎会長)
 私は、平成元年に社長に就任し、平成29年に息子に社長の座を譲り会長になりました。私が社長になった時は、好景気で営業しなくても仕事があり、売上げは今の倍近くありました。創業者の父から会社を継ぐことはごく自然なことでした。

(山崎社長)
 私は、入社するまで会社の手伝いをしていましたが、もともと会社を継ぐ気はありませんでした。平成26年の専務就任時には、ピーク時より売上げが半分となり赤字の状況。現会長と今後の事業計画について話し合い、需要増加が見込まれる御朱印帳の製作に力をいれることにしました。その際、一部の事業を廃止し生産工程を見直しました。生産量を増やす体制を築くことで、黒字転換を果たしました。今後は、会長の頭の中に入っているノウハウを文書化するなど、会長でしか知り得ない情報の見える化をしていきたいと考えています。

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山崎喜市会長(左)、山崎正純社長(右)

ウルトラセブンとコラボレーションした御朱印帳

-自社ブランドを立ち上げた御朱印帳事業について教えてください。

(山崎社長)
 平成28年に、自社ブランド「京都紫音(しおん)」を立ち上げました。友禅紙を表紙にした京都らしいデザインの御朱印帳やウルトラセブンとコラボした御朱印帳を展開し、楽天市場で販売しています。ブランド立ち上げにあたっては、京都産業21や京都府よろず支援拠点の方々にご支援を賜りました。

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自社ブランド「京都紫音」の御朱印帳

-ウルトラセブンとのコラボレーションのきっかけは?

(山崎社長)
 東京で開催された展示会での出会いがきっかけとなりました。自社ブランドを展開したい弊社のニーズとウルトラセブン放送開始50年記念の一環として御朱印帳をつくりたい円谷プロダクションとのニーズが合致し、オリジナル御朱印帳をつくることになりました。


-現状の課題や今後の展望を教えてください。

(山崎社長)
 売上の割合は製本事業が4、御朱印帳事業が6となっています。私が社長に就任した当時は製本事業が7、御朱印帳事業が3であり、現在では構成比が逆転しており、御朱印帳事業の重要性が高まっています。また近年、「令和」への改元による朱印集めなど、御朱印帳のニーズが高まっている状況です。ウルトラセブンコラボの御朱印帳は、全国的なファッション雑誌に取り上げられ、大きな宣伝効果がありました。しかし、御朱印帳の製作は、大部分が手作業のため、簡単に増産の対応ができないことが課題です。現在は、新たなコラボ商品の企画など今後の展開に備えて、社内の体制や生産計画の改善など足元を固めていきたいと考えています。

今後の展開が大変楽しみです!

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