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起業家Alexandre氏(AI・ゲーム開発企業創業予定(CFO)/フランス/男性/40歳代)【長期滞在型外国人起業家等誘致プログラム】

長期滞在型外国人起業家等誘致プログラムで在楽中の起業家・投資家へのインタビューです。

AIチャットボットによる次世代ゲーム開発プロジェクト

(令和6年1月18日、ものづくり振興課 大空・エミリー

AIチャットボットを使った、ゲームキャラクターが人間のように会話する次世代ゲーム開発を目指すAlexandre氏にインタビューしました。
次世代ゲームのプロトタイプ制作に向けて、ユーザーインターフェイスを担当するバックエンドのソフトウェアエンジニアを探しておられます。また、プロジェクトに投資していただけるエンジェルも探しておられますので、ご関心のある方は是非ものづくり振興課にご連絡を!

優れたスタートアップエコシステムや歴史文化に魅力を感じて京都での起業を決意!

―京都で起業を目指された理由を教えてください。

Alexandre)私は名古屋と関東で3年ずつ生活し、東京で働いていました。ひと夏くらい京都に住んだこともあります。日本ではフランス語と英語の教師、ホステルのマネージャー、翻訳者、フリーランスなどの仕事をしていました。新型コロナウイルス感染が拡大したのでフランスに帰国しましたが、コロナ期間中に日本で起業することを決意しました。京都で起業を目指した理由は、コンテンツエンタテインメントの会社をつくりたかったからです。まず、日本で様々なスタートアッププランを検討しましたが、エンタテインメント業界は渋谷と京都が優れていました。そして、東京よりも京都の方が自分に合っていると思い、京都で起業することにしました。また、京都は東京より文化的な都市だと感じました。そして、スタートアップの成長に適したエコシステムがあると思いました。もちろん東京より規模は小さいですが、京まふ(京都国際マンガ・アニメフェア)やBitSummitのような魅力的なイベントがあります。さらに、京都には任天堂やたくさんのゲーム会社があります。それに、東京よりも京都の方がワーク・ライフ・バランスを取ることができると思います。また、私は京都の歴史が本当に好きです。京都はとてもおもしろい都市で、歴史的に見ても、平安京がかつての首都であり、今でも日本の文化の中心地だと思います。

―京都を選んでいただいたありがとうございます! 1月4日に来日されてから2週間が経ちましたが、京都で暮らした感想はいかがですか?

Alexandre)今回のプログラム参加者の中で、私が最初に京都に来ましたが、たくさんのサポートがありました。例えば、京都府やジェトロ京都、グローカル人材開発センター、京都産業21など、たくさんの人たちの支援でビジネスマッチングやセミナーの参加を予定しています。これからやるべきことはたくさんあり、ここからがスタートだと思っています。

目指すのは、全てのキャラクターが生きた人間のように会話する次世代ゲーム開発!

―準備中の次世代ゲーム開発事業について教えていただけますか。

Alexandre)ゲームスタジオと協力してゲーム用のAIキャラクターを制作する次世代ゲーム開発事業を準備中です。現在のゲームでは、プレイヤーが操作しないキャラクターであるNPCは事前に設定された会話を行います。しかし、AIキャラクターは、生きた人間のように自由に創造的な会話を行い、リアクションします。プレイするたびに、プレイスタイルや好みに合わせてAIキャラクターが様々なリアクションを行うので、同じゲームであっても、プレイヤーにとっては違うゲーム体験になります。現在のゲーム市場では、AIキャラクターを制作・提供する会社は2つのアメリカの会社だけです。10年後は全てのゲームでAIキャラクターが使われていると思います。

―次世代技術で大手が存在しないから、ビジネスチャンスが存在するわけですね! 貴社のゲーム開発はどんな状況ですか?

Alexandre)私のパートナーがAIチャットシステムのプロトタイプを開発中であり、キャラクターの職業、性格、思想、能力などの設定を入力したら、会話ができるシステムを目指しています。現在、AIキャラクターの設定を入力するインターフェイスとバックエンドを作成するソフトウェアエンジニアを探しています。

【参考】完成したAIチャットシステムのプロトタイプ

【参考】制作を依頼するゲーム会社やソフトウェアエンジニアを探しているAIキャラクター設定用インターフェイスのイメージ

 

―京都府内にはゲーム制作のプログラミングなどを勉強する大学や専門学校があるのでマッチングさせていただくこともできますが、いかがでしょうか

Alexandre)私たちには、本当に優秀で、会社をともに創り上げていくソフトウェアエンジニアを必要です。ソフトウェアエンジニアの選択は、会社にとって非常に重要な決断です。ソフトウェアエンジニアは、共同創業者として、会社の株式の一部を持ってもらう可能性すらあるからです。そして、その決断は私の事業パートナーであるAIの専門家が行います。また、探しているレベルのエンジニアは大企業で働いている場合が多く、教育機関では見つけられないと思います。ただ、インターフェイスなどの完成後に、例えば機械学習エンジニアなどが必要になった場合には学生でも対応できるかもしれません。

―マッチングできるゲーム会社を探してみます! 京都府ではスタートアップと投資家をマッチングするエンジェルコミュニティという仕組みがありますが、ご参加されませんか

Alexandre)はい、興味があります。私たちは、この会社を創り上げるためにエンジェルも必要としています!

「根回し」を重視する日本と「Move fast and break things!(素早く行動し破壊せよ!)」を重視する欧米

―京都に3か月間住みながら、事業パートナーたちと仕事や起業に向けた準備を行う生活をされるわけですが、そんなグローバルな働き方はフランスでは一般的なのでしょうか?

Alexandre)リモートワークは、フランスで一般的な働き方ではありませんが、IT業界で働いている人にとって珍しくありません。それは日本でも同じだと思います。例えば、EメールやDiscord、Slackなど、たくさんの役立つアプリがあります。また、新型コロナウイルス感染の拡大以降、世界的にリモートワークが普及したため、世界中で若い世代はリモートワークに慣れていると思います。

―京都産業のグローバル化の進展に向けたポイントは何だと思われますか?

Alexandre)日本には、まず言語の壁があり、さらに文化の壁があります。すなわち、日本でコミュニケーションするには、日本語を勉強するだけでなく、日本の知識や共通認識を持ち、文化的背景や文脈を理解しなければ、相手の話す意味を理解できません。さらに、日本語が上達しても、日本の仕事のやり方と、世界の他の国々とは文化的に大きな違いが存在します。日本では、まず直接会って物事を確実に進めることが重要です。 一方、アメリカのスタートアップには「Move fast and break things!(素早く行動し破壊せよ!)」という格言がありますが、日本ではこれは困難です。私にとって一番大変だったのは「根回し」です。日本以外の国では、そんなことはあまりしません。

―「根回し」が存在しないんですか? もし会議の場で参加者の意見が一致しなければどうするんですか?

Alexandre)各人にはそれぞれの立場があり、自ら行動し決定できるので、全員の意見を事前に確認する必要はありません。もし全員に意見を事前に聞いたら何もできません。10人の参加者がいれば、少なくとも2~3人は反対する人がいるでしょう。そして、全員の合意には様々な変更が必要で、時間がかかります。でも、日本人にとってはそれが普通で、日本のビジネスの難しいところだと思います。「根回し」によって、誰が何を、なぜ、どのようにするかが曖昧になるとともに、決定にはブレが生じます。しかし、もし私がスタートアップのCEOであれば、私が間違った決断を下したならば、私の責任でしかありません。

―では、日本のスタートアップ企業についてどう思われますか?

Alexandre)日本のスタートアップ企業は、普通の日本の企業とは異なるメンタリティーを持っていると感じます。日本ではスタートアップ企業はマイノリティーで、一般的な日本人とは違うマインドセットを持っています。特に、京都にはたくさんの外国人がいるので、グローバルなスタートアップ企業が生まれる可能性が高いと思います。

京都府として、グローバルなスタートアップ企業の創出に尽力してまいります!
 

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