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知の京都- 石井佑弥さん(京都工芸繊維大学 繊維学系 助教、博士(マテリアルサイエンス))

産学公連携、産業振興の一環として、京の研究者・専門家の皆さんを紹介するページです。

知の京都 京都府の産業支援情報

世界初!汎用プラスチック極細繊維による電源フリーの圧力センシング

(掲載日:令和2年1月29日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)

石井先生

石井佑弥さん(京都工芸繊維大学 繊維学系 助教、博士(マテリアルサイエンス))にお話をおうかがいしました。

汎用プラスチック極細繊維なのに高度な圧電的特性を世界に先駆けて発見

--先生はどのような研究をなさっているのですか。最近、新発見の発表をされましたね。

石井)私どもの研究室と、国士舘大学の酒井平祐准教授、北陸先端科学技術大学院大学の仲林技術専門員などによる共同研究チームで、フィルムでは圧電挙動を示さない汎用プラスチックの極細繊維で、高度な圧電的特性を示すことを世界に先駆けて明らかにしました。

--圧力を加えたら電荷が生じる圧電フィルムは見聞きします。

石井)はい、そうだと思います。しかし、これまでは、フィルムでも圧電性を示す圧電プラスチックが知られていました。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン/三フッ化エチレン(PVDFTrFE)、ポリ-L-乳酸(PLLA)などのフィルムといったものです。

--そうそう、ポリ乳酸などは聞いたことがあります。それらはプラスチックなのにどうして圧電性を示すのですか?

石井)分子構造の中で、正の電荷の重心と負の電荷の重心が一致しない電荷の配置を双極子と言いますが、圧電性は、外部からの力を受けてわずかにその位置が変化することにより発現します。この双極子を規則的に配列により圧電性を示します。

--そうなのですね。

石井)動作情報を電気信号に変換しセンシングする、もしくは発電する圧電素子としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などのセラミック系圧電材料が、その圧電特性の高さから広く普及してきました。一方、圧電プラスチックは、フレキシブルさの点等で優れます。2010年に電界紡糸法で作製した圧電プラスチックからなるナノ繊維が圧電特性を示すことが報告され、圧電プラスチックからなるナノ/マイクロ圧電ファイバは活発に研究されている状況です。

--電界紡糸法?

石井)プラスチックの溶液もしくは溶融体を高電圧で帯電させ、静電引力によりナノ/マイクロファイバを紡糸する方法です。溶液もしくは溶融体をシリンジに入れ、高電圧をかけながら射出させることで、噴流が伸長してとても細いファイバを形成するものです。

--なるほど。今回、圧電プラスチックではなく、汎用プラスチックの極細繊維ということですが、作製方法は?

石井)同じ電界紡糸法です。研究用に少量を手軽に作れるように、装置も自分たちで作りました。

極細繊維

--圧電プラスチックでないのに、圧電特性を示すのですか。

石井)繊維膜の上側付近に正電荷が偏って担持され、繊維膜の下側付近に負電荷が偏って担持される構造です。水がかかるとか、その他除電するようなことがない限りは、おそらく半永久的に電荷を保持する構造になっています。

圧電特性

電源フリーで、安くて軽くてやわらかい極細繊維

--なるほど。

石井)従いまして、これまでの圧電プラスチックからなるナノ/マイクロファイバと同じく「電源フリー」で、平均直径10um未満と「極細」だという特長があります。

--汎用プラスチックの素材は?

石井)ポリスチレンですね。

--ポリスチレンと言えば、プラモデルとか、パソコンの筐体とか、発泡スチロールとか、日常でよく目にするところで使われている、まさしく汎用的なものですね。

石井)ですので、圧電プラスチックからなるナノ/マイクロファイバとの差別化要素としては、「安い」ということが挙げられますね。

--いいですね。

石井)また、ヤング率を比較してみますと、従来のものより「やわらかい」という特長もあります。平均直径10um未満の極細の繊維1本1本がやわらかいということや、空隙が多い、すなわち「軽い」ということも理由として考えられます。

計測の様子

高感度圧力センサー、ウェアアラブル生体センサー、発電素子の低コスト化に貢献

--素晴らしい。これ、実際に押させていただきましたら、おっ、おっ、反応性もすごくいいのですね!

石井)ありがとうございます。今回、高価な圧電プラスチックに限定されずに、安価な汎用プラスチックで高感度な圧力センサーや、ウェアラブル生体動作センサー、発電素子を製造できる可能性を示すことができました。また、物質内の電荷の偏りの方向をそろえるポーリングの処理も不要で作製プロセスの省工程化も期待できます。今後は、企業さんと組むなどアプリケーションの開発ステージへと進めてまいりたいですね。

 

大変楽しみです!!一緒に取り組みたい企業様も募集中です!

お問い合わせ

商工労働観光部ものづくり振興課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4842

monozukuri@pref.kyoto.lg.jp

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