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知の京都- 西脇眞二さん (京都大学大学院 工学研究科 教授)

産学公連携、産業振興の一環として、京の研究者・専門家の皆さんを紹介するページです。

知の京都 京都府の産業支援情報

トポロジー最適化で「あっと驚く設計」を!

(掲載日:平成29年9月6日、聞き手・文:ものづくり振興課 足利)


京都大学大学院工学研究科 西脇眞二教授と山田崇恭 助教(博士)にお話をおうかがいしました。

人間では思いつかない構想設計!―トポロジー最適化

―「トポロジー最適化」の研究をされてらっしゃるとお聞きしましたが、トポロジー最適化とは何ですか?

西脇) 設計者の勘と経験に基づく試行錯誤に頼らずに、力学的・数学的根拠に基づいて、構造物の最適な形状を自動的に求める構造最適化手法の一つで、寸法、外形形状ではなく、材料の有無についての最適設計を行うものです。

―なるほど。

西脇) 基本的な考え方は、構造最適化問題の材料分布問題への置き換えで、ディスプレイの描画方法に似ています。これによって、決められた量の体積を削減しつつ剛性(変形のしにくさ)を最大化する設計領域内の材料分布を決めるのです。例えば、京都のメーカーとの共同で高性能射出成形品取出ロボットを開発し、従来機種に比べてロボットの総重量を13%削減、軽量化に伴うロボット動作の高速化により、取出必要サイクル時間を11%削減することができました。

―素晴らしい。

西脇) そのため、トポロジー最適化法は、機械製品の性能の抜本的な向上を可能とし、さらには、今までにはない新しい機能を持つ構造物を創成設計可能な技術として注目を集めています。

―ユニークな形状ですね!人間では、まず思いつかない形状を生み出すことができるのですね。実際の製造業の現場ではどういった工程に当てはまるのでしょうか?

山田) 構想設計段階ですね。この人間では思いつきにくいデザインをベースに、次の段階では、人間が、加工方法も想定しながら詳細設計をするということになります。CAEは、設計されたものをシミュレーション上で評価することで、製品の品質向上だけでなく、実際の試作回数を減らすことができるため、開発工程の短縮というメリットがあります。その更に上流工程でトポロジー最適化を行うことによって、CADモデルを絞り込み、モデル作成、解析の時間を短縮するとともに、抜本的な性能向上を狙った設計が可能となります。

通常のCADで使える、剛性に特化した、実用的で手軽に使えるモデルを開発

―今回、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)を使って、コンピューター支援解析・設計・製造技術とトポロジー最適化を有機的に統合した新しい構想設計法を開発されたとお聞きしました。どういった特徴がありますか?

西脇) 一言で言えば、実用的で手軽に使えるということですね。と言いますのも、まず1つは、求める最適化を「剛性」、それは、ほとんど「強度」とイコールですが、それに絞り込みました。次に、通常のCADの中で利用いただけるので、難しくないと思います。ですので、普通に設計をされてらっしゃる方であれば、せいぜい1~2日程度、レクチャーを受ければ使いこなせるはずです。

―それは良いですね!

西脇) SIPの資金を活用して開発させていただいたものですので、今後、各都道府県公設試等には無償でご提供できるかと思います。既に京都の企業様も何社か試用されています。

構造だけでなく、熱流体、電磁波など様々な展開へ

―それはとてもありがたいことです!ところで、先生がトポロジー最適化の研究に進まれたきっかけはどういったことだったのでしょうか。

西脇) もともと株式会社豊田中央研究所におりましたが、企業派遣で米国ミシガン大学に行きました。そこで、1988年に世界で初めてトポロジー最適化の研究を発表された、菊池昇先生に師事したのがきっかけです。その後私は大学研究者の道に入りましたが、菊池先生は逆に、今では豊田央研究所の所長をされてらっしゃいます。先生は、当時から「トポロジー最適化と3D造形を組み合わせればおもしろい」といったことをおっしゃっていたのですが、当時、そのことにピンと来る人が世の中にいませんでした。今、ようやく世の中が追い付いてきたところです。

―本当に世の中を変えるようなものって、最初はみんなピンと来てくれないというのは歴史が証明しているように思いますね。

山田) このトポロジー最適化は、構造問題だけでなく、熱流体、電磁波など様々な分野で活用ができると考えており、当研究室では、波動問題などの様々な物理問題においてトポロジー最適化による新機能創成を世界に先駆けて取り組んでいます。これにより、例えば電磁波の関係では、所望の電磁波特性をもつデバイス、あたかも物体がないかのように振る舞うデバイスの設計、音響の関係では、音を遮断し光と空気を透過させるデバイス、音の方向をコントロールできる指向性スピーカーの設計、などもできるようになるのです。

―すごいですね!さて、今後の展望はいかがでしょう。

西脇) 様々あるのですが、メタマテリアルと呼ばれる自然界には存在しない特異な特性を持つ材料の開発は一つの大きなテーマです。それに、金型の設計もそうですね。製品性能が最大になるように製品形状と金型形状を同時設計したり、各方向の仮想的な光の分布から金型形状も同時に得られるようにしたりといったこともできます。

―いいですね!

西脇) 何より「あっと驚くもの」を出していきたいですね!

 

とても分かりやすく親切なご説明、ありがとうございました!

ものづくり企業の皆さまのお仕事に直結するものであるだけでなく、世の中を変える予感がひしひしと伝わってくるものです。ご関心のある企業様は、ぜひ!

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