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青年海外緑と文化の大使レポート(ネパール)

 大野 典子 (出身:城陽市) 平成23年度3次隊(職種:保健師)

 毎日ヒマールが見える乾季の美しい季節、このポカラが任地だったことをとても幸運に思います。10月から3月くらいまでは、雨があまり降らず、8000m級のヒマールが白い雪を被り、とても美しい景色を見せてくれます。ネパールの冬は日本より寒さが緩いですが、乾季は1日12~14時間の計画停電のため、もちろん暖房もなく電気もなくなります。そのため、日本より室内が寒く、早く寝るか着込むしかありません。今寒い季節も終わりかけ、日中は初夏のような暑さです。同時に天気も崩れやすくなっており、夕立や雷が頻発しています。

 

[妊婦指導に力を入れる工夫]

 活動では、早14ヵ月が経過しネパール語も随分上手になりました。毎月22日間は市のモバイルクリニックに同行しています。子供の予防接種、妊婦健診、家族計画の3つの事業を実施しており、私も受付や体重測定などのお手伝いをします。今力を入れているのは、妊婦への指導です。ネパールでは、日本のような丁寧な妊婦指導はありません。昨年8月に妊娠カレンダーを改良作成しました。これは、前任者が作成したものをベネッセコーポレーションさんから情報提供でご協力いただき、新しく情報を追加し、見やすく工夫した道具です。

 この妊娠カレンダーは、最終月経日から出産予定日と現在週数、月数ごとの胎児の様子などが文字とイラストでわかる仕組みです。クリニックと市立のヘルスポストに配布したところ、便利さにスタッフ達から好評を得ています。妊婦にもイラストを見せ、胎児の様子を伝えてもらうことで、妊娠期を大切にしてもらい、安全で安心な出産へとつなげるのが目的です。今後はこの妊娠カレンダーを配属先だけでなく、他の病院や看護学校に普及したいと考えています。

妊婦指導

1 ヘルスポストにて、妊娠カレンダーを活用して妊婦指導中。

 

妊娠カレンダー

2 改良作成した妊娠カレンダー。

 

[公立保育園へ幼児教育と衛生面での介入開始]

 ポカラ市立保育園が16ヶ所あり、普段クリニック会場である地区オフィスに併設されていることが多く、当初からよく訪れていました。その中で、2~5歳児25人程に対し先生が2名で、ひとつの部屋で遊ばせるしかない環境や、衛生面での問題が目につきました。子供への幼児教育や衛生指導は重要だと考え、幼児教育隊員の協力を得て、市立2園に定期訪問を開始。まず実態把握を行い、水代、昼食を作る材料費やガス代すら市から出ない現状を知りました。日本の公立園とのあまりにも違う現状に、今後どのように介入しようか検討中です。幼児教育隊員より、遊びの導入、1日の流れを先生と話し合うなどの活動を行いました。今後も継続して、衛生面と幼児教育の両面で改善を図ります。

メダル作り

3 幼児教育隊員によるメダル作りのアクティビティを実施。

 

[JICA「世界の笑顔のために」プロジェクトで幼児教育用品を寄贈]

 JICAが実施する「世界の笑顔のために」プロジェクトを通じて、幼稚園に絵本やカスタネットなどの幼児教育用品、そして日本文化を紹介する雛人形や鯉のぼりを寄贈していただきました。日本で幼児教育修士課程を学んだネパール人女性が、日本のような素晴らしい幼児教育をネパールで実践すべく、昨年ポカラに幼稚園を開園されています。活動中偶然に出会った彼女のやる気と熱意に共感し、私も何かお手伝いしたい気持ちだったところ、このプロジェクトを知り、申し込みました。日本各地から届いた品物は、全て善意で届けられた、思い出のある品物ばかり。日本の幼児教育を知る園長が、今後ネパールの子供たちの健やかな成長のために、上手に活用してくれることでしょう。私も今後とも交流を続け、絵本や楽器を教えていきます。ご協力いただいた皆様に、本当に感謝しています。

紙芝居

4 寄贈された紙芝居を読み聞かせするソビタ園長。

 

鯉のぼり

5 寄贈された鯉のぼりを見て大喜びの子供たち。

 

[1年経過しての感想]

 ネパールに来て2回目の冬を迎え、寒さから体調を崩すこともしばしばでした。大家はいつも体調を気にかけてくれ、一緒にネパール料理を食べさせてくれることも多く、ネパールにも家族がいてとても心強いです。ネパールでは冬場日本では考えられないくらい、電気がありません。ただ、ネパールの人はそれでも明るく楽しそうに生活しています。日本のように、全てが整っている社会で幸せ感が乏しい今の社会を考えると、どちらが幸せかを考えさせられます。残りの任期も1年を切り、今後計画的にやりたいこと、必要なことを実行していこうと思います。

 

 

お問い合わせ

健康福祉部こども・青少年総合対策室(青少年係)

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