トップページ > 子育て・健康・福祉 > 子育て・青少年 > 青少年の国際交流の支援 > 青年海外緑と文化の大使レポート(ソロモン)

ここから本文です。

青年海外緑と文化の大使レポート(ソロモン)

西山 裕介 平成27年度第1次隊(職種:理科教育)

 京都府民の皆様、こんにちは。

 現在私は、ソロモンの中高校の理科教員として働いております。理科の授業に限らず、地域に貢献できる教育を目指し、日々実践をしています。

 さて今回のレポートは、着任から現在までの「実践報告」として5つの項目を紹介させていただきます。

活動内容について

 下記の実践により、地域に貢献できるような、地域に根付く教育を目指しております。

ソロモン1

地域の人々、子どもたちの環境に対する理解を促すとともに、意識を変えていくための環境教育の実践について

 初めは、学校に落ちているプラスチックや、缶、瓶、紙などのゴミがものすごく気になり、美しい大自然とのアンバランスに驚きました。また、目の前で堂々と食べ物の袋を捨てる姿に愕然とさせられました。それをきっかけに、毎朝、学校に行って、まず15分間のゴミ拾いをすることにしました。その率先垂範により、子どもたちにゴミを拾うことを習慣化しようと考えました。朝の集会でも校長先生が生徒にアナウンスし、一日一人一つのゴミを拾おうというような取り組みに発展しています。片手にバケツを持っていると、小学生も中高生も関係なく、そのバケツに進んでゴミを拾って入れるようになりました。ココナッツなどの自然の物質と、人間の手によってつくられたプラスチックなどの化学物質との区別が理解できないため、悪気なくゴミを捨てる習慣があります。ゴミに対する理解を促すために、理科の授業の中で、物質についての危険性を説明したり、教会で地域の人々にゴミの危険についてアナウンスする中で、少しずつ、地域の人々や子どもたちの意識を変化させていこうと考えています。地域の人々によって、継続して自分たちが生まれ育ち、また、子どもたちが育つ、この環境を協力しながら守っていけるよう働きかけていきます。

理科教育における視覚教材を利用した授業の展開

 教科書や実験器具がない環境の中で、唯一の教材となるのが教師だと考えます。しかし、言葉の説明と板書だけでは、子どもたちにはイメージすることができず、理解を深められません。地域の人とのつながりで、プロジェクターを貸していただける人を見つけ、紙をつないで作ったスクリーンを理科室に取り付け、パソコンから写真や映像を使いながら授業を行うことに成功しました。これにより、例えば、顕微鏡がなくても、細胞の拡大写真を見て理解できます。天体の分野であれば、望遠鏡がなくても、星の写真や星座の写真を見せることで、イメージすることができます。また、実験器具がなくても、器具の説明ができたり、実験を見せることが可能です。もちろん、実際に体験する学習に勝るものはないと考えていますが、今身の回りにある中では最も有効なものと考えております。それと並行して、演示実験、生物の授業であれば、身の周りの生物を実際に捕まえて図鑑を作らせるような授業も行っています。今後このプロジェクターを利用して、子どもたちの学習成果をスクリーンに映し出し、プロジェクト型の授業へと発展させようと考えています。このように、人とのつながりによって、奇跡的に借りることができたプロジェクターによって、教育の幅を大きく広げています。

部活動の導入ソロモン2

 日本のように、学校終わりに部活動をして帰るという習慣はありません。どうにかして子どもたちに運動をさせたいと考えていたところ、夕方にボールを蹴って遊ぶ子どもたちの姿がありました。それをヒントに、サッカーボールを一つ購入して、学校で見つけたホイッスルをぶら下げ、夕方に学校のグラウンドに足を運ぶと、沢山の子どもたちが集まってくれました。それをきっかけに、最初は遊びの流れでしたが、徐々に、時間を決めたり、ルールを決めたり、試合の間にトレーニングを入れるなどの取組を導入することで、少しずつ運動能力向上につなげる、目的を持った活動になってきています。今は、生徒が夕方になると、私の家までボールを取りに来て、チームも自分たちで決めて待っているようになりました。大切にしたいことは、運動能力を向上させるためのトレーニングと、目標を持って一つのことに打ち込む心を育てることです。楽しむだけであれば、遊んでいるのと変わりありません。今後、大会を開催し、モチベーションを上げたり、ノートを作ることで、考えながら体を鍛える習慣をつけさせたいと考えています。また、継続して行う力も育んでいきたいと思います。そのためにも自分が継続して指導できるよう心掛けていきます。

養鶏場の建設

 地域が経営する農場があります。そこに、学校が終わってから、部活動までの間の時間に毎日通うようにしています。そこから生まれたつながりによって、養鶏場の建設が実現しています。現在、ほとんど建設が終わり、鶏を注文する段階に入ろうとしています。建設費用は0円で完全に地域の人々の協力により実現した取組となっています。この養鶏場では子どもたちも地域の人々と一緒に働ける環境を整えていきます。養鶏場の目的には次のようなものがあります。

 ・授業キャリキュラムの中の「農業」における、実践・体験が可能な学習環境が提供できる。

 ・子ども自らの労働と商品販売によって「流通経済」を体験的に学習することができる。

 ・「命」や「生命尊重」の心が農業を通して、体験的に育まれていく。

 ・日本で言われるキャリア教育が実践でき、将来の労働感覚を養うことができる。

 ・地域の人々との触れ合いにより、社会の一員としての意識と、コミュニケーション能力を養うことができる。

 ・達成感を味わい自尊感情が高まることにより、自由な時間に非行へ向かう子供が減ると考える。

 ・継続的な教育環境を与えることができる。

 このように、運営は地域の農場と同じ形式で地域に任せ、学校教育に活用できる地域の施設として、しっかり育てていきたいと考えています。

毎週月曜日のニュース発行

 A4の用紙に、2枚の写真とそれに英語で文章を書き、学級通信のような形にして毎週月曜日に発行しています。内容は、地域の伝統料理の体験や、学校の授業の様子など、自分が記者になったつもりで、地域について思ったこと感じたことを自由に書いています。型にはまった形でなく、地域の人々が喜ぶような内容を書こうと心掛けています。発行した新聞は、毎週学校に唯一ある、壊れた掲示板に貼ります。日本人がこの町について何を書くのだろうと興味津々で読む生徒の姿が嬉しく感じられます。中高校に貼る以外にも、小学校に一枚、マーケットに一枚、病院に一枚持って行って、貼っていただいています。特集の時は、それに関連する人たちに配ります。例えば、地域のサッカーチームが大会で優勝した際は、そのチームの人々に、喜びを記した新聞を配って回りました。タイトルは「メッセージ」で近くの商店にも喜んで貼ってくれたりしています。

 また、生徒から、日本についてもっと知りたいという要望から、毎週月曜日、授業が終わってから自由参加という形で、理科室とプロジェクターを借りて、日本についてのプレゼンテーションを行っています。時間は20分と決めて毎週続けることを目標にやっています。内容は、日本の文化から、ライフスタイル、スポーツ、アーティスト、侍、テクノロジーなど、多岐にわたります。これにより、日本のことに興味を持ってもらうことと、知らない世界を知ることで夢が広がると考えています。今後、一方的なプレゼンだけでなく、子どもたちにも考えてもらえるような内容にしていきたいと思っています。

 

 詳細については、ブログ(外部リンク)をご参照ください。

 

 

お問い合わせ

健康福祉部家庭・青少年支援課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4792

kateishien@pref.kyoto.lg.jp