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鴨川真発見記 平成26年3月

 第138号 鴨川に春のきざし

春間近の鴨川で過ごすエトセトラ

 3月に入り気温も上がりはじめました。暖かい日もありますが、雪の舞う日もあり冷え込みも感じられます。こうして本格的な春を迎えるのですね。

 今回は、春を待つ鴨川の様子を日々の様子の中からお届けします。

植物の様子を見てみましょう 

 すっかり葉を落としていたシダレ柳にも小さな葉が顔を出し始めています。この小さな緑がやがて大きく育ち“ふさふさ”にその枝を被いつくして、シダレヤナギの名の通り大きく枝垂れていきます。

<シダレヤナギの大木>

(平成26年3月2日撮影)

<目の前まで垂れています>

(平成26年3月2日撮影)

 葉の役割といえば小学生の頃に習いましたね。光合成です。光合成を広辞苑で再確認してみますと、「生物、主に葉緑素をもつ植物が光のエネルギーを用いて吸収した二酸化炭素と水分から澱粉や糖などの有機化合物を合成すること」とあります。

<小さな芽吹きが大きな葉へ>

(平成26年3月2日撮影)

 ここで合成された栄養が樹木に行き渡るのです。そんな大切な栄養製造工場が毎年新しくなって1年間の生存を支えます。

 その葉は樹木自身だけでなく、葉を食べる生き物の食料としても命を支えます。この葉の役割は何かに似ていると思いませんか。光のエネルギーを他のエネルギーに変える太陽光発電システムです。無数の葉が太陽光発電のパネルの役割をしている様に感じます。

<出町橋西詰の老木も春の準備>

(平成26年3月2日撮影)

 太陽光発電では澱粉や糖は作れませんが、生活に欠かせない電気を供給してくれます。その仕組みは詳しくは知りませんが、自然の営みからヒントを得たのではと思ってしまいます。

 川の中へ目を転じてみますと、昨年の台風18号の影響で第137号でご紹介しましたとおり“中州”“寄州”の土がかなりの部分で流されてしまいました。

 河原でも生育出来るセイヨウカラシナは、根が深く張っているそうですが、土ごと流されてはたまりません。残された土の上には、青々とした“菜”が所々に生えてきています。

 そんな「セイヨウカラシナ」が美味しそうに見えますが、数が随分とすくないようです。昨年の春には、菜の花畑かと思う程に咲き乱れていた黄色い花の光景はあまり期待できないようです。

<中州、寄州は小さくなりました>

(平成26年3月2日撮影)

<増水の難を逃れた“セイヨウカラシナ”>

(平成26年3月7日撮影)

<瑞々しい葉を茂らせています>

 そうした感想を持っていたある日、某新聞社から問い合わせの電話が入りました。ある方に記事をお願いして書いてもらったところ、「鴨川で散策の途中で“菜の花”を摘んで帰る」という文章が書かれていたが、あれは“菜の花”で正しいのか。という内容でした。

 植物に関しては、素人なので植物園の方に聞いてもらった方が良いとは思いましたが、昨年の「鴨川真発見記」でこの花を紹介している事を思い出しました。植物園の方に確認してもらった内容なので、もう一度記事を確認して連絡する事にしました。

 バックナンバーを辿っていくと、第85号「鴨川の春の彩り詰め合わせ 色とりどりの草花が鴨川を飾ります」で確かに書いていました。正確には「セイヨウカラシナ」ですが、アブラナの花を総称して“菜の花”と呼ぶ事を紹介しています。

 早速新聞社へ連絡して紹介しておきました。一つ一つの積み重ねが何かの役に立つ事があるものです。いつも手を煩わしている植物園の方の手間を一つ省く事ができました。

 桜の下で真っ白い小さな花を咲かせる低木の「ユキヤナギ」の枝にも小さな葉が顔を出しています。数日後には小さな白いつぼみがふくらみ始めました。

<ユキヤナギ>

(平成26年3月2日撮影)

<ここでは“ユキヤナギ”と“シダレヤナギ”が向かい合っています>

(平成26年3月2日撮影)

<白いつぼみがふくらみました>

(平成26年3月8日撮影)

 お隣では、“ビョウヤナギ”が少し赤みのある葉を出しています。つるつるの表面に弾かれた雨水が玉になって揺れていました。花が咲いたら何という樹木か確認してみたいと思います。

<“ビョウヤナギ”の葉に水玉>

(平成26年3月2日撮影)

(平成26年3月2日撮影)

 ウメの花はこの日で3部咲きといったところでしょうか。赤や白の花を咲かせています。シダレウメは少し遅咲きのようで、まだ数個の花を咲かせているだけです。

<咲き始めた紅梅>

(平成26年3月7日撮影)

<次々と花開くでしょう>

(平成26年3月7日撮影)

<白梅も負けじと>

(平成26年3月7日撮影)

(平成26年3月7日撮影)

<シダレウメは咲き始め>

(平成26年3月7日撮影)

 足元では、“アカツメクサ”が三つ葉を出しています。“シロツメクサ”のそれよりも幾分先の尖った葉で、雨のせいもあって瑞々しく感じます。

 石積みの間を割って小さな三つ葉はなんでしょうか。葉だけで見分けるのは難しいですね。

<アカツメクサ>

(平成26年3月2日撮影)

<なんでしょうか>

(平成26年3月2日撮影)

 石積みの間からといえば、白い可憐な花を咲かせるセンニンソウは今年も生えてくるでしょうか。昨年の台風18号の直前に花の咲いている写真を撮り、植物園の植岡技師に名前を教えてもらいましたが、ご紹介する機会を逸していました。今回ご紹介させていただきます。

<花を咲かせたセンニンソウ>

(平成25年9月9日撮影)

 これから新緑の季節を迎えます。いろんな樹木の葉の付け方にも注目して春の鴨川を楽しんでみたいと思います。

 特に、先に花を咲かせ、その後一気に葉ザクラとなる「ソメイヨシノ」の葉の付け方に注目してみたいと思います。

<まだまだ硬いソメイヨシノ>

(平成26年3月2日撮影)

 「花が先で葉が後から一斉に」という植物は外にもたくさんあります。そんな植物が花を咲かせるエネルギーは、前の年の秋までに蓄えられているのかと思いますが、不思議な感じがします。

 人間の生活に必要な電気も、もっと効率良く蓄える事ができたら色んな問題の解決になるのではないでしょうか。

野鳥の様子も見てみましょう。

 平成25年の台風18号以来、鴨川で「ゴイサギ」を見かけなくなっていました。先日あるシンポジウムの帰りに、暗くなった鴨川の四条あたりで野鳥の影が目にとまりました。

 暗くてはっきり見えませんが、どうやら「ゴイサギ」の様です。手元のカメラで撮影しましたが、鋭い目が光るばかりでやはり”はっきり”しません。

 後日、明るさ補正で確認するとやはり「ゴイサギ」でした。鴨川の工事現場に展示した写真にもゴイサギを採用しましたが、最近見かけていませんでした。

 夜行性のゴイサギはやはり夜に行動するようです。

 「壁の向こうはどんな野鳥」のタイトルに間違いが無かった事を確認させていただきました。いつもお世話になっている「日本野鳥の会京都支部」の方にも報告すると、「私も見かけていなかったので“よかった”」とのお返事がありました。

<暗闇の中で夜行性の目を光らせる“ゴイサギ”>

 また別の日の早朝には、私はこれまで確認できていなかった野鳥との出会いが」ありました。ネットの図鑑で確認すると「モズ」という野鳥のようです。これまた野鳥の会へ確認をお願いして「モズ」と確定しました。

<鴨川では常連のようです “モズ”>

 鴨川探鳥会では常連とのこと。まだまだ見えていないと痛感しました。そして「“モズのはやにえ”で有名ですね」とのコメントに、“はやにえ”って何と調べてみると、獲物の昆虫やトカゲなどを木の枝に刺しておく行為で、その行動の理由は詳しくはわかっていないそうです。

 また一つ勉強させていただきました。

 ちいさな尾羽を上下に振りながらぷっくりとした体型の「イゾシギ」が川を覗き込んでいます。「何か見つけたようです」次の瞬間、体の半分程を川の中へ「ジャボン」と入りました。エサを捕獲できたのでしょうか。

<狙いを定めて イソシギ>

<一気にダイブ>

 別の場所で水に頭を突っ込んでいるのは「ハシブトカラス」です。石に囲まれた水のよどみに集まってバシャバシャと水浴びをしています。さしずめカラスの露天風呂といったところでしょうか。

<カラスの露天風呂?>

 水に頭を突っ込んだり、水を浴びたりと色々ですが、カワアイサのメスの浮上シーンが偶然撮れました。いつもは遠くにしか姿を見せてくれない“カワアイサ”のオスが近くに浮かんでいました。

 慌ててカメラを取り出した拍子に連写機能ボタンがオンになったようです。ピントを併せてシャッターを押している間に、オスの前にメスが浮上してくるシーンが収まりました。偶然ながらいい三連写となりました。

<カワアイサのメス水中から浮上>

 最初は日陰の位置にいたのですが、次第に朝日の当たる位置まで来ると、太陽の日に照らされて一層綺麗な姿を見せてくれました。

<カワアイサのメス>

<カワアイサのオス>

<太陽に照らされて>

<くちばしはピンク系>

川の中の様子をもう少し間近で見てみましょう。

 前回第137号でもご紹介しましたが、鴨川には礫河原がたくさん出現し、石投げをする人も多く見られます。今回はその礫河原の中に入ってみました。いわゆる五条河原です。出雲の阿国一座もここで公演をしていたと聞きます。

<五条大橋下流から上流方向を望む>

<五条大橋下流から下流方向を望む>

 石もいろんな色の石があります。子供の頃に河原で水晶の入った石を探したことを思い出します。「いつの頃この場所に流れ着いたのだろうか」などと考えながら一つ一つの石を眺めてみました。

<何の形に見えるかな?>

<想像力を働かせてみてください>

 この石は「なんの形」に見えるだろうと思ううちに、一人鴨川探検隊の気分です。子供達を連れてきて、「△◇石見つけた」と石コレクション大会をしてみるのも良いのではないでしょうか。ただし、石はその場に戻しておいてください。

 鴨川という存在だけで、色んな楽しみ方ができます。あなた独自の鴨川の魅力を引き出して楽しんでみてください。

 

平成26年3月10日 (京都土木事務所Y)

 

 第139号 春の鴨川で“初の出会い”を真発見

まだまだ知らない鴨川の自然

 ある日の夕刻鴨川を歩いていると、一人の女性がカメラを構えて夕日が沈むタイミングを待っておられました。つられて同じように夕日を眺めていると、葉の落ちた高木を夕日の光が影絵の様に浮かび上がらせました。

 この瞬間を待っておられたようです。何とも綺麗だったので便乗して一枚撮らせていただきました。細かな枝振りが見事に浮かび上がっています。

<夕日をバックに浮かび上がるエノキかな?>

 この待ち時間が思わぬ出会いをもたらせてくれました。夕日で逆光となった川の中には「ヒドリガモ」の群れがいましたが、一羽だけ模様が違っているように見えます。よく見てみるとそれは「ハシビロガモ」のようです。

<初めましての“ハシビロガモ”オスとメス>

 鴨川真発見記的には初めての対面です。逆光の為若干見づらいですが、くちばしの幅が広い“ハシビロガモ”と判別はつきます。

 図鑑では見た事があるけれど、実物を見るのは初めてです。お宝ゲットの気分でその場を後にして少し下流に向かうと、今度はハシビロガモ十数羽の群れにも出会いました。

 頭はシルエットとなってしまって「クロ」に見えますが、明るい所でみると「ミドリ」の野鳥です。

<こんなに居たの “ハシビロガモ”の群れ>

<幅広で長いくちばしが特徴の“ハシビロガモ”>

 ますますテンションが上がる帰路となりました。

 久しぶりにまとまった雨が降った鴨川の高水敷を歩いていると、「チチチチチ」や「キキキキキ」とも聞こえる高い鳴き声が響きます。

 カワセミです。いつも見るのは単体ですが、この日は二羽が並んで川添いに生えた木の枝に留まっていました。カワセミも繁殖期に入ったようです。

<見つめ合っているのか“カワセミ”>

<見つめ返しているような・・・>

 前回第138号でご紹介しました「シダレヤナギ」の小さな葉にも数日間で変化が現れました。小さな突起物が飛び出てきました。ネットで調べてみると花のようです。

 「花の咲かない樹木は無い」と府立植物園の松谷名誉園長からお聞きしていたことを思い出しました。この歳にして初めてシダレヤナギの花を認識することとなりました。

<いくぶん重みを増したシダレヤナギの枝>

<ネコじゃらしの様な突起物が花>

 繁殖期を迎えた“マガモ”と“カルガモ”が並んでいます。二羽のメスの真ん中でマガモのオスが何度も交互に見比べています。以前ご紹介しましたが、マガモとカルガモの交雑が進んでいます。

 またハーフのカモが生まれることになるのでしょうか。

<左:マガモのメス 中央:マガモのオス 右:カルガモ>

<二羽のマガモのオスがご機嫌伺い>

<カルガモがマガモの周りを飛びます>

 第128号でご紹介しましたとおり、琵琶湖からも鴨川へ水がきています。3月中旬のある日、琵琶湖とつながっているある河川に訪れた時のことです。小さなアユを釣る釣り人とお会いしました。

<“さびき”の要領でコアユ釣り>

(滋賀県です)

 この時期は、コアユがたくさん釣れるとのことです。もう少し大きくなって苔を食べる様になるとこの釣り方では釣れないそうです。この琵琶湖のアユたちは琵琶湖疏水を泳いで京都へも行っているよとのこと。

 鴨川を遡上する天然アユの事は話題になっていますが、琵琶湖疏水の天然アユの存在は知りませんでした。これまた真発見です。

 お話ししている間にも次々と透き通った体のコアユが釣り上げられていきます。“かき揚げ”にすると美味しいそうです。もう少し大きくなると入れ食い状態で大量に釣れるそうです。

<コアユが元気に泳いでいます>

(滋賀県です)

<透き通るコアユの体>

(滋賀県です)

 渡り鳥の冬鳥達は北へ向けて飛び立っていきますが、これから新緑やサクラ、花を付ける植物たちと賑やかな季節を迎えます。鴨川で憩いのひとときを楽しむ人々も増えていきます。そんな鴨川の魅力を色んな視点でご紹介していきたいと思います。

 

平成26年3月17日 (京都土木事務所Y)

 

 第140号 鴨川真発見記 工事現場特別編

壁の向こうにはどんな野鳥?

 工事編第4弾(133号)でご紹介しました、四条大橋から団栗橋までの工事現場の仮囲いに展示する企画が終了しました。鴨川や高野川で見る事の出来る野鳥の写真を解説付きで展示しました内容を今回はご紹介したいと思います。

 野鳥の説明と写真4枚の計五枚を、それぞれA2サイズで横に並べて展示させていただきました。

<野鳥説明文>

<各種4枚の写真を展示>

 説明文には、当所職員がパソコンを駆使して描き上げた野鳥のイラストを配して、より楽しくご覧いただける様にしました。また、解説内容は日本野鳥の会京都支部の方に御確認いただいて、京都土木事務所と日本野鳥の会京都支部との連名で展示させていただきました。

◆以下工事現場に展示した内容です。

 今回は、鴨川真発見記がネットを飛び出して、ここ四条大橋下流右岸の工事現場に登場です。

 三条から四条で過去2年で実施しました高水敷の再整備工事の際には古写真や一般の方の絵画などを大きく引き延ばして展示させていただきました。

 工事中に設ける仮囲いに鴨川の景色を遮断されることから、仮歩道を通行される方に少しでも楽しんで頂く為の工夫です。

 今年の工事では、仮囲いの向こうに居る野鳥を見て頂くということで、鴨川や高野川で見ることが出来る野鳥をご紹介させていただきます。

鴨川真発見記とは。

 「鴨川真発見記」は京都府京都土木事務所の公式ホームページの中のコラムのコーナーです。鴨川の日常を主なテーマに鴨川にまつわる“あれこれ”をジャンルを問わず紹介しています。

 今回はインターネットの世界を飛び出して、工事現場で楽しんで頂けるように展示させていただいています。

 京都土木事務のホームページ

 アドレス http//www.pref.kyoto.jp//kyotodoboku/index.html

 又は「鴨川真発見記」で検索

アオサギ

 「どこをどう見ても“青い”ところが無いのに“アオサギ”?」とおっしゃる方も多いです。白、黒、灰ですよね。でも「アオサギ」です。

 このアオサギが翼を天日干しする時の姿がとても印象的です。くちばしを太陽に向け、背筋(有るのか?)をビシッと伸ばして、着物の裾をチョイとまくり上げる様な姿勢です。

 他のサギは見せない姿が少しお茶目に見えませんか。

アオサギイラスト

<仙人のヒゲの様な胸元に成熟した貫禄を感じます>

<天日干し 後から>

<天日干し 横から> 

<オオサンショウウオ?捕食>

“コサギ”と“ゴイサギ”

 白いサギの仲間で一番小さいのが「コサギ」です。普段は落ち着きが無いのかという位に忙しなく川の中を歩き回り、足で川底をかき混ぜています。驚いて飛び出した小魚を捕獲する為です。その足が、黄色い靴下を履いている様に黄色です。これが他の白いサギとの見分ける一番の特徴です。

 一方の「ゴイサギ」は、夜行性で見た目も、首が短く目が赤色で他のサギとは違った印象が強いです。ゴイサギの「ゴイ」は平安時代に帝から「五位」の位を授かったのが由来とされています。

 この日は、夜行性のゴイサギが漁場で魚を狙っていたところ、後から来た「コサギ」に漁場を追われました。

コサギイラストゴイサギイラスト

みそそぎ川のコサギは人に馴れているようです

漁場にスタンバイのゴイサギ

<「どきなさいよ」とコサギ>

<悔しい視線を送るゴイサギ>

イソヒヨドリ

 必ず見ることが出来る訳ではないのが、「イソヒヨドリ」です。体の上の方は空色で下の方が茶色という少し変わった色遣いです。まん丸な目をしていますが、正面から見ると目の周りの黒い模様が隈取りの様で、睨まれているようにも見えます。

 姿を見せてくれたこの日は、大きなミミズを丸呑みにしようと試みていましたが、手に負えず諦める結果となりました。残念でした。

イソヒヨドリイラスト

<その視線の先には何があるのでしょうか>

<ミミズと格闘>

<やっぱ無理>

<鋭い目つきのような・・・>

オナガガモ

 その名のとおり尾羽が長いカモです。雄のタキシード姿を連想させる白い胸元も特徴ですが、なんと言っても水中に頭を潜らせてお尻を水面に出し、尾羽をピンと真上に突き上げてエサを食べている姿は、シンクロナイズドスイミングさながらに見る者を魅了します。

オナガガモイラスト

<立ち姿もスマートに見えます>

<オナガガモの群れ>

<オス、メスペア演技>

<オス団体演技 ウォーターボーイズ?>

キンクロハジロ

 「衿(キン)が黒(クロ)で羽が白(シロ)」や「目が金(キン)で黒(クロ)で羽が白(シロ)」という見た目がその名の由来とされるのが“キンクロハジロ”です。

 渡り鳥のカモの仲間です。水中に潜って深い所のエサを捕獲しています。“クルン”と水に潜ったらしばらくして別の場所に“プカリ”と浮かんで来ます。潜る野鳥を出てくる場所を予測しながら眺めてみるのも楽しいものです。

キンクロハジロイラスト

<キンクロハジロの群れ>

<少し沈み気味>

<シロとクロが鮮やか>

<ペンギン的色遣い>

コガモ

 こちらの「カモ」はその名のとおり、体の一番小さな「コガモ」です。目の周りに仮面でも着けた様に緑色のラインが入っているのが特徴です。どの種類のカモも同じなのですが、控えめな色遣いのメスの尾羽の近くに少しだけ鮮やかな色遣いの部分が見え隠れします。ちらりと魅せるお洒落のようです。

コガモイラスト

<目の周りのグリーンのラインに注目>

<コガモの群れ>

<夏羽は雄雌区別が困難です>

<メス(手前)の尾の近くに緑>

セグロセキレイ

 鴨川でみることの出来るセキレイは3種類です。「セグロセキレイ」「ハクセキレイ」「キセキレイ」ですが、セグロセキレイは日本の固有種で、全国どこにでも生息しているそうです。鴨川でもほぼ毎日会うことができます。

 尾羽をピンピンと上下に動かして、音楽の指揮をするような動きについつい見とれてしまいます。時には空中を華やかに舞うように飛び交います。そんな瞬間をあなたも探してみてください。

セグロセキレイイラスト

<黒い背中のセグロセキレイ>

<どこにいるでしょう>

<ハクセキレイ>

<キセキレイ どこでしょう>

ヒドリガモ

 こちらも渡り鳥のカモの仲間「ヒドリガモ」です。オスの頭の色が茶色の同系色でありながら、薄い色となっているため、「ハゲズラ」をかぶっているように見えるのが特徴です。

 オスの鳴き声は、一般的なカモの「グアー、グアー」と濁ったものではなく、「ピュー」という澄んだ高音で、夜の暗闇の中でも鳴き声でヒドリガモの存在がわかります。

ヒドリガモイラスト

<頭の色が薄いのが特徴>

<比較的人に馴れています>

<草を食べています>

<ヒドリガモの群れ>

カワセミ

 艶やかな碧い翼を高速で羽ばたかせて直線的に移動するのが「カワセミ」です。

 「あっ、カワセミ」と思った時には目の前を通り過ぎているといった感じで姿を見せてくれます。出会えた日には少しラッキーな気分にさせてくれる野鳥です。

 京都市街地の真ん中の四条界隈の鴨川でもこの「カワセミ」の姿を見ることが出来ます。四条大橋の橋桁の裏でも目撃しました。

カワセミイラスト

<団栗橋付近上流で小魚を捕まえた>

<カワセミ 四条大橋>

<カワセミ どこでしょう>

<カワセミ どこでしょう>

ユリカモメ

 今では京都鴨川冬の風物詩となったのが「ユリカモメ」です。現在は毎年飛来することが当たり前の様になっています。しかし、初飛来したのは昭和49年1月のことだったようです。普通都市部では見ることが出来ない「ユリカモメ」が何かがキッカケとなって鴨川へ飛来するようになったようです。

 人なつっこく人間に寄ってくるユリカモメですが、自然のものは自然のままにということで、人工的なエサを与えるのは控えましょう。

ユリカモメイラスト

<つんとおすまし?>

<ユリカモメの群れ>

<“エサトリ”ダイブ せーの>

<ザブンと>

複数の野鳥

 1ショットの写真の中に、複数の野鳥が当たり前の様に写るのが鴨川です。他の都市河川でこんなことがあるのでしょうか。多くの野鳥が集う鴨川では、多少の縄張り争いはあるものの、平和に共存しています。あなたは何種類判りますか。

メジロイラストイカルチドリイラストヨシガモイラスト

<複数種>

「コサギ」「カワウ」「ダイサギ」「ユリカモメ」 入り乱れて

「コサギ」「アオサギ」「ダイサギ」 サギ三種

「マガモ」「ヒドリガモ」「オナガガモ」 カモ三種

「マガモ」(オス)「キンクロハジロ」(メス)

 

ダイサギイラストカイツブリイラストカワガラスイラストミコアイサイラストハシビロガモイラスト

 

カルガモ

 カモの仲間の多くは冬鳥として鴨川へと渡ってきますが、一年中鴨川に留鳥として見ることが出来るカモの一種が「カルガモ」です。毎年お寺で子育てをしたカルガモが雛を引き連れてお引っ越しする姿が有名ですが、鴨川の中でも多くのカルガモが子育てをしています。

 鴨川を小さな雛を引き連れて泳ぐ姿も見ることができます。春から夏にかけて鴨川を歩いてみてください。きっと可愛いヒナのすばしっこい動きを御覧いただけると思います。オス、メスの判別はつきません。

カルガモイラスト

<おそらくオスとメス>

<どっちが“オス”か“メス”か>

<くちばしの先の黄色が特徴>

<子連れのカルガモ>

マガモ

 カモと言えば真っ先に頭に浮かぶのが「マガモ」ではないでしょうか。オスの特徴的な頭部から首にかけての緑がっかった青を称して「アオクビ」とも呼ばれています。

 マガモもカルガモと同様に一年中鴨川で過ごす個体も多く、野鳥の専門家の間では、渡りをしなくなったカモを「アヒル」と呼ばれています。

 また、近年では「マガモ」と「カルガモ」の交雑種が多く見られるようになっており、アオクビに茶色いまだらが混じった個体はその交雑種です。

マガモイラスト

<緑の首が特徴>

<日光が当たると綺麗に輝きます>

<仲の良い兄弟でしょうか>

<マガモとカルガモの交雑種>

カワラヒワ

 中州の緑に紛れているのは、「カワラヒワ」です。ウグイス色の体には、黄色いアクセントが効いています。スズメより少し小さい位の大きさで集団で行動しています。この写真は、菜の花の種を頬張っているところです。

カワラヒワイラスト

<保護色の色合い>

<菜の花の緑と黄と同化しています>

<動かないと何処にいるか判りません>

<美味しそうに食べますね>

カイツブリ

 鴨川に生息する水鳥の中でも最も小さいのが、「カイツブリ」です。飛ぶのは少々苦手のようですが、潜水は得意です。

 水の中ではすばしっこく泳ぎ回り、潜った場所とは全く離れたところに浮上してきます。水深が浅く澄んだ流れの中を潜水する様子を見るチャンスがあるかもしれません。

カイツブリイラスト

<小さな体を流れにまかす>

<潜水はお手のもの>

<波紋を広げて浮上>

<目を離すと姿が見えなくなります>

以上が展示させていただいた内容です。

 皆さん現地でご覧いただけたでしょうか?展示は終了しましたが、作成したラミネート加工の写真は京都土木事務所に保管しています。ご希望があれば貸出しますので、当所までご連絡ください。

 また、ご意見やご感想をお寄せ頂く場合は、下記メールアドレスに送信いただくか、お電話で直接ご連絡頂きますようお願いいたします。

<連絡先>

京都府京都土木事務所

京都市左京区賀茂今井町10-4

電話番号:075-701-0101

ファックス:075-701-0104

kyodo-shomu@pref.kyoto.lg.jp

 皆様のご意見ご感想をお待ちしております。

 

平成26年2月28日 (京都土木事務所Y)

 

 第141号 半木の道 ベニシダレザクラ 

早咲きの数本 その原因は?

 京都にもサクラ前線が到来し、3月27日ソメイヨシノの開花が宣言されました。この記事を更新する頃には、京都市内のいたる所でサクラが見頃を迎えていることと思います。

<出町のソメイヨシノも開花>

(平成26年3月27日撮影)

 今回は、3月の中旬には咲き始めた、早咲きの桜をご紹介しましょう。ヒカンザクラは、ソメイヨシノ開花の頃には満開を迎え、雨に打たれた花ビラを散らし始めています。

<ヒカンザクラ>

(平成24年3月17日撮影)

 (同左)

(平成26年3月24日撮影)

(平成26年3月27日撮影)

 時期を同じくして、昨年府立植物園の肉戸さんに教えてもらった「カラミザクラ」も開花しています。サクラの種類は多く、その開花時期も早咲き、遅咲きを合わせると1ヶ月を越えるようです。

<カラミザクラ>

(3月17日撮影)

(同左)

 早咲きと言えば、今年も半木の道の枝垂れ桜74本の内1本だけ早い開花のベニシダレザクラが花開きました。どうしてこの一本が早いのか?何が原因なのか?この2年間ミステリアスな感覚で眺めていましたが、同僚の「原因を解明してみてはどう」という一言に、それでは調べてみようという事になりました。

<開花した34番のサクラ>

(平成26年3月27日)

<一本だけ赤く色づきました>

(平成26年3月28日撮影)

(同上)

(同上)

 この74本を寄付していただき、一部管理をお願いしている「京都鴨川ライオンズクラブ」の知り合いの方に電話してみました。理由は解らないが管理を担当している造園業者さんに聞いてみるとの事でした。

 返事は週明けになるということで、帰宅途中に数人でこのサクラを見て帰りました。幹が違う様な・・・違いはハッキリしません。北山から北大路へと歩いていくと34番以外にも花が開き始めている木があります。

 これ2番目、3番目、4番目と1番咲きから4番咲きと指さしながら、不思議だなと思いつつお返事を待つことになりました。

 そして週明け、京都鴨川ライオンズクラブの方が、「半木の枝垂桜、早咲きの件」という造園業者の樹木医 東條広男氏からの回答文を持参してくださいました。

 とても丁寧で、解りやすく解説していただいております。

 その内容とは、結論からいうと種類が違っていたのでした。早く咲くのは「ベニシダレザクラ」で、他の桜は「ベニヤエシダレザクラ」という事でした。

 シダレザクラにも三つの種類があり、丸山公園でお馴染みの「シダレザクラ」、花弁(花びら)が少ない「ベニシダレザクラ」そして花弁(花びら)の多い「ベニヤエシダレザクラ」の三種類です。

<咲き始めたベニヤエシダレザクラ>

(平成26年3月31日撮影)

<花びらが2重に重なっています>

(同上)

 1本だけ早咲きの思い込みで、他の3本をあまり意識して見ていなかった事を感じました。改めて思い込みは他の事実を見誤る事があると再認識しました。

<34番のサクラの花びらは>

(平成26年3月31日撮影)

<一つの花に5枚の花びらです>

(同上)

 さらに、74本のうちベニシダレザクラは、他にも3本、計4本存在する事がわかりました。先週末に1番咲きから4番咲きと数えたその4本がまさにその「ベニシダレザクラ」だったのです。

<53番もベニシダレザクラ>

(平成26年3月31日撮影)

<なるほど、こちらも花びら5枚>

(同上)

<並んで八分咲きの72番と73番>

(同上)

 半木の道74本のうち1本だけ早く咲く34番は地元の方には有名で、その原因は“まことしやか”に諸説ありましたが、本当の原因は種類の違いだったのです。謎めいた早咲きの原因は謎のまま、色んな想像で語られる方が「夢があっていい」と言われる方もいらっしゃるかも知れません。

 でもそこは「鴨川真発見記」の真は「真実」の真です。本当の姿をお伝えしたいと思います。

 しかし、何故早咲きのベニシダレザクラが混ざったのでしょう?その理由も解説していただきました。

 この3種類の枝垂れ系のサクラは、枝振り、葉、幹と瓜二つで見分けがつかず、唯一花が咲いた時だけ見分ける事が出来るそうです。

 つまりは、植樹の際に間違えられたということで、回答文はこう結ばれています。

 「35年以上前に同一のベニヤエシダレザクラと思って仕入れて植えられた先人のミスを笑って受け流していただきたいと思います。」

 なにはともあれ、毎年綺麗な花で人々の目を楽しませてくれる「半木の道」の74本のサクラ達には代わりありません。むしろ毎年早咲きで人々に話題を提供してくれている訳ですから、気の利いた仕掛けと受け取りましょう。

 一際目立つ34番の「ベニシダレザクラ」も後に続く「ベニヤエシダレザクラ」の勢いに圧されて目立たなくなっていきます。しばらくは半木の道シダレザクラの主役として一足早いお花見を楽しませてくれます。

<半木の道のセンターで咲き誇るベニシダレザクラ>

造園業者さんからいただいた回答内容PDF(PDF:58KB)

【おまけ】

 鴨川真発見記に新たな野鳥が登場です。ある日の昼休み、鴨川の見える京都土木事務所の窓から、まだ開花していないソメイヨシノを眺めていると、なにやら木をつついている野鳥を発見しました。

 それは、以前嵐山公園で見た「コゲラ」です。普段は木下から見上げる野鳥ですが、事務所の3階からということで、上からしかもすぐ傍に見えています。

<ソメイヨシノに留まる“コゲラ”>

 さっそくカメラを持ちだして撮影しました。松の木をつついて、木の中の虫を探しているようです。この姿も花が咲き、その後一斉に出て来る葉に包まれると見えづらくなります。

<松の木をつつく“コゲラ”>

偶然覗いた窓の外に、鴨川では初めての出会いがありました。

 

平成26年3月27日 (京都土木事務所Y)

 

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