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森林には、水を蓄え洪水や渇水を防ぐ機能、土砂災害を防ぐ機能、レクリエーションの場となり生活にやすらぎと潤いを与える機能など、様々な公益的機能があります。
これらの公益的機能の発揮が特に求められる森林は、農林水産大臣または都道府県知事によって「保安林」に指定されます。
「保安林」は、公益的機能を維持、増進するために行為に制限がかけられます。
保安林は目的によりいろいろな種類と役割があります。その種類は全部で17種類あります。それぞれの保安林については以下のとおりです。
(各保安林の説明文は「保安林のしおり平成26年版」(全国林業改良普及協会発行)から引用しています。)
水源地の森林が指定されます。その流域に降った雨を貯え、ゆっくりと川に流すことで、安定した川の流れを保ち、洪水や渇水を防止する働きがあります。また、きれいな水を育む効果もあります。
樹木の根と地面を覆う落ち葉や下草が、雨などによる表土の浸食、土砂の流出、崩壊による土石流などを防ぎます。
山崩れを防ぎ、住宅や鉄道、道路などを守ります。
砂浜などから飛んでくる砂を防ぎ、隣接する田畑や住宅を守ります。
風の強い地域で、田畑や住宅などを守る壁の役割を果たし、風による被害を防ぎます。
洪水の時に氾濫する水流の勢いを弱め、住宅などへの被害を防ぎます。また、樹木の根の働きにより河岸の浸食を防ぎます。
津波や高潮の勢いを弱め、住宅などへの被害を防ぎます。また、海岸からの塩分を含んだ風を弱め、田畑への塩害などを防ぎます。
簡易水道など、特定の水源を守り、水が涸れるのを防ぎます。また、きれいな水を供給します。
吹雪から道路や鉄道を守ります。
(京都府内での指定箇所はありません。)
霧の粒を樹木の葉などでとらえ、移動を抑えて、農作物の被害や自動車事故などを防ぎます。
(京都府内での指定箇所はありません。)
雪崩の発生を防ぎます。また雪崩が発生した時にはその勢いを弱め、被害を防ぎます。
落石を斜面の途中で止めたり、樹木の根によって岩石を安定させたりして、被害や危険を防止します。
燃えにくい種類の木を配置し、火災の延焼を防ぎます。
(京都府内での指定箇所はありません。)
水面に陰を作ったり、流れ込む水の汚濁を防いだり、養分の豊かな水を供給するなどの働きで、魚の繁殖を助けます。
船舶の航行の目標となって安全を確保します。
(京都府内での指定箇所はありません。)
森林レクリエーション活動の場として、生活にゆとりを提供します。また、空気の浄化や騒音の緩和に役立ち、生活環境を守ります。
名所や旧跡、趣のある景色などを保存します。
公益的機能の発揮が特に必要な森林を農林水産大臣または都道府県知事が指定します。
なお、森林所有者は所有する森林を保安林に指定するよう申請することが出来ます。この場合、保安林の指定の目的に応じた公益的機能の発揮が特に求められると認められ、森林の保全が必要と認められる場合に限り、保安林に指定されます(指定されない場合もあります。)。
保安林に指定されると、「指定施業要件」が定められます。この「指定施業要件」は保安林の公益的機能を発揮させるために森林の取扱方法を定めたものです。「指定施業要件」の内容については、保安林が所在する市町村を管轄する京都府の各広域振興局または京都林務事務所で確認することが出来ます。
保安林の指定の解除は以下に該当する場合、農林水産大臣または都道府県知事が指定の解除を行います。
なお、森林所有者は所有する保安林について指定の解除を申請することができますが、保安林が保全していた人家や集落が無くなるなど指定の理由が消滅したときに限られます。
保安林に指定されると、以下の行為制限(規制)が発生します。この行為制限を無視した場合、森林法に基づく処罰の対象となります。
保安林で立木を伐採する場合には、森林法の規定に基づき許可若しくは届出が必要です。
立木の許可申請があった場合は指定施業要件として定められている制限の範囲内の伐採であれば許可されることになります。
届出の場合は指定施業要件に合致しているかを確認し、指定施業要件として定められている制限を越える伐採である場合は、伐採の計画を変更する必要があります(計画を変更せずに、伐採した場合は無届伐採となり処罰の対象となります。)。
伐採行為ごとの手続きは以下のとおりです。
立木の伐採の方法 | 許可届出別 | 様式 |
主伐(皆伐) | 許可 | 伐採許可申請(外部リンク) |
主伐(択伐)植栽指定がない保安林 | 許可 | 伐採許可申請(外部リンク) |
主伐(択伐)植栽指定がある保安林 | 届出 | 択伐届(外部リンク) |
間伐 | 届出 | 間伐届(外部リンク) |
様式はリンク先からダウンロードすることが可能です(pdf様式)。また、リンク先には申請時に必要な他の書類及び受付期間などの必要事項が記載されていますのでご確認下さい。
立木の伐採に係る許可申請先及び届出先は、保安林が所在する市町村を管轄する京都府の各広域振興局または京都林務事務所となります。
指定施業要件として「植栽」が指定されている保安林については、主伐により立木を伐採した場合、高木生の樹種を植栽しなければなりません。
植栽義務があるにもかかわらず植栽を行わなかった場合、処罰の対象となります。
保安林内で以下の行為を行う場合には、あらかじめ許可を受ける必要があります。
なお、保安林の機能に支障を及ぼすと認められる場合は許可されません。
許可申請書は以下のページからダウンロードすることが出来ます(pdf様式)。また、リンク先には申請時に必要な他の書類及び受付期間などの必要事項が記載されていますので併せてご確認下さい。
許可申請先は、保安林が所在する市町村を管轄する京都府の各広域振興局または京都林務事務所となります。
保安林に指定されると税金の免除などの措置があります。
固定資産税、不動産取得税及び特別土地保有税は課税されません。
相続税及び贈与税等は伐採制限の内容に応じて相続税等の評価の際に3から8割が控除されます。
保安林は官報または京都府公報に告示されることにより指定されます。
保安林にその地番の全域が指定される場合は、土地登記簿の地目が「保安林」になりますが、地番の一部区域が指定される場合は地目は変更されません。
そのため、保安林に指定されているかどうかの確認は、京都府が保管する保安林台帳で行う必要があります。
保安林であるかどうかの照会は、保安林が所在する市町村を管轄する京都府の各広域振興局または京都林務事務所で確認することが出来ます。
保安林照会簿(参考様式(Wordファイル(ワード:16KB)、PDFファイル(PDF:64KB)))に住所、氏名、照会の目的など必要事項を記入の上、照会先へお問い合わせください。
保安林が所在する市町村 |
照会先 | 電話番号 |
京都市、向日市、長岡京市、大山崎町 | 京都林務事務所治山課 | 075-451-5725 |
宇治市、城陽市、八幡市、京田辺市、木津川市、久御山町、井手町、宇治田原町、笠置町、和束町、精華町、南山城村 | 山城広域振興局農林商工部森づくり振興課 | 0774-21-3450 |
亀岡市、南丹市、京丹波町 | 南丹広域振興局農林商工部森づくり振興課 | 0771-22-1017 |
綾部市、福知山市、舞鶴市 | 中丹広域振興局農林商工部森づくり振興課 | 0773-62-2586 |
宮津市、京丹後市、伊根町、与謝野町 | 丹後広域振興局農林商工部森づくり振興課 | 0772-62-4317 |
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