教忠の三男忠三郎は、父が残した膨大な蔵書の管理、保存に努めました。また、教忠の著作を自筆本の影印や、謄写印刷により刊行しました。この『京都市話』もその一つで、昭和7(1932)年に刊行されました。 『京都市話』は、書名から想像されるような京都市に関する話ではなく、桓武天皇から明治天皇に至る間の即位に関する記録を集録したものです。教忠の自筆本の影印版で、その内容は、伏見宮貞成親王の日記『看聞日記』、醍醐寺の僧、満済の『満済准后日記』、公家の山科言継の『言継卿記』等、さまざまな資料から引用されており、中にはあまり知られていない写本からの抜粋もあり、教忠の膨大な読書量の一端を推察することができます。 |