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 以上のように、“なぜ、サザエは散らばってしまうのか”、“どうすればサザエを少しでも留めておけるのか”という課題に取り組み、隠れ場(住み場)と餌場を確保することでサザエを漁場により長く留めておく可能性が見いだされました。そして、サザエの隠れ場(住み場)は転石の積み重なった所が適しており、溝付きの消波ブロックを設置すれば効率よくサザエを漁獲できることも明らかになりました。また、餌場の造成技術についても見通しが得られつつあります。これらの知見や技術を駆使し、放流種苗をできるだけ長く漁場に留め、効率よく漁獲していくことによって放流効果が一層向上するように期待しております。
 放流種苗を効率よく漁獲するという点に関して、もう一つの考え方も成り立ちます。つまり、種苗が漁場から逃げ出す前に集中的に回収するという考え方です。サザエの生態からすると先に述べましたように、漁獲可能サイズ(殻高50mm)くらいから大きな移動を始めますので、この大きさに達した時点から集中的に放流種苗を回収することで回収率を向上させようというものです。しかし、天然資源の中に放流種苗を添加しているわけですから漁獲可能サイズに達した時点で放流種苗を集中的に回収するとなると必然的に天然資源をも集中的に漁獲することになります。実際の磯根漁場では単価の関係もあって殻高60mm(10円玉サイズの蓋)から漁獲される場合が多いようですし、資源管理の面から、より多く産卵する機会を保証しようということで、水視漁業者の皆さんの間で「10円玉以上」という漁獲可能サイズの自主規制が行われている場合もあります。したがって、漁獲可能サイズに達した時点で集中的な放流種苗の回収を進めようとすると、資源管理上の問題等が生じてきます。例えば、もともと天然のサザエがほとんどいないような所を利用したり、そういった所に新らたに漁場を造成するなどして、その場所に種苗を放流し、漁獲可能サイズに達した時点で集中的に漁獲するような方法を採ればそういった資源管理上の問題もある程度解消されるのではないでしょうか。さらに、例えばそういった場所に限っては、漁業者の皆さんが自ら放流種苗を回収するのでなく、善意の都会の人達に漁場利用のルールに則って磯遊びの楽しさを満喫してもらいながら、放流種苗を回収していただく、その際には駐車場利用料や船渡し賃など、それ相応の対価をいただく、こうすることによってより付加価値を高めた形で放流効果を得るというのも一つの方法ではないでしょうか。ここで述べましたことは一つの事例ではありますが、「自ら漁獲する」という枠を大切にしながら、一方で「自ら漁獲する」という枠を外すことによってサザエの栽培漁業のいろいろな展開方向が開けてくるのではないでしょうか。
 
おわりに
 
 本号では、これまでのサザエの栽培漁業化の取り組みの経過とその間に得られた成果や問題点を技術的な側面から整理し、今後の展開の方向性について述べました。お分かりのようにサザエの栽培漁業化への道のりは、文字通り紆余曲折の連続で道半ばは越したかもしれませんがもう一努力、二努力必要という感がいたします。今後とも漁業者の皆さんとともにサザエの栽培漁業を定着させるために努めていきたいと思います。
 この小冊子が皆さんの日頃の操業に少しでも励みになれば幸いです。
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