ページの先頭です。

共通メニューをスキップする

京都府トップページへ

府政情報 | 暮らし・環境 | 教育・文化 | 健康・福祉・人権 | 産業・しごと | 地域振興 | 京都の魅力・観光

ここまでが共通メニューです


サイト内の現在位置です: 京都府トップ農林水産業海洋センター

1 アワビ栽培漁業の推進に向けて

 アワビ(クロアワビ)は、京都府栽培漁業センターで種苗生産・中間育成され、多くの漁場に放流されています。平成10年まではアワビ筋萎縮症という特有の病気によって飼育中に死亡する貝が多かったのですが、紫外線を照射した海水を用て飼育するなど防疫対策の徹底により、大量の種苗を生産することが可能になりました。そのことからも、今が、アワビの栽培漁業推進に向けての好機だといえます。種苗を適切に放流して、稚貝の生き残りを良くしなければなりませんし、また、漁獲サイズに成長したアワビを積極的に漁獲して、放流効果を高めることも必要です。

(1)種苗の適切な放流方法
 アワビの害敵となるものにはヒトデ類やカニ類、マダコなどがあります。特に、放流直後のアワビ種苗はこれらの害敵に襲われることが多いので、放流器から隠れ場となるブロック礁の溝や岩の隙間にできるだけ早く移動させることが大切です。現在はほとんどの漁場で竹製シェルターを放流器として用いていますが、貝が竹の裏側で団子状になってすぐには移動しないようです。この時にヤツデヒトデなどに襲われると放流種苗が大きな被害を受けることになります(写真1)。放流前に害敵を駆除することが重要ですが、放流器にも工夫が必要です。また、ヤツデヒトデは石の下に隠れていて駆除しにくいので、写真2のように餌の貝を入れた袋にヒトデ類を集めて取り上げる方法を考案しました。
写真1 ヤツデヒトデにおそわれている放流アワビ 写真2 ムラサキイガイを入れた袋に蝟集したヒトデ類

 現在、府内にはアワビ種苗の放流用に溝ブロック礁が約3,000基設置されています。写真3は、溝ブロック礁への放流器で今回新しく開発したものです。透明の波板にアワビを付着させているので隠れ場とならず、放流器内に放流種苗が長時間留まることのないような仕組みになっています。この放流器を用いて放流直後のアワビの行動を観察したところ、10分以内にすべての貝が溝ブロック礁へ移動しました。放流1時間後の観察では、放流した貝の約半数がブロック礁の溝に入っていました。
 府内には溝ブロックの設置されていない海域も多くあります。溝ブロック礁以外の天然の場所へ放流するにはこの放流器にもう少し工夫が必要ですが、いずれにしても、放流されたアワビ種苗がすみやかに隠れ場に移動できるようにしなければなりません。残念ながら、多くの漁業者が船上から直接放流しているという現状ですが、種苗の生き残りを良くするためには、潜水するなどして適切な場所にていねいに放流することが大事です。

写真3−1 溝ブロック礁用に開発されたアワビ種苗放流器 写真3−2 溝へ移動する放流アワビ

(2)潜水漁法による漁獲
 京都府沿岸には、クロアワビ、マダカアワビ、メガイアワビの3種のアワビが生息しています。アワビ類は、昼間は岩の下や隙間などに隠れていて、夜になると岩の上に出て海藻を食べる習性があります。3種のうちでもクロアワビは特にその傾向が強く、岩の下のいることが多いとされています。図1は、溝ブロック礁のどの場所にアワビがいるのかを夏季の昼間に潜水して調べた結果を示したものです。約8割のアワビは溝ブロック礁の裏にいるので、水視漁法では漁獲することはできません。ブロック礁の上面や溝の中、側面のものは全体の約2割しかいないことになりますが、これらの全てを漁獲できるわけではありません。水視漁法だけでは、放流されてから漁獲サイズにまで生き残ったアワビの回収率が、さらに低い値になってしまいます。
 栽培漁業では種苗の購入・放流に要した経費を上回る金額を漁獲できないと、事業を継続することが困難です。放流効果を高めるためにも潜水によって積極的に漁獲し、水揚げの一部を種苗の購入費に充てて、漁場を有効に利用する仕組みをつくることが必要だと思われます。


次のページへ

前のページへ

目次へ


ページの先頭に戻る

お問合せ先一覧 | サイトマップ | ご利用案内 | 個人情報の取扱い | 著作権・リンク等 | このサイトの考え方

Copyright (C) Kyoto Prefecture. All Rights Reserved.