1)養殖容器
深さが約20cm、底面が約60cm×40cm以下のポリエチレン製のコンテナが養殖容器として適しています(写真1)。さらに、外面の凹凸が少ないものの方が付着生物の除去がしやすくなります。現在、多くの漁業者が使用しているコンテナの大きさは、大型コンテナで内寸61cm×40cm×深さ20cm、小型コンテナで内寸50cm×32cm×深さ20cmです。小型コンテナの方が作業性が良く、トリガイの成長も良い傾向にありますが、1コンテナ当たりの種苗収容数が少なくなります。養殖の規模や作業効率を考え、適切な大きさのものを選びましょう。
写真1 養殖容器(左:大型コンテナ、右:小型コンテナ)
2)網蓋等
害敵生物の侵入とトリガイの流出を防ぐためコンテナに網蓋をします。潮通しを良くするために網地に2.5cmの目合いのものを用います(写真2)。養殖初期(7月から10月まで)には、網蓋の下に目合い約1cmの網を敷いて小型の害敵生物の侵入を防ぎます。網蓋は、ゴムひもでコンテナに固定します。
写真2 網蓋
3)アンスラサイト
トリガイは何かに潜っていないと死亡するため、潜るための底質が必要です。底質としてアンスラサイト(無煙炭)を用いると成長が良くなります(写真3、写真4)。アンスラサイトの量はコンテナ内に深さ10cm程度になるように入れるのが適当です(多いと流失しやすく、少ないと成長が抑制されます)。アンスラサイトは比重が軽いため、養殖作業時の取り扱いが楽になります。
写真3 底質:アンスラサイト
写真4 アンスラサイト(拡大)
4)垂下ロープ
コンテナの持ち手および養殖水深帯へコンテナを垂下するために使用します。ナイロンまたはポリエステル素材で直径10〜12mm程度のものが適しています。
5)養殖筏
1コンテナ当たり、空中重量40〜50kg(海水含む)、水中重量約10kgのコンテナを必要数垂下できるものが必要です(写真5)。筏上に足場や養殖スペースを確保すると効率的に養殖作業ができます。コンテナ垂下中にフロートの約半分が沈む程度の浮力バランスに調整するとアンスラサイトが流出しにくく、筏の安定性も良くなります。大型の養殖コンテナ100個規模での養殖には、約7m×8mの大きさの筏が必要です。小型コンテナ100個規模での養殖には、約6m×6mの大きさの筏が必要です。
写真5 トリガイ養殖筏
6)その他
電動ウインチまたは養殖作業船にデレッキ等があれば養殖作業の省力化が期待できます。また、陸上でのコンテナ清掃用に高圧ポンプ(フジツボ等を除去するためには圧力12〜15MPa(約120〜150kg/cm2)程度が必要です)があれば効率良く付着物が除去できます。
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