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災害発生後は、早い時期から栄養・食生活支援活動を進めることは、被災者の心の安定はもとより、栄養状態及び慢性疾患の病状の悪化を最小限にとどめるなど、避難生活の健康保持のために重要です。また、避難所での食料供給においては、普通の食事が食べられない方への対応も求められます。
本ガイドラインは、府・市町村の「地域防災計画」に基づく栄養指導等を効果的に行うためのマニュアル作成の目安となるものであり、平常時からの体制整備とあわせて、「被災者支援」及び「被災給食施設支援」について時系列に、災害時に想定される状況とそれに伴う市町村、給食施設、保健所及び府健康福祉部が行うべき活動を整理しました。ただし、災害の種類・発生状況・被害状況等により弾力的に活用することが重要です。
本ガイドラインを活用して、市町村・給食施設等においても、地域特性や施設に応じたマニュアルの作成や備蓄の実施に努めるなど、災害時の栄養・食生活支援へのより一層の体制整備を推進することを目指しています。
災害発生後の各期の活動を示すもの。本ガイドラインにおいては次のとおり。
フェイズ0 |
初動体制の確立(概ね災害発生後24時間以内) |
---|---|
フェイズ1 |
緊急対策(概ね災害発生後72時間以内) |
フェイズ2 |
応急対策(概ね4日目から2週間まで 避難所対策が中心) |
フェイズ3 |
応急対策(概ね3週間目から2ヶ月まで 概ね仮設住宅入居まで) |
フェイズ4~ |
復旧・復興対策(概ね2ヶ月から1年まで)、復興支援期(概ね1年以降) |
栄養・食生活支援は被災者にとって生命の維持に直結する重要な支援であるため、発災直後から苦情や要望等として訴えられることが多くあります。被災時に避難所や仮設住宅において想定される栄養・食生活における課題について、対応の優先度が高いものを以下に記載しています。
(1)水分の摂取不足による課題
(2)食料確保における課題
ア 避難所等で提供される非常食等の課題
イ 支援物資食品と炊き出しの問題
(3)衛生管理における課題
(4)不適切な食事から生じる栄養・健康問題
(5)人材確保における課題
※詳細は、ガイドライン全文(PDF:9,238KB)をご参照ください。
災害時の食事は、前述した課題等を踏まえて提供されなければならないため、喫食者の特性に合わせた食材の選択や、献立作成、衛生管理、さらに、ライフラインが寸断した状況下での大量調理など災害時における栄養・食生活支援活動には特別な知識と技術を要します。また、食事摂取状況のアセスメントをし、エネルギーや栄養素の摂取量が適切かどうかを評価し、食事計画を行うことが必要であり、それらについての高度な専門知識を持った管理栄養士・栄養士による栄養管理の活用を図ることが重要です。
迅速かつ適正な栄養・食生活支援活動を進めるためには、集団の特性や地域全体および食事に特別な配慮が必要な要配慮者の状況把握、食料の確保、炊き出し状況の把握、人材の適材適所への配置等、次々と発生する食に関する課題に対し優先順位を決定し、活動を総括するコーディネーターの役割を担う者が不可欠です。その中核は行政栄養士が担うことが望ましいが、混乱する災害現場においては他の職種やボランティア、被災者を含む住民など様々な人の協力が不可欠です。このため活動にあたっては、栄養・食生活支援活動の重要性や管理栄養士・栄養士を中心とした体制整備について防災担当をはじめとした各関係機関の理解を促すとともに、平常時から協議や連携の機会を持つことが重要です。
京都府において災害が発生した場合の栄養・食生活支援及び連携のモデルは下図に示しています。 災害時、府(健康福祉部)、保健所、市町村(主に保健部局)は連携を図り、被災住民等の支援を行う役割があります。また、平常時から関係団体と連携を図り、栄養・食生活支援活動のネットワークを形成しておく必要があります。
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