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トップページ府民だよりトップ2023年10月号特集1 使って守る 京都の森林

特集1使って守る 京都の森林

「木を使う=自然を壊す」と連想してしまいがち。しかし実際は、地元の木を積極的に使うことは森林や地域を元気にし、地球温暖化防止にもつながるということをご存じでしょうか。森林の機能を持続的に発揮させる正しいサイクルを知り、豊かな森林を未来につないでいきましょう。

木は使われるのを待っている?

「木が何に使われるか」といえば、4割程度が建築資材に使われています。”住宅の柱や梁(はり)などに使用する木材”を育てることが日本の林業のベースであり、杉は40年、檜(ひのき)は45年で利用に適した成長段階(利用期)を迎えます。

京都府全体面積の約7割を占める森林のうち約4割が、戦後、人の手で植栽された杉や檜などの人工林です。それらの木が60年、70年育ち、その8割近くが利用期を迎えているにもかかわらず、府内の木材需要に占める府内産率は38%にとどまっています。原因には、外国産材の輸入や府内産木材の規格化が遅れたことなどが挙げられますが、いわば府内の森林は今、使い頃の木が伐(き)られることなく残され、若い木が育たない少子高齢化の状態となっています。このままでは持続可能な森林がなくなってしまいます。

京都大学芦生研究林で森林管理を学ぶ
(府立林業大学校提供)

守るために「伐(き)る」。それを「知る」こと

森林には木材供給の他に、水を育んだり、CO2を吸収したり、雨水を土壌に蓄えて災害を防いだり、生物の多様性を守ったりするなどさまざまな機能がありますが、人工林では「伐る」「使う」「植える」「育てる」の正しい循環のサイクルがなされていないと、こうした森林の多面的機能がとても低くなってしまいます。

それを防ぐためには、一人ひとりが森林の現状を知り、府内産木材を積極的に「使う」ことが大切です。それにより地域の林業が活性化して森林が手入れされ、若い木が育ち、地域振興にもつながります。さらに木材の地産地消は、輸送時の環境負荷を抑える面でSDGsのアクションにもなります。

「木使い」は「気遣い」。地元の木にこだわることは、ものを大切にする心や地域への愛着心も育てます。例えば食器や日用品など、身近なものから府内産木材で作られた製品を選び、使うことを始めてみませんか

府立林業大学校
助教授 足立 亘 さん

知っておきたい森林(人工林)の循環サイクル

人工林では、人の手が入らないと森林の中に光が入らず、土も痩せて倒木が増え、次第に荒廃していきます。健全な森林をつくるためには、木を「伐る」「使う」「植える」「育てる」のサイクルを循環させることが必要です。

木を「使い」、適度な循環を行わないと、

  • 根が発達せず、下草が生えずに土壌が失われ、土砂崩れが起こりやすくなる
  • 新しい木が植えられず、CO2吸収量が低下する

など、森林の持つ多面的機能の低下につながります。

データで見る京都府の森林の現在

01府域の74.2%が森林

京都府の森林面積は、府全体面積の74.2%(34万2450ha)で、全国平均の66.4%を上回っています。そのうち、木材として使うために人の手で植えた人工林は37.9%を占めています。

※ 令和4年4月1日現在

02少子高齢化が進む人工林

民有林の齢級※別構成は、利用期に達した10齢級以上の人工林の面積が77%に。一方、手入れを必要とする7齢級以下の人工林は9%。若い木を育てていくことが急務です。

※齢級とは、1年生から5年生までを1齢級というふうに、5年生ごとのまとまりを単位とする林齢の表し方

民有林齢級別構成
(令和4年4月1日現在)

03府内産木材を使用することでCO2を削減

外国産材の使用には輸送エネルギーの発生を伴いますが、府内産木材を使えば輸送過程でのCO2削減効果が狙えます。これを推進するため、府では「ウッドマイレージCO2京都の木認証」に取り組んでいます

ウッドマイレージCO2京都の木認証を受けた木材を選ぶことによるCO2削減効果

※平成29年度から車両の燃費向上に伴いCO2削減効果の算定係数を低く変更

出典:京都府農林水産部『京都府の森林・林業の現状(令和4年版)』を基に作成

森林資源の循環利用を進めるために
府はこんな取り組みをしています

府民の皆さんが木と触れ合う環境を広げるひろがる京の木整備事業

建物型

住宅タイプ

住宅などにおいて京都府産木材(ウッドマイレージCO2京都の木認証木材または京都の木証明木材)を利用した建築物の木造化や木質化を支援します。

対象者
緑の工務店など(▼下記参照

補助率
府内産木材・北山丸太・京銘竹製品の購入費に補助率 10%~50%を乗じた額の合計(上限あり)
※その他条件により補助などの加算あり

非住宅タイプ

商業施設や福祉施設など、住宅以外の民間施設の府内産木材を利用した木造化・木質化を図る取り組みを支援します。

対象者
支援対象となる施設の施主(法人、法人格を有さない団体の代表者、個人事業主など)

補助率
府内産木材・製品の購入費に補助率 20%~30%を乗じた額の合計(上限あり)
※その他条件により補助率の加算措置あり

木製品型

開発支援タイプ

府内産木材を使用した木製品などの開発に対して、資材購入や試作、性能試験、市場開拓、PR活動などを支援します。

対象者
府内産木材を使用した木製品などを開発しようとする人

補助率
1件100万円以内(定額支援)

導入支援タイプ

商業施設や福祉施設など、多くの府民が集う民間施設において、府内産木材を利用した木製品などの導入を支援します。

対象木製品
家具(いす、机、棚、パーティションなど)、遊具(積み木、ままごとセット、パズルなど)、その他(建具、手すりなど)

補助率
補助対象経費の2分の1以内
(上限100万円)

京都生まれの木材を証明し、それを使う事業者を登録京都府産木材認証制度

京都の木証明

府内の森林で伐採され、府や認証機関が認定した事業体が生産・加工・流通を行った木材であることを証明します。

ウッドマイレージCO2京都の木認証

左記のうち、府内の事業体により生産・加工・流通された木材については、輸送過程におけるCO2排出量を計算した書面を発行します。

家を建てるなら「緑の工務店」「緑の設計事務所」へ

府は「ウッドマイレージCO2京都の木認証」や「京都の木証明」の対象となる木材を使用した建物等の設計や建築を積極的に行う事業体などを「緑の工務店」「緑の設計事務所」として登録しています。マイホーム建築や住宅リフォームの際など、ぜひ登録事業体にご相談ください。

令和5年8月現在の登録事業体233店の一覧はこちらから

持続可能で豊かな森を育てていくために豊かな森づくり総合対策事業

次世代につなぐ森づくり

伐採跡地などの再造林や、鳥獣害被害防止施設の設置、下刈り、花粉症対策育種などの経費を支援します。

京の森林文化を守り育てる支援

地域住民や保全団体が行う、社寺の森や伝統行事資源の森、名木古木を保全する活動など、京の森林文化を将来の府民に伝える取り組みを支援します。

ふるさとの里山林保全活動の推進

放置され荒廃した森林において、地域住民やボランティア団体が里山林保全活動に取り組めるよう事前に行う基盤整備や里山学習活動を支援します。

豊かな森の恵みを創造

漆などの生産拠点や、特用林産物(キノコ類、木炭など)生産林の維持・造成などを支援します。

次代の林業人材を育成府立林業大学校

林業の第一線で活躍できる人材の育成を目指して平成24年に開校。即戦力として活躍するために必要な力を2年間で培い、さまざまな資格を取得して就業につなげます。

在校生の声

本田 久瑠美さん

京都の寺社の修復に必要な樹齢数百年の木材が不足していると知り、林業に興味を持ちました。自分が育てた木が未来の文化を支えることに夢を感じます。将来、森林施業プランナーを目指し、林大で楽しく学んでいます。

Information

お問い合わせ
府立林業大学校
(京丹波町)
TEL:0771-84-2401
FAX:0771-84-0797
メール:[email protected]

一緒に拓こう、林業の明日!

令和6年度入学生
入学試験

日時 推薦入学試験
11月8日(水曜日)
(出願期間 10月11日~25日)
第1回一般入学試験
11月29日(水曜日)
(出願期間 11月1日~15日)
※第2回以降の日程など詳細はWebへ

年に一度のキャンパスイベント

林大祭

日時 12月3日(日曜日)
10時~16時

林大の学びの一端を知る機会

森と木の文化コース「法然院の森に学ぶ」
講演とお寺の森案内

日時12月9日(土曜日)
13時30分~16時

場所法然院本坊、麓の森(左京区)

受付メール・FAX

定員30人(先着順)

豊かな京の森を未来へつなごう

府内の森林から産出される木材は、古(いにしえ)より建築をはじめ、伝統工芸や生活用品などの資材として幅広く利用されてきました。そうした中で木は暮らしや文化、産業に大きく寄与し、森林に常に人の手が入ることで、美しい自然景観が形成されてきたといえます。しかし、近年の都市化や外国産材との価格競争、慢性的な担い手不足などにより、府内産木材の利用量は大幅に減少してきました。私たちは今一度、先人が育んできた「木の文化」を見つめ直し、身近な地域で生産される木材を使っていく必要があります。

府では昨年「京都府府内産木材の利用等の促進に関する条例」を制定し、府内の林業・木材産業等を持続的に発展させる取り組みを進めています。府民共通の貴重な財産である森林を健やかに保ち、豊かな京の森を未来へ引き継いでまいりましょう。

京都府知事西脇 隆俊

[お問い合わせ]
林業振興課
TEL:075-414-5011 FAX:075-414-5010

お問い合わせ

知事直轄組織広報課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町
電話番号:075-414-4074
ファックス:075-414-4075
[email protected]

おことわり

掲載されている連絡先等は掲載時点のものです。
組織改正等により変更されている場合がありますので御了承ください。
ご不明な点がございましたら、広報課までお問い合わせください。

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