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令和元年9月6日知事記者会見

あたたかい子育て社会をめざして~京都府子育て環境日本一推進戦略~

最初は、「あたたかい子育て社会をめざして京都府子育て環境日本一推進戦略」についてです。
京都には、地蔵盆や地域の祭り、伝統的な行催事をはじめとして、地域の絆や支え合いの文化が維持されていると思っております。この強みを活かし、社会全体で子育てを見守り支える、あたたかい子育て社会を目指すための指針として、本日付けで「京都府子育て環境日本一推進戦略」を策定しました。

配布資料の1枚目の2をご覧いただきたいのですが、京都府の平成30年合計特殊出生率は、1.29と全国ワースト3位となっております。戦略の策定に際し、要因分析を行いました。京都府の特徴としては、結婚している女性が出産する子どもの数の割合である「有配偶出生率」は全国平均並みですが、平成27年には、25~39歳の女性の未婚率が、全国平均が38.5%に対し、京都府は43.0%と全国ワースト2位と高い水準にある影響が大きいことと、また、晩婚化、晩産化も進む厳しい状況を認識いたしました。特に20〜30代の若者を中心に、安心して結婚でき、子どもを産み育てられる環境を作ることが必要と考え、これまでの子育て支援策にとどまらない幅広い施策について、数値目標を掲げながら行政・地域・企業など社会全体で粘り強く取り組むこととしました。

2枚目の3にあるように、4つの重点戦略を掲げ、具体的な取り組みを進めることにしております。

重点戦略1では、社会全体で子育てにやさしい府民運動を展開して、子育てに対する機運の醸成や、行動の変容を促進することとしております。

重点戦略2では、子育てに適した住環境や居場所づくり、交通事故等からの安心・安全対策、子育てニーズに対応するような多様な幼児教育・保育所の整備に取り組んで参ります。

重点戦略3では、多くの若者が経済的理由等から結婚や子どもを持つことに不安を感じている現状を踏まえ、安心して、結婚から妊娠・出産・子育て等のライフステージを過ごせる環境づくりに取り組みます。

重点戦略4では、京都が持つ強みを活かして、子育て家庭をはじめ配慮が必要な子どもを地域全体で支える仕組みを構築してまいりたいと思います。

重点戦略ごとに8ページ以降に施策をまとめております。主なものを申し上げますと、若者の人生設計を考える機会作りのための「ライフデザインカレッジ(仮称)」を創設します。育児は男性が「手伝う」という意識ではなく、一緒に育児を「する」という意識が大切だと思っておりますので、男性の育児を促進するために企業経営者や男性社員の意識改革のための「ワークチェンジ塾」を創設いたします。さらに子育てしやすい職場環境づくりに向けて、複数企業が共同で子どもを預ける仕組みづくりとして、「子連れシェアオフィス」といった新しいビジネスモデルの創出にも取り組んでいきたいと思います。
この取り組みは行政だけでなく、すべての府民、市町村、団体、企業、教育機関等と連携して総合的な子育て支援策を進めて、概ね20年後の2040年に合計特殊出生率を全国平均並みに引き上げることを目標といたしました。京都で子育てをしたいという希望をどこよりももってもらい、京都で子育てをしてよかったと思える、子育て環境日本一の京都を目指したいと思います。全力で取り組みたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

 

あたたかい子育て社会をめざして~京都府子育て環境日本一推進戦略~(PDF:1,100KB)



2点目は、京都アニメーションの関係で2点あります。
本年7月18日に発生した放火事件で、多数の方が生命または身体に被害を受け、放火事件の犠牲者数としては平成以降最悪という甚大な被害が生じております。改めまして亡くなられた方のご冥福、また負傷された方の一日も早いご回復をお祈り申し上げますと共に、ご遺族の皆様に対して改めてお悔やみを申し上げたいと思います。

(1)京都府京都市伏見区で発生した放火事件に係る被害者義援金の受入れについて

1点目は、事件の被害者やご遺族の支援についてです。被害者やご遺族の支援を目的として、全国から既に多くの義援金が寄せられており、今後も寄せられることが十分に見込まれる状況にあります。このような状況を踏まえ、京都府では義援金を寄せられた方々のお気持ちが被害者やご遺族の皆様にしっかりと行き届くことが何よりも重要と認識しておりまして、この間、国の関係機関や(株)京都アニメーションと意見交換を重ねながら必要な対応について検討を進めて参りました。今般、本件についての税務上の取り扱いに関して国の関係機関の確認が得られましたことから、京都府では義援金配分委員会を設置すると共に、日本赤十字社京都府支部と社会福祉法人京都府共同募金会の協力も得て、義援金の受入専用口座を開設することにいたしました。

義援金は、9月9日(月曜日)より受付を開始します。また、専用口座で受け入れた義援金は、京都府が設置した義援金配分委員会において取りまとめを行い、全額、事件の被害者やご遺族に配分いたします。寄附をいただいた個人・法人の方は税法上の寄附金控除の対象となるほか、被害者やご遺族が配分委員会から受け取った義援金は非課税となります。

京都アニメーションに開設された預かり専用口座に預けられた義援金は、京都府の受入専用口座へ移し替えることが予定されています。また、同口座に義援金を預け入れた方のうち、希望される方については寄附金控除の対象となります。

経済産業省をはじめ、多くの関係者に速やかに対応していただいたこと、ご尽力に心から感謝申し上げたいと思います。

 

(1)京都府京都市伏見区で発生した放火事件に係る被害者義援金の受入れについて(PDF:161KB)

 

(2)京都ヒストリカ国際映画祭における(株)京都アニメーションの作品上映について 

京都アニメーション関連についての2点目は、京都ヒストリカ国際映画祭における京都アニメーションの作品上映についてです。

京都アニメーションの作品の上映を、京都ヒストリカ国際映画祭(10月26日~11日4日)の期間内に行うことになりました。同映画祭は、太秦の映画・映像の職人が中心になり、時代劇、歴史劇を中心に京都の映画・映像文化の歴史や、海外の新しい歴史映画を紹介することにより、新しい映画・映像人材の育成を目指すものです。

 

第11回目となる今年度は、日本初となる長編カラーアニメーションである『白蛇伝』(1958年制作)がデジタルリマスターされ、カンヌ国際映画祭カンヌ・クラシック部門で上映されたことを受け、京都で生まれたアニメづくりの流れを検証し、京都撮影所が日本のアニメーションの歴史や表現に影響を与えたことなどを紹介します。

コンテンツ産業の東京一極集中の中、京都から独自のアニメーションを発信し、圧倒的なクオリティの映像表現、若者の心に寄り添う主題内容、そして作り手を大切にする企業風土が世界中の若者やアニメーターから圧倒的支持を得ている京都アニメーションの作品・仕事ぶりを紹介し、それに汗した関係者を招き、思いを語っていただきます。上映作品等については今後調整が必要で、10月上旬を目途としてプログラムが確定次第、実行委員会から発表させていただきます。

 

(2)京都ヒストリカ国際映画祭における(株)京都アニメーションの作品上映について(PDF:254KB)

 

主な質疑応答

京都アニメーションへの寄附金について

記者

京都アニメーションの預かり専用口座の義援金を京都府の口座に移す予定ということだが、京都アニメーション側からどういう思いなのか、伝えられているのか。

 

知事

京都アニメーションの義援金預かり口座については、全額京都府口座に移し替えることになります。つまり全額が被害者・ご遺族の支援に充てられることになります。京都アニメーションからは、義援金の配分委員会で被害の程度に応じて公平かつ適正に分配ルールが定められ、多数の被害者とご遺族に義援金を的確に支給できることは、事業再建に向けた第一歩としてありがたいというお話を伺っています。また、義援金を寄せられた方々の思いが京都アニメーションや被害者、ご遺族にしっかりと届くようにすることが我々の使命だと思います。京都アニメーションからもこうした意向を伺い、今回の仕組みに至ったものです。

 

記者

義援金の配分委員会は、どのような人で、いつごろ構成され、どういった配分基準で、遺族や関係者にいつまでに、どのように配分をするのか。また、専用口座を日本赤十字社京都府支部と社会福祉法人京都府共同募金会と京都府の3者で作ることについて、1つの方が簡単だと思うが、なぜ3つ設けるのか。10月31日という期限を設けた意味は。

知事

配分委員会は、自然災害時に義援金の配分をされています。今回は犯罪被害者やご遺族の方が対象なので、自然災害とは少し違いますが、日本赤十字社京都府支部などで構成する配分委員会設置が決まっております。時期としては、なるべく早く立ち上げたいと思っております。今日に至るまでかなり急ピッチで枠組みを作っておりまして、配分基準についてもそこで作られます。
専用口座を3つ設けた点につきましては、日本赤十字社京都府支部や社会福祉法人京都府共同募金会は自然災害でも慣れておられることと、京都アニメーションへの義援金の受け皿は京都府が行うということで、総合的な観点で3つにしました。幅広く、ということでもありませんが、支援者の方の便宜もあります。
配分の期限を10月31日に設定した理由は、なるべく早く被害者やご遺族の方にお渡ししたいということと、既に寄せられている分もありますので、支援された方のお気持ちが早く被害者やご遺族の方に届くようにしたいからです。

 

記者

配分の時期は年内か?

 

知事

そこはまだ決定していません。既に寄せられている分と今後届く分も含めて配分することになるので、委員を決め、配分基準等の検討を並行して行います。受付が終わればなるべく速やかにということになります。

 

記者

税制上の措置については、災害義援金や寄附金は寄附した人に対する税制措置がありましたし、受け取った側の非課税もある。事件の被害者にこのケースが適用されることについて、知事の考えは。

 

知事

我々の思いとしては、義援金を出す方の思いが京都アニメーションの被害者やご遺族にしっかり行き届くことが何よりも重要だと認識しており、そこに税金がかかるのは義援金を出す方の思いが直に届きにくくなると思います。こういう措置をしていただくことは義援金を出す側にとっても受け取る側にとってもいいことですし、そこはよく決めていただいたと思っています。
受け取る側は税法上の措置の「見舞金」を適用するということなので、自然災害で被害があった方と同じだと思います。寄附する側については税法上の措置をとることについて、我々で配分委員会を作るといったことも踏まえ、総合的な判断の中で税務当局は認めていただいたと思っております。自然災害も一つのモデルになっていると思います。今回、多数の方がお亡くなりになられたことや、既に義援金が多く寄せられているということもあると思います。

 

記者

過去の事件や未来について、同様のケースが起きた場合はどのようになるか。

 

知事

同様のケースを想定することはよくないことだと思います。今回京都府で起こったこともあって、既に義援金が寄せられていることや京都アニメーション側のご意向で制度化を検討しましたが、犯罪被害者の救済の観点でやっていることなので、我々で考えるというより国のしかるべき機関でということになります。今回のケースは一つの例になるとは思いますが、京都府の問題というより犯罪被害者救済の仕組みの中の検討課題の一つだと思います。

 

記者

既に届いた8万件近くの義援金について、京都アニメーションに申し出をすることで受領書を京都府が発行することになり、事務負担としては膨大になると予想されるが、この扱いはどうなるのか。また、この他に京都府として京都アニメーションへの支援策を検討しているのか。

 

知事

既に義援金を出された方についての税法上の寄附金控除を希望する場合、明確に手続きを示したいと思います。受領書や証拠書類が残っていれば、そうした扱いにすると税務当局が言われていますので、わかりやすいようにしたいと思います。事務作業は大変ですが、それが我々の役目です。
なるべく負担にならないように工夫はしたいです。税金の行政事務は、しっかりしたものがありますので、税務当局に寄附金控除として判定してもらえる最低限の手続きをしたいと思います。
その他の支援については、心のケアが大事だと思い、専門の相談窓口を設けております。今でも京都府警察本部でもかなり対応しておりますし、火災現場は伏見区で、近隣の方で手伝われた方もおられるので、京都市でも、まさに地域のコミュニティで対応することが重要だと思います。
事業再建に取り組む京都アニメーションの意思が重要だと思っておりますので、常にコンタクトを取りながら対応していきたいと思います。この他、地元の宇治市の経済界など相談があれば対応します。

 

記者

既に寄附した方が控除を受けるための手続きをするには、なぜ、京都アニメーションに申し出なければならないのか。

 

知事

京都アニメーションが開設し、預かり口座で扱う情報が個人情報でもあるので、開設している京都アニメーションが申し出を受けるという提案をいただいています。

 

ヒストリカ国際映画祭での上映について

記者

映画祭での上映だが、アニメの歴史を紹介することになった経緯は。

 

知事

ヒストリカ国際映画祭は11回目で、過去にどういう順番でプログラムがあったかわかりませんが、趣旨としてはもともと映画や映像の人材を育てるための映画祭です。

今回は、『白蛇伝』という日本で最初の長編のカラーアニメーションがデジタルリマスターされて、カンヌ国際映画祭に出たということを契機として、そういうところをプログラムに充てようとして準備されたものです。京都アニメーションの事件とは直接関係なく発想されたものです。

アニメーションについての歴史はまだ浅いので、きっちり検証しないといけませんし、重要な一つのコンテンツ産業ですので、この機会に(株)京都アニメーションの作品を上映するのがふさわしいとなりました。文化博物館でやりますので、合致したということです。

 

記者

どういった立場の関係者が登壇するのか。

 

知事

それはこれからです。10月末から始まり、上映作品も決まっていませんが、なるべく早くお知らせした方がいいのではと思いましたので、上映について発表をさせていただいたということです。全体のプログラムが決まり次第、詳細をお知らせしたいと思います。

 

京都府子育て環境日本一推進戦略について

記者

子育て環境について、これまでの施策では出生率が上がらず、今回、全国平均まで引き上げることができるのか。知事の思いを含めてどう思うか。

 

知事

大前提として、合計特殊出生率がすべての子育て施策の数値を表しているわけではないということはご理解いただきたいです。一方で、全国平均に比べてかなり低いということです。子育て環境の関連施策は幅広いのですが、どうして平均に比べて低いのかできる限り客観的に数値で追ったものの、統計上・分析上の手法の限界があり、完全に分析しきれるかわかりませんが、公表されている資料を使ってやる限りは、全国平均を下回っていることがわかったので、そこにターゲットを絞ってやっていこうと考えています。ただ、非常に長い時間をかけて影響が出ていくもので、また毎年新しい世代が入って来るので、そういう意味でも「粘り強く」と書かせていただきました。今までの施策の効果のあるなしについて、検証する程の数値と施策の対応関係は持っていません。ただ、一つ一つの施策について、京都府は全国と比べても周産期医療や不妊治療など、施策のレベルとしては全国トップクラスのものをやっていますので、効果がなかったことはないと思います。ただ、なぜ全国平均より低いのかということに着目し、改めてこの部分を認識し、また、私が「日本一」を目指しているということで、一段ギアを上げて施策に取り組もうということです。今挙げた例はほんの僅かで、計画にはたくさんの事業が書かれており、こういうことを一つ一つ単年度の予算編成に生かし、京都府全体を巻き込んでいく運動にしたいと思います。

 

記者

来年度以降も府の予算でも重点施策となるのか。

 

知事

私自身の思いですが、それぞれいつまでと明確に書いていません。財政的な制約で、一度にすることはできませんが、工程表を作って的確にやっていきたいと思っています。

 

記者

目標は、出生率が40位台後半と低迷しているのを、全国平均並みにということだが、かなり野心的な数値か。

 

知事

かなり野心的だと思います。平均以上にならないといけないと思います。大都市部を抱えているところは、相対的に低いというのはあります。そういう意味では、かなり高いハードルを作ったと思います。

 

記者

実現にあたって、これまで府が子育てのための補助施策をしながらも、使われていなかったといったケースもあったが、今後市町村とどのように協力体制を築いていくのか。

 

知事

市町村ごとに見ていくと、比較的小さなところは子どもの数が少なく、例えば子育て医療は、府がやっている施策よりはるかに充実しているところもあります。北部の市町の合計出生率は1.7を超えているところもあり、市町村ごとにばらつきもありますのでそれも課題だと思っています。

少子高齢化、人口減少社会にどう対応するか、子育て環境が重要だという認識は広まりつつあると思うので、足並みはそろえていただけると思います。市町村との連携はもちろん重要ですし、ほとんどの市町村の現場できめ細かい施策をやっています。行政だけではできないこともあるので、京都府が引っ張っていって、社会全体の気運を醸成することが我々の大きな使命だと思っています。

 

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