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令和6年4月19日定例知事記者会見

「京都企業人材確保センター」と「京都お仕事相談窓口」の開設について

1点目は、「京都企業人材確保センター」と「京都お仕事相談窓口」の開設についてです。

京都府では、だれもが働きやすい職場環境づくりを目指し、「京都ジョブパーク」、「京都府生涯現役クリエイティブセンター」、「京都府テレワーク推進センター」などにおいて、企業や求職者・在職者の方々の支援に取り組んできたところですが、「センターがたくさんあって、どこに相談に行ったらいいかわからない」といった声も聴いておりました。

そうしたご意見も踏まえ、企業の方向けの窓口として、従来の労働3センターの企業支援部門を統合した「京都企業人材確保センター」を、また、求職者・在職者向けの総合的な相談窓口として、「京都お仕事相談窓口」を、5月10日に新たに開設します。

「京都企業人材確保センター」では、1.専門要員による戦略的かつ機動的な企業訪問、2.課題を絞り込んだよりきめ細やかな支援、3.高度な専門人材の確保や転職支援の実施、4.多様な働き方の推進に向けた取組強化を行います。

「京都お仕事相談窓口」では、対面での相談窓口2箇所に加え、WEBによる相談にも対応します。相談者の悩みに応じた最適な支援機関や制度を紹介します。6月からはSNS等を活用し24時間365日対応可能とする予定です。

開設初日の5月10日(金曜日)に開所式を開催しますので、当日の取材をお願いいたしますとともに、なるべく多くの府内企業、府民の皆様にご活用いただけるよう、周知につきましてもご協力をお願いします。

「京都企業人材確保センター」と「京都お仕事相談窓口」の開設について(PDF:249KB)

ヤングケアラー啓発漫画の作成について

2点目はヤングケアラー啓発マンガの作成についてです。

京都府では、家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもである「ヤングケアラー」が安心して生活できるよう、令和4年4月に「京都府ヤングケアラー総合支援センター」を開設し、本人や周りの方からの相談をお聞きして、市町村等の関係機関と連携して必要な支援に繋げているところです。

この度、ヤングケアラーについての周囲の理解を深め、支援につながりやすくするため、京都精華大学と協力してヤングケアラー啓発マンガ「きみが選ぶ物語~ケアのある日々の中で~」を作成しました。

内容は、日頃家族のケアを担っている高校2年生の主人公が、普段抱えている心情や、周りの大人や友達との関わりの中で支援につながり、自身の夢とも向き合っていくまでを描いたストーリーとなっています。

このマンガを、学校を通じて府内の中学生・高校生全員に配布し、家庭内の問題であることから表面化しにくいヤングケアラーに対する理解を深めていただくとともに、ヤングケアラー本人に対しても、周囲を頼っていいこと、支援窓口等があること、家族だけでなく自身の人生を大切にしていいこと等を伝えてまいりたいと考えていますので、周知をよろしくお願いします。

私からは以上です。よろしくお願いします。

ヤングケアラー啓発漫画の作成について(PDF:249KB)

質疑応答

記者

京都企業人材確保センターについて、京都ジョブパークなど3施設を統合して開設するということだが、改めて、現状の体制ではどういった課題があったのか。また、今回の統合のねらいを伺いたい。

知事

元々、京都ジョブパークはどちらかというと就職相談など求職者の方に向けた施設としてスタートしましたが、企業とのマッチングをするということで、ジョブパークにも企業支援部門を設けました。

テレワーク推進センターは、働き方が変わるということで、テレワークを推進するために企業に対する支援を行ってきました。

生涯現役クリエイティブセンターは、新卒者だけでなく、途中での学び直しなど労働移動も含めた形で、企業側にどういうニーズがあるかということで支援の内容を決めていたのですが、考えてみると、全て企業に対するアプローチをしなければいけないのですが、それぞれが充実して成長していく過程で、同じ企業に対して違うセンターから問い合わせが行くということもありました。また、今の人手不足の時代であれば、新卒者と途中でキャリアチェンジする人を区別するというのが企業側にとってみればあまり意味がないなど、いろいろ考えて、企業側からも窓口を一本化して欲しいという声があったので、まずはその企業支援部門を統合しようということです。

ジョブパークは京都テルサにあり、経済センターにテレワーク推進センターと生涯現役クリエイティブセンターがありましたけれども、企業向けの窓口は一本化するということで統合させていただいて、我々から企業へ働きかける時もよく相談して重複しないようにすることと、支援制度も重複をなるべく避けたいと考えています。企業側からも、どういう人材が欲しいといったことについては、一本の窓口に相談していただいたらいいということです。それぞれのセンターの成長と、今の人手不足などの状況に合わせて、企業支援部門については完全に統合したいという思いで今回こういう形にさせていただきました。

記者

知事の高校の先輩でもある川勝静岡県知事が、「県庁はシンクタンクで、野菜を売るのとは違う」などと発言され、辞職願を提出された。同じ知事として、このような職業差別とも受け取れる発言についてどのように考えるか。

知事

辞職につきましては、ご本人の決断なので私はコメントする立場にありません。ただ、辞職願を提出した時の記者会見では、川勝知事ご自身が、新規採用職員に対する訓示において問題となった発言も含めて、総合的に判断して決断したと仰っているので、総合的な判断の下に辞職されたものだと考えております。

なお、訓示における内容につきましては、全ての職業について差別することがあってはならないと思っておりますので、川勝知事ご自身の発言の真意は確かめようがありませんが、表に現れている言葉だけを見れば不適切な発言であったのではないかと考えております。

高校が同じだということについては、若干残念だということ以外、特にコメントはありません。

記者

5月に知事選があるということで、川勝知事のリニア中央新幹線に対する姿勢などが整備・開業に向けた遅れにつながっているのではないかという見方もあったが、知事の考えはどうか。

知事

実際に静岡工区で起こっている論点と課題について、科学的根拠も含めて私がつぶさに理解している訳ではありません。少なくとも川勝知事は、それなりの根拠や専門家の意見等も踏まえて主張されてきたということです。知事が代わっても、もし川勝知事の主張に一定の根拠と合理性があるのであれば、次の新しい知事の下できちんと議論されるべきだと考えております。

どちらにしても論点にはなると思うのですけれども、かなり議論されてきているので、それを踏まえた次の段階の議論が行われるのではないかなと考えています。

記者

国民スポーツ大会に関して、全国知事会の村井会長(宮城県知事)が「廃止も1つの考え方だ」と言及され、見直しの議論が提起されたが、知事の考えはどうか。

知事

旧国民体育大会、現在の国民スポーツ大会は、京都でいえば、これまでスポーツ振興やスポーツの裾野拡大に一定の役割を果たしてきたと考えています。これからもスポーツをする人にとって、また、スポーツ振興といった意味では一定の意義や効果はあると考えています。

ただし、かなりの数の全国の知事が、財政負担の問題や、将来の人口減少の問題、それから全国の都道府県が単独で、しかも毎年同じ時期にやるという現在の方式等について、少なくとも見直しの必要性を言及されています。都道府県毎にバラバラな開催方式というのも変な感じがしますので、「統一する」という意味ではなく、見直しが必要だと言っている方がほとんどなので、全国知事会ベースで議論すべき問題なのではないかと考えています。

ただ、村井会長の発言も「廃止も」という言葉のインパクトが非常に大きかったので、いろいろ言われていますが、村井知事の発言をよく見てみますと、要するに「見直す必要がある」ということを仰っているのではないかと思います。国民スポーツ大会は、それぞれの都道府県が開催の主役ですから、ある程度、全国知事会のベースで議論すべきではないかと考えています。

記者

(見直しについて)議論すべきということか。

知事

はい。一定の開催の意義や効果はあるとしても、今までと同じやり方でやるかどうかについては、やはり見直したほうがいいのではないかと思うので、議論すべきだと考えています。

記者

知事自身は見直したほうがいいと考えているのか。

知事

同じままで続けるということはないと思います。というのは、あれだけ多くの知事が発言されていますので。しかも、3巡目に入れば、年1回として、あと50年以上後の形まで決まってしまう訳ですから、そこは慎重に議論したほうがいいのではないかと思います。

記者

京都では、2巡目が昭和63年に開催され、3巡目は15年ぐらい先になると思うが、京都での開催について考えは。

知事

日本スポーツ協会でも新たに検討部会を設けて、ある程度議論を整理すると仰っています。やはり全国の知事の声もあるし、当然、政府や日本スポーツ協会の立場もありますので、議論が整理されないと、(今の段階では)開催形式もイメージができません。

京都がどうするかというのはその次の段階で、実際は競技団体や市町村などの、関係者がたくさんおられますので、その意見も当然聞かなければいけません。どこで、という前にまず3巡目はどういう形でやるのか、あるいはやらないのかも含めて、まずそれが先行的に議論されるべきだと考えています。

記者

今後の開催方法の見直しは必要だという認識があるということか。

知事

はい、そうです。

記者

国民スポーツ大会について、廃止も一つの考え方だという村井知事の意見に、知事は賛同か、それとも反対か。

知事

いきなり廃止というのは正直、乱暴ではないかと思いました。財政負担だとか、開催形式についていろいろ懸念が出たり、問題提起がされていて、村井知事自身もその後の会見の中でも「議論すべきだ」と仰っているので、私としては廃止というよりも工夫をしていくべきではないかなと考えています。ただ、それもいろいろなレベルがあると思っていて、単独都道府県での開催ではなくて「ブロックでやるべきだ」という議論もありますし、「一気に同じ時期にやるのはやめよう」など、様々な意見が出ています。選択制になるかどうかは別にして、「うちはこうでいい」、「こっちはこうでいい」と、バラバラに国やスポーツ協会に伝えるのは、少し無責任な感じもするので、全国知事会ベースで一定の議論をした上で(国やスポーツ協会に)伝えるという形になると思います。ヒアリングもされると思うので、そこに各都道府県の意見が反映されればいいと考えています。もちろん廃止を言う人もいるかもしれません。

私としては、廃止よりも、それぞれの都道府県の意見を尊重しながら、開催方法をどのように見直すべきかを議論したほうがいいのではないかという立場です。

記者

国民スポーツ大会の後に障害者スポーツ大会があるが、障害者スポーツ大会と一緒に見直しを議論すべきという考えか。

知事

今の開催形式からすると両方議論しなければいけないのですが、パラスポーツは全体のスポーツよりも歴史が浅く、障害者の方の社会参加という意義が高まりつつあるところなので、またそれはそれでいろいろ議論があると思います。ただし、切り離してしまっていいかどうかということも議論しないといけないと思います。今のところはパラ大会についてはそんなに意見が出てないので、どういう議論になるかは分からないです。

記者

国民スポーツ大会を見直したほうがいいとのことだが、具体的にどういう方法にしたらいいという考えはあるのか。

知事

それはないです。いろいろな方がいろんな意見を言っていて、財政負担のことを仰っている知事がかなり多いのですけれども、だから何が、ということではないです。見直すとしてもかなり幅広い選択肢があるということです。

私が言いたかったのは、やはり一定の開催の意義はあるけれども、見直したほうがいい、それが必要だということです。

記者

京都第一赤十字病院は今年1月に京都市から行政指導を受け、今月、日本脳神経外科学会が専門医になるための研修施設としての認定を停止した。これについての受け止めはどうか。

知事

認定の停止については報道で承知しております。日本脳神経外科学会がどういう基準で判断されたのかは十分理解していないのですけれども、学会が病院に対してそういう形で対応されるということは、それなりに重く受け止めなければいけないことで、現に病院側も「非常に重く受け止める」と仰っています。同院は救急医療や災害医療において非常に指導的な役割を果たしておられますので、そういう意味からも今回の事案が発生したことは極めて遺憾だと考えています。

京都府内には、脳神経外科の専門医になるための研修を行う施設は10以上あるそうです。専門医になる方になるべくご不便がかからないようにという意味においては、これまでどおり同院以外での専門医研修によって、京都府の地域医療を何とか維持することが可能なのではないかと考えています。

ただ、そうは言っても、やはり学会からそういう評価を受けたということであれば、京都市の指導への対応も含めて、信頼回復というか、改善すべき課題があればきちんと改善した上で、再び認定が受けられるように努力されるべきではないかと考えています。

記者

同院は京都府立医大の研修施設としても位置付けられている。その意味で地域医療への影響について改めてどのように考えるか。

知事

脳神経外科の専門医育成においては、他の施設もあるので何とかカバーしていけると思いますけれども、病院全体の信頼がないと地域医療を支えていけないと思います。病院全体の信頼回復のためにも、今回課題になっていることについてはきちんと対応していただく必要があると考えています。

記者

3月の訪日外国人が300万人を突破するなど観光客の数が増えているが、一方で昨年度来からオーバーツーリズムの問題についての議論が再燃しており、先日の府市トップミーティングでも話題にあがっていたが、改めてオーバーツーリズム対策についての考えはどうか。

知事

コロナ禍が落ち着いて、4月からはほぼコロナ前の通常体制に戻ったということで、訪日外国人観光客の増加も含めて、非常に観光は賑わっていると考えています。

一方で、多くの観光客の方に来ていただくことは非常にありがたい面もありますが、ご指摘があったように一部の地域で例えばマナーの問題や府民の公共交通機関の利用への影響、また、混雑することにより日本人の観光客が行きにくいなど、色々なことで影響が出ていることは間違いないので、オーバーツーリズムと言われている問題が起こっている課題毎に解決策を出していって、できる限りその影響を抑えて、観光客増の効果を京都で最大化していくための努力をしていきます。

我々は、京都府観光連盟のホームページで、例えば桜だったら、できる限り多くの箇所の桜の名所の開花状況を示すことによって分散化を図るであるとか、府市協調で設置している観光案内所でもできる限り観光客を分散するようにしております。今年は、昨年と比較して若干、苦情が少なかったというような話も聞いております。

交通については、特に京都市が市バス・地下鉄を臨時増便するとか、荷物が非常に邪魔だということで、臨時の手荷物預かり場を設けるなど、様々な緩和策が行われていますので、地道に一つ一つ確実にやっていくことが必要なのではないかと考えています。

その中で、私どもで一番関係が深いとすれば、できる限り分散化し、周遊していただくということで、先日、松井市長との府市トップミーティングでも、まずは京都市の外縁部と京都府域について周遊をやればいいのではないか、京都西山・竹の里乙訓と、京北・美山、それから山科・醍醐・宇治のラインをつくったらどうかみたいなことを言いましたが、そういう形でできる限り分散させていきたいと考えています。最近の外国人観光客の動向を見ると、リピーターも増えているのかもしれませんが、これまであまり姿を見かけなかったところにも観光客の方の姿を見るようになっていますので、うまく情報発信をしていけば、分散化は十分に可能ですし、ひいては、海の京都や森の京都、お茶の京都、竹の里乙訓のような、もうひとつの京都にまで大きく分散できていけば、京都市内の特定の箇所に集中する観光客の分散化を図っていけると考えています。

記者

府市協調による分散化のためのキャンペーンはいつ頃までに実施するのか。

知事

まだ時期は言えないんですが、まずはキャッチフレーズが「もうひとつの京都ととっておきの京都の連携」では長すぎるため、何かつくろうということで、今、努力しておりますし、旅行商品の開発などは少し時間かかりますが、魅力あるところをいかに紹介していくかということはできる限り早くしていきたいと考えています。

記者

秋の観光シーズンまでにはということか。

知事

間に合わせたいと考えています。

記者

ゴールデンウイークを前に、観光客をどう京都市内以外に分散していくのか。また、どれぐらいの来訪者を見込んでいるのか。

知事

正直言って、ゴールデンウイークは、インバウンドの方にはあまり関係ないのではないかと思います。今は平日でもすごくたくさん来られています。今の観光客の動向を見ると、海外の方はかなり戻っていますけれども、国内の動きはコロナ前までまだ戻っていないという状況ですが、私自身は、来訪者の予測をしていません。

分散については、「もうひとつの京都」エリアにおける魅力向上とそのキャンペーンですが、ゴールデンウイークの分の予約等は既に完了していると思うので、インバウンドについてはそれほど大きな影響はないのではないかと思います。もちろん日本人観光客の動きがあるから、より混雑度が増すということはあるとは思います。

記者

外国人の話だと思うのですけれども、これまで姿をあまり見かけなかったところに来るようになったということだが、具体的にはどこか。

知事

この近辺についても、例えば御所周辺に、5~6年前にこんなに外国人観光客が歩いていたかなと思いますし、府立植物園でも見かけたりします。そういう、いわゆる名所旧跡ではないところにも散策されている姿を見ます。そういう意味で申し上げたということです。

記者

北部、南部で、有名でないところに行くということか。

知事

すみません、そこまで私は行ってないので分からないです。京都市内の話です。

記者

間人ガニについて、先日の府市トップミーティングでも、傷ついた北部ブランドの回復に努めたいと発言していたが、そのためにどういった施策が必要と考えているのか。

知事

今回、水産事業者だけでなく、漁船の関係の方も書類送検されたという報道がありました。

府市トップミーティングでも申し上げましたが、今まで地元の企業や市町村、京都府などが地域一丸となって、ブランドとして間人ガニを育ててきたということなので、やはりこれを守っていくことは極めて重要な課題だと考えています。

今回の件は、本当はブランドを守らなければいけない地元の関係者の方が関わったということで、極めて遺憾です。

まずは警察の捜査になるんですけれども、その捜査によって実態解明をしていただくのと、京都府が所管している景品表示法と食品表示法に基づいて立ち入り調査を行い、いろいろ精査をしておりまして、もし違反があった場合は措置命令を行うということになります。まずはどうしてこういうことが起こったのか、どういうことで改善すればいいのかということを、まずはきちんと明らかにして、その上で漁協や事業者も含めて、地域一丸となって、今後はこうした適正な管理をします、必ず品質のいいものがお客さんに届くようにします、ということを示し、それをPRしていくしかないのではないかと思いますので、そのための取組を始めるということです。

ただ、その前にはまず実態が分からないといけないので、どういうことでこんなことになって、どこを改善したらいいのかということはそこから見えてくると思いますので、まずは実態解明したいと考えています。

記者

先ほど発言された府の調査について、調査された中でも府の権限は措置命令までしかなく、事業停止命令などはできないという現状があるが、それも踏まえて府として何か独自のチェック体制の管理・機能といった仕組みをつくっていく考えはあるか。

知事

先ほど言いました府の所管の法律上は仰るように措置命令しかありません。

ただし、我々は一般的な産業政策として、漁業協同組合の指導というのをすることになっています。まさにこれは漁協が中心となって、信頼回復であったり、もう一度ブランドをきちんと育てるということをしなければいけません。

そういう意味では、我々も漁協に対する指導も含めた漁業政策としては大きな責任を負ってると考えておりますので、法律で取り締まるということではないんですが、責任は重たいと考えていますので、一緒になって信頼回復させていただきたいです。

記者

万博に関して、他の府県はブースのイメージができているが、京都府の取組が少し遅いのではないかと一部経済界の方からの指摘もある。その点について知事の見解はどうか。

知事

正直言って、私も、他の関西パビリオンのブースの府県に比べると進捗が遅いというのは、仰るとおりだと思います。

ただ、我々は、昨日開催した大阪・関西万博きょうと推進委員会で、山極座長の下、若い人を集めて議論してコンセプトやコンテンツを決めてもらおうと考えており、そのプロセスも極めて重要だと考えています。他の府県と少しタイムラグが出ていますが、どこかの業者に委託して作ってもらうのではなく、みんなで参加型で議論しよう、とくに若い世代の方に参加してもらおうということです。

昨日発表したものが全てで、私からはあれ以上詳しいことは言えないのですけれども、いずれあの委員会の場だけではなく、一定の形となって発表した際にはどんどん普及していきたいと考えていますし、今度ウェブサイトを立ち上げて、そこでもどんどん発表していきたいと考えていますので、もう少し待っていただけたらと思います。

記者

万博が開催されると、おそらく外国人の方が今よりもっとたくさん京都に来られると思う。開会まで1年を切ったこと含めて、観光客が増えることによる問題や対策があれば聞きたい。

知事

昨日の推進委員会でも議論されていたように、1970年の万博は、会場に行くことで万博のいろいろな成果を見て、そこで学んだけれども、今回は分散型ではないかと思っています。要するに、会場に行くだけでなく、その後に関西地域で様々な体験をすることが必要だという意味での分散型です。しかも、特定のところに集中させるのではなくて、京都の中でもよりいろいろなところに行ってもらえる分散型を選ぶべきではないかと考えています。

もう一つは、2025年で終わるのではなく、2025年を出発点として、それ以降、京都は何を大切にするか、京都の価値は何かということを議論するきっかけになるようにすべきではないかという議論もありました。観光客がたくさん来るということだけではなくて、その時に京都から何を発信するかが重要だということです。

まさにその観点で、昨日出したアクションプランをもう少し磨き上げていきたいと考えています。(昨日も)いろいろな指摘がありました。地域住民やコミュニティが参加すべきではないかとか、ウスビ・サコさんからは「アフリカアートフェスティバルをしたい」という意見もありました。おそらく多文化共生ということだと思います。山極さんは「文化と環境」と仰っていました。そういうふうに、これからの京都のまちがどうなっていくのか、京都府域がどうなっていくのかを考えるイベントであれば、必然的に分散型になっていくのではないかと思います。万博会場でなく、観光客を受け止める京都府の方では、そういう観点でやっていくべきではないかと考えています。

記者

先ほど、大阪・関西万博について、プロセスを重視されていて、「他の府県に比べて少し遅れもある」と発言されたが、元々プロセスを重視することによって遅れることは想定されていたのか、あるいは想定よりも遅れている状況なのか。

知事

先ほど「遅れている」と言ったのは、関西パビリオンの京都ブースの展示内容について、他の府県のブースと比較しての話で「遅れ」という言葉を使いましたが、他の部分については、分散型という意味では京都は決して遅れていないと考えています。

来年4月開幕に向けて機運醸成やPRもあるので、4月に間に合えばいいということではないですけれども、開幕に向けたスケジュールとして遅れていると言ったつもりは全くなくて、他府県のブースと比べて少し遅いかなということで申し上げました。

記者

府の従来からの想定どおりで進んでいるということか。

知事

はい、そういうことです。建物自体はそもそも他府県と一緒に造っているので、中の展示設備と、一番重要なコンテンツはそれぞれの府県でも相当工夫して出してこられると思うので、両方とも併せて検討しています。

記者

少し前になるが、社会保障・人口問題研究所が世帯推計を発表した。高齢世帯が将来増加することに対する受け止めと対応を聞きたい。

知事

今、ご指摘がありました日本の世帯数の将来推計によると、2020年の平均世帯人員2.21人が、2050年には1.92人になるということです。この計算の基として、人口推計と世帯分離等の推計を合わせて計算しているということで、人口の全体の推計に一応マッチしているものだと思います。その平均値になってくるので分からないのですけれども、世帯の単独化が一層進むことはまず間違いないと考えています。

その要因の解析が完全にはされていないのですけれども、おそらく未婚化や核家族化、それから、当然少子化も要因だと思っています。それら一つひとつに対策を練っていかなければいけないのですが、何と言っても65歳以上の単独世帯が2050年に20.6%になるということは、社会に与える影響が相当大きいと思うので、きめ細かく寄り添った対応をしていく必要があるのではないかと考えています。

全体として世帯の単独化を防ごうとすれば、まさに少子化対策と同じことになっていくので、全体的に息の長い取組が必要になってきますが、確実に起こる世帯の単独化の中でも、特に高齢者世帯への対応については、地域を挙げて対応していかなければいけないというのが私の認識です。

記者

総務省からも人口推計が発表され、京都が減少、東京に集中するということだが、それについてはどう考えるか。

知事

いつも言っていることですけれども、東京への一極集中は、コロナの特に初期の頃に地方移住への関心が高まったこともあり、その動きはまだニーズとしてはあるとは思いますが、やはり一極集中が続いています。この間、閣議決定された国土形成計画の中でも、明らかに、過度の東京一極集中に対する非常に危機感が示されています。

これは国土構造ですから、まずは国を挙げて対応すべきものだとは考えていますけれども、もう一つは、それぞれの地域が、そこに居住することを選択してもらうための地域の魅力づくりを行うことが必要です。となると、我々としては、京都府の総合計画を着実に実施することに尽きると考えています。それによって地域の魅力を高めていくということです。

記者

能登半島地震の被災地に対して、京都市では職員を長期派遣されるようだが、府でも計画はあるのか。

知事

全国知事会ベースや総務省ベースなどの枠組みで長期派遣を依頼されているので、我々も畜産職と農業土木職の2名の職員を派遣させていただいています。派遣の仕方はそれぞれ違って、一定の期間で交代していくとか、期間も各自治体や派遣先のニーズによって変わってくるので、長期に行くだけではないです。途中で交代しながら、全体としては2年間といった長期でやっていくのですけども、自治体によってやり方が違います。

記者

文化財の修復については職員を派遣しているのか。

知事

文化財の専門家が現地に一度見に行っていますし、被害実態がまだ分からないのですが、「協力する」ということは、私からも石川県に伝えています。文化庁がプラットフォーム的な役割を果たそうという動きもあります。京都府には文化財修復、特に建築物の修復の専門家がいるので、「協力します」と言っています。

ただ、かなりの費用もかかるし、文化財を持っておられる自治体の自己負担もあったりするので、実際に修復の動きが出るのは少し時間がかかると思います。被害実態についてはうちからも既に見に行かせていただいています。

事務方

何度か専門家が現場に行っていて、来週、本格調査に入ります。

記者

本日午前中に京都市役所で第14回「KYOTO地球環境の殿堂」入賞者の発表があったのだが、その際、京都市が出す報道発表資料と京都府が出す報道発表資料が全く同じで、表だけ違うものが2部出てきた。知事と京都市長は「府市連携」・「府市協調」と仰っているが、実は現場ではあまり浸透していないのではないか。

知事

それはあってはならないことです。「KYOTO地球環境の殿堂」は、山極先生が選考委員長で、総合地球環境学研究所所長の立場としてもやっておられますから、元々京都府も京都市も主役ではないところもあるのに、そういうことがあってはならないことだと思います。私からも担当課には十分に注意しておきます。

「KYOTO地球環境の殿堂」は素晴らしい取組で、歴代の受賞者の方は国立京都国際会館の入口に展示されていますが、素晴らしい方が多いので、イベント自体の価値は毀損していないということで、お許しいただきたいと思いますし、できる限りきちんとやるようにします。

記者

昨日、福知山で熊の出没があり、先日、府立植物園でも鹿が出た。近年の動物と人との距離感についてどう考えているか。

知事

本日午前中に、完全に逃げたとは聞いていますが、動物との関わりで一番重要なことは、住民に危害や被害が加わることは絶対避けなければいけません。これは大前提です。もう一つは、農林業に対する影響で、これは柵で保護する、一定の数の捕獲を認めるなどを基本としてやっていくということです。

ただ、気候の影響とか、山が荒れているとか、どういう原因か分からないですけれども、人間の居住領域に動物が近づいているということは、京都だけではなくて、去年、全国で熊の被害が結構出たりすることによって分かっているので、どうやって府民の安全を守るのかということについてはいろんな工夫がいると思います。一方で、自然界に生息する動物と共存もしていかなければいけないという思いもありますので、その辺のバランスをとっていくのが我々の仕事だと考えています。

記者

関西電力が福井の原子力発電所に使用済み核燃料を一時的に保管する乾式貯蔵施設を設置する計画が出ていることについて、知事はどう考えるか。滋賀県では、県民の不安を払拭することといった意見書を関電に提出しているが、府として同様の行動を起こす予定はあるのか。

知事

原子力発電所の運転については、とにかく何よりも安全性が最優先されるべきだという基本認識を今までも申し上げておりますし、これは今後も変わりません。

現在、原子力発電所の敷地内に貯蔵施設を設置する許可申請が3月15日に原子力規制委員会に出され審査中だと承知していますので、ここは国の責任において厳格な審査、監視・指導をきちんと行っていただきたいです。万全の安全対策が講じられるべきであると考えています。

我々はこれまでから国と関西電力に対して安全対策の徹底を求めていますので、今回の動きについても当然安全対策の徹底は求めていきたいと思っております。ただ、すぐに独自に行動を起こすかどうかについてはまだ検討していません。

記者

昨日、北陸新幹線の大阪延伸を主導する与党の協力チームの委員長に、京都府選出の西田昌司参院議員が就任し、西田議員は小浜・京都ルートの推進に意欲を示したという報道があった。この点について知事が期待されることはあるか。

知事

自民党の党内人事の話なので、私がコメントする立場にはないのですが、高木毅議員が党員資格停止になられて、その後任にたまたま京都選出の参院議員の西田議員がなられたということです。ただ、だからといって、我々のこれまでの主張や立場についての変更は全くありません。

記者

敦賀への延伸開業から1か月近く経つが、開業による府域への効果や影響を改めてどのように見ているか。また、知事は乗車する予定はあるのか。

知事

今のところ乗る予定はありません。

敦賀開業の影響については誰かが分析しているはずですけれども、私の手元にはまだ届いていません。ただ、インバウンドの統計で福井県は下位の方だったと思いますが、福井における数値は多分劇的に変化しているのではないかと思います。ただ、コロナ前はインバウンドの方に「京都観光の後は金沢」という観光ルートができていてサンダーバードが外国人で満席だった時もありましたが、そこまではまだいっていないと思います。

だから、影響という意味をどういう断面で捉えるのか、私も少し考えたのですけれども、なかなか難しいです。というのは、向こう側から入ってくる影響なのか、こちら側から行くという意味においては別にそんなに変わらないです。

それよりも、我々としては、せっかく敦賀まで来ているので、秋から運行が予定されている観光列車「はなあかり」によって、北部において東西の新たな観光ルートが開発されたりすることがあれば、北部振興にとって非常に効果が大きいと思うので、そこは注視していきたいと考えています。

記者

国民健康保険料について、かなり多くの自治体が新年度に引き上げを予定している。構造的な課題があることは認識しつつも、直接的には京都府に納める納付金の引き上げが要因になっていると市長会と町村会からも申し入れがあったが、これについて知事の考えはどうか。それから、保険料の統一には慎重論もある中で、かなり丁寧に進めておられるが、喫緊の課題になってきているので、今後どう進めていくのか。

知事

元々、市町村国保は退職者が加入されているので、一般的に平均所得が被用者保険に比べて低いということもありますし、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者へ移行し、高齢者が増えると医療費も増えるということも含めて、やはり年々厳しくなっていることはまず間違いないです。

我々も激変緩和のための財源措置や、特例基金や特別会計の決算剰余金を活用して、できる限り軽減措置はしていますけれども、そうした財源の活用には限度があります。やはり構造的な課題である納付金の上昇を抑制するためには国の抜本的な措置が必要です。これは都道府県単独ではとてもできないので、国の制度として必要な財政措置をすることを強く要望していくしかないと考えています。安定的に持続的な保険制度にしないと駄目ですし、やはり所得に応じた保険料負担を実現しないと保険制度自体が瓦解するので、これは国に強く要望していきたいです。

一方で、今年度の算定をめぐって情報が遅いという話もありましたので、令和7年度の納付金については、額を抑える抑えないは別にしても、早い時期から算定方法については協議の場を設けたいと考えています。保険料の統一については、ただ単純に額を統一しようとすると、やはり医療機関の充実や疾病構造の違いとか様々な観点から意見が出てくるので、引き続き丁寧に市町村のご意見を聞いていくしかないのかなと考えています。将来的には少しずつ(統一に)近づけたいという思いはみんなあるとは思うのですけれども、それぞれの事情が違うという現状です。

お問い合わせ

知事直轄組織広報課

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4075

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