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【成果コラム】 「NPO法人丹波漆」チーム

令和2年度 学生×地域つながる未来プロジェクト」の、「NPO法人丹波漆」チーム(参加学生2名)による成果コラムページです。

チームミッション

丹波漆への理解者を増やそう!

福知山市夜久野町で「丹波漆」と呼ばれる良質の国産漆の、ウルシの木の育成から漆液の採取・技術の伝承、その活動についてPRしています。
漆とはウルシの木から採れる樹液のことで、工芸品や文化財の塗装などに使われています。
そんな漆ですが、日本では漆の産地や漆掻き職人が減少してきており、もっと多くの方に丹波漆について知ってもらい、活動に共感してくれる仲間や後継者を増やしたいと考えています。
また、過疎化の進んだ地域において、どのように地域や伝統工芸を守っていくのか、どのように生計を立てて暮らしていけばよいのか、漆を通してそのような社会課題にも目を向けて、発信していきたいです。

「NPO法人丹波漆チーム」の概要

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NPO法人丹波漆が目指している社会

NPO法人丹波漆ホームページ(外部リンク)

NPO法人丹波漆Facebook(外部リンク)

活動で学んだこと

「丹波漆」とは

世界に知られる古都・京都には、数多くの寺社や文化財があります。
しかし、これら寺社や文化財を作っている「素材」に注目したことはありますか。

日本の文化財を語る上で欠かすことのできない素材の一つが「漆」です。
京都、そして日本の文化を支えてきた漆産地の一つが、京都の北のほうにあります。
京都府北部、福知山市夜久野町では古くから漆掻きが行われてきました。
夜久野でつくられる漆は「丹波漆」と呼ばれ、奈良時代から記録が残っています。
丹波漆は透明感があるのが特徴で良質な漆の産地だとか。
最近では東本願寺の御影堂の天井に使われました。

 

意外と知らない!漆について

 

漆というと、どのような使われ方を想像されるでしょうか。
塗料として食器に使うことは有名ですが、実は建築や文化財など様々なところで使われています。
つやを出す作用のほか、接着のためにもつかわれてきました。染め物も作れるそうです。

人による漆の利用の歴史は長く、なんと縄文時代の遺跡からもその痕跡が見つかっています。
古くは、土器の水止めや植物による編み物の補強などに使われたようです。

丹波漆、そして日本の漆の現状について

かつては漆器を使うことは一般的であり、丹波漆の漆掻きは儲かった時期がありました。
しかし、ライフスタイルの変化で漆の需要は減少しました。
国産の漆は高額であり、需要の減少のなかで国産漆は衰退していきました。
現在、国内で使用される漆の98%程度が輸入されたものであり、そのほとんどが中国産です。

国産漆の衰退の中で、丹波漆は生産者組合を結成し苗木の育成や植林などに取り組み、丹波漆を残すため努力してきました。
2012年にはNPO法人丹波漆が設立され、丹波漆を次世代につないでいくための取り組みがされています。

 

 

漆を次の世代につないでいくために

漆は、昔から人の生活に密接に関係してきたものです。
自然塗料ということもあり、健康への意識がある人からの関心もあります。

漆の伝統的な利用法の一つに「金継ぎ」というものがあります。
これは、割れてしまった陶磁器の破片を漆でくっつける方法です。
安価な製品を大量生産・大量消費する現代社会において、漆は昔ながらの「ものを大切に使い続ける」文化を教えてくれます。

また、日本の文化財の修復には国産の漆を使うべきとの声があります。
2018年には、文化庁は国宝級の文化財の復元には100%国産の漆を使用するという方針に転換しました。国産漆の必要性は高まってきているといえると思います。

漆芸分野出身者が素材としての漆にも関心を抱くようになることは多いようで、漆掻き現場への見学者も多いとのことです。漆掻き職人になるべく夜久野に移住する人も出てきています。

「漆掻き職人になりたい」と夜久野を訪れる人もいる一方、漆掻きだけでは生活していける収入には結び付きにくいという現状があります。
また、漆の木は植えてから掻ける(漆を収穫できる)ようになるまで10年程度かかることから、植林してから収入が得られるまで時間がかかることも課題です。

多くの人から活動への関心や関与を得るために、NPO法人丹波漆では漆の木を植えるイベントや情報発信などを積極的に行っています。
英語版のパンフレットやDVDも制作し、海外への情報発信も行っています。
地域の子どもたちへの漆塗り体験なども行っており、植林のための土地の提供など地域の協力者も徐々に増えつつあります。

 

福知山市営「やくの木と漆の館」について

「道の駅農匠の郷やくの」内には、「やくの木と漆の館」があります。
館内では、丹波漆について展示から学べたり、体験ができたりします。
漆塗り体験では、あなたに合わせた丁寧な指導で、自分だけの作品を作ることができます!

やくの木と漆の館HP(福知山市HP)(外部リンク)

 

 

 

感想

少しでも多くの人に丹波漆のことを知ってもらえたら良いなと思います。

私は、コロナ禍でも何かできることをしてみたいと思い、このプロジェクトに参加しました。
実際、地域活動団体が目指す社会に近づけるためにはどうしたら良いのか、大学生の立場から考えたり、地域活動団体の方からお話を伺ったりできたことは、有意義な時間になったと思います。

また、今まであまり身近には感じていなかった漆について知る良い機会になりました。
漆の魅力について、他の人に興味を持ってもらうためにはどのように情報を発信するべきかについても考えさせられました。
このプロジェクトを通して、少しでも多くの人に丹波漆のことを知ってもらえたら良いなと思います。

(立命館大学2回生 山口真穂)

伝統産業・文化をどのような形で継承・発展させていくべきか考えるきっかけになりました。

京都・日本の伝統文化を支えてきた、知る人ぞ知る魅力があるのが丹波漆の面白いところだと思います。
ライフスタイルの変化や過疎化などの中で、伝統産業・伝統文化をどのような形で継承しどのように発展させていくべきか考えるきっかけとなり、良い学びとなりました。

丹波漆の方にお話を聞いている中で面白かったのは、海外からの注目や地域外からの移住者が重要な役割を果たしている一方、地域住民からの協力や地域の子どもたちへの発信などもとても重視している点です。
外への発信や外からの協力を求めるだけでなく、地域の資源である丹波漆を地域で伝承・活用していく形もまた模索している様子が印象的でした。

(京都大学2回生 森下航平)

関連リンク

当プロジェクトのTwitter

Twitter《京都府》学生×地域つながる未来プロジェクト【公式】(外部リンク)
※Twitter上でこのチームの投稿を識別するハッシュタグ「 #N丹波(外部リンク)」から、NPO法人丹波漆チームの投稿が一覧できます。

NPO法人丹波漆に関するリンク

お問い合わせ

文化生活部文化生活総務課 府民協働係

京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町

ファックス:075-414-4230

bunkaseikatsu@pref.kyoto.lg.jp