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更新日:2016年3月31日

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文化・教育常任委員会管外調査(平成27年11月10日~11月11日)

愛知県立大学(愛知県長久手市)

魅力ある大学づくりについて 

愛知県立大学は、2009年4月に当時の愛知県立大学と愛知県立看護大学を統合し、「豊かな人間性と高い知性を備え、かつ、国際性、創造性及び実践力に富む有為な人材を育成する」ことを目指した新愛知県立大学としてスタートされました。現在は、長久手キャンパスと守山キャンパスと合わせて5学部10学科と大学院4研究科から構成されています。

愛知県立大学は、次の3つを設立の理念に掲げられています。一つ目は、21世紀の「知識基礎社会」において、教員と学生が相互に啓発し合いながら「知の拠点」を目指す。二つ目は、「地方分権の時代」における公立の大学として、良質の研究とそれに裏付けされた良質の教育を行い、その成果を社会に還元する。三つ目は、「成熟した共生社会」の実現を目指して、教育研究と地域連携を進める。となっています。

愛知県立大学の魅力と特色は、すべての学生が少人数のゼミナールに所属し、教員と学生の距離が近いアットホームな環境の中で専門知識を深め、豊かな人間性が育まれています。また、1学年の専任教員1人に対する学生数は約4人で、全体では教員1人あたりの学生数は約15人の少人数教育を実施されています。

語学教育においては、クラスは理想的な少人数編成となっており、ネイティブスピーカーの外国語教員を中心とした指導陣が、リスニングとスピーキング力の強化に力を注ぎ、対話形式を取り入れた徹底指導が行われています。

2014年4月には、外国語学習支援スペース・iCotoba(多言語学習センター)をオープンされ、同施設には、英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語のネイティブ教員が常駐し、語学授業以外にも、ハロウィーンや春節など、留学生との交流イベントや2日間は外国語だけで過ごすというイマージョン合宿など、異文化に親しむイベントが数多く開催されています。

また、外国語学部では、2013年4月に「グローバル人材プログラム」をスタートされ、学部の60%以上の学生が、在学中に海外協定大学へ単位認定を伴う1ヵ月程度から1年の留学を行っています。留学前から留学中、留学後のプロセスを、グローバル人材を育てる一貫した発展的教育課程としてとらえ、各段階で必要な能力を育てる体系的なプログラムを実施されています。帰国後は、地元の企業や自治体、NPO/NGO、海外協定大学等と連携したフォローアップ・プログラム(インターンシップ、国際学生共同プロジェクト等)が行われています。グローバル人材プログラムの目標レベルは、英語が専攻外国語の場合はTOEIC800点以上、第2外国語が英語の場合はTOEIC730点以上とされています。

また、専門知識だけでなく、幅広い教養、コミュニケーション力等を身につけるため、全学部学生に開かれた多様な教養教育科目が用意されていることも特色の一つとなっているとのことでした。

また、同大学においては、学生のみなさんが自分から問題を発見し、探求し、解決策を考える力、自分から他者に働きかける力をつけてほしいとの願いを込めて、学生グループの自主企画研究を支援されており、1プロジェクトに対し30万円の助成金を交付されています。

同大学は、「良質の研究に基づく良質の教育」をモットーとして、グローバル社会に必要な幅広い教養を身につけた人材を育成していきたいとのことでした。

 

主な質疑

  • 教員の人数及び非常勤職員について
  • カリキュラムについて
  • 外国語学部のTOEICの状況について
  • 留学生の状況について
  • ロボットの制作費等について など

 概要説明(県立大学)

ロボットサッカー(愛知県立大学)

概要説明を聴取した後、情報科学部のロボットサッカーを視察

名古屋大学教育学部附属中学校・高等学校(愛知県名古屋市) 

同校の概要について 

名古屋大学教育学部附属中・高等学校は、国立大学の附属学校としては唯一の併設型中高一貫教育校で、中学から入学した生徒は引き続き高校に進むことができ、高校からも学力試験で入学することができます。

教育方針は、1.自由と自主を尊重し、個性と能力の伸長を目指します。2.こころ豊かで主体性のある人間形成を目的としています。3.確かな基礎学力とそれぞれの生き方をつかませ、自立できる力を育てます。となっています。

同校は、中学で2クラス、高校では1クラスを加えた3クラスという、小規模な学校で充実した個別指導が可能となっています。

同校の特色としては、2006年度からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けており、2011年度より2期目の継続指定を受けられています。

文部科学省が推進するSSHは、2002年度より開始されたプロジェクトで、将来の国際的な科学技術関係人材を育成するために、先進的な理数系教育を実施する高等学校がSSHとして指定されています。

SSHの概要は、まず、中学2・3年が対象のSLPⅠ(サイエンス・リテラシー・プロジェクト1.)で、5つの講座から1年間に2講座(半期ずつ)を必ず学び、自分の興味のある教科を探します。高校1・2年が対象のSLPⅡでは、大学での専門的な学びにつながるような豊かな学習経験を行うことができます。高校1年では「自然と科学」、高校2年では「情報と社会」を学び、教科や文理の枠を越え、多角的にものごとをとらえ、研究していく姿勢を身につけていくとのことです。また、高校の全学年が対象のASP(アドバンス・サイエンス・プロジェクト)では、名古屋大学の研究者による講義を通して、大学での先進的・専門的な学びに直に触れることができ、自分の適性や興味がより明確になり、自分の生き方を探る糸口となるとのことでした。

また、2015年度から5年間、スーパーグローバルハイスクール(SGH)にも指定されています。SGHの目的は、グローバル化が進んだ世界で、ものごとの本質を捉え、国際的視野を持って探求し続ける、勇気と判断力のある「自立的な学習者」を育てるとのことです。この目的のため、名古屋大学と一体化し、探究型カリキュラムの開発と構築を行っており、中学では、「生き方を探る」「生命と環境」「国際理解と平和」をテーマに、幅広い興味関心を養い、専門家へのインタビューなどを通じ、個人・グループ単位で研究を行っています。高校では、地球的課題に対応する六つの研究領域(生命、自然と環境、心、人権と共生、平和、文化)を設け、仮説検証型課題探究が行われています。

また、名古屋大学に国内グローバル拠点を置き、大学教員、留学生、他校生徒と地球的課題の解決方法を討論するGlobal Discussionを実施し、課題解決力向上を図っているとのことでした。

 主な質疑

  • 高校からの新たな入学者への対応について
  • 高校のクラス編成について
  • 進路指導、大学受験に係る保護者への対応について
  • 入学方法、入試倍率及び入学者の状況(県内外)について
  • ユネスコスクールとスーパーグローバルハイスクール等との関係について
  • 県の教員との交流について など

SSHの概要説明を聴取

概要説明

施設視察

 SSH等の概要説明を聴取した後、施設を視察

 

静岡県立大学(静岡県静岡市) 

ムセイオン静岡の取組について

「ムセイオン」とは、古代エジプトのアレクサンドリアに興った世界初の学問・教育・文化・芸術の総合施設で「ミュージアム」の語源と言われています。静岡県立大学では、静岡市谷田丘陵地帯及びその周辺地帯にある6つの教育文化機関と連携し、「ムセイオン静岡」を始動され、学びの場を提供し、若者や専門家が自由に行き交う文化の発信地を目指しておられます。

「ムセイオン静岡」の概要は、静岡県立美術館や静岡県立中央図書館、グランシップ(静岡県コンベンションアーツセンター)など、6つの教育文化機関が相互に協力して文化・芸術・教育を学ぶ場を提供し、文化を発信する自主協働プログラムで、平成19年度から活動を開始されています。

主な取組は、活動PR冊子「ムセイオン静岡」などを作成し、企画事業の相互協力と広報に取り組むとともに、ムセイオン楕円堂講座など共同事業による連続講座の開催、6機関の協力による静岡県立大学の単位認定講座を設置されています。

特に、教育分野での取組では、県民を対象に各機関の教員や外部の専門家がテーマに沿って連続した講座を実施、また、座学以外に、観劇、美術鑑賞やテーマに関連した地域の散策など、体験する機会を提供されています。また、静岡県立大学では、本物志向の総合芸術文化に触れ、高い教養を身につけるため、優れた文化施設(県立美術館、県立中央図書館、埋蔵文化財センターなど)と隣接する特性を生かし、この稀有な文化資源を学生生活に組み込ませる方策として、ムセイオン静岡1.・2.・3.の科目を地域学に位置づけ、「しずおか学」科目群のひとつとして全学共通選択必修科目とされています。

また、国際関係学部では、国際的に活躍できる21世紀型市民を育成するため、学部学生に、従来の受動的な学びから転換を促し、課題発見から課題解決に至る一連のプロセスに主体的に取り組むことが出来る能動的学習姿勢を身につけさせるフィールドワーク型初年次教育モデルの構築を目指されているとのことでした。

 

主な質疑

  • 連携講座の位置付けについて
  • 国際関係学部の学生の当初の反応及び到達点について
  • ムセイオン静岡のまちづくり、都市づくりの取組について
  • 連続講座への市民の参加状況及び年齢層について
  • 市民参加によるまちづくりの取組について など

概要説明聴取(ムセイオン)

講義の様子

概要説明を聴取した後、県立美術館学芸員による講義の様子を視察

 

 

 一般社団法人静岡学習支援ネットワーク(於:静岡県立大学(静岡県静岡市))

 子どもの貧困対策への取組について

静岡学習支援ネットワークは、「勉強がしたくても、できない子どもたち」の力になりたいとの思いをもった静岡県立大学、静岡大学、常葉大学などの大学生が集まり、2012年2月に誕生した団体で、2015年3月には一般社団法人格を取得され、静岡市内3カ所で「無償学習支援教室事業」を中心に約70名のメンバーが活動されています。

具体的な取組の内容は、静岡市内に無償学習支援教室、「宿題カフェ」・「みらこや」・「あべこや」を開設し、週1回無償学習教室を開催されています。また、夏休みや冬休みには、「学習カフェ」を開催されているとのことでした。

無償学習支援教室事業は、同団体が法人格を有したことを受け、平成27年度に静岡市から「生活困窮世帯、ひとり親世帯等の子どもへの学習・生活支援業務」を受託し、実施されているとのことで、他の2団体と「静岡市子ども支援コンソーシアム」をつくり、業務を分担して、生活保護世帯や就学援助世帯などの小中学生を対象に、学習支援と生活支援の両事業を実施されています。

無償学習支援教室は、小・中学生を対象に、定員15名で各教室週1回・90分程度開設されており、生徒募集は静岡市が行われているとのことでした。教室の目的は、「子どもたちにとっての一番の味方になる」、「学習支援と同時に、家とも違う、みんなの居場所になる」、「子どもたちの一人一人に寄り添い、一緒に勉強に取り組む」こととされており、大学生は年齢が近く身近な存在として、勉強だけでなく、家庭の悩みや進路の相談等を受けるなど、子どもたちにとって良き理解者となっているとのことでした。

事業を通じて、学習環境がない子どもに学習環境を与え、貧困の連鎖を断ち切る、地域に根ざした活動を今後も積極的に取り組んでいきたいとのことでした。

 

主な質疑

  • 中学校の先生との連携及び交流について
  • ネットワークの構築方法及び今後の運営について
  • 学生の募集方法について
  • 法人化前の生徒募集の方法について
  • 法人化前の交通費などの活動費の対応について
  • 配慮を要する家庭への対応 など

ネットワークの概要1

 ネットワークの概要2

 

 

静岡県コンベンションアーツセンター(グランシップ)(静岡県静岡市)

同センターの文化振興の取組について

静岡県では、静岡県文化振興基本条例に基づき、現在、第3期ふじのくに文化振興基本計画を策定されています。

同計画の基本方針は、「みる」、「つくる」、「ささえる」人を育て、感性豊かな地域社会の形成を目指し、「ふじのくに芸術回廊の実現」を基本目標とされています。計画に基づく重点施策は、1「子どもが本物の文化に触れる機会の充実」、2「多彩な文化活動と交流の拡大」、3「憧れを呼ぶ創造活動の発信」、4「誇りを育む文化資源の発展と魅力向上」、5「文化力の地域づくりへの活用」、6「地域の文化拠点づくり」となっており、文化振興の基盤・人づくりや魅力ある文化の創造と発信、文化を発展させる体制づくりの取組を進められているとのことでした。

静岡県コンベンションアーツセンター(グランシップ)は、「文化創造と交流の拠点」として、静岡県が設置する県立複合文化施設で、現在は、静岡県文化財団が運営を行われています。

グランシップでは、ふじのくに文化振興基本計画に基づく、「みる」、「つくる」、「ささえる」人づくりのため、様々な取組を行われています。「みる」では、グランシップを拠点にして、積極的に県内各地の学校等に出向き、鑑賞や体験の機会を提供するとともに、文化芸術にはじめて触れる場として、県内ではあまり鑑賞することができない公演、展示等を実施されています。「つくる」では、「しずおかの文化新書」の発行事業を実施されており、「ささえる」では、文化活動を行っている人たちがコンサート等に参加できる機会の提供や、相当程度活動し、さらなる飛躍を目指す文化団体に対して、提供の場を確保する提携公演の取組を行われています。また、文化芸術活動を行っている団体や個人の活動等に対して資金的な支援も行われているとのことです。

グランシップでは、文化・芸術活動のほかにも、大ホールや展示ギャラリー、会議室などの貸館業務を行われており、利用率は平均で約80%と高い稼働率を維持されているとのことです。同館では、貸館業務を通じ、コンベンション、文化振興拠点機能の両立を目指し、国内外における文化芸術・学術の交流を一層推進していきたいとのことでした。

概要説明聴取(アーツセンター)

展示ギャラリー視察

概要説明を聴取した後、展示ギャラリーを視察

 

 

お問い合わせ

京都府議会事務局委員会課調査係

京都市上京区下立売通新町西入

ファックス:075-441-8398