[心の健康について]
〈摂食障害〉 拒食症の経過
(鈴木廣子氏作成の図を参考に作成)
1病前期
はじまりのきっかけにちょっとした挫折体験が見られることが多いようです
どちらかというと頑張り屋の方が、学業やスポーツ成績の低下、肥満など体形へのからかい、友情・恋愛関係の破綻、学校生活の変化や身体疾患(食欲が低下するような疾患)がきっかけとなって起こる場合が多いようです。それらのきっかけはこれまでの自信を揺るがせるような、思うようにならない感じのものといえます。
しかし、時には何がきっかけとなっているかわからない場合もあります。
2ダイエット期
ダイエットに「のめりこむ」といった感じになります
それまでどちらかというと、周囲から評価されることでふくらませていた自信が、挫折体験などをきっかけにして、自信が揺らいでいきます。そこにもともとあった肥満への恐怖がからみあい、ダイエットを始めるきっかけとなります。ダイエットは、目標や努力の仕方を決めることができ、それによって結果もはっきりと表れますので、さらに高い目標を設定して、ダイエットにのめりこんでいくことにつながっていきます。周囲からは非常に元気に見えることも多い時期です。
3拒食期
食べなくなるといわゆる「飢餓状態」となります
次第に食べることの制限がエスカレートしていくと、いわゆる「飢餓状態」(低栄養状態)に陥ります。この低栄養状態が脳の食行動をつかさどる部分にも影響し、さらに適切に食べることが難しくなってきます。また、無月経、脱毛、手先・足先の冷たさなどの身体的な影響が出てきますし、精神的には一種の高揚感を引き起こすことになります。さらにやせたことに周囲から称賛を受けたり自分自身の満足も加わり、非常にやせているのに元気に活動し、食べることの制限がさらに維持されて行く結果となります。そうして食事や体形のことが唯一の関心事となっていき、家族や友人のことなどを考えることが後回しになっていきます。
4拒食・過食期
時に欲求が抑えきれずにたくさん食べることもあります
時折、がまんしていた食欲が抑えきれずに、たくさんの量の食べ物を食べてしまうこともあります。そのことで後悔し、吐いたり、下剤を使用したり、ふたたび拒食になる場合もあります。
精神的に不安定になり、ゆううつ、イライラ、不安などが一度に押し寄せたり、急に元気になったりします。小さなことで家族に当たったり、自暴自棄になったり、非常につらい時期です。
5回復期
ありのままの自分が認められるようになります
どうしても食行動の改善のみを一番に考えてしまいますが、その前に気持ちの部分の変化が回復期の訪れを知らせてくれます。「頑張らなくてもいいんだ」と、ありのままの自分が徐々に認められるようになり、ほっとする時間も増え、あせりが減り、ゆとりが増してくるようになると、回復期です。そうした気持ちの変化が先行し、その後で食行動の改善がみられてくるようになります。