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重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はSFTSウイルスの感染で発症する病気です。ウイルスを保有するマダニに刺されることで感染しますが、患者や発症した動物の血液や唾液等の体液を介した感染もあります。マダニは春から秋にかけて活動が活発になるとされており、この時期に発症が増えます。
国内では西日本を中心に年間100例ほど報告があり、京都府内では毎年1-3例が主に中丹・丹後地域で報告されています。
潜伏期間は約6日~2週間で、発熱や消化器症状などが主な症状です。重症例では神経症状・出血傾向・多臓器不全等が見られ、致死率は約10~30%とされています。
治療は基本的には対症療法ですが、病気の進行が予期される場合には抗ウイルス薬ファビピラビル(アビガン®)の使用が検討されます。
有効なワクチンはありません。
感染予防のためには、草むらなどに入る際は長袖、長ズボン、手袋、長靴を履くなど肌の露出を避け、ダニに刺されないようにすることが重要です。また、ディートなどの有効成分を含む虫除け剤の使用も有効です。また、屋外活動後は入浴し、マダニに刺されていないか確認して下さい。
吸血中のマダニに気が付いた場合は、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させて病原体が体内に入りやすくしたりしてしまう恐れがあるので、医療機関(皮膚科など)で適切な処置を受けてください。また、刺されたあと数週間程度は体調の変化に注意をしましょう。発熱等の症状が認められた場合は、医療機関でマダニに刺されたことを伝えたうえで診察を受けて下さい。